こんにちは。キクスイの時間旅行案内人、秋山です。もっとも私の場合は30年前専門ですが(爆)。 さてお題は「ロータリースイッチ」です。「セレクター」とも言われますね。指でノブを「カチカチ」と回すアナログチックなアレです。デ…

コラム

工夫がない失敗は学びにならない

公開日:2018年 3月 この記事の公開日をご確認ください。製品、価格、技術に関する情報は最新の内容ではない可能性があります。

こんにちは。キクスイの時間旅行案内人、秋山です。もっとも私の場合は30年前専門ですが(爆)。
さてお題は「ロータリースイッチ」です。「セレクター」とも言われますね。指でノブを「カチカチ」と回すアナログチックなアレです。デジタル化が進んでいる昨今は、見かけることが少なくなりましたが、かつては様々な電気製品に使われていました。
代表的なのはテレビの選局チャンネルでしょう。「チャンネルを回す」という表現はここから来ました。チャンネル争いは兄弟げんかの定番で、力づくでノブを回しあった結果壊してしまい、親から大目玉なんてのはどこの家庭でも茶飯事でした。昭和のあるある話です。

さて、製品の操作パネルにはあまり使われなくなったロータリースイッチですが、治具(ジグ:製造作業の補助器具)や実験の部材としては手軽なのでまだまだ活用の場があります。で、若かりし私も、ロータリースイッチを使って検査用のセレクタを作ったことがありました。しかし「これはグッドアイデア」と思ったら「ありゃ?」となった事件が、今回のお話です。

DMMが足りない

いつものように30年位前のお話です。

私の属するチームは、お客様の仕様に合わせて直流安定化電源を設計、製作、供給をしていましたが、その当時の傾向として、電源の多出力化に対するご要求が増えていました。5出力とか7出力などです。そしてOEM電源が組みあがって動作確認という段階になると、出力電圧の計測用に出力数に合わせた台数のDMM(digital-multimeter)を揃えることになります。
評価装置を作業机に並べ、必要な配線を行います。OEM電源の入力側に交流安定化電源、OEM電源の各出力側には電子負荷装置とDMM。こちらは出力数の数だけ同様の装置がずらっと並ぶため、なかなか壮観です。またオシロスコープも用意します。

当時、OEM電源は2チームで開発を担当。各チームで1モデルあるいは2モデルを同時進行で開発していましたが、しばらくすると問題が発生しました。
「新しいOEM電源の動作確認をしたいのだが、DMMが足りない・・・」
そこでDMMの使用について「早い者勝ち」のような雰囲気が生まれて、一度手にしたDMMは引き続き使用するような予定を組み、常に手元に置いて確保というような状況が起きるようになってしまいました。これには参りました。「ごめん、しばらく空きがないなぁ」と先輩に言われればそれまでです。

かずお君は「ビビッ」ときた

DMM追加購入の具申も考えましたが、電源の多出力化はいつまで続くかわかりません。一過性の要求だったらもったいない気もします。しかし閃きは突然やってきました。

私の趣味はエレクトリックギターです。休日に、高中正義の「JUMPING TAKE OFF」を練習していました。曲の途中でギターの音色を変えるためにピックアップマイクを、フロントからリアへセレクタで切り替えます。「ビビッ」と来たのはこのときです。あ、感電ではないですよ(笑)。
沢山あるOEM電源の出力にセレクタをつけて切り替えてあげれば、DMMの台数を減らせるのではないかと。

月曜日、朝礼の後、セレクタの物色を始めました。オシロスコープの開発チームの部屋に使えそうなロータリースイッチがありましたので頂いてきました。何の回路用だったかは忘れてしまいましたが6接点のロータリースイッチでした。一方その時開発していたOEM電源は、5出力でコモンは共通でした。手早く配線の半田付けを済ませ、テスターで導通を確認。多出力OEM電源用出力電圧セレクタの完成です。

OEM電源からアラート音

早速、OEM電源に取り付けてパワーオン。セレクタを使って各出力の出力電圧を切り替えながら計測できるはずでした。しかしロータリースイッチを回すたびに、OEM電源から「ピッ」という音が出ます。この音は出力を短絡した時に出るアラートに非常に似ていました。「もしや」と思った私は、オシロスコープを使って電圧波形を確認しながらロータリースイッチを切り替えてみました。すると切り替える瞬間、隣の接点と接触しているような状態であることがわかりました。

そこで、ロータリースイッチについて調査開始です。当時グーグル先生はおろか、インターネットすらありません。書庫へ行ってカタログを調べます。
原因は切り替え方式でした。頂いてきたロータリースイッチの切り替え方式は継続(ショーティング)でした。従って、ロータリースイッチを切り替える瞬間、隣接する接点に繋がれた電源の出力が短絡される状態になり、そのとき「ピッ」というアラート音が発生していることがわかりました。

ロータリースイッチの切り替え方式に継続(ショーティング)と断続(ノンショーティング)があるなんて全く知りませんでした(図)。しかし、それらが用途に合わせた重要な機能であることを知ることができた良い機会でもありました。そこで再び社内を物色、断続(ノンショーティング)方式のロータリースイッチをせしめてセレクタ2号を作成。3年くらいの間でしたが、とても便利に使用しました。DMMをむやみに購入しなくてよかったと思いました。

ショーティングとノンショーティング

工夫は失敗を学びにかえるタネ

困った→工夫→失敗→学び、という、絵に描いたような学習パターンですが、人生はほぼこれの連続です(笑)。ここでのポイントは「工夫」でしょう。困った→無策→失敗の場合、最後は「悔い」か「トラウマ」かな?
以前の記事で「あがけ」と書きましたが、それは「工夫」と言ってもいいでしょう。困った→常套的な解決策、という筋書き(この場合はDMM追加購入)以外で何かないか?と考える。これ結構大事です。考えた(工夫の)結果がさらなる惨事に・・・ということもないとは言えませんが、若い皆さんはぜひ、前向きに考えて挑んで欲しいなぁと、昭和のおじさんは思うのです。

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