絶縁抵抗試験器の出力電圧がマイナス電圧である理由を教えてください。

一般的には、プラス電圧で試験した場合よりもマイナス電圧で試験した場合の方が、絶縁抵抗値が小さくなります。つまり絶縁不良を検出しやすいと言われています。
TOS5300シリーズをはじめ絶縁抵抗試験(IR)の出力は、負電圧を出力しています。(TOS930x追記)これは日本工業規格による規定です。 JIS C 1302:2002の絶縁抵抗計の項では、接地が規定されています。 (以下規格の抜粋)
JIS C 1302:2002 6.3 端子(抜粋)
機器には,線路端子及び接地端子又はこれらと同等のものを設け,線路端子は電源の“−”極側に,接地端子は“+”極側に,それぞれ接続するものとする。

<2016.7.1追記>
1968年に策定された日本工業規格「JISC1302:1968 絶縁抵抗計(電池式)」解説によると(抜粋)
絶縁電線やケーブルなどの大地に対する絶縁を直流で試験する場合は、これらの心線に接続される電源の極性によって、その絶縁抵抗の測定値が異なることがあり、通常、心線に電源の-極を、大地に+極を接続して試験した場合は、これと極性を反対にした場合とくらべて測定値が小さくでるのが普通である。
したがって使用上の安全を考えて、線路端子は電源の-極側に、接地端子は+極側に接続するように規定されている。
また、1982年改訂された「JISC1302:1982 絶縁抵抗計(電池式)」解説によると(抜粋)
従来から、線路端子は電源の-極側に、接地端子は+極側に接続するように規定されている。それは、絶縁電線やケーブルなどの大地に対する絶縁を直流で試験する場合、心線に電源の-極を、大地に+極を接続する方が、これと極性を反対にした接続に比べて測定値が小さく出るのが普通であり、規定の接続の方が、絶縁不良を検知するには適切であるからとされている。最近の絶縁物については必ずしも上述のようにはならないともいわれるが、既に規定の接続が定着しているし、実際上問題になった事例もないので、従来どおりとしている。

以上のように、規格策定時に経験上から負極電圧を印加する決定がなされたと解釈します。 現在「JISC1302:2014 絶縁抵抗計」の測定端子の極性では、(抜粋)測定端子の極性は、線路端子が出力電圧の“-”極、接地端子が出力電圧の“+”でなければならない。と記載されています。
ここで記載されている内容は、線路(ライン)端子と接地(アース)端子間の特性に関することですので、部品や素材の絶縁抵抗値を接地せず(フローティング)測定する場合には、当てはまりません。

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