AV機器の高性能化そしてパーソナルコンピュータのめざましい普及とともに、市場には外部記憶媒体もFD(フロッピーディスク)、CD(コンパクトディスク)、MD(ミニディスク)と多彩に登場してきました。
なかでもその記憶容量の大きさと倍速、4倍速、6倍速から今や24倍速にまで及んだドライバの普及、発達によって、CDの使われる舞台が急速に拡がり、昨今パソコンのOSやアプリケーションソフトはCD-ROM(コンパクトディスクを利用した読み出し専用メモリ媒体)による供給が主流になっています。
一方、マイクロカセットを利用するウォークマンからスタートした携帯用AV機器の発達も急速で、CD、MDの機器がこれまた大きな普及をみせました。さらには携帯電話、PHSの驚くほどの超小型軽量化、さらにはパソコンの世界でもモバイルコミュニケーションがトレンドとなり、サブノートパソコン、PDAなどがデジタル携帯電話との組合せで移動しながらコンピュータを利用して、データ通信を行うことが常識になってきました。必要最小限のアプリを組み込んだ専用のWindows CEマシンが上陸してきたのも象徴的な現象です。
そうしたシーズが大きなニーズに発展して、光磁気ディスクの最新技術を駆使し、CDを凌ぐ多彩な用途を持つDVDの表舞台への登場を促すところとなりました。
DVD発展の裏付けとして、光学系、機械サーボ系、そして電気系、さらに信号処理など多岐にわたる難しい問題点をクリアしてきたエンジニア達の努力があったことは言うまでもありません。
さらには、DVD関連製品の生産を支える計測技術の発展を見逃すわけにはいきません。
CD技術の発展により実現したDVDですが、特に記憶容量を飛躍的に拡大させる大きな要因となったことには;
- 650nm波長レーザーダイオードの開発(CD用は780nm波長)
- 高速サーボ技術の確立 フォーカスサーボ1.9倍、トラッキングサーボ4.5倍、垂直位置出し分解能5倍………いずれもCDに対し
- MPEG2(カラー動画像符号化方式)の採用と強力なECC(誤り訂正符号)ソフト
- ディスク加工成形技術の向上 (トラックピッチ:CD 1.6μm に対し DVD 0.8μm)
等などが挙げられます。
これらはちょうどサブミクロンの領域に進んだ半導体の微細加工技術や、最高レベルを行くMPEG、ECCなどシステムLSI化促進の動向にギヤして発展したともいえるでしょう。

DVDの測定
DVDで測定する内容は「DVD Book」に記載されていますが、関連メーカー各社はそれに補助測定項目を追加して、独自のスタンスから品質の維持を心がけているようです。
◇測定項目
◆機械特性
- Vertical Deviation
- Radial Deviation
- Angular Deviation
◆HF信号系・サーボ系
| 反射率 | 偏芯 |
| 反射光角度 | トラッククロス |
| 面振 | 偏芯加速度 |
| HF信号振幅 | ジッタ量 |
| 加振加速度 | データエラー量 |
| トラックピッチ偏位 |
これらの測定項目はCDに近いか、手法を変えているだけですが、個々に要求されている技術レベルはCDのそれよりもはるかに高く厳しいものがあります。
また計測面で重要なポイントは、測定した値の確かさ、根拠、国家標準や世界標準へのトレーサビリティなど測定の値付けの問題があります。
そのため、標準ディスクやテストディスク、さらにはHF信号、MPEGエンコーダなど標準信号源の準備が必要です。
DVD 統一規格
| 名称 | DVD 統一規格 |
|---|---|
| ディスクの直径 | 120 mm |
| ディスクの厚さ | 1.2 mm(0.6mmディスクを2枚張り合わせ) |
| 記憶容量 | 片面 4.7Gバイト |
| 半導体レーザの波長 | 650nm/635nm |
| 光学レンズの開口率(NA) | 0.6 |
| 信号変調方式 | 8-16方式 |
| エラー訂正方式 | RS-PC(Reed Solomon Product Code)方式 |
| トラックピッチ | 0.74 μm |
| データ転送レート | 可変方式 平均 4.69M b/s(映像+音声) |
| 画像圧縮方式 | MPEG2 画像圧縮 |
| 音声記録方式 | Dollby AC-3(5.1ch)、LPCM(NTSC) / MPEG2 AUDIO、LPCM(PAL/SECAM) / 最大8ヶ国語の音声と最大32ヶ国語の字幕を記録可能 |
| 収録時間の例 | 133分(転送レート平均 4.69M b/s の時、Dollby AC-3(5.1ch)3言語 4サブタイトルを含む) |
| ファイル管理構造 | Micro UDF および ISO-9660 / コンピュータ用の場合は Micro UDF および/または ISO9660 |
CDの計測は、「CD Book(Red Book)」にある規格に則って実施されています。一方DVDは同一の事象を「DVD Book」に別方法で測定定義しています。双方とも書き込まれているデータをいかに正確に読み出し、再生できたかが評価のキーファクターとなっています。
CDはAVメディアからCD-ROMへデータストレージの媒体として発達し、コンピュータに欠かせないものとなった経緯から、データを何個読み出し、何個誤りがあったかというデータエラーレート(C1エラー、C2エラー)で評価する方法がとられています。
したがって音声や画像以上にデータがシビアに扱われる場面が多くなります。
データフレーム単位の誤り率である「フレームエラーレート」や、データブロック単位の誤り率である「ブロックエラーレート」を測定・評価する測定器には、「ブロックエラーレートカウンター」などがあります。
一方DVDはこれと異なり、時間間隔の解析装置である「タイムインターバルアナライザ」を用いてデータエラーレートや光学系に起因する誤りを総合的に測定、評価します。
CDではC1、C2のエラーを測定するためにエラー計を使いますが、この測定には時間がかかりますので、生産ラインでは効率的とは言えません。
そこで誕生したのが「ジッタメータ」と呼ばれるRF信号の揺らぎ測定器です。
重要なことは、このジッタメータはC1エラー計やC2エラー計による誤り率の良否判定値との1:1の相関が得られていなければならないということです。
CDおよびDVDのエラー発生の要因は、光学系だけでも複数存在します。それは;
- デフォーカス:フォーカスぼけ
- タンジェンシャルスキュー:レーザーダイオードの光軸とディスクの回転接線との直交性
- ラジアルスキュー:ディスクのトラックに対するレーザーダイオードの光軸の直交性
などがあります。
これらのどんな要因でエラーが発生しても、その値が同じであればジッタメータでの測定値も同じ値を示さなければいけないということです。
一般的にジッタメータは、「3T方式」が普及しました。これはCDのコンポジット信号の中に存在する3Tから11Tまでの整数次信号のうち、3Tのみを測定するやり方です。
ところがこの方式ですと、デフォーカス、タンジェンシャルスキュー、ラジアルスキューについてエラー計との相関が全くとれていないことが判明しました。
そのためDVDの計測には、タイムインターバルアナライザの使用を選択することになったと推測されます。
そこで菊水電子工業では、お客様との綿密な仕様打ち合わせにより、CD用ジッタメータ開発の時点から「22T方式」を採用、全ての整数次信号の総合的な測定を行うやり方をとり、モニタリングを重ねた結果、全ての測定値に相関の高いことが検証されました。
このことが、ラインあるいは検査工程で、低価格でしかも操作性の簡便なジッタメータの採用を決定づけることになりました。


