私が体験した用語・表現に関するプチトラブル(恥?)をご紹介する「本当は怖い専門用語・業界用語」の後編です。よろしくお願いいたします。 <ケース3>擬音語や擬態語 「(エネルギーを蓄えてから)ドカーンと出力します。」とか「…

コラム

本当は怖い専門用語・業界用語(後編)

公開日:2017年 6月 この記事の公開日をご確認ください。製品、価格、技術に関する情報は最新の内容ではない可能性があります。

私が体験した用語・表現に関するプチトラブル(恥?)をご紹介する「本当は怖い専門用語・業界用語」の後編です。よろしくお願いいたします。

<ケース3>擬音語や擬態語

「(エネルギーを蓄えてから)ドカーンと出力します。」とか「(煙が)モクモクでした。」等の擬音語や擬態語を多用される方が、たま〜にいらっしゃいます。「ドカーン」はかなりの量のエネルギーを出力していそうですし、「モクモク」は端に煙が出ましたと言うよりは、結構な量の煙が出たと想像ができます。
擬音語や擬態語を使うことはあまり好ましいことではないと教わりましたが、特に異分野の方にとって不案内な専門用語や(職務上)実感のない表現を使うよりは、理解していただける場合があります。
擬音語は私も時々使いますが、使いどころさえ間違えなければ擬音語も有効とは思います。
ただし使う相手と場所はくれぐれもお間違えのないように。場の空気を読むのが賢明です。

<ケース4>アルファベットの略語

多いですよね、アルファベットの頭文字を並べた略語。電気業界にもたくさんあります。例えばこんな例です。

「S/N」。読みは「エスエヌ」です。前後の話を聞いていれば問題ありませんが、唐突に「エスエヌ調べておいて」と言われると、「Signal to Noise Ratio(信号雑音比)」なのか「Serial Number(シリアルナンバー)」なのか分らない場合があります。「信号雑音比は『s/n比』だろう」という、大文字・小文字の違いという突っ込みところはありますが、発音した場合は相手に正しく伝わらない可能性があります。
同じ表現で意味合いの異なる略語は本当に多く存在しており、有名どころでは、KY(「危険予知」と「空気読めない」)とか(笑)。

例えは枚挙にいとまがありませんが、こんな例も。

ESA:ECE R10の電気電子サブアセンブリ/欧州宇宙機関
PLC:電力線搬送通信/プログラマブルロジックコントローラ

菊水電子ではECE Regulation No.10規格のシステムやリップル試験装置を、ソリューション開発製品として販売しています。
ECE R10規格では、車載部品のことをESA(electrical/electronic sub-assembly)と呼んでいます。ISO規格やJASO規格では、DUT(device under test)、IEC規格ではEUT(equipment under test)と呼ばれる事が多く、EUTやDUTに比べ、ESA単体をインターネットで調べようとすると、なかなか苦労します。
シーケンス制御を行う方のPLCは「programmable logic controller」であり、通信で使う「Power Line Communication」とは異なります。
ECE R10システムやリップル試験装置の説明で、ESAやPLCと言った言葉を用いた場合、日本国内では誤解されて伝わる可能性がありそうです。

知名度のある略語は大変便利ですが、自分の知らないところで同じ略語が使われているケースがあり、油断禁物です。略語を多用する方は要注意です。なお、お問い合わせ等で「略語」のみを使われると、確認に手間取って、なかなか本題に進まず困ることがあります。ぜひその辺りをご配慮いただけると助かります。

<ケース5>表現の誤用

静電気や雷が発生した時に、テレビや新聞で「数百万ボルトの『電流』が…」と表現しているケースがたまにあります。「おいおい違うぞ」と思いながら、電気知識があまりない(普通の)人に説明しても、たいがい「ふ~ん、そうなの?」と関心を持ってもらえません。関心が起きるとすれば、「壁のコンセントの電圧ってどのくらいなの?」、「それよりもどのくらいすごいの?」という風で、単に「雰囲気として」理解できればOKという感じです。

伝える側と受け取る側共に、(仕事として)電気に関係のない人にとっては「静電気や雷はスゴい」が伝われば、ボルトが電圧であろうと電流であろうと「どうでもいいこと」となります。しかし一方で、私の判断が悪いのか、関心がないだろうと思って説明しなかったり、適当に説明したりすると、かなりの確率で裏目に出ます。話がとんでもない方に脱線して、挙げ句の果てに「どうせ私をバカだと思っているんだろう!」という気まずい状態になったりします(笑)。この辺の塩梅は難しい。

テレビや新聞は間違えがない様に伝えて欲しいものですが、相手によってはその間違えや矛盾の修正が必ずしも必要ではなく、「伝えたいこと(雰囲気)が伝わる」ことと、正しい言葉を選んで「正確に説明すること」が常にイコールである必要はないのかもしれません。 とは言え、誤っている表現を修正したくなるのは、私だけではないはず。

用語は伝わってこそ

言葉が違うけど示す意味が同じというのもあります。電源電圧変動試験において、違いが殆どない波形パターンに対して「瞬低試験」、「瞬停試験」、「瞬断試験」等で表記されるケースがあります。それぞれ「瞬低」、「瞬停」、「瞬断」と略されますが、その使い分けについてインターネットで調べた限りでは、明確な違いをみつけられませんでした。電力会社様のホームページでは、瞬低(瞬時電圧低下)と停電の説明はあっても、瞬停と瞬断はありませんでした。国際規格等で使われている例や、「瞬低」、「瞬停」、「瞬断」の違いを記載している資料もありましたが、その裏付けが確認できませんでした。興味のある方は是非調べてみてください。

これらは、私的にはある程度(自己流で)使い分けているのですが、一般論として、自分で用法を決めかねる表現については、資料や規格書に記載されている名称を参照するのが次善かと思います。正論として、正しい表現で伝える事は重要です。しかしそれでも、表現に困る(伝わるかどうか不安な)場合は、「資料の内容や相手の使っている表現を使う」、「伝えたい内容を分かりやすい言葉に変えて表現する」、「場合によっては勢いで…」等、その場の状況判断が必要と思います。

最後にひとつ、皆さんに質問があります。
「マイナス100Vの電圧を少し上げてください。」と言われた場合、皆さんはどうしますか?
マイナス110Vにしますか?それともマイナス90V?

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