電子負荷装置の「不都合な真実」
当社の電子負荷装置の基本的な動作モードには、下記(図1)のようなものがあります。 そして被試験物や試験する内容に適した動作モードを「択一」で設定し使用するのが基本です※。
※定電流+定電圧、定抵抗+定電圧というモードを持つ製品もあります。

実はここに言ってはいけない「不都合な真実」が隠されています(笑)。電源や電池、またDDコンなどの試験には、電流を消費する実負荷(回路)に相当する「ダミー」が必要で、電子負荷装置の普及以前は、摺動抵抗器や消費電力の大きな電球、電熱器などが使用されていました。しかしそれらでは、負荷変動試験など動的な試験が難しいことや、なによりも実負荷のふる舞いとは挙動が大きく異なるため、精緻な動作検証ができないという不便さがありました。
そこで「実負荷に近い動作」ができる回路構造を持つ装置があると便利だということで、電子負荷装置が考案されました。当初の電子負荷の動作モードは、定抵抗(CR)と定電流(CC)の2つでしたが、その後二次電池電池の試験に必要な定電圧(CV)や定電力(CP)が加わり、この4つが電子負荷装置の基本的な動作モードとなっています。
ところがです。電子負荷装置であっても、前述のように「実負荷に”近い”動作」になります。実負荷とはやはり違うのです。実際の負荷の多くは「一定のモード」で動いているわけではありません。最初は定電流動作だったものが、電圧がある閾値を越えると定電圧動作に変わる等、複合した動きをします。実は動作モードとは、試験物に応じた動作ではなく、電子負荷装置の回路の都合でそうなっているわけです。
洋服にはS、M、Lといった既成サイズがあります。それがジャストサイズだという人もいますが、ちょっと合わないけど「まぁ、着られないことはないから、これでいいや」という人の方が実は多い。電子負荷装置の動作モードも、これに似たようなところがあって、選択肢を示すことで対応している素振りを見せてはいるけど、実は供給者側の都合でそうなっている・・・(あぁ、こんなこと書いていいのかな?)。
もちろん、これが全く不誠実な態度と言いきれるものでもなく、条件を(最大公約数的に)集約することにコスト的な優位性があったり、設定条件をシンプルにすることでの「使いやすさ(わかりやすさ)」もあったりと、現状の製品群でも十分実用的であるというのも事実です(と、一応フォロー)。
非線形(任意波形:ARBitrary)モードで「よりリアルな」実負荷模擬を
しかし、今年(2016年)、画期的な製品ができました。それはPLZ-5Wシリーズという製品です。このPLZ-5Wには、従来の4モードに加えて、非線形(任意波形:ARBitrary)モードという新機能が搭載さています。このモードでは、横軸電圧/縦軸電流のx-yデータを作成、テーブル化する事で入力電圧に応じた電流を流すことができます。
(図2)は、PLZ-5Wのオプションソフトウェア(Wavy for PLZ-5W)の画面にて、ARBモードの設定をした例です。このような指数関数的な動作を設定することができます。

例えば下記の様なデーターを、PLZ-5Wに設定する事でダイオードの順方向特性を模した実験ができます(図3)。

実際にPLZ-5Wに入力する場合、横軸の電圧は最大値の157.5Vまで必要となります。上記の例の場合2.600Vの下に157.500V、電流は0.000を入れますが2.6Vから157.5Vの間の電流は直線(0A)となります。
同様に発電機等の評価で下記の様な「0.1Vから5.0Vまでは10Aの一定電流だが5V(50W)を超えると電流が放物線で下がって行き、10Vを超えると電流が引けなくなる(0A)」という状態を模擬する事が出来ます(図4)。
この場合、0Wから直線で立ち上がり、5Vを超えたところで非直線で降下。60W近辺をピークにあとは0Wまで下がって行くというP-V曲線を描く事が出来ます。PLZ-5Wシリーズは電力(W)をロギングする機能を持っているので、別途計測器を使用することなく上記のP-V曲線を得る事ができます。
さらに現実的ではないですが、下記の様な放物線の特性も(私が知らないだけで世の中にはあるかもしれませんが…) 模擬する事ができます(図5)。
このように実際の負荷を模擬するだけではなく、理論値の検証、現実ではあり得ない意地悪試験等、発想次第でいろいろな評価にお使い頂けるのではと思います。デモ機も用意がありますので、ご興味あれば当社営業までご連絡ください。


