コラム

バイポーラ電源PBZシリーズの「擬似」直列出力

バイポーラ電源の直列出力 今回はバイポーラ電源PBZシリーズの応用のお話です。PBZシリーズについていただくお問い合わせとして「直列接続する方法はありませんか?」というものがあります。その回答としては「申し訳ありません、 […]
投稿日-2017年8月

 

バイポーラ電源の直列出力

今回はバイポーラ電源PBZシリーズの応用のお話です。PBZシリーズについていただくお問い合わせとして「直列接続する方法はありませんか?」というものがあります。その回答としては「申し訳ありません、ございません。」になりますが、やはり技術者としては忸怩(じくじ)たる思いがあります。

PBZシリーズは「電源」と称してはおりますが、実質はパワーアンプです。そこでアンプをパワーアップする身近な方法はないかと考えてみます。ここで音響機器に詳しい方ならピンと来るかもしれません。
オーディオステレオアンプに「BTLスイッチ」という機能が付いたものがあります。そのスイッチをONにすると左(Lch)のアンプと右(Rch)のアンプがブリッジ(BTL)接続され、1台のモノラルアンプとして動作するようになります(図1)。ちなみにBTLはBridge Tied LoadあるいはBridged Trans Lessの略です。なお、タイトル写真はBLTバーガーです(笑)。

図1_バイポーラ電源PBZシリーズ

図1 ステレオ接続とBTL接続

(図1)のBTL接続において、アンプをPBZシリーズに、スピーカーを被試験物とすれば、理屈として同様な使用が可能であると思います。
そこで、厳密には直列ではありませんが、出力電圧を倍増(増幅)する方法として、以下に設定方法および使用にあたっての注意点等をご紹介して参りたいと思います。

接続方法

本接続方法は(図2)の通りで、出力は各電源のOUT端子間を使用し、また出力を接地する場合はCOM端子の接地のみ許容します。周波数特性は定電圧(CV)については約50%(50kHz)CCについては約80%(8kHz)に悪化しますが、用途によっては高速バイポーラ電源として十分使用することが可能です。

バイポーラ電源PBZ_図2

図2

動作原理としてはBTL MASTER(以後マスター機)のPBZの出力電圧(+V)に対し逆位相の電圧(-V)をBTL SLAVE(以後スレーブ機)のPBZで出力させ、マスター機のOUT端子とスレーブ機のOUT端子間を出力電圧として使用します。するとRLにかかる出力電圧は2倍となります。

従って配線は、
(1)各機(マスター機 およびスレーブ機)のCOM端子間を接続します。
(2)各機のOUTPUT端子をRLに接続します。
(3)背面出力端子のOUT端子がGNDに接続されていないことを確認します。なお必要に応じて、背面の出力端子のCOM端子をGNDに接地することは可能です。
(4)マスター機背面のJ1コネクタのCV MONITOR出力(13,18)をスレーブ機前面パネルのEXT SIG INへ接続します。
(5)マスター機背面のTRIG OUT出力とスレーブ機背面のTRIG INを接続し、トリガ同期をします。
となります。

各機の設定

(図1)の様に配線した上で以下の設定を各機に行います。ここで行う内容は「同期運転機能」と「外部信号入力(外部電圧コントロール)」についての設定操作です。なお、各設定を行う前に、SHIFTキーを押しながら POWER スイッチをONし、各種設定値を工場出荷時設定にあらかじめしておくことをお勧めします。

<マスター機の設定>

マスター機のOUTPUT ON/OFFスイッチの操作で、スレーブ機もOUTPUT ON/OFFさせるために、CONFIG[3](3/7)のSYNCRONUS>OPERATION を以下の様に設定します(取説のP.89参照)。

  • (1)CONFIGキーを数回押し3/7へ移動します。
  • (2)ツマミでSYNCRONUS>OPERATIONを「MASTER」に設定します。
  • (3) 設定は(2)のように表示を変更した瞬間に有効になります。

<スレーブ機の設定>

Step1.  スレーブ機のOUTPUT ON/OFFをマスター機のOUTPUT ON/OFFスイッチの操作で動作するように、CONFIG[3](3/7)のSYNCRONUS>OPERATION を以下の様に設定します(取説のP.89参照)。

  • (1)CONFIGキーを数回押し3/7へ移動します。
  • (2)ツマミでSYNCRONUS>OPERATIONを「SLAVE」に設定します。
  • (3) 設定は(2)のように表示を変更した瞬間に有効になります。

