
薄型ワイドレンジ可変スイッチング電源PWXシリーズ
N対Mのネットワーク型遠隔制御・監視に対応する、新世代ラックマウント電源
PWXシリーズは、ラックマウント電源として最適化設計がなされたCVCC可変型スイッチング直流安定化電源です。デザインは実装効率を高めるため、19インチラック幅の薄型形状とし、内部冷却の吸排気も前後面のみとすることで、上下を密着した実装が可能となっています。さらに同シリーズは、システムアップに不可欠な通信インターフェース群、LAN、USB、RS232Cを標準装備。VMCB(仮想マルチチャンネルバス)機能※を併用することで、1対Nはもちろん、N対Mかつ大規模なネットワーク型の遠隔制御・監視を効率よく行うことができます。LAN通信ではパソコン、スマートフォン、タブレット等のWEBブラウザからの制御・監視が可能です。またLXI(LAN eXtensions for Instrumentation)認証を受けていますので、計測システムにLANを使って接続する際の設定が容易に行えます。別建屋にある電源の遠隔管理なども手軽に実現することができます。出力仕様としては、出力電力750Wと1500Wの2タイプがあり、動作領域は広い電圧・電流設定の組み合わせが可能な「3倍比」の電力型。例えば定格出力電力1500WタイプのPWX1500MLでは、80V-18.75Aから26.8V-56Aまでシームレスな動作が可能です。また入力電源電圧も85V〜265Vのユニバーサル仕様とし、高調波電流抑制のためのPFC(力率改善回路)も内蔵。その他、アナログ外部制御・モニタ出力、マスタスレーブ並列運転機能、各種保護機能、メモリ機能等を装備しています。※ハーフラックモデルVer2.0から対応
特長
LAN標準装備 × VMCB機能でネットワーク型遠隔制御・監視をサポート
PWXシリーズは、通信インターフェースとしてLAN、USB、RS-232Cを標準で装備しています。また、複数のPWXシリーズを仮想グループ化して管理できる「VMCB(仮想マルチチャンネルバス)」機能※1を併用することで、1 対 N はもちろんのこと、N 対 M かつ大規模なネットワーク型の遠隔制御・監視を効率よく行うことができます。特にLANは LXI(LAN eXtensions for Instrumentation)対応ですので、パソコン、スマートフォン、タブレット等のWEBブラウザからPWXシリーズに組込まれているWEBサーバにアクセスして、電源を制御・監視することができます。さらに、別売のシーケンス作成・制御ソフトウェア SD013-PWX(Wavy for PWX)では、VMCB接続されたPWXシリーズをチャンネル指定で(個別に)設定することはもちろん、グローバルコマンドを利用した一括制御も可能※2。複数台を一斉に出力ON/OFFしたり、出力電圧・電流値を操作するといったことができます。
※1:PWX750MLはファームウェアVer.2.0以上にて対応予定。※2:SD013-PWX(Wavy for PWX)の「直接制御」でのみ有効です。なおグローバルコマンドは、VXI-11/HiSLIP/SCPI-RAWの制御でも利用可能です。
通信監視機能を追加
通信を監視する機能を備えています。
例えば、LANケーブルが抜けてしまって通信が確立しない場合など、設定した時間内に通信がないとアラーム(アラームランプ点灯)、となり出力をオフします。無制御状態での動作を防止し、システムの信頼性を向上します。
※ファームウェアVer.2.2×以上にて対応可能
LAN接続でのセキュリティについて
組み込まれているWEBサーバについては、パスワードによるアクセス制限をかけることができます。またVXI-11/HiSLIP/SCPI-RAWでの制御については、IPアドレスによるホスト制限を設定可能。ホスト登録した端末(最大4台まで登録可能)以外からのアクセスを防止することができます。
LANインターフェース
高速かつ多くの機器を制御出来ることが特徴で、理論上の制御可能最大数は約42億(最大通信速度は接続台数により変化します)。また、その規格から制御する側(コントローラ)と制御される側の混在も可能となる為、様々な用途に対応出来ます。また、Apple Bonjourが導入されたコンピュータシステムでは、IPアドレスの代わりにホスト名でアクセスすることもできます。
●AUTO MDIX機能搭載:PWXシリーズは接続されるLANケーブルがストレートかクロスかを自動判別して、適切な方法で接続することができます。
USBインターフェース
プラグアンドプレーによる自動認識は、デジタル制御時の複雑な設定操作からユーザを解放し、1:1での制御に適しています。規格上の最大台接続機器台数は127です。また、PWXシリーズは、 USB2.0に準拠しており、最大12Mbps(Full Speed)の通信速度を実現しています。
