コラム

計測トラブルバスターY氏の事件簿(2:後編)

こんにちは!「計測トラブルバスターY氏の事件簿」の2回目〜後編になります。 お題は「電源と通信ができない!」。前編〜中編に渡り準備と設定をおこない、この後編ではコマンドを送って実際に電源を制御します。いよいよです。頑張っ […]
投稿日-2017年7月

 

こんにちは!「計測トラブルバスターY氏の事件簿」の2回目〜後編になります。
お題は「電源と通信ができない!」。前編〜中編に渡り準備と設定をおこない、この後編ではコマンドを送って実際に電源を制御します。いよいよです。頑張っていきましょう!

コマンドを打つ準備

中編で起動していた「KI-VISA Instrument Explorer」の画面からの続きです(写真1)。

写真1

この画面の右上にある「Open VISA Session」をクリックしてみてください。すると(写真2)の画面になりますので、そのまま「WrinteString」タブをクリックしてください。

後編_写真2写真2

「String To Write」というフィールドがコマンド入力の場所です(写真3)。

後編_写真3写真3

コマンドのあとに謎の呪文?

*IDN?のあとに\nという文字があります。

これが「コマンドデリミタ」という、命令の区切りを示すためのLF(ASCIIコードの0x0A)を送るための呪文(=エスケープシーケンス)です。
キーボードで¥(円マーク)nと打てば、画面上では\nと表示されます。ちなみに「\」は「バックスラッシュ」と読みます。

この呪文がないと、電源や計測器はコマンドの末尾がわからず動作できません。
「コマンドを正しく送っているのに動かない。故障ではないか?」という問い合わせはこのデリミタを正しく送っていないケースが非常に多いです。
古い製品ではまれにCR+LFがデリミタになっているケースがあります。
この場合は\r\n(キーボードからは¥r¥n)とすればCR+LFが送出されます。

電圧を設定して出力を出そう

ここまでの説明で、パソコンから電源を動かす準備はできましたので、実際に電圧を設定して出力をONにしてみましょう。
どんなコマンドを使えばいいかは通信インターフェースマニュアルを見てみます。

出力の設定
https://kikusui.co.jp/kiku_manuals/P/PMX/i_f_manual/Japanese/sr_func1_outp.html

これで見ると、電圧の設定は「VOLT」、出力ON/OFFの設定は「OUTP」コマンドを使えばいいことがわかります。
では、VOLTコマンドの詳細を見てみましょう(写真4)。

後編_写真4写真4

なんだか難しそうですね。

VOLTだけだと動かなさそうに見えますが、これはコマンドの書き方のルールで、省略してよいものは[ ]でくくる、というルールがあります。詳しくは「メッセージの概要」に記載がありますので、一度目を通してみてください。
https://kikusui.co.jp/kiku_manuals/P/PMX/i_f_manual/Japanese/05-Mess-2-Com.html

とりあえず、10VでOUTPUT ONにしたいので、命令を考えてみます。

VOLT 10
OUTP 1

この2つを送ると動くはずです。
文字と数字の間には半角のスペースがあります。これを全角にしてしまうと動かないので、入力時は気をつけてください(これもよくあるミスです)。

VOLTコマンドを実行します。「VOLT 10\n」と入力し「Execute」ボタンをクリックします(写真5)。これで電圧が10Vに設定されます。

後編_写真5写真5 VOLTコマンド

次にOUTPコマンドを実行します。「OUTP 1\n」と入力し「Execute」ボタンをクリックします(写真6)。

後編_写真6写真6 OUTPコマンド

正しくコマンドが送られていれば出力電圧10VでOUTPUTランプが点灯するはずです(写真7)。

後編_写真7写真7

やった!動きました。
これで出力がONできました。

電流をモニタするには?

直流安定化電源PMX-Aシリーズは、電流をモニタする機能がありますので、出力中にどのくらい電流が流れているのかを測定することができます。

電流測定のコマンドは「MEAS:CURR?」です。先程と同じようにまずWriteStringタブでコマンドを送信しましょう。次に「ReadString」タブを選んで「Execute」をクリックすると測定値が指数形式で返ってくるはずです(写真8)。

後編_写真8写真8

この例では、18.7mA流れていることがわかります。

このように、何か問い合わせを行うコマンドのことを「クエリコマンド」と呼びます。クエリコマンドを送った後は、ReadStringで返り値を引き取る操作をすることで値が取得できます。

これで一通り、パソコンから電源をシリアル通信で制御することができたはずです。
もし、うまく動かない場合はケーブル、ドライバ、操作手順のどこかに間違いがありますので、一歩一歩地道に原因を探っていけば必ず動作しますので、めげずに頑張ってみてください。

今回のまとめ

ずいぶん長いミッションになりました。

普段、私が無意識にやっていることを書き出してみましたが、意外に量が多いことに驚きました。
ボタン一つでつながるWi-Fiや、挿せばOKなUSBと違って、RS232Cシリアル通信のようにレガシーな(歴史のある)通信方式では仕組みが簡単ながらも、ひとつひとつの設定内容を理解して進めないと、つながるものもつながらないという状況に陥ります。古い技術ですが、まだまだPLCやマイコンから制御するには手軽なため、細々と残っていくのではと思います。

どんなに新しい生産システムでも、足元ではこのような泥臭い技術が使われていますので、面倒がらずに自分でやってみる習慣をつけることで仕事の幅がぐっと広がりますよ。

以上、計測トラブルバスターY氏の事件簿(Mission 2)でした。
あ〜疲れた。お茶でも飲もう・・・。

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矢島

執筆者: 矢島

[専門分野] 低周波EMC規格全般 / 高調波・フリッカ計測技術 / アナログ回路設計(高精度計測) / アプリケーションソフト開発(C#、VB.net、Excel VBA) / [主な製品開発実績] 高調波/フリッカアナライザ KHAシリーズ / プレシジョンDCソース KDS6-0.2TR、標準信号発生器 KSG4310 /

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