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電流センサ/モーター正転逆転 大電流の極性切換は困りもの

課題

電流センサの評価やモーターの正転逆転などでは直流の電圧や電流の正負極性を切り換えて評価を実施する必要があります。特に定電流特性を確認する場合、電流値が小さければそれほど大きな問題にはなりませんが、大電流での極性切換はそれほど容易に実施できません。たとえば、一般的な直流電源単体で評価を実施する場合、

  • 応答速度が足りず、バッテリーなどを使用した場合に発生する急峻は変化を再現できない
  • 極性を切り換える際には、出力を停止させ電荷が抜けた状態で極性を繋ぎなおす必要がある

などの理由から活電状態での試験が難しいだけでなく急峻な変化における精度の確保も難しくなります。

極性切換試験 〜活電状態を出来る限り維持する〜

活電状態の直流電力の極性を素早く反転させるには、いくつかの方法があります。
評価試験の仕様や予算などに合わせて、構成を考える必要があります。

直流電源+電磁接触器

電磁接触器を使用して、強制的に極性を反転。
瞬時の切換が可能。構成としてはシンプルだが、反転時に大きなアンダーシュートやオーバーシュートが発生し、精度が得られない。

直流電源+極性切換機+電子負荷

電子負荷で電流や電圧を制御しつつ極性を反転。
切換時に数十ms〜1s程度の時間を要する。切換時間は電流値に依存。
コストパフォーマンスに優れ、ある程度の精度も確保可能だが、若干システム構成が複雑になる。

バイポーラ電源

4象限動作のバイポーラ電源は、単体で極性切換を実現可能。
正負の極性切換をシームレスかつ高精度に実行可能。理想的な試験装置ではあるが、大電流になると非常に高価かつ大型の設備が必要。

極性反転試験時に精度を確保する方法とは?

試験実施の方法とポイント

今回は「直流電源+極性切換機+電子負荷」を組み合わせた「極性切換試験システム」を例に極性反転試験時に精度を確保する方法を解説します。

極性切換試験は、試験対象によって評価項目や測定内容などが変わりますが、電気的な動作として実施していることにそれほど大きな差はありません。

極性切換試験の高速応答化と精度の確保

極性切換試験時に電気的な動作の例をいくつかご紹介します。
また、それぞれの項目で、どのように高速応答と精度の確保を実現するかを解説します。

1. 定格電圧で無負荷からフル負荷まで電流を急速に立ち上げる

電気機器を試験する際、最も厳しい条件を確認することは非常に重要です。
特に車載機器は、実際の動作環境でもほぼスリープ状態からフル負荷まで急激な動作を求められる場合も多くあります。

実現のポイント
無負荷からフル負荷へ電流を立ち上げる際には、立ち上がり速度に応じたオーバーシュートが発生します。このオーバーシュートは、機器の応答や制御などを評価する際の障害となります。 電子負荷を使用し、立ち上がり速度の高速化を実施するとともにオーバーシュートを抑制します。

2. 電流値を任意のパターンで変動させる

電流を変動させる理由
試験対象が実際に使用される環境は、常にフル稼働では無く、様々な変化が想定されます。安全性や性能を確認するためには、変化を再現して振る舞いを確認する必要があります。

実現のポイント
電流値を変動させる際に、直流電源では電流を高速に変化させることができません。電子負荷のCCモードで電流の変化をコントロールすることで急峻な変化を高精度に実現します。

電流値を任意のパターンで変動

3. 電圧を印加したまま、極性を反転させる

活電状態を維持したまま安全に極性を反転させるには?
電流値を限りなく0Aに近づけた状態で極性を切り換える必要があります。
この試験は可能なかぎり高速かつシームレスに反転を実現するのが理想です。

実現のポイント
電子負荷のCCモードと接点信号と電流検出を組合せ、高速に電流を立ち下げるとともに0A付近を検知と連動して極性切換機を動作させます。これにより、安全かつ高速な極性切換が可能となります。
実例として電流センサの評価、モーターの正負逆転、電磁石の磁界制御をご紹介します。

概略ブロック図

概略ブロック図


磁気コアを通過する測定導体に流れる電流の方向を切換可能

アプリケーション1電流センサ評価
車載インバータや内部充電器に搭載されている電流センサは高速応答を要求されるため、その評価をするためには電流を高速に変化させ、更に極性を切換えて、各種パターンでの試験が必要。磁気コアを通過する測定導体に流れる電流の方向を切換可能。

モータの正転逆転

アプリケーション2モータの正転逆転
印加電圧の極性(正極/負極)を切換えることで、モータの正転逆転が可能。

電磁石の磁界制御

アプリケーション3電磁石の磁界制御
エネルギー加速器ビームのハンドリング制御可能。ビームの軌道を収束磁石の中心を通るように磁界の強さをコイルに流れる電流でコントロール。

このように、機器の動作を組み合わせることで、高速な立上り/立下り、測定に適切な電流精度、そしてシームレスに近い極性切換を実現することが可能です。

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