動作領域は3倍比の電力型、試験用電源としての機能も充実しています
3倍比の電力型動作
動作領域は広い電圧・電流設定の組み合わせが可能な「3倍比」の電力型。例えば定格出力電力1500WタイプのPWX1500MLでは、80V-18.75Aから26.8V-56Aまでシームレスな動作が可能です。
モデルタイプ | 定格電圧範囲 | 定格出力電圧例 | 750W | 1500W | ||
L(LF) | 10V~30V | 10V | 75A〜25A | 75A | 150A〜50A | 150A |
12.5V | 60A | 120A | ||||
15V | 50A | 100A | ||||
20V | 37.5A | 75A | ||||
30V | 25A | 50A | ||||
ML(MLF) | 26.8V~80V | 26.8V | 28A〜9.37A | 28A | 56A〜18.75A | 56A |
30V | 25A | 50A | ||||
35V | 21.4A | 42.8A | ||||
40V | 18.75A | 37.5A | ||||
45V | 16.66A | 33.33A | ||||
60V | 12.5A | 25A | ||||
80V | 9.375A | 18.75A | ||||
MH(MHF) | 75V~230V | 75V | 10A〜3.26A | 10A | 20A〜6.52A | 20A |
80V | 9.375A | 18.75A | ||||
100V | 7.5A | 15A | ||||
150V | 5A | 10A | ||||
200V | 3.75A | 7.5A | ||||
230V | 3.26A | 6.52A | ||||
H(HF) | 214.2V~650V | 214.2V | 3.5A〜1.153A | 3.5A | 7A〜2.307A | 7A |
300V | 2.5A | 5A | ||||
400V | 1.875A | 3.75A | ||||
500V | 1.5A | 3A | ||||
600V | 1.25A | 2.5A | ||||
650V | 1.153A | 2.307A | ||||
エミュレーション設定
コマンド言語設定機能
国内外各社のエミュレーション設定が可能
リモートコントロール時に使用するコマンド言語とエミュレーションを設定できます。エミュレーションを選択すると、他社製品になり代わってデジタルリモートコントロールが可能です。更にRS-232Cインターフェースでは、コマンド言語設定をLGCy(レガシー)言語とすることで、他製品や当社PAG製品独自のコマンドにも対応します。
エミュレーション設定 | *IDN?コマンドでの返信内容例 |
nonE | KIKUSUI,PWX750ML,UC00003,VER01.00 BLD0134 |
5700 | Agilent Technologies,N5748A, UC00003,A.01.00 |
Gen | LAMBDA,GENH80-28-USB,S/N:UC00003, REV:1U:1.00-AP0134 |
dcs | SORENSEN.DCS300-4,UC00003, 1.00,1.00 |
PAG | KIKUSUI,PAGH80-28-USB,S/N:UC00003, REV:1U:1.00-AP0134 |
ブリーダON/OFF機能
PWXシリーズには出力端にコンデンサが接続されており、OUTPUT OFF時にその電荷を放電させるためのブリーダ回路が搭載されています。例えば、出力端子にバッテリ等が接続された場合、OUTPUT OFFであってもブリーダ回路がON状態では、ブリーダ回路によりバッテリや電池等の電荷を放電してしまいます。この場合、ブリーダ回路をオフに設定することで、過大な放電を防止することができます。バッテリや電池等の充電に必要な逆電流防止用のダイオードを省略することが可能になります。
出力オン時の立ち上がり状態設定
出力をオンにしたときに優先される動作モード(CC(定電流)優先/CV(定電圧)優先)が設定できます。出力オン時のオーバーシュートを防止します。
プリセットメモリー機能
電圧、電流、OVP、OCPおよびUVL の各設定値の組み合わせを3つ保存できるプリセットメモリーがあります。保存された設定値は、必要なときにプリセットメモリーから呼び出すことができます。
内部抵抗可変機能(工場オプション、PWX750MLは除く)
