コラム

充放電試験システムの落とし穴

逆電流防止ダイオードとリモートセンシング
投稿日-2019年3月

 

システム設計や電池の充放電試験器をメインに担当している宮野と申します。
本コラムは、「いつもより簡単な充放電試験器だ」と、高をくくったことで痛い目にあった経験です。

当社には充放電試験器の定番モデルとして「充放電システムコントローラPFX2500シリーズ」という製品があります。電池の電気特性評価に必要な「充放電コントロール」と「高精度測定」のノウハウをコンパクトに凝縮した高性能コントローラです。キクスイの直流電源、電子負荷装置に、PFX2500シリーズを組合わせるだけで、高精度な試験システムを簡単に構築することが可能なものです。
詳細は当社Webの製品情報「バッテリテスタ・キャパシタテスタ(PFXシリーズ)」をご参照ください。

PFX2500seriesシステム構成図

システム図

PFX2512_3_

セットアップ例(写真)

お客様が内製した充放電システムコントローラ

お客様のご要求内容は、充放電システムコントローラは自社で開発するので、充電用の直流電源と放電用の電子負荷装置に指定した外部コントロール用インターフェースを取り付けて、ラックに組み込んでほしいというものでした。つまり、当社としては、ラックアップと外部制御用(絶縁して)の電圧コントロール端子を、ラックの外側(後面パネル)に用意するだけのものと理解しました。

充電方法は、直流電源のリモートセンシングを用いたCC-CV 充電(※1) を行うとのことでしたのでCV 制御端子、CV モニタ端子、CC 制御端子、CC モニタ端子を用意しました。電子負荷装置も同様の端子を用意しました。 また、試験対象が電池という事もあり、充電終了時に電池側から直流電源に電流が戻ってこないように逆電流防止ダイオードも挿入しておきました。逆電流防止ダイオードについては下記取説の抜粋をご参照ください。

直流電源の取扱説明書から『エネルギーが蓄積された負荷』の抜粋

エネルギーの蓄積された負荷に対する対策

電池のようにエネルギーが蓄積された負荷を接続する場合には、負荷から本製品内部の回路へ電流が流れて、本製品を破損したり、電池の寿命を短くする可能性があります。
このような負荷に対しては、図1-4のように本製品と負荷の間に逆電流防止用のダイオード(DRP)を直列に接続します。
リモートセンシングとは併用できません。

回路図

図1-4  エネルギーの蓄積された負荷に対する対策

※1:CC-CV 充電:定電流で一定期間充電し設定した電圧値になった時点で定電圧動作に切り替えて動作するモードのことを示します。

意図しない微小な放電電流

ラック、直流電源、電子負荷装置、逆電流防止ダイオード、その他もろもろ。パーツが揃ったところで一気に組み上げました。さぁ、動作確認です。システムに電池を接続しました。まずは充電終了、ところが電池から微小な放電電流が流れていることを発見しました。その放電電流は直流電源に向かって流れていました。

逆電流防止ダイオードがあるのでブリーダー回路(※2)より放電するものはないと思っていましたが、実際は数十mA 流れていました。数十mA でも電池にとっては影響がある電流です。配線ミスなどがあったのではないかとブロック図、回路図を手に原因を調べました。そして原因を見つけました。

先に述べました通り、お客様ご要求には「充電方法は直流電源のリモートセンシングを用いたCC-CV 充電」とありました。このリモートセンシングに原因がありました。電池の出力は、直流電源の内部でリモートセンシング回路から経由してブリーダー回路に繋がっていました。リモートセンシング回路とブリーダー回路のトータルインピーダンスは、約2kΩだということが回路図から見て取れました。したがって電池はこの2kΩで放電されている状態にありました。

例)電池電圧45V の場合 45V÷2kΩ=22.5mA

この放電電流が流れていました。

※2:ブリーダー回路:出力端子に対して並列に接続されている内部抵抗回路により、電圧の設定変更時、電源オフ時、負荷を外した際に機器内部の回路に貯まったコンデンサに残る電荷を急速に放電する回路です。ブリーダー制御は、製品によりオン/オフが可能な物もあります。

リモートセンシング線への対策

そこで対策です。直流電源のリモートセンシング線と電池の間にリレー接点を追加。充電終了と同時にリモートセンシング線を電池から切り離すことで、放電電流を無くすことができました。

いつもは充放電コントローラとして、当社のPFX2500シリーズを使うことが多く、そこでは負荷線とリモートセンシングの断続が連動するようになっています。つまり気を遣わなくともPFXが上手くやってくれていたわけです。しかし今回は充放電コントローラがお客様の内製品であったため(負荷線とリモセンの連動がない)、そこは別途手当するべきを見落としてしまったということでした。

充放電システムコントローラPFX2500シリーズは、直流電源、電子負荷装置と電池の接続に関して問題の無い接続、遮断ができるよう設計されています。あらためてよくできていると思いました。充放電システムコントローラPFX2500シリーズのことは十分理解していると思っていましたが、まだまだのようです、日々勉強です。

なお、私がこのPFX2500シリーズをご紹介したソリューションノート「バッテリテストソリューション」もあります。ご一読いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

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宮野

執筆者: 宮野

[主な製品開発実績] 充放電試験システム、特注試験システム

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