Step2.  スレーブ機はマスター機の出力電圧に同期して動作しますので、内部信号源は用いず、前面パネルのEXT SIG INに入力されるマスター機のCVモニタを、外部信号源として使用します。従ってCONFIG[2](2/7)のSIGNAL SOURCE>SELECTを以下の様に設定します(取説 P.88 参照)。

  • (1) CONFIGキーを数回押し2/7へ移動します。
  • (2)ツマミでSIGNAL SOURCE>SELECTを「EXT」に設定します。
  • (3)ツマミでSIGNAL SOURCE> EXT SELECTを「BNC」に設定します。
  • (4)設定は(2)、(3)のように表示を変更した瞬間に有効になります。

Step3.  マスター機の出力電圧+Vに対しスレーブ機の出力電圧が-Vになる様に、外部信号回路ゲインと出力の極性を以下の様に設定します。従ってCONFIG[2](2/7)のSIGNAL SOURCE>EXT GAINを以下のように設定します(取説P.88参照)。

  • (1)CONFGキーを数回押し2/7へ移動します。
  • (2)ツマミでSIGNAL SOURCE>GAINを次の様に設定します。マイナスの値を設定することにより、極性反転になります。
    • PBZ20は -10.00
    • PBZ40は -20.0
    • PBZ60は -30.0
    • PBZ80は -40.0
  • (3) 設定は(2)のように表示を変更した瞬間に有効になります。
  • (4)マスター機の出力電圧とスレーブ機の反転した電圧値を正確に合わせるには(2)のゲイン調整により行います。

操作方法

・OUTPUT ON/OFF操作はマスター機のみで行えます。
・CVの設定値、CCの設定値、電流リミットの設定値はマスター機で行います。
・出力電圧は同一機種で行った場合、マスター機の設定値の2倍の電圧が出力されます。
・スレーブ機のRESPONSEは最速にしておきます。
・通信制御する場合はマスター機に対し行います。

出力結果

PBZ40-10を2台用いて実験した出力波形です。

定電圧動作での立上り特性(図3)と立下り特性(図4)。

 PBZ40-10
 RESPONSE
   MASTER:3.5us(CV)
   SLAVE:3.5us(CV)
 AC 40Vpp  DC 0V
 RL=8Ω
 SLAVE EXTGAIN:-20

図3

図3 立上り

図4

図4 立下り

定電流動作での立上り特性(図5)と立下り特性(図6)。

 PBZ40-10
 RESPONSE
   MASTER:70us(CC)
   SLAVE:3.5us(CV)
 AC 20Vpp  DC 0A
 RL=8Ω
 SLAVE EXTGAIN:-20図5

図5 立上り

図6

図6 立下り

その他、使用上の注意

<異機種間で構成した場合>

構成するPBZは同じ定格電圧の機器でも、定格電圧が異なった機器でも、同様に可能ですが、定格電圧が異なった機器では、スレーブ機の出力電圧は同じ割合で電圧設定されますので、出力電圧は2倍にはなりません。
たとえばPBZ40がマスター機でPBZ20がスレーブ機の場合、PBZ40の設定電圧を20Vに設定すると、PBZ20の出力電圧は10Vになり、負荷に供給される電圧は30Vとなります。

<計測時の注意>

出力電圧の計測は、オシロスコープでの電圧計測は差動プローブをご使用ください。PBZの出力をプローブでショートし、プローブを焼損させる場合があります。

<CV 100KHzの周波数特性を得るには>

(図7)の様に一般的なBTLアンプとして使用します。EXT SIG INにファンクションジェネレータ(FG)から希望の電圧になる様に信号を入力し、スレーブ機は極性反転するようにGAINをマイナスに設定します。アウトプットのON/OFFを2台で同期するには、トリガ同期の接続を行います。この方法においても、COM端子の接地のみ許容します。

バイポーラ電源PBZ_図7

図7

なお、本コラムの作成にあたっては、当社製品開発一部の風見泰希さんの協力をいただきました。

執筆者: 神崎

[主な製品開発実績] 直流安定化電源 PAD-Lシリーズ、PMCシリーズ、PANシリーズ、特注品、 交流安定化電源 PCRシリーズ、 充放電電源装置 PFX40W-08、PFX20W-12、特注品、 電子負荷装置 PLZ-3Wシリーズ、 パワーサプライコントローラ DPO2212A、PAK-E2、PIA3200、 [営業実績] Aeroflex製品営業

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