コラム

直流電源なるほどガッテン(2)

直流電源の「裏ワザ的な手法」や「豆知識」をご紹介する「直流電源なるほどガッテン」、その2回目です。よろしくお願いいたします。 さて、エンジニアコラムでの登場が多い、高速動作や多機能を特長とするインテリジェント・バイポーラ […]
投稿日-2017年3月

 

直流電源の「裏ワザ的な手法」や「豆知識」をご紹介する「直流電源なるほどガッテン」、その2回目です。よろしくお願いいたします。

さて、エンジニアコラムでの登場が多い、高速動作や多機能を特長とするインテリジェント・バイポーラ電源PBZシリーズ(写真1)。しかし高性能、高機能であるがゆえの欠点(?)が価格です。「PBZシリーズが良い製品なのはわかるけど、予算が・・・」というお客様の声は正直少なくありません。当社が扱う専門機器は、求められる仕様、機能を可能な限り盛り込んだ形に製品を仕立てたいと思う一方で、民生品ほどの販売数を見込むことができないため、規模の経済性(量産効果)といった恩恵を享受することが非常に困難です。

菊水電子 直流電源 PBZシリーズ

だからと言って、高額な高付加価値商品を、ただ無理強いするというのも企業姿勢として問題がないとは言えず、お客様の用途や試験精度をお伺いして、他の製品を使った次善案、代替案のご提案もさせていただいております。
今回は、そのような次善案、代替案の事例として、「電流センサーの極性切り替え試験をしたいのですが、PBZシリーズを買う予算がありません。他に方法はないでしょうか?」という相談をお受した際に、提案させていただいた、簡易的な極性切替え電源システムのご紹介です。
この極性切替え電源システムは10V/±100Aを想定したものです。この仕様を満たす大容量モデル(PBZ SRシリーズ)の標準価格は税込みで約450万円ですが、代替案の極性切替え電源システムはその半額以下になります。
もちろん実際の動作や操作にはいくつかの条件が付きますが、条件が合えばお得なシステムではないかと思います。

概要とシステム構成

バイポーラ電源、極性切替え機などを使用せず、標準品を組み合わせることでプラス・マイナス電流が流せる簡易的な電流センサー試験システムが構築できないかとのご要求から考案した、直流電源装置、電子負荷装置を組み合わせた電源システムです。
このシステムではプラス電流、マイナス電流それぞれに直流電源(PWX1500L)と電子負荷(PLZ1004W)を使用することで切替え機なしで、電流センサーにプラス・マイナス電流(100A)を流すことができます(図1)。

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図1 システム構成図とその等価回路

動作説明

直流電源は、定電圧(CV)モードで動作させます。電流の制御は直流電源ではなく電子負荷により行います。
直流電源はプラス側・マイナス側共に定電圧(CV)モードにし、電圧は、電子負荷の最小動作電圧に電流センサーなどの電圧降下分を合わせた値以上の設定とします(PLZ1004W:1.5V+α以上)。電子負荷は、プラス側・マイナス側共に定電流(CC)モードにし、ここで流したい電流値を設定します。

プラス電流を流すときはプラス側の電子負荷の電流値を設定しLOADオンします。このときマイナス側電子負荷はLOADオフ、または0A設定とします。逆にマイナス電流を流す場合には、マイナス側の電子負荷の電流値を設定しLOADオンします。このときプラス側電子負荷はLOADオフ、または0A設定にします。
ちなみにプラス側・マイナス側電子負荷にて同時に電流を流しますと、電流センサーに流れる電流は合算された電流値となります。

なお注意点として、このシステムでは極性切替えのラグ(時間遅延)が発生します。バイポーラ電源のようにプラスからマイナスへ切替えなしに移行することは出来ません。電子負荷の制御方法にもよりますが、数百msの切替え時間が発生します(図2)。

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図2 電流変化の違い

動作例

実験回路として、(図1)のシステム構成図の接続にて、電流センサーの代わりにシャント抵抗を接続したものを構成しました(図3)。そしてその電流をカレントプローブにより実測した波形を以下に示します。試験電流は±5A及び、1A、3A、5Aを電子負荷のパネル操作で手動にて電流設定を切替えて動作を確認しました。

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図3 動作実験

  • ±5A電流波形(図4)
    • プラス側・マイナス側直流電源:CV 10V設定、OUT PUTオン状態
    • プラス側・マイナス側電子負荷:CC 5A設定、LOADオン/オフ

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図4

  • ±(1A、3A、5A)電流変化波形(図5)
    • プラス側・マイナス側直流電源:CV 10V設定、OUT PUTオン状態
    • プラス側・マイナス側電子負荷:CC1A設定 LOADオン→3A設定→5A設定→LOADオフ

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図5

注意事項

このシステムでの注意事項です。

(1) LOADオフ、0A設定にしても、電子負荷装置の検出抵抗などに漏れ電流が流れます。漏れ電流の値は電子負荷装置の仕様に依存します(数百kΩ程度)。
(2)プラス側、マイナス側の直流電源、電子負荷のCOMを接続することはできません。外部アナログ制御を行う場合はそれぞれ絶縁する必要があります。
(3)電流センサーの接続をしない状態(回路上オープン)で、プラス側・マイナス側どちらかの直流電源、電子負荷装置をオンしますと、オフ状態の直流電源に逆電圧が印加されますので、電流センサーを接続しない状態で直流電源、電子負荷装置をオンしないで下さい。
(4)電流制御精度は、電子負荷の機能仕様に依存します。またデジタル通信による制御では通信時間を考慮する必要があります。

執筆者: 伊藤

[主な製品開発実績] 直流安定化電源 PAT-Tシリーズ

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