コラム

竹林翁の特注奇譚(その1)

月日が経つのは早いもので、還暦を超えてしまいました。でも、諸先輩方から見ればまだまだ若造です。しかし寄る年波は押し寄せております。体力の維持のため、オフは竹林伐採ボランティアにいそしんでおります、板垣です。 さて、長年特 […]
投稿日-2018年6月

 

月日が経つのは早いもので、還暦を超えてしまいました。でも、諸先輩方から見ればまだまだ若造です。しかし寄る年波は押し寄せております。体力の維持のため、オフは竹林伐採ボランティアにいそしんでおります、板垣です。

さて、長年特注・改造品にかかわっていますと、時々「目的は何?」とか「えーっ!」と思うような珍しい仕事が舞い込みます。特別注文ですから、技術的に可能かつご予算が合えば出来ないことはないわけですが(本当?)、その(真の)目的が明かされないまま、技術要件のみで製作する例があります。
このコラムでは、そのような珍しいお仕事を「特注奇譚(奇譚=珍しい話)」として(守秘義務に注意しつつ)いくつかご紹介して参りますので、よろしくお願いいたします。
さて1回目は、20年ほど前に関わった「シリコーンレス電源」です。

シリコーン抜きでお願いします

ハンバーガー屋さんの注文の仕方に「ピクルス抜きで」というのがありますが、そんな感じでしょうか(笑)。ちなみに「シリコン」と「シリコーン」は似ていますが別物です。「シリコン」は半導体の材料(ケイ素:鉱物)ですが、「シリコーン」はケイ素と有機化合物を結合させた化学物質(ゴムや樹脂、オイル)です。シリコーン素材から発生するガスが「ユーザーの何かの妨げになる」という理由での改造依頼でした。

そこで、直流電源に使われている次の様なシリコーンを取り除き、別のものに置き替えました。

  • 熱伝導性シリコーングリース
  • シリコーンチューブ
  • シリコーンシート(絶縁材)

半導体はシリコンで出来ていますが、代替できる物がないので(くどいですがシリコーンでもないので)そのまま使わせていただきました。

ご注文(改造)の台数が少なかったため、ロットを起こして一からの製作ではなく、倉庫の在庫品(新品)を分解して、シリコーン部材を置き換え、組み立て直して、再度調整・データ確認検査の手順を踏みます。手間のかかる作業ですが、お客様のニーズに応えるのが歓びですので。

当時、一番困ったものがシリコーンが入っていない熱伝導性のグリースの入手でした。一般では出回っておらず、NASAか米軍向けのものを入手し使用した記憶があります。10㎝ほどのチューブ入りで¥10,000もしたので、無駄使いをしないように、またリピートを考えて大事に保管していました。

20年後の謎解き

この記事を書くために、あらためて調べたら、今では「シリコンレス」「シリコンフリー」と検索すれば容易に入手できるので、驚いています。ちなみにシリコンレスやシリコンフリーだとシャンプーの方がヒットしますので、「素材、部品」を追記した方が良いと思います。しかし世間はシリコンとシリコーンをあまり区別なく使っているようですね。違うんだけどな・・・。

さてこの「シリコーンレス電源」のご注文の真意が当時わからなかったわけですが、20年後の今、「これが理由だったのかも」と思った事象があります。それは「低分子シロキサンによる接点障害」です。20年前は判らなかったのですが、シリコンから発生する「低分子シロキサン」がリレーなどの接点障害の原因になりうることが、近年知られるようになりました。

メカニズムは、「低分子シロキサンが接点に付着」⇒「接点間で火花」⇒「火花で酸化」⇒「二酸化ケイ素(絶縁物)として接点に付着堆積」⇒「接点障害」、であります。この特注電源は、客先のシステムに組み込まれるようでした。そこは長期に密閉された空間で(つまり換気がない?)、接点不良を起こす原因(つまり低分子シロキサン問題を知っていた?)を排除しなければならなかったのでしょう。たぶん。

いったいどんな極秘?システムだったのか。いまは知る由もありませんが、こういった「ミッションインポッシブル(?)」に関わるようなご依頼をいただくのも、特注品仕事の醍醐味です。

執筆者: 板垣

[主な製品開発実績]直流安定化電源PALシリーズ、PAK-Tシリーズ / 特注交流安定化電源システム/特注充放電電源システム / 特注電子負荷システム/特注バイポーラ電源装置など

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