こんにちは!「計測トラブルバスターY氏の事件簿」の2回目〜中編になります。 お題は「電源と通信ができない!」。今回は電源本体の設定とVISAライブラリの設定に潜む「落とし穴」を探ってゆきます。 電源本体を設定する資料を入…

コラム

計測トラブルバスターY氏の事件簿(2:中編)

公開日:2017年 6月 この記事の公開日をご確認ください。製品、価格、技術に関する情報は最新の内容ではない可能性があります。

こんにちは!「計測トラブルバスターY氏の事件簿」の2回目〜中編になります。
お題は「電源と通信ができない!」。今回は電源本体の設定とVISAライブラリの設定に潜む「落とし穴」を探ってゆきます。

電源本体を設定する資料を入手

資料として、キクスイの直流安定化電源PMX-Aシリーズのユーザーズマニュアルと通信インターフェースマニュアルが必要です。本体付属のCDか、当社Webサイトの取扱説明書データベースからダウンロードしたpdfファイルにてご覧いただけます。

取扱説明書データベース(PDFダウンロード)
https://kikusui.co.jp/kikusupport/search/?seq_no=2

このページにある「取扱説明書データベース」のアイコンをクリックして、「PMX」で検索してみてください。

通信設定およびボーレートの確認

PMX-Aシリーズの場合、「コンフィグ設定」を使って設定します。ユーザースマニュアルを見ながら、コンフィグ設定でインターフェースをRS232Cに切り替えます(写真1)。

中編_写真1写真1

CONFIGキーを何回か押して、「CF20」を表示させ、「CURRENT」ノブで設定値を「232」にしましょう。
設定したら電源スイッチをいったん切って、再投入してください(←ここ大事!!)。
当社製品のほとんどの機種では、通信インターフェースの設定を行ったあと、「電源再投入」で設定が反映されるので、設定だけを「232」にしただけでは実際に設定が反映されず、通信が行えませんので注意が必要です(よくお問い合わせを頂くポイントです)。
電源再投入後にCF20を確認すると、正しく設定されていれば「232」になっているはずです。

次に、ボーレートとプロトコルの確認です。通信インターフェースマニュアル「インターフェースのセットアップ」をご覧いただくと記載があります(表1)。

https://kikusui.co.jp/kiku_manuals/P/PMX/i_f_manual/Japanese/03-Intf-2-rs232.html

PMX-Aシリーズの通信プロトコル表1 PMX-Aシリーズの通信プロトコル

本機の場合は19200bps固定で、フロー制御なしになっています。
以上が、電源本体の設定と内容の確認事項です。

余談ですが、「ボーレート」とは、昔、電話回線でデータ通信するためにモデムと呼ばれるアダプタがあった時代、データを信号音に変換する「変調」と呼ばれる操作の回数を指す言葉です。本来は「ビットレート」と表現するのが適切なのですが、昔の名残とご理解ください。

パソコン側の設定

はじめに、使用するシリアルポートの番号をチェックしましょう。
本体にシリアルポートが1個付いているパソコンにUSB-RS232C変換ケーブルを接続してKI-VISA Instrument Explorerを起動すると、こんな表示が出ます(写真2)。

中編_写真2写真2

この例では、ASRL1とASRL4がシリアルポートですが、これだけではどっちが本体側かUSB側か区別できません。これを見分けるには、「デバイスマネージャ」を見る必要があります。

Windows7ならコントロール パネル→ハードウェアとサウンド→デバイスマネージャで表示が出ます。Windows10の場合は設定→デバイス→関連設定にデバイスマネージャがあります。
シリアルポートは「ポート(COMとLPT)」のグループにあります(写真3)。

中編_写真3写真3

これで見ると、「USB Serial Port(COM4)」と「通信ポート(COM1)」の2つのポートがあるのがわかります。今回はUSBで増設したシリアルポートを使いますので、COM4を使用したいと思います。
先程のKI-VISA Instrument Explorerの表示ではASRL4がCOM4に該当します。
プリンターポート(LPT1)は使いませんので気にしなくて結構です。

さぁ、通信してみよう!

先程調べたCOM4ポートにPMX-Aシリーズを接続し、電源を入れておきます。
そして再びKI-VISA Instrument Explorerを起動し通信をしてみましょう。左側のペインで「ASRL4」をクリックするとこのような画面になります(写真4)。

中編_写真4写真4

で、試しに「Check Instruments ID」をクリックすると、なにやら英文でエラーメッセージが出ました(写真5)。

中編_写真5写真5

タイムアウトで通信できないようですね。
「なんだよ、うまくいかねーじゃねーか!このインチキじじい!」と、思ったあなたはまだ魔法の修行が足りません。

先に「通信設定およびボーレートの確認」で調べたボーレートの値と、画面の「Optional Setteing For RS232C Serial Interface」の設定をよく見比べてください。
確か、19200bpsでフロー制御なし、だったと思いますが、何か違いませんか?
そうです。BaudrateとFlow Ctrlが違っています。なので、Baudrateを「19200」に、Flow Ctrlを「ASRL_FLOW_NONE(0)」に設定して「Apply Options」をクリックしましょう(写真6)。

写真6

これでもう一度「Check Instruments ID」をクリックしてみてください。
今度はエラーが出ずに応答が返ってくるはずです(写真7)。

中編_写真7写真7

通信がようやくできました!!!

ジジイの戯言(たわごと)ですが

ここまで来て、「電源と通信するだけで、なんでこんなに面倒なのかな?」とお思いかもしれません。確かにイマドキの電子機器なら、ペアリングボタンで一発接続、という感じでありますが、実際はユーザーの見えないところで、何らかの(面倒な)接続手続きがおこなわれています。それをルーチン化して「ボタン一発」に見せかけている(いわばブラックボックス化している)わけです。

しかし、いざ問題が起きた時、そういった「ブラックボックス」に依存しきっている(=仕組みがわかっていない)と、手も足も出ません。仕組みがわかっていないと、トラブルシューティング(問題の切り分けや絞り込み)が出来ず、それが「万年初心者」を脱せない(=トラブルに弱い)原因にもなるのです。

前編でも記しましたが、トラブル解決の達人の第一歩は「基本を知っていること」です。前編〜中編に渡りクドクドと、基本の「き」的なことを上げてきました。これらの事項ひとつひとつは「瑣末な」ことかもしれませんが、しかしそのうちの「ひとつ」でも誤っていると、システムは動いてくれません。なので、ウザがられてもこうやってご説明している次第なのです。

で、次回後編では、通信が確立できたので、いよいよコマンドを送って実際に電源を制御してみたいと思います。
最後までお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

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