ソリューション開発部で主に特注システム設計を担当してます、内海と申します。
このコラムでは、私の経験談などをお伝えしたいと思います。
さて皆さんは「他山の石」という言葉をご存知でしょうか。その意味するところは下記の通りです。
もともとは中国の古典『詩経』からのことばで、よその山から出た粗悪な石も、自分の玉を磨くのに利用できるという意味であり、そこから、他人のつまらない言行も、自分の人格を作るための反省材料とすることができるという比喩に用いられる。よって「他山の石」自体は、他人のよくない言行のことをいうのであり、人格形成のためのよい目標といった意味でこれを使うことはできない。基本的には悪口なのである。
出典:(株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」
ズバリ私が今回お届けするテーマは「失敗談」です。正直に言えば、恥ずかしくて言いたくないことですが、人は失敗からしか学べないと言う人もいます。なので、これからの若い人への教訓になるのであればと、「しくじり先生」として登壇し「他山の石」をお配りしようと決意した次第です(笑)。よろしくお願いいたします。
見積仕様書にまつわるエトセトラ
新規システム品の引合いがありますと、お客様の要求仕様に基づいて見積仕様書を作成、価格を算出して提示することになります。仕様・価格・納期がOKであれば、めでたく受注となり、納期に向けて設計・製作が開始されるのわけですが、ここで仕様の誤り・漏れに気付くことが「まれ」にあります。あくまで「まれ」ですよ・・・。(納品後に発覚したケースも過去にありますが、ここでは内緒です)
軽微な誤りであれば問題はないのですが、深刻な場合には、なかなか適切な対策案が思い浮かばず、途方に暮れるはめに陥ります(あくまで「まれ」ですよ、「まれ」・・・)。それでも七転八倒しながら解決方法をあれこれ模索し、なんとか納期までに対応するのですが、結果的に見積りよりも費用も工数も大きくアップしてしまい、利益が減るだけに留まらず、赤字になってしまうことも。
過去の例ですと、特注電源と制御パソコンによる試験システムの案件で苦い思いをした事がありました。
受注後に気づいてしまった私
その試験システムは、作成された試験条件のスケジュールに従って各種試験を繰り返し実行します。試験条件の切換え動作は制御パソコンにより「終了検出」→「条件転送」→「開始指示」と行うため、1~2秒はかかってしまいます。ところがお客様の要求が「100ms以内」となっていたのを見落としてしまい、また仕様書への記載をしなかったために、受注後に頭を抱え込むこととなりました。
いろいろと悩んだあげく、パソコンに保存された試験条件の全パターンを試験開始前に特注電源のメモリに送り込み、特注電源側で切換えることで時間の短縮を目論みました。ところが、マイコン内蔵メモリでは全く容量が足りず、また上位機種にメモリ拡張されたマイコンは無く、置き換えもできません。
結局、マイコンの外部にメモリ増設することに決めたのですが、接続のためのバスや制御線が少なく簡単ではなさそうです。それでも無理やり信号を作りだし、アクセス速度は遅くなりましたが、なんとかメモリ増設に漕ぎ着け、ソフトも手を加えて完成までたどりつくことができました。結果として事無きを得ましたが、胃の痛い数ヶ月でありました。
仕様の誤りや漏れは技術・知識・調査の不足でも起こり得ますが、ミスにより後で「しまった!」と思うことにはしたくないものです。納期対応などで忙しい時など検討に十分な時間がとれない場合も多いですが、
- 要求仕様に対する漏れが無いか。
- 仕様を勘違い・早とちりしていないか。
- 確認し忘れている事項はないか。
- 等々...
後であわてないためにも、お客様に提出する前に「舐める様に」チェックしましょう。ちなみに忙しさにかまけて、エイヤッで作りそのまま出した場合、ほぼロクなことにならないようです。出来たと思ったら、可能ならそのまま一晩寝かせて翌日朝「冷めた目」で見直すと、前日気づかなかった間違いを見つけることができるようです。
見積仕様書は「約束手形」だ
銀行決済に使う「約束手形」というものがあります。「約束手形」は一定の期日に一定の金額を支払うことを約束する有価証券で、これが実行されない(不渡り)と、会社なら事実上倒産扱いになってしまいます(不渡りは6ヶ月以内に2回で銀行取引停止になるが、不渡り1回目でも次がないと言う意味で信用がなくなる)。
見積仕様書は単なる添付資料ではありません。あたかも「約束手形」を振出すようなつもりで真剣に向き合うようにしたいものです。


