電源の出力端子には直流電源であれば、+-の出力端子とGND端子の三つの端子、交流電源であればL Nの出力端子と GND端子の三つ端子があります。出力端子のどちらかをGNDに接続した方が良いのか、それとも接続しない方が良い…

コラム

直流電源 および 交流安定化電源 の二次側出力端子の接地について

公開日:2016年 11月 この記事の公開日をご確認ください。製品、価格、技術に関する情報は最新の内容ではない可能性があります。

電源の出力端子には直流電源であれば、+-の出力端子とGND端子の三つの端子、交流電源であればL Nの出力端子と GND端子の三つ端子があります。出力端子のどちらかをGNDに接続した方が良いのか、それとも接続しない方が良いのか、電源を使用する上で判断しなければなりません。菊水電子製の交流電源は、出荷時、GND端子はどの出力端子にも接続されていません。また直流電源では-(マイナス)端子がGNDに接続されているか、接続されていないかが製品シリーズによって異なります。従って用途によって、出力端子の接地をどうするか検討し適切な設定を行う必要があります。ここでは、接地の検討にあたり、知っておいていただきたいことについて説明します。

1. 出力端子の各端子との絶縁関係図

出力端子が入力電源、GNDに対しどのような絶縁関係があるのかを交流電源を例に図1の絶縁関係図で示します。直流電源でもほぼ同等です。

接地_図1

この例では単相3線AC200Vの配電系統より電力供給を受けている場合を示しています。

(1)二次側GND端子は一次側GND 端子(接地端子)と接続されています。
一次側GND端子は配電盤のアースに接するなどし、接地するのが安全上必要ですが、接地されていない場合、いくら、二次出力をGNDに接続しても、一次側のGND端子が接地されていない場合二次出力端子は接地されていないことになりますので、注意が必要です。

(2)GNDを除く出力端子は一次側と絶縁されています。絶縁は各電源の仕様で記述されています。通常一次二次間の絶縁耐圧はAC1500Vで1分間です。

2. 二次側接地の必要性と効果

接地した方が適当と思われる事例4点により、接地の必要性およびその効果について説明します。

2-1. 絶縁しているはずなのに“ピリピリ”くる

<安全面>

「交流電源は絶縁されているから大丈夫と思い、出力のN端子に触れたら“ピリピリ”きたのですがなぜですか?」という問い合わせがあります。

確かに一次二次間前ページの(図1) に示す様に絶縁されています。しかしながら、よく見ると図2に示す様にN端子には静電容量C1,C2で分圧された電圧が発生することがわかり、その電圧によりピリピリくると言えます。

これを防ぐには、N端子をGND端子に接続するか、N端子とGND端子間に大きな静電容量(コンデンサ)を接続します。

接地_図2

2-2. プールの浄水用電源

<安全面>

(図3)にプールの浄水器の等価システム図を示します。この図にある様に直流電源の出力がプールの水につかっているのがわかります。この接続において、一次と二次間の絶縁がなんらかの原因で不良になったら一次側の電圧がDC出力端子に現れ、プールに人が感電するような漏電電流が流れる可能性があります。

プールの浄水器の等価システム図

これを防ぐために、二次側の+または-端子をGNDに必ず接続する必要があります。

先の2-1項のことに照らし合わせても、二次側の接地は必須です。

2-3. 無線システムの供給電源

<ノイズ面>

(図4)に無線送信機の電力を計測するシステムを示します。図中の電源は内部にコモンモードノイズ源を持っています。この例では電源の出力端子が送信機まで配線されていて、その配線から矢印の様にコモンモードノイズが空中に放出されます。放出されたコモンモードノイズは、グランドループを通過するとInoiseの電流性ノイズになります。このノイズがケーブル外皮を通過するとVIが発生し、結果スペアナにノイズ(VI)が計測される結果になります。

これを防ぐには、放出するコモンモードノイズを少なくすればよく、そのためにこの場合電源出力端子をGNDに接続すると効果があります。このように二次側出力端子を接地することにより、コモンモードノイズの放出を抑える効果があります。

接地_図3

2-4. 漏えい電流試験

<機能面>

(図)5は、漏えい電流(保護導体電流、接触電流)の測定に関する規格IEC60990から引用したものです。この図は交流安定化電源にEUTが接続された状態で、漏えい電流を計測する場合の配線について記述しているのに相当します。ここで注目するのは「N端子とPE(保護接地端子、本文ではGND端子)を接続する必要があります」と言っているわけです。この接続により漏えい電流のルートを構成でき(図5)では、赤の点線がそのルートになります。このように漏えい電流計測には出力端子の接地が必要で、また任意の出力を接地できるという意味で交流電源の使用はかかせません。

接地_図5

3. 対接地電圧を考慮した、使用方法

出力端子には製品ごとに対接地電圧の規定があります。対接地電圧とは出力端子(+- L N)とGND端子(シャーシ電位)間に加えることのできる電圧で、(図6)のV(N-G)およびV(L-G)に相当します。V(N-G)またはV(L-G)のどちらも対接地電圧を超えることはできません。

(本文では直流電源、交流電源に対し共通で表現するために、直流電源の場合はL端子を+端子、N端子-端子と読み替えてご理解ください。)

接地_図6

実際に、出力端子とGND間に電圧を加えると、電源の仕様によっては、使用できる出力電圧が制限されますので、ご注意ください。

直流安定化電源定格出力電圧 DC300V対接地電圧 ±DC500Vを使用した例を示します。

[例1]N-GND間にDC250Vを加えた場合、直流安定化電源が使用できる出力電圧(VOUTはDC250Vに制限されます。

VOUT=対接地電圧-V(N-G)=500V-250V=250V

接地_図7

[例2]2台の電源を直列接続し、下側のN端子とGND端子を接続します。V(L-G)は、DC500Vなので、出力電圧は2台合計でも、DC500Vに制限されます。

接地_図8

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