失われた20年(そんなものは無いという説もあるが)のあと 東日本大震災・原発事故を経て、日本はどうなっているのか。 明け透けに言ってしまえば、希望が見えないまま 下がる事も進む事もできない、膠着(こうちゃく)した印象が未 […]

コーヒーブレイク コラム

最後の藁(わら)にならないために 〜不健康の放置は未来に対する「自爆テロ」〜

掲載日-2015年9月 ※記事は当時の掲載日をご確認ください。現在の製品情報や価格、技術についての最新情報ではない可能性があります。ご了承ください。

失われた20年(そんなものは無いという説もあるが)のあと
東日本大震災・原発事故を経て、日本はどうなっているのか。
明け透けに言ってしまえば、希望が見えないまま
下がる事も進む事もできない、膠着(こうちゃく)した印象が未だ拭えない。
失われた20年が実はまだ続いているのだろうか。

決定で湧いた2020年の東京五輪も、競技場やロゴ問題が
先行きを暗示しているようでいまひとつパッとしない。
大きな地震がまた起きるかもしれない、
安保法成立で国内テロの危険性が高まるのでは、など・・・

過去に「カラーバス効果」(日本人雑考・2011年7月記)という用語を紹介した。
不安な気持ちが暗いニュースばかりを読ませるのかもしれないが
暗さの質が以前よりもマクロからミクロレベルに落ちてきている。
4年前は、個人では如何ともし難い「社会全体(システム)に対する不安」だったのだが
最近は、より身近な「個人レベルの不安」が大きくなっていると思う。

最近一番衝撃を受けたのは「下流老人」という言葉だ。
先日も走行中の新幹線で焼身自殺をした高齢者がいた。
動機には、仕事を失い、低い年金支給額への不満があったらしい。
日本は生きる事も穏やかに死ぬ事もできない国になってしまったのか。

『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』 (藤田孝典著/朝日新書)によると
それは一部の不幸・不運、怠惰な人がなる「特殊事例」ではなく
このままでは「一億総老後崩壊」になる可能性が高いという。
1970年代「国民総中流」の国が40年後、
「総下流」になると誰が想像しただろう。

少し前から格差社会、若者の下流志向など、
社会構造が「荷崩れ」を始めていることが言われてきた。
崩れが一部のうちは、例外事例として扱っていてもよかったが
それが多くなってくると、安定した場所も影響を避けられない。
最後は「総崩れ」に・・・。

この手の話には、必ず「自己責任論」がついてくる。
「自業自得だよね」で済ませてしまえれば話は簡単だ。
こういった社会と個人の関係で想起するのは
風邪やインフルエンザのような流行性感冒だ。
流感の予防法はあるが、絶対ではない。
普通に社会生活をしているのであれば、
健康管理をしていても感染源との意図しない接触や、
自分の免疫力の増減のタイミングで発病してしまうことがある。

罹患者が少ないうちは個人的事象で済ませられるが
それがパンデミック(感染爆発・大流行)となってしまうと一気に問題化する。
罹患での欠員が多くなりすぎると、やがて
社会システムの円滑な運営が損なわれるようになる。
非罹患者も無縁ではいられなくなる。
社会と個人は不可分であることを、つい忘れてしまうが
老後問題も同じだ。

ただ、流感と老後問題は、時間のスパンが全く違う。
流感は拡大まで数ヶ月だが、
老後問題が自分事になるまでには数十年かかる。
人によって切迫の濃淡が異なるので、「重要な共通課題」になりにくい。
全ての人に確実に降り掛かる問題なのだが、
今日まで抜本的な解決施策がなされてこなかったのはそのためだろう。

取り組むべきは「緊急ではないが重要性の高い課題」である。
20年前に書かれた「7つの習慣」の「第三の習慣:重要事項を優先する」の
一節にある時間管理の考え方で、
課題を緊急度と重要度のマトリクスに当てはめて判断するというもの。
管理職研修の定番教材になっているので、知っている方も多いだろう。
重要で緊急な課題は誰が見ても「第一優先」事項で
やるのは当然なのだが、それで事足れり、
仕事をやった気になっているといずれ大きなツケ払いがきますよ、と。
講師から半分脅しのように言われた記憶がある。

どうやらこの国では「大きなツケ払い」の取り立てが
始まってしまったらしい。

国があてにならないから、自分の身は自分で守りましょう。
不安対処の常套句として、こういう言説を垂れる者がいる。
しかし、それは常に「限定的」だということは知っておくべきだ。
自分だけ救命胴衣を着けたところで
巨大な船が沈没する際の渦から逃れることはできないのだ。

ではどうするか。

市井人に妙案はないのだが、
いずれ老人になる個人としてできることは、
「そこそこ健康であること」だと思っている。
それは医療費抑制という側面だけでなく、
健康であれば、他人の補助を受ける必要が少なく済む。

例えが適切でないが、戦争で敵の戦力を削ぐ、
最も有効で、安価な武器は、死なない程度の殺傷力を持つ対人地雷だと聞いた。
兵士が、戦傷した味方を助けるために戦うことができなくなる。
つまり一発の銃弾は一人の命を奪うが、地雷は二人以上の戦力を奪える。

あなたが倒れると、あなた自身だけでなく
そのフォローをする周囲の人の労力を奪うのだ。

英語のことわざに
It is the last straw that breaks the camel’s back.
(最後の藁一本が駱駝(ラクダ)の背を折る)
というのがある。
変化は、徐々に始まって、ある時点で一気に崩壊する。

自分が最後の藁にならないよう、
健康のために今から出来る事を、少しずつでも始めてほしいと思う。

健康は、もはや個人のレベルを超えて
国の存亡を左右する問題につながっている。
不健康な状態を放置することは、大袈裟に言えば
未来に対する「自爆テロ」に等しい行為なのですよ・・・

秋は、多くの職場で定期健診が実施される。
そんなものは無意味だという見方もあるようだが
年に一回、自分の状態を客観視するのはいいことだと思う。
12月には改正労働安全衛生法により「ストレスチェック制度」も始まる。

そこのあなた、忙しさにかまけて、逃げないように。
あなたの体は、あなただけのものではないのですよ。
(と、嫁に怒られました昔・・・)

執筆者: 藤川

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