「ボーっと生きてんじゃねーよ!」の真意は?

コラム

竹林翁の特注奇譚(その2)

掲載日-2019年4月 ※記事は当時の掲載日をご確認ください。現在の製品情報や価格、技術についての最新情報ではない可能性があります。ご了承ください。

こんにちは。システム技術課の板垣です。某国営放送で「チコちゃんに叱られる!」という番組が人気を博しています。5歳(という設定)の女の子が、大人の解答者たちに、当たり前過ぎて逆に答えられないような疑問を投げ掛け、解答者が答えあぐねると、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と罵倒する演出(チコちゃんのCGが結構すごいですよね)が楽しい、薀蓄(うんちく)番組です。

生活や仕事で、当り前としていることが沢山ありますが、改めてその理由を考えてみると実はわかっていない事は確かに多い。しかしそこで、いちいち問い返していたら前に進めなくなるので、「理由は知らないがそういうものなんだ」とやり過ごすことは、ある種「大人の知恵」なのかもしれません。

しかしです。若い時はそれでもいいのですが(「経験が少ないんだから」で許してもらえるかも)、齢を重ねてくると結構キツイ。「いい歳してそんなことも知らないの」となるわけです。会社は仕事をする場所なので、極論すれば「仕事だけしてればいい」わけですが、本当に関心事が仕事オンリーだと、やがて人の様としてどこかしら薄っぺらい感じになる気がします。仕事は重要ですが、人生はそれだけで構成されるわけではありません。 別に「ウンチク爺さん」を目指せという趣旨ではなく、生活や仕事でふと沸く素朴な疑問(を調べる習慣)は後々活きるよ、ということです。

ということで今回は、特注製品のお話ではありませんが、わたしが不意に素朴な疑問を投げかけられ、ドキドキしてしまったお話です。素朴な疑問とはレベルが低いのではなく、(自分にない)視点の発見なんだな、と気づいた体験です。

竹林爺誕生

還暦を過ぎて地域で居場所を捜していました(近い将来、家でぶらぶら爺になったときに家族からの冷たい視線を浴びないため)。そして今、子供が通っていた小学校の裏山の竹林の伐採ボランティアで頑張っています(Y市の公園愛護会)。
竹林は小学校の敷地ではありませんが、学校の真裏という利便性から野外授業でのニーズがあり、私はそのお手伝いもさせてもらっています。 竹林爺誕生です。

その小学校では、4年生になると「地域の人とのつながり・地域への貢献」ということで、伐採のボランティアの体験をすることが総合の授業で組み込まれています。 行う内容は、タケノコ採り、竹の成長の観察・竹林内の探検、竹の伐採体験と進み、2分の1成人を記念しての竹細工工作でカリキュラム終了となります。

図1

(写真1)授業風景

爺さん窮す

竹林の探検の時間に質問コーナーがありました。皆な恥ずかしがってなかなか質問が出て来ません。すると、個別支援学級(発達障がい)の生徒から質問が出ました、「(1)竹の中は何で空洞なんですか?」、「(2)竹の節には、白い粉がついてますが、白い粉は何ですか?」。

せいぜい小学4年生の質問と高(たか)を括り、あまり勉強していなかった私は、その時うまく答えられませんでした。油断大敵です。しかし、特別支援学級の生徒が竹林に興味を持ってくれ、他の生徒に先駆けて質問してくれたことはとても嬉しかったです。

ちなみに質問の答えですが、(1)早く成長するために竹の各節にドーナツ状の成長帯を持っていて、そこが一気に成長するために中が空洞になります。普通の植物は、茎の先端の成長点(帯ではない)で大きくなるので構造が異なります(“点”と“帯”の差ですね)。

(2)白い粉はチロシンというアミノ酸で,硬い木の成分(リグニン)の材料になるものです。節の部分は、急激な成長を支えるためにこの材料が必要で、あらかじめ多く含まれているために節にだけ白く目立って見えるようです。この白い粉は、最初にしか付いていません。古くなるにつれて落ちてしまいます(写真2)。

図2

(写真2)古い竹と新しい竹

もしこの時、この質問がなかったら、私は未だその答えを知らないままだったかもしれません。「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」と言いますが、まさにそんな感じです。

日々があなたを作る

その後、実際の竹の伐採は、のこぎりの使い方(普通は引いたときに切れる)から説明し、自分たちが使う竹を切り出して学校まで運んでもらいました。 1組当たり4本。3組あるので計12本。1本10m位あるので大人でも難儀な仕事ですが、4年生ともなるとかなり体力がついてくるんですね。 無事運びきることができました。

竹細工のほうは、時間が足りなくて完ぺきとは行きませんが、おやじの会やPTAの有志の方たちと一緒に子ども達をフォローして「一輪挿し」、「貯金箱」、「ペン立て」、「ランプシェード」など、何とかやり遂げました。 こういったボランティアには、仕事とはまた違う達成感があり、「オフも大事だなぁ」と気付かされる経験です。それにしても子ども達の笑顔は最高です。

これはけして「ボランティアをしましょう」といった話ではなく、日々(の気づき)の積み重ねが自分を作っているという例を示しただけです。毎日の食事が体を作るように、小さな経験(知識)が5年後、10年後のあなたになります。なので、仕事はもちろんですが、ぜひ日々の生活や休日も「仕事以外の時間」として処理するのではなく、有意義に過ごしてほしいなと思うのです。

いま盛んに「働き方改革」が言われてます。しかしそれって「生き方改革」じゃないのかなと思います。「ボーっと生きてんじゃねーよ!」は「生き方を考え直そう」という意味なのかもしれませんね。

執筆者: 板垣

[主な製品開発実績]直流安定化電源PALシリーズ、PAK-Tシリーズ / 特注交流安定化電源システム/特注充放電電源システム / 特注電子負荷システム/特注バイポーラ電源装置など

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