コラム

伝わる図面を書く

私達の業務は、顧客の要求仕様を基に設計し、製品を組み立てていきます。その過程で「図面を書く」という仕事は、非常に大事な要素を有しており、私は特に注意を払っています。 なぜなら、図面の出来具合は、製品工程に大きな影響を与え […]
投稿日-2017年11月

 

私達の業務は、顧客の要求仕様を基に設計し、製品を組み立てていきます。その過程で「図面を書く」という仕事は、非常に大事な要素を有しており、私は特に注意を払っています。
なぜなら、図面の出来具合は、製品工程に大きな影響を与え、また改修があった場合には、設計及び作業効率にも関係するからです。 そこで、私が図面作成に対して、なぜ注意を払うようになったのか。その元となった2つ出来事について、お話したいと思います。

我流の表記ルールはNG

一つ目は、製品の機能追加が発生したことによる配線改修でした。改修内容は、単純に配線の追加、またはそれまであった配線を撤去するだけというもので、特に難しいことではありません。しかし、いざ改修を行おうとした時、現場で問題が発生しました。配線を追加することはできるのですが、撤去する配線が分からないとの報告が。出向いて詳しく調べてみると、製品を組み立てた当時、私の制作した電気配線図面の分岐点が全て「・」印で表記、つまり分岐箇所を明示していなかったため、分岐の判断は配線業者がしていたのです。(図1)。

(図1)電気配線図面誤表記の経緯

それから数年たった今、改修しようにもどこから配線を分岐させているのか、当の業者本人も分からない状態に。「・」印は主にシステム全体を表す構成図等で、システム内の各ブロックが並列に繋がっていることを表現するために、使用されることがあります。しかし、電気配線図面で使用してしまうと、どこから配線を分岐させるかまでは表現できません。例えば、入力側端子台から分岐させるのか、または出力側の端子台から分岐させるのか等です。電気配線図面において、配線の分岐を表すには、分岐させたい箇所から斜線で引出す必要があります(図2)。

コラム40_図2

(図2)電気配線図面における分岐の正しい表記

なぜ「・」印を使用し図面を製作してしまったのか、どこからかコピーしてきたのか?、はたまた付き合いの長い配線業者だったために過信して、配線しやすいように任せたのか、今となっては原因の特定すらできません。結局、配線の分岐点を確認するため、撤去する必要のない箇所まで配線を外すこととなり、改修作業を行う担当者には大変な迷惑をかけてしまいました。

この失敗から学んだことは、図面を書くためにはルールが定められており、そのルールを守らないと苦労することになる、といったノウハウ的なことでした。この経験を経たことで、付き合いが長くとも業者任せにせず、効率良く配線を行うために、部品の実装位置を確認し最短距離で、また影響を受けそうな配線との離隔等を考慮するといった、当り前のことをより強く意識し、自分で考え指示をするようになりました。

私のとあなたの「普通」は違う

二つ目は、自分の設計意図通りに、製品が組み上がってこなかったことです。自分ではわかりやすく図面を書いたつもりだったのですが、部品の取り付け方、配線の引回し、線種等が意図と違ったこととなっていました。修正を頼むと時間がかかるので結局自分で直すことに。このおかげ(?)で、半田、圧着作業は上達しましたが、時間と労力を使い、そして製造部に対して「どうして分からないのだ」というストレスを持つようになりました。

しかし、一方的にイライラしていても仕方ないので製造部に行き、話を聞いてみることに。すると「自分はそう思ったから」、「普通はこうでしょ」、「そんなの分からない」とのこと。私の考えも「普通はこうでしょ」であり、お互いの「普通」がすれ違っている状況でした。
そもそも図面というのは、設計と製造が「共通認識」を持つための手法と言えます。しかし、図面作成や配線作業に没入しすぎると(悪いことと言い切れませんが)、自分の作業に対する(一方的な)正当性が強くなり、問題が起きた時、つい「間違っているのは相手だ」と思うようになります。片思いの相手にラブレターを送ったようなものでしょうか。「伝える=伝わる」ではないのです。

目指すべきは淡々と作れる図面

では良い図面とはどんなものなのか。プラモデルを例に考えました。
市販されているプラモデルは、基本的に誰に聞くこともなく、説明書を見れば完成させることができます。出来の上手い下手はあるかもしれませんが、自分の「普通」の概念を持ち出すことなく同じ物が出来上がります。そこから「良い図面とは作り手に不要な考えを持たせないことなのでは」との考えを持ちました。

作り手が「図面の意味が分からない」と発してしまうのは問題外として、「私の普通はこうだ」や「私はこう思ったから」という思考を持たせず、淡々と作れる図面を制作する。そのような図面であれば、同一品質の製品が出来上がってくるのではと思うようになり、それからは図面を見る人のことを考え、どうすれば見やすいか、間違えないか等に気を使うように心がけました。仮に製品が設計意図の通りに出来てこなかったとしても「図面が分かりづらかったのかな?」と思え、責任を転換することがなくなりました。

もちろん会話によるコミュニケーションを多く取り、不明な点をなくすことも大事であり、この点においても、以前よりも意識するようになりました。それからは組み上がった製品に対する修正も少なくなり、工程もスムーズに進むようになりました。
各々の企業やグループで、図面の規定はあると思います。そのルールの中で製品を作る人が、どう読み取るかを考えながら図面を書く、つまりは相手を思いやること。人間関係の基本そのものですが、図面の完成度を高くすることで、製品の品質と製造効率も高まるのではないかと私は信じています。

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石川

執筆者: 石川

ソリューション開発部 / ソリューション開発課

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