回路図を見て回路の動きを理解することは、私にとってはまだまだ難しいものです。特に初めて目にしたような最新の回路図となると、その動作の読み取りに難渋することがよくあります。しかし当社にはそんな(複雑怪奇な!)回路図を描いたベテランの先輩がたくさんおり、気軽に聞きに行くことができます。そして(たいていは親切に)教えて貰えます。でも私の場合は、聞いただけですと時の経過とともに忘れてしまうことが多く(残念!)、しっかり自分のものとするために何らかの行動を起こすことが必要であると常々思っていました。

回路図の振る舞いを考える

皆さんは、回路図を見て、どのような動きになるかわからない場合、または自分で考案した回路が思っているような動きをするだろうか?と検証する場合、どうしていますか?

私の場合は、まずインターネットや書籍を見て情報を得ることにしています。その次に先輩に聞いたりして足りない情報を集めます。それから実際に実験回路を作成して動作を確認してみるという順番です。しかしインターネットの記事や書籍を読んで、なんとなくわかったような気がしている場合も多いのが現実です(理解力に問題があるのかもしれませんが・・・)。そんなときには実験回路を組む前に回路シミュレーションソフト(SPICE)を使用して、シミュレーションしてみます。その結果から、OKと判断できたら、実験基板を作成して、実際の動作を確認するようにしています。

回路シミュレーションソフト(SPICE)

回路シミュレーションソフトは、SPICE (Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis, スパイス) と呼ばれるものです。歴史を調べると、そもそもは集積回路の設計用途として1973年に開発され、その後PCBなどの電子回路の検証にも使われるようになったということです。私が主に使っているのはリニアテクノロジ社の「LTSpice」で、当社内では「PSpice」なども使われています。

私が回路シミュレーションソフトを、どのような場面で使用しているのか整理してみるとこんな感じです。

  • インターネットや書籍の閲覧だけでは、理解できない時
  • 回路図の中で部分的に動作が不明な時
  • 新規設計した回路が想定した動きをするか確認したい時
  • 単純に閃いた回路の動作を確認したい時

新規設計の回路において、はじめから実験基板を作成し検証を行うよりも、回路シミュレーションソフトを使用すれば、抵抗やコンデンサなどの電子部品の定数を簡単に置き換えて動作の確認が行えるため、検証時間の短縮につながり設計の効率が上がると思います。

しかし、回路シミュレーションソフトも正しく使用出来なければ意味がなく、かえって混乱してしまうこともあります。実際、私も設計した回路をシミュレーションした時に明らかに不自然な動作になっていて、シミュレーションの段階で行き詰ってしまうこともありました。そうならないためにも、回路シミュレーションソフトのスキルアップが必要だと感じます。こういったツールは時々触るだけでは、初心者レベルをなかなか脱せないので、まとまった時間を確保して(夏休みとかに・・・でもそれってブラックかな?)自主トレをするのが有効ではないかと思います。使いたい時に、サクッと簡単に使いこなせるようになることが重要です。

SPICEを使いこなして仕事のレベルを上げよう

回路シミュレーションソフトを使いこなせるようになれば、机上設計の検証、実験回路の動作確認、回路動作の理解力向上に繋がることは間違いありません。しいては、先輩が設計した回路のウィークポイントなどを見つけられるようになれば、さらにカッコいいなと思っています。「山椒は小粒でもピリリと辛い」・・・ですね。

なお、「LTSpice」は無料でダウンロードできますので、未経験の人はぜひ試して見て欲しいなと思います。また下記のようなWebアプリもあります。これはオシロ表示に加えて電流の流れなども表示してくれるので、教材としても便利そうです。

Circuit Simulator Applet
http://www.falstad.com/circuit/index.html

spice

彼を知り己を知れば百戦して危うからず
敵と味方の情勢を知り、その優劣・長短を把握していれば、何度戦っても負けることがない。

大辞林 第三版より

当社の製品は、自己完結型ではありません。常に相手、つまり客先の設備や製品があります。なので私の仕事はシステムを納品して終わりとはいかず、被試験物をつなぎ動作確認を経て「客先設備と一体化」できたときに晴れて完了となります。

そしてこの仕事で重要なことは、事前に客先事情(設備や製品)を仔細に把握できるかどうかです。「彼を知り・・・」は孫子の兵法の有名な言葉ですが、仕事の成否も同じ理屈だと思います。事前調査は本当に重要です。
いまでこそ、仕様のお打ち合わせで根掘り葉掘りお伺いするようなりましたが、駆け出しの頃はその辺りがいい加減だった(というかよくわかっていなかった)こともあり、社検(自社検査)ではOKだったが納品して仕様通りに動かないということが幾度かありました。

今回のお話は、私が初めてお客様向けシステムを担当し、納品で「あれれ?」となった経験談です。

初仕事は疑似バッテリーシステム

私の初仕事は、当社直流電源と直流電子負荷を用いて特注アプリケーションソフトウェアで制御する「疑似バッテリーシステム」でした。 まるで二次電池のような充放電ができるシステムです(図1)。

