コラム

ダメなエンジニアに足りないもの

エンジニアの皆様、モノを分解したり修理したこと、ありますよね? 私の場合、思い起こせば小学生のまだ小さい頃、ようやく買ってもらった電車のおもちゃをバラバラにしてしまったり、親父のラヂオをこっそり分解して、それが見つかって […]
投稿日-2017年10月

 

エンジニアの皆様、モノを分解したり修理したこと、ありますよね?
私の場合、思い起こせば小学生のまだ小さい頃、ようやく買ってもらった電車のおもちゃをバラバラにしてしまったり、親父のラヂオをこっそり分解して、それが見つかって怒られたのを覚えてます。そんなことを繰り返しているうちに、家中の調子の悪い家電製品と闘う係りに任命され、それをきっかけに私の分解癖はさらにエスカレートしていきました。

中学生の頃にはテレビ、電子レンジ、ビデオデッキと直せるはずもないハイテク製品の修理を頼まれたりしましたが、とにかく楽しかった記憶があります。「中はどうなっているんだ・・・」と、カバーをあける瞬間の期待とドキドキは大変なものでした。(なおご存知の通り、ケースを開けてしまうと大抵の場合、その製品はメーカー保証対象外になりますので、その点は十分ご注意ください)

ビデオデッキは強敵だった

なかでもビデオデッキは驚きでした。わくわくドキドキ・・・。ビデオデッキのケースを開けると、なんとビデオテープと接触して映像信号を読み出す回転ヘッドが斜めに傾いているではないですか!(写真1)

ダメなエンジニアに足りないもの_写真1

写真1

これを真っすぐに直さないと映像がきれいにならない!っと確信した私はヘッドの取り付け部分を観察するもヘッドは計算されたかのように精密に斜めに取り付けられていたのです。結局、中学生の私には手に負えないと悟ったかは覚えていませんが、「ビデオデッキ=かなり強敵」という公式がインプットされたのでした。
「しかし、なぜヘッドは斜めに付いているんだ・・・?」とても気になったのでしょう。家の近くにあった科学館の先生に無謀な質問をしたのを覚えています。その先生、きっといろいろ調べてくださったのだと思います。とてもわかり易く教えてくれました。今はインターネットですぐに調べられますが、この頃はこのような素晴らしい先生に出会えて本当に良かったと思います。

知識だけでは現場を戦えない

さて、すっかり前置きが長くなってしまいましたが、私たちエンジニアの業務の中には様々なものがあります。手順通りにサクサク進む仕事もあれば、お客様から不具合の原因究明を依頼されたり、開発品の実験が思う様に進まない時の対策検討といった、どちらかと言うと「しんどい仕事」もあります。こうした「しんどい仕事」についてあなたは得意でしょうか?

私は決して得意とは言えませんが、不具合原因の推測をしたり、原因究明の為の打開策を挙げてみたり等、何とか日々の業務を人並みにこなしています。
こういった不測の事態を分析(推論)したり、対応する能力を「論理的思考能力」といい、エンジニアに必要な能力と言われています。早い話、頭の中でどれだけ「なぜだ?」の感情が強く働くかなんだと思います。疑問に思えばその疑問の答えを解きたくなりますし、その疑問が興味深ければさらにいろいろ調べるでしょう。

私の場合ですが、こうした「なぜだ?」を小さい頃からやっているので、少しぐらいのトラブルでは動揺せず、むしろ楽しんでしまいます(おかげで傍からは変人扱いです)。さらに不思議なことに自分に知識が全く無いことでも、「おそらくこうだろう」、「もしかしたらそうなっているかもしれない」、とあれこれ浮かんできます。幼少期の分解癖が、エンジニアとしての能力向上に直結していると断言はできませんが、しかし少なからず「なぜだ?」の感情を持ち続けることに役立っているとは言えそうです。

一方、こういったトラブルに上手く対応できない人もいます。面白いことに、そういう人に限って、知識が豊富で、一見「できる人」のように見えるのです。しかし言ってることをよく聞くと、「あそこではこういった事例があった」とか「その部品の仕様はこうこうだから使えない」など、情報提供はできても、それ以上がない。知識だけで、なんとか切った張ったしようとしているように見えます。つまり見えている情報(事実)と、起きている事象(不具合)の間の隙間を想像する、関係性を推論することが上手くできないようです。
こういう人が不具合対策メンバーにいると苦労します・・・。会議が「俺はこんなこと知ってるぞ」合戦に終始して、なかなかその先に進まず、かけた時間の割に有益な結論が出ないなんてことが起こりえます。あなたの職場にもいませんか?そんな人。

知識はエンジニアにとって重要な情報ですが、残念ながら実際の現場は、手持ちの知識だけで対応できることの方が少ない。むしろ丸腰のままその場で策をひねり出すことを要求されるのが「普通」なんじゃないかと思います。そのときに必要なのが「論理的思考能力」です。
しかしこの能力は本や資料を読むだけではなかなか身につかない。結局「経験値」。どんだけ実際にやったかでしか身につかないように思えます。そこで私が提唱するのが「分解のススメ」なのです。

論理的思考能力は「分解」で鍛えられる

あなたの周りで「本当にできる人」をちょっと思い浮かべてみてください。その人はこんな特徴をもっていないでしょうか。で、おそらくその人は、程度の差はあれ「分解癖」があるんじゃないかと思うのですが、どうでしょう?

(1)ものごとの仕組み、動作原理が常に気になって調べたりする。(いまその必要がなくても)原理がわからないままなのは許せないので妥協しないでちゃんと調べ、納得する。
(2)お客さんとの打ち合わせでお客さんが抱えている課題を痛いほど理解してしまう。(お客さんの要求事項の意味するところを「なぜだ?」で分析してしまう)
(3)とにかく電気以外にも多くの雑学を蓄積しているが、それらが忘れた頃に役立ったという経験が少なくない。

こうして見るとエンジニアにとって有難いことだらけなのですが、実は注意すべき点もあります。分解癖があるエンジニアはどうしても原理や原因の追究に時間を掛けてしまいます。気が付くとそれがメインの作業になっているのです。時間が十分にある仕事では良い仕事として評価されますが、往々にして不具合対応は時間勝負です。状況を読んで「なぜだ?」の追求と「これで対応しよう!」のバランスを取る注意が必要です。
とまぁ、エンジニア向け研修のテキストのような言い方をしてしまいましたが、私は正直なところ、「なぜだ?」が解決し納得するまで「これで対応しよう!」になかなか進めないタイプです。しかし、そうした方が結局最短で解決していることが多いので、良しとしていますが。

ここまでは、分解癖があるエンジニアの皆様には共感いただけたかと思いますが、いかがでしょうか?
一方、「分解癖なんてない」というノーマルなエンジニアの皆様(若手の方々?)、今後不具合を楽しく切り抜けていくために遅くはありません、とにかくご自身の興味のあるものについてその仕組みを調べて見てください。電気に関係なくても良いのです。いろいろなものに興味を持ち、そのしくみを想像し、時には思う存分、分解する経験を増やしてみてください。
この先、役に立つ日が必ず来ますよ。

さて、今週末は何を分解してみようかな!?

執筆者: 大塚

[主な製品開発実績] バッテリテストシステムPFX2000シリーズ / 充放電システムコントローラPFX2500シリーズ / 特注充放電システム、特注充放電電源装置

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