定電圧動作状態で、出力電流値に応じて出力電圧値を、設定した抵抗値に基づき低下させる機能です。二次電池、太陽電池、燃料電池などの内部抵抗を簡易的に模擬することが出来ます。また抵抗値は、本体のコンフィグ設定と通信インターフェース(LAN/USB/RS232C)より設定することが出来ます。
容量拡張(直列運転)
2台まで直列に接続できます。2台の出力電圧を合計した電圧が負荷に供給されます。電圧の設定確度は単体の確度です。※ワンコントロール運転はできません。 ※650V系モデルは直列運転できません。
ワンコントロール並列運転
ワンコントロール並列運転とは、1台をマスタ機(主機)、ほかの同一モデルをスレーブ機(従機)として接続します。接続したシステム全体をマスタ機の操作でコントロールする機能です。ワンコントロール並列運転で出力電流を拡大(最大出力電流:単体の定格出力電流×並列台数)できます。最大並列台数はマスタ機を含め4台。マスタ機とスレーブ機間の出力電圧、および出力電流の差は、定格の約5%以内です。
絶縁アナログインターフェース(工場オプション)
ご注文時にご指定頂くことで、絶縁アナログインターフェースを内蔵できます。出力電圧・電流のコントロール、外部接点による出力 のオン/オフ/シャットダウン、出力電圧・電流モニタリングが、絶縁された信号で可能です。本オプションは、電圧制御型(0V〜5Vまたは0V〜10V)と電流制御型(4mA〜20mA)を選択できます。
アナログインターフェース
PWXシリーズは、外部電圧・抵抗制御といった、試験用電源装置のアナログ外部制御・監視用途に必要とされるインターフェースを装備しています。外部信号入力およびステータ信号出力は、後面パネルのJ1コネクタを使用しておこなうことができます。
ピン番号 | 信号名 | 説明 |
1 | STATUS COM | 2 番ピン、3 番ピン、14 番ピンから 16 番ピンのコモン |
2 | CV STATUS | CV 動作時にオン(フォトカプラによるオープンコレクタ出力)*1 |
3 | CC STATUS | CC 動作時にオン(フォトカプラによるオープンコレクタ出力)*1 |
4 | N.C. | 未接続 |
5 | ALM CLR | アラームクリア端子 TTL レベル信号の L を入力するとアラームクリア |
6 | SHUT DOWN | 出力のシャットダウンコントロール端子、TTL レベル信号の L を入力すると出力オフ |
7 | PRL IN- | ワンコントロール並列運転時の-(負)極入力端子 |
8 | PRL IN+ | ワンコントロール並列運転時の+(正)極入力端子 |
9 | PRL COMP IN | ワンコントロール並列運転時の補正信号入力端子 |
10 | A COM | 5 番から 9 番ピン、11 番から 13 番ピン、20 番から 22 番ピン、24 番ピン、25 番ピンの外部信号のコモン リモートセンシング使用時はセンシング入力の負極(-S)に、リモートセンシング未使用時は-(負)出力に接続 |
11 | PRL OUT+ | ワンコントロール並列運転時の+(正)極出力端子 |
12 | PRL COMP OUT | ワンコントロール並列運転時の補正信号出力端子 |
13 | I SUM | ワンコントロール並列運転時の電流信号端子 |
14 | ALM STATUS | 保護機能(OVP、OCP、OHP、FAN、SEN、AC_FAIL)作動時、または出力シャットダウン信号入力時にオン(フォトカプラによるオープンコレクタ出力)*1 |
15 | PWR ON STATUS | 電源オンで LOW レベル信号(CF11: 0)、または電源オフで LOW レベル信号(CF11: 1)を出力 (フォトカプラによるオープンコレクタ出力)*1 |
16 | OUT ON STATUS | 出力オン時にオン (フォトカプラによるオープンコレクタ出力)*1 |
17 | N.C. | 未接続 |
18 | OUT ON/OFF CONT | OUTPUT のオン/オフ端子 TTL レベル信号の L(または H)を入力するとオン(またはオフ) |
19 | A COM | 5 番から 9 番ピン、11 番から 13 番ピン、20 番から 22 番ピン、24 番ピン、25 番ピンの外部信号のコモン リモートセンシング使用時はセンシング入力の負極(-S)に、リモートセンシング未使用時は-(負)出力に接続 |
20 | REF OUT | 外部抵抗コントロール用端子 5.25 V (CF07: Lo) / 10.5 V (CF07: Hi) |
21 | I PGM | 外部電圧、または外部抵抗による出力電流のコントロール端子 0 V 〜 5 V で定格出力電流の 0 % 〜 100 %(CF07: Lo) 0 V 〜 10 V で定格出力電流の 0 % 〜 100 %(CF07: Hi) |
