KIKUSUI mag 電波暗室・シールドルーム

スマートセレクタ

時間と労力を要する結線作業を皆無に。 電源室から複数の試験室に供給する電源の出力先や配電方式(単相/単相3線/三相)をワンタッチで切り換え。
投稿日-2021年8月

 

時間と労力を要する結線作業を皆無に。
電源室から複数の試験室に供給する電源の出力先や配電方式(単相/単相3線/三相)をワンタッチで切り換え。

測定サイトの電源事情 1

AC電源機器のEMC測定では供給電源にも細かな規定があります

<後藤>複数の電波暗室やシールドルームを保有するEMCテストサイトや試験所では、被試験機器に対して信頼性の高い電源供給が求められるため、系統(商用電源)からの電力を交流安定化電源でピュアな電力に変換して機器に供給しています。一方、試験対象となる機器は多様化しており消費電力が大きい大型機器への対応も必須となっていまして、近年では50kVAクラスの大容量電源を備える例が多く見られるようになりました。ちなみに多くの場合、電源は電波暗室の中ではなく地下などの外部に電源室を設けて設置され、そこから各暗室に配電・供給されます。

ところで、各暗室に供給する電源は、被試験体に供給するためのものですから、相形式(配電方式)や電力など必要な電源仕様は試験対象毎に異なることになります。暗室毎に要求電圧や相数が異なる場合もあれば、ひとつの部屋に複数の系統を引き込むこともあります。同じ部屋の系統でも、試験の度に電圧や相形式を変えなければならないこともあるんです。

smartselector 2 1

<松田>サイトとしては利用するお客様の要求に合わせて供給電源を準備しなければなりませんから、安定化電源も部屋(系統)の数だけ想定される使用の数だけ用意したいところですが、全ての仕様を満たす数の電源を用意するのは現実的ではありません。

その一方で、サイト全体から見ると各部屋の電源を一斉に稼働させなければならないというチャンスはまれであるという事実があります。つまり、ある時点における電源の供給先は一箇所であることが多いんです。そこで、多くのサイトでは電源室には要求最大容量を満たす安定化電源を1システム設けて、各部屋(各系統)に切り替えて供給することで設備の利用効率を高めるようにしている例が多くなっています。

測定サイトの電源事情 2

電源の出力を切り替えて使うは良いアイデアですが他に何か問題があるのですか

<後藤>確かにひとつの電源で出力先を切り替えて使うのは良いアイデアです。ですが、実際には暗室が利用される度に相形式などの電源仕様も変わるわけですから、その都度大口径の硬くて重い電力ケーブルの引き回しを変更し、端子をつなぎ換えなければなりません。つなぎ換えた後の確認作業も必要です。これは時間的にも労力的にも大変なことでして、サイト様では大きな負担となっています。
なんとかして短時間でサクっと切り換えできないものか、実はお客様との会話の中でそんなお話しを伺ったのが、このシステムを思い立ったキッカケなんです。

作業効率のトータルな向上を目指す

電源側の設定変更も自動化するなどの工夫も盛り込まれています

<後藤>ご紹介システムは、当社の標準品でサイトへの納入実績も多い大容量交流安定化電源PCR-LEシリーズと、専用の切り換え機であるスマートセレクタ、それにそれらを制御するソフトウェアを組み合わせることで、電源室から複数の試験室に供給する電源の出力先や配電方式(単相/単相3線/三相)をソフトウェアからワンタッチで切り換え可能にしたものです。このシステムにすれば、もはや面倒な切り換え作業は要りません。

スマートパラタイプ使用時のシステム構成図

<松田>実は、私たちは、お客様のお話を伺ううちに結線を切り替えるだけでは十分ではないと思ったんです。というのは、私どもが供給する電源側にも作業効率改善の余地があったからです。PCR-LEを初めとする安定化電源は様々な用途でお使い頂けるよう考慮されており、複数台の電源を単相、単3、三相など様々に組み換えて使えます。ではあるのですが、用途はそれぞれのユーザ様毎に固定されているという考えに立っているため、EMCサイト様のように出力形式を頻繁に切り替えるところまでは想定されていない。

例えば三相で使うには三相ボード、単相には並列運転ボードなど専用のボードがそれぞれ必要で、変更する場合にはボードの差し替えと各電源本体の設定が必要です。EMC測定サイト様では、結線の変更の他にこの作業がその都度必要になるわけでして、出力結線切り換えの自動化だけではサイト様の作業効率を改善する具体的には電源側セットアップのめんどうを解消するソリューションとしては不十分だと判断しました。

専用アプリケーションソフト設定画面(イメージ)

<後藤>システムとしてまとめるにあたっては、機能や操作性だけでなく安全面等にも気を配りました。例えば、離れた場所からの電源切り換えになりますので、切り換え時は必ず出力オフとしたり動作時は、他の出力先からの出力制御要求を受け付けないようにしたり、といった具合です。

なお、まずは3系統の切り換えで相当たり5台までのシステムでご提案していますが、この辺りは柔軟に対応できます。出力端に置く出力端子BOXも用意したほか、複数のPCR-LEを既にお持ちのお客様にもそれらを使って切り換えシステムにグレードアップできるかたちでご提案しています。

菊水電子工業株式会社

執筆者: 菊水電子工業株式会社

計測と電源のエキスパート・カンパニー 菊水電子工業のスタッフによる執筆です。

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