こんにちは。ソリューション開発部の「カッキー」こと新垣(あらかき)です。
前回は大容量交流電子負荷(PCZ-A SRシリーズ)のことを書いたので、今度はそれを制御するアプリのお話をしようと思います。
Wavy(ウェービー)シリーズとは
キクスイの電源や電子負荷には、マウスを使ってお絵描き感覚&表計算感覚で簡単に装置を制御できる「Wavy(ウェービー)シリーズ」と呼ぶソフトウェア製品があり、これを使うとプログラム言語を知らなくても、装置の動作パターンを簡単に作成し実行することができます。
例えば、交流電子負荷を使って「CCモードで10秒間は10A流して、そこから3秒かけて2Aまで流す電流を下げていき、その後5秒間は2Aを維持する、それを5回繰り返す」等という制御をしたい場合どうするか。普通であればC言語等を使ってPCZに対してコマンドを送り制御することになるのですが、プログラム言語や装置の動作コマンドの知識が必要であり、正直なところ簡単とは言いにくいです。
これが交流電子負荷用のWavy(Wavy for PCZ1000A)を使えば、
電流: 2A、間隔: 2.5秒、遷移:ステップ
電流: 3.4A、間隔: 2秒、遷移:ステップ
電流: 5.3A、間隔: 2秒、遷移:ステップ
電流: 0A、間隔: 2.5秒、遷移:ランプ
のようなデータを、あたかも表計算ソフトのセルに入力するように編集し実行できるので、誰でも手軽に装置をシーケンス動作させることができます(写真1)。
写真1
複数台制御はどうする?
しかしこのWavyシリーズには、制御条件があります。それは「制御できる電源、電子負荷の台数は1台」なのです。つまりアプリと(電源、電子負荷)装置は一対一ということです。
PCZ6000A SRを単相2線(6kW)の交流電子負荷として使うなら、標準のWavy(Wavy for PCZ1000A)で制御できますが、単相三線(3kW+3kW)なら2チャンネルの装置として、三相3線、三相4線の場合は、2kW+2kW+2kWの3チャンネルの装置として扱う必要があります。そうなるとチャンネル毎にWavyを複数個用意して、それぞれ別のPCにWavyをインストールして制御することになります。しかしそれは同期なども考慮すれば、操作性もさることながら非現実的です。
そこで、Wavyを3つ同じアプリ画面に入れて、3chを同期して動かすことができるPCZ-SR用Wavy(Wavy 3CH for PCZ-SR)を開発しました。これを使うことで3ch同時制御ができるので、
U相:100%負荷、V相: 50%負荷、W相: 50%負荷 から
U相: 50%負荷、V相:100%負荷、W相: 50%負荷 に変化させる
といったことを簡単に設定・実行することができます。
さらに、このPCZ-A SR用Wavy(Wavy 3CH for PCZ-SR)を使った荒技(?)をご紹介しましょう。
PCZ-A SRは9kWモデルが最大なのですが、それを3セット用意して、U相用1台、V相用1台、W相用1台とすることで、3相27kW負荷として制御することができます。もしくは3台を並列接続し一括制御すれば単相27kW負荷にもなります(図1)。
図1 27kW交流負荷システムの構築例
この27kW負荷としての使用はカタログ等で紹介していませんが、バッチリ動作しますので交流の大電力負荷が必要な際はぜひご検討いただけばと思います。よろしくお願いいたします。
以上、「あらかき」による「あらわざ」のご紹介でした(笑)。