パワー半導体テストソリューション
パワー半導体(SiC・GaN)の評価ニーズ多様化と菊水電子工業の統合ソリューション
近年、省エネ需要の高まり、EVや再生可能エネルギーの普及、そしてAI・データセンター領域における急速な大電力化により、パワー半導体の評価ニーズはかつてないほど多様化・高度化しています。
特に、SiC(シリコンカーバイド)やGaN(窒化ガリウム)などの次世代材料を用いたパワーモジュールでは、
- 高電圧・大電流・高速スイッチング
- 高温/低温での信頼性評価
といった、複雑で高精度な試験要求が標準になりつつあります。
しかし、現場では…
- 「一つひとつの試験に準備が必要で、開発スピードが落ちている」
- 「マルチデバイスの大電流化が進み、従来の多チャンネル電源では電流が不足して困っている」
そんな声が多く聞かれます。
菊水電子工業では、このような現場課題に対して「電源・電子負荷・試験器の統合ソリューション」をご提案しています。まずは、代表的な試験項目別に、どのようなアプローチで解決できるのかをご紹介いたします。
一括・個別制御を実現するVMCB
複数チャンネルの電源を使った評価、
毎回制御が面倒で設定ミスも起きていませんか?
従来の評価では、装置ごとに制御が分かれ、同期制御やログ取得が難しくなりがちです。
再評価や他装置への引継ぎ時も、「誰が何をどう測定したのか」がブラックボックスに…
VMCB(Virtual Multi Channel Bus・仮想マルチチャンネルバス)とは、複数台の直流電源をネットワーク(LAN)でつなぎ、パソコンから一括して簡単に操作・管理できる仕組みです。複数の直流電源を仮想グループ化して管理することで、1対Nはもちろんのこと、N対Mかつ大規模なネットワーク型の遠隔制御・監視を効率よく行うことが出来ます。
また、SCPIコマンドを使用することで、当社直流電源と併せてSCPIコマンドに対応した他の計測器も連携して制御が出来るため、評価システムの構築が容易です。
複数系統の同時駆動・個別制御ができる”VMCB”を活用した具体例
VMCBのメリット
- 数ms~数十ms単位で出力のON/OFF順序やタイミングのズレを設定できます。
- 自動ログ取得でON/OFF履歴や動作ログの記録が可能。トラブル発生時の検証に役立ちます。
- 計測器ドライバや専用ソフトが無しで動かすことが出来るため、PCや設備変更時も即時運用が可能です。
さらに精密なタイミング制御を行いたい場合の具体例
アナログJ1端子から外部電圧による出力電圧コントロール(外部電圧0Vー2.5Vで制御)
![]()
▲マスター機とスレーブ機での時間ズレがほとんど無く電圧可変が可能
CC優先モード搭載
信頼性試験や定電流試験で
電源の“電流オーバーシュート”にヒヤッとしたことはありませんか?
PWR-01シリーズやPWXシリーズは、パワーサイクル試験など半導体のエージング試験時に便利なCC優先モードを搭載しています。 CC優先モードを活用すると定電流起動時(OUTPUT ON時)の出力電流のオーバーシュートを抑制できます。
PWXシリーズにおける優先設定の違いによる出力電流波形の違い
【測定条件】出力電圧10V、出力電流10A設定、出力短絡時
【モデル名】PWR1201L
次世代半導体の耐電圧試験用途
ゲートドライバや絶縁部の評価
規格がどんどん厳しくなっていませんか?
「耐電圧試験・絶縁抵抗・部分放電をバラバラの装置で行っている」
「規格改訂に追いつけず、試験項目が増え続けている」
そんな試験部門の負担が深刻化しています。
SiCやGaNといったワイドバンドギャップ半導体の登場により、絶縁性能や耐電圧は大きく向上しました。特にSiC材料やSiCを使用した半導体デバイス、またそれに使用するアイソレーター等のデバイス評価には6.5kV以上の高電圧な耐電圧試験が要求されます。
菊水電子工業の耐電圧・絶縁抵抗試験器TOS9311であれば、10kVの高電圧出力に対応したAC/DC耐電圧試験・絶縁抵抗試験が可能なうえ、ライズタイム機能により出力電圧を徐々に上昇させたり、トレンドグラフ表示により出力電圧や漏れ電流値の測定などが可能なため、SiC半導体デバイスや高電圧インバータ・コンバータの安全関連試験に最適です。
半導体製造装置に求められるSEMI F47-0706規格の電圧サグイミュニティ
製造装置や補器類が
電圧瞬停で“突然止まる”現象に困っていませんか?
装置は止まらなくても、サブシステムや電圧リレーが誤動作…
“止まってから原因究明”では、もう間に合いません。
半導体製造工程は、とても複雑で細分化されており、エッチング装置や熱処理装置、イオン注入装置など様々な製造装置が用いられています。
そのため、半導体製造装置に入力される入力電源に電圧降下が発生した場合の装置の対応力を確認する指標として、半導体製造装置に要求される電源変動試験(電圧サグイミュニティ)がSEMI F47-0706で定められています。
この規格は共通規格とは異なる工業会による独自規格ですが、近年は半導体メーカーへ装置を納入する際の必須要求となりつつあります。
菊水電子工業の交流安定化電源PCR-WEA/WEA2シリーズは電圧や周波数が任意に可変でき、電圧降下や瞬停など電源ラインの異常シミュレーションが可能なため、「SEMI F47-0706」の試験を行うのに最適です。
半導体製造装置は、世界各国での稼働が想定されるため、様々な環境下での入力電圧の変動に対する耐性を評価することが重要です。
試験対象:半導体製造装置全般
例)エッチング装置、成膜装置(CVD&PVD)、熱処理装置、表面洗浄装置、イオン注入装置など





PWR-01シリーズ
PWXシリーズ
TOS9311
PCR-WEA/WEA2シリーズ
SD032-PCR-WE
