耐電圧試験 とは電気製品や部品が取り扱う電圧に対して十分な絶縁耐力があるかどうか(絶縁破壊をしないかどうか)を確認するための試験です。
全ての電気製品は安全でなければなりません。ユーザーの生命を脅かすことや、財産に対して損傷を与えるようなことがあってはなりません。特に電気の知識のない人たちに扱われる家庭電気製品等の安全はたいへん重要で、感電、傷害、火災、爆発等の事故からユーザーを保護しなければなりません。
電気製品の安全に関する項目の中でも特に感電事故、火災事故の防止が重要です。電気製品は極めて多くの部品で構成されていますが、基本的には電気を導く部品(導体)と電気を妨げる部品(絶縁体)で構成されています。もし、この電気を妨げる必要のある絶縁物(体)に絶縁不良があると、人間がその電気製品に触れて感電する可能性があり、また絶縁不良部分が発熱すれば火災を引き起こす可能性もあります。
これらの事故を防止するための試験として、商用電源ラインに接続されているすべての一次回路と電気製品の人間の触れる可能性のある導電性部分(筐体、キャビネット等)との間の耐電圧試験、絶縁抵抗試験、漏洩電流試験、および三線式AC入力の場合のアース導通試験があります。
前述の主旨に基づき各国の安全規格は電気製品の製造者に対してこれらの試験の中で耐電圧試験を必ず含め、かつ他の1種類から3種類の試験と組み合わせて試験することを義務づけています。また、製品が安全に設計されているかどうかを確認する型式試験はもとより、安全に製造されているかを確認する最終工程での全数試験として義務づけている規格が多くあります。
このように耐電圧試験は電気製品の安全性を確保するための基本となる試験としての意味があります。
その実態は、耐電圧試験は絶縁耐力試験とも呼ばれるように、その目的は通常取り扱う電圧に対して充分な絶縁耐力があるかどうかを確認することにあります。
つまり、絶縁破壊があるもの、または絶縁破壊を起こす可能性のある不良品を見つけることです。その方法は、通常取り扱う電圧の10倍から20倍の交流電圧または直流電圧で規定された電圧を規定された時間印加したとき絶縁破壊(オームの法則に従わない急激な電流の増加)を起こさなければ、その絶縁物は十分な絶縁耐力を持つと判断されます。
耐電圧試験とは電気製品や部品が取り扱う電圧に対して十分な絶縁耐力があるかどうか(絶縁破壊をしないかどうか)を確認するための試験です。その結果、十分な絶縁耐力があれば製品は感電事故並びに火災事故を防止する上で必要条件を備えていることになります。