(図1)

当社での作業を終え、お客様のもとにシステムを運び込み、お客様設備と接続し動作確認を開始しました。 問題なく作業は進んでいたのですが、ふと気になる部分を見つけました。 電流計の表示値が設定値よりも低い電流値になっているのです。 その値の違いは電流計確度を少し超える状況となっていました。
一通りの検査項目が終了し、システムとしての動作はご要求通りでしたが、電流値の設定値と電流計表示値の差が何故発生するのか、ということが問題になりました。

もちろん社内で動作確認を行ったときは問題ありませんでした。 そこで当社システム単体での動作を確認するために、お客様の了解を得て、お客様設備との接続を外させていただきましたが、その結果は異常なしと判断できました。
お客様設備も異常なしと判断されているものです。 つまりお客様設備と接続すると、なぜか現れる現象ということになります。

電流の測定値に差が発生するということだったので、次に電流測定回路周辺を調べてみることにしました。 電流測定回路はパワーラインのマイナス側にシャント抵抗器を挿入する構造でした。 そして当社システムの回路構成とお客様設備の回路構成を見比べているうちに原因がわかりました。

原因はグラウンドの接地

お客様設備の回路図をよく見ると、回路グラウンドが接地されていました。そして当社システムの電流測定回路のグラウンドも接地されていました。

グラウンド(GND)の意味は電位の基準点です。英語としての意味は「Ground=地面」ですが、電子回路においては、グラウンド=接地(アース:地球つながっている)とは限りません。しかし一般的には安全やノイズ除去のために、機器を接地するのが常識であり、そういう意味で、お客様設備も当社システムも「単独稼働」であれば妥当な処置です。

しかしお客様設備と当社システムは繋げる必要があります。それぞれのグラウンドが接地されて繋がることで、パワーラインのマイナス側においてシャント抵抗以外に電流が流れる経路が形成されてしまったのです。 つまり充電電流が分流してしまったわけです。 電流計の表示値の差異は、分流した電流が差し引かれた結果だったのです(図2)。

(図2)

回路を絶縁

原因がわかればあとは対策です。当社システムの電流測定回路を絶縁型に変更し、接地しないように変更しました(図3)。

(図3)

この対策を施したことで電流計の表示値が設定値と同じ値になりました。 いまならカレントセンサを使用することによって電流測定回路の絶縁は簡単にできるかと思います。システムはお客様の設備と一体化して完成形となります。 お客様設備のことをよく理解してから設計を行うべきであると反省させられた経験でした。

技術者を志す人は、たぶん「ものづくり」が好きで、はやく手を動かす作業をしたくなります。趣味なら「作りながら考える」というのは大いにアリですが(むしろ楽しい)、仕事の場合、手を動かす前の準備(調査・設計)が重要です。
そこでの手抜きは、私が経験したように「ツケ」となって返ってきますので。

若い技術者のみなさんには、ぜひ心がけておいて欲しいことと思います。

こんにちは。キクスイの時間旅行案内人、秋山です。

木を見て森を見ず【きをみてもりをみず】
事物の末梢的部分にこだわりすぎて、本質や全体をとらえられないことのたとえ。

大辞林 第三版より

コストダウン、つまり原価低減。今も昔もビジネス上の大きなテーマです。当社の属する製造業においては、こういったコストダウン活動を「VA」や「VE」などと言います。VAはValue Analysis(価値分析)、VEはValue Engineering(価値工学)の略語で、一般的には「VA=VE」で扱われていますが、厳密には意味が違うようです。また本来的には、VA/VEは顧客価値の最大化(コストバランス)が目的なので、手法として原価低減(マイナス)のみでなく付加価値向上(プラス)もある概念なのですが、わたしたちの会話の中で「VAして」は「つべこべ言わず安くせんかい!」という意味が優勢です(笑)。その辺の細かい話はぜひグーグル先生で調べてみてください。

さて今回のお話は、このVAにまつわる失敗談です。「VA=削減、廃止」という一元的な発想に偏ってしまい、やりすぎてしまったというお話です。
例によって時計を30年前に戻してみます。

世はVA/VE祭り

私が入社したころの日本の電機業界は「ジャパン・アズ・ナンバーワン!」と大変活況で(懐かしいなぁ)、さらにそれを強化すべく、原価低減活動つまりVA/VE活動が盛んにおこなわれていました。まさに祭り状態。コストダウンのためには手段を選ばないとばかりに、ユーザー様が調達先を巻き込んで、あれこれ意見するのは珍しいことではありませんでした。

私が当時担当していたOEM電源についても、コストダウンのご要求が来ました。集合場所はユーザー様の社内会議室。そしてユーザー様の要求事項に対し、OEM電源の回路図、機構図面を照らし合わせながらVA/VE会議が始まりました。

会議内容を一部紹介しましょう。

例えば、プラス12Vの電源について、電流容量を4Aから3Aに落とせれば、現状よりワンランク下の整流ダイオードと電解コンデンサが使用できるので○×円コストダウン。

同様