22 | V PGM | 外部電圧、または外部抵抗による出力電圧のコントロール端子 0 V 〜 5 V で定格出力電圧の 0 % 〜 100 %(CF07: Lo) 0 V 〜 10 V で定格出力電圧の 0 % 〜 100 %(CF07: Hi) |
23 | A COM | 5 番から 9 番ピン、11 番から 13 番ピン、20 番から 22 番ピン、24 番ピン、25 番ピンの外部信号のコモン リモートセンシング使用時はセンシング入力の負極(-S)に、リモートセンシング未使用時は-(負)出力に接続 |
24 | I MON | 出力電流モニタ 定格出力電流の 0 % 〜 100 % を 0 V 〜 5 V(CF08: Lo)、または 0 V 〜 10 V(CF08: Hi)で出力 |
25 | V MON | 出力電圧モニタ 定格出力電圧の 0 % 〜 100 % を 0 V 〜 5 V(CF08: Lo)、または 0 V 〜 10 V(CF08: Hi)で出力 |
*1. オープンコレクタ出力:最大電圧30V、最大電流8mA。ステータスコモンはフローティング(対接地電圧60V以内)、制御回路からは絶縁されています。 |
出力電圧、出力電流のコントロール
動作モードのモニタリング
出力電圧および出力電流の外部モニタリング
環境・新エネルギー分野ソリューション
内部抵抗可変機能※工場出荷オプション
内部抵抗可変機能とは
定電圧動作状態で、出力電流値に応じて出力電圧値を、設定した抵抗値に基づき低下させる機能です。二次電池、太陽電池、燃料電池などの内部抵抗を簡易的に模擬することが出来ます。また抵抗値は、本体のコンフィグ設定と通信インターフェース(LAN/USB/RS232C)より設定することが出来ます。
PWX750LF | PWX750MLF | PWX750MHF | PWX750HF | PWX1500L | PWX1500ML | PWX1500MH | PWX1500H | |
Rint (min) [Ω] | 0.0001*1 | 0.001 | 0.01 | 0.1 | 0.0001 | 0.001 | 0.01 | 0.1 |
Rint (max) [Ω] | 0.4000*1 | 2.857 | 23.00 | 185.7 | 0.2000*1 | 1.429 | 11.50 | 92.9 |
分解能 [Ω] | 0.0001*1 | 0.001 | 0.01 | 0.1 | 0.0001*1 | 0.001 | 0.01 | 0.1 |
*1 前面パネルから設定する場合には、最初受けたはパネルには表示しません。表示しているよりも細かい分解能で変化して、1つ上の桁に四捨五入して表示します。 |
並列運転時に前面パネルから設定可能な最大内部抵抗値は、単独運転時のRint(max)を並列運転台数で割った値です。分解能は、単独運転時の分解能を並列運転台数で割った値です。
PWX750LF | PWX750MLF | PWX750MHF | PWX750HF | PWX1500L | PWX1500ML | PWX1500MH | PWX1500H | |
設定可能最大内部抵抗値 Rint(max)[Ω] | 0.400 | 2.857 | 23.00 | 185.7 | 0.200 | 1.429 | 11.50 | 92.9 |
仕様
可変範囲 | 入力電流 | 定格電力 | 寸法 | 質量 | ||
形名 | V | A | AC(100/200V)A | W | タイプ | (約)kg |
PWX750ML | 0〜80 | 0〜28 | 10.5/5.25 | 750 | ハーフラック | 5 |
PWX750LF※ | 0〜30 | 0〜75 | フルラック | 8 | ||
PWX750MLF※ | 0〜80 | 0〜28 | ||||
PWX750MHF※ | 0〜230 | 0〜10 | 7.5 | |||
PWX750HF※ | 0〜650 | 0〜3.5 | ||||
PWX1500L※ | 0〜30 | 0〜150 | 21/10.5 | 1500 | 9.5 | |
PWX1500ML※ | 0〜80 | 0〜56 | ||||
PWX1500MH※ | 0〜230 | 0〜20 | 9 | |||
PWX1500H※ | 0〜650 | 0〜7 | ||||
※はCE/UKCAマーキング適合モデル |
仕様の詳細は製品別ページにてご確認ください。
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