コラム

電源電圧変動試験はいつも無茶ぶり(前編)

テレビタレントや芸人の世界で、相手の意外な反応で笑いをとるために、唐突に話題を振ることを「無茶ぶり」と言いますが、私が担当する車載電子機器試験器では、電源電圧変動試験の急な内容変更(追加)という「無茶ぶり」がたまに起きま […]
投稿日-2017年12月

 

テレビタレントや芸人の世界で、相手の意外な反応で笑いをとるために、唐突に話題を振ることを「無茶ぶり」と言いますが、私が担当する車載電子機器試験器では、電源電圧変動試験の急な内容変更(追加)という「無茶ぶり」がたまに起きます。

電源電圧変動試験で追加要求が起きやすい理由

車載電子機器の変更や追加、搭載数の増減等があった場合でも、一般的な評価試験(温湿度、耐水、耐振動、耐衝撃、過渡サージ耐性等)についてはその方法が大きく変わる事は殆どありません。(※1)

車載電子機器の変更や追加で評価方法の変更がされやすいのは、その変化に気付きやすく、明らかに今までと異なる場合です。電磁環境等はその変化に気が付きにくい例ですが、逆にすぐに変化が現れる例がバッテリです。バッテリの負荷が変わることで変化する電力環境、すなわちバッテリ電圧の変化はすぐに発露します。

新たな電力環境(バッテリの電圧変化)が生じた時、車載電子機器の耐量、耐性確認が、今までの試験ではカバーできない(またはカバーできるか分らない)となります。このため自動車メーカ様はその挙動を試験パターンにして車載電子機器メーカ様に追加評価を依頼します。例え今問題が起きていなくとも、そのままにして市場で何か起きると問題になりますので、放置するわけにはいかないからです。

上記のような理由により、国際規格とは異なり改定版への対応には猶予期間が殆ど無い例が多々あります。このような背景から、車載電子機器メーカ様から「急に試験が追加されたのでその評価を今すぐ行いたい」というご要求(無茶ぶり)が、当社に寄せられてくるわけです。

そこでこのコラムでは、こういった急な電源電圧変動試験の追加要求に対応できる、2つの製品とその使用方法をご紹介したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

※1:「○○搭載車は□□試験を実施。○○非搭載車は△△試験で省略可」等、試験の付帯条件が変わる事はあります。

KES7400シリーズの場合

キクスイは電源電圧変動試験に特化した「KES7400シリーズ」(写真1)を、2005年から販売しており、この電源と専用のアプリケーションソフトウェア「KES7100」を組み合わせることで、電源電圧変動試験を行う事ができます。

写真1

写真1 KES7400シリーズ

KES7100にはISO7637-2規格の変動パターンが登録済みであり、お客様のご要望の変動パターン(※2)や規格各種(※3)をあらかじめ登録する事も可能です。試験は登録済みパターンを呼び出してパラメータを変更するだけの簡単操作で実施可能です。登録されていない試験を行うには、任意波形試験条件編集モードで変動パターンの選択やパラメータの編集を行う事により対応が可能です(図1)。この任意波形試験条件編集と同期運転台数を設定して頂くことで、複数ラインの電源変動試験を行う事が可能です。

図1 KES7100ソフトウェアの任意波形作成画面

なので、急な追加要求に対応できる電源変動試験器としては、このKES7400シリーズ(およびソフトウェアKES7100)を所有していれば比較的簡単に追加試験を行う事ができます。しかし、ここで残念なお知らせがあります。それはこの製品が特注品であり、一般のバイポーラ電源よりも高額です。また、即納はできません。

そこで次にご紹介するのが、キクスイの「インテリジェント・バイポーラ電源PBZシリーズ」を使った方法になります。PBZシリーズであればカタログ製品ですので、(在庫があれば)購入してすぐに試験をおこなうことが可能です。
今まで電源変動試験を行っているのであれば、所有している可能性も高いと思います。

※2:別途費用が発生します。
※3:対応規格については当社営業担当までご連絡ください。

バイポーラ電源PBZシリーズの場合

さて、PBZシリーズ自体はカタログ品ですので、在庫さえあればハードの入手は簡単なのですが、問題はソフトウェアです。

過去、PBZシリーズを使用し製作した電源電圧変動試験システム(特注品)では、波形ライブラリをプリセットしたアプリを開発するケースが多かったのですが(図2)、ユーザによる波形追加はできない仕様がほとんどでした。そこで、任意の変動パターンを行う場合は、シーケンス作成や実行が簡単に行える「シーケンス作成ソフトWavy for PBZ」を使用します。

図2 専用ソフトウェアの波形ライブラリ

Wavy for PBZはエクセル形式の表(シート)にパラメータを入力する事で試験パターンの作成が可能となります(図3)。Wavy for PBZには1ライン用と、特注製作の多チャンネル用(5ch)があり、複数ラインの制御の場合は5chの特注Wavy for PBZが大変便利です。

図3 シーケンス作成ソフトWavy for PBZ

しかしここでも残念なお知らせが。波形ライブラリがプリセットされた専用アプリや、5chのWavyは、特注扱いのためすぐにご用意することができません(申し訳ありません・・・)。

では、今すぐ試験したいという場合はどうしたらいいのか?
その方法は後編でご説明したいと思います。
ご期待ください。

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後藤

執筆者: 後藤

[主な製品開発実績]静電気放電シミュレータ/雷サージ試験器 / DIPシミュレータ/高電圧リップル重畳試験器 / 過渡サージ試験器全般/特注EMC試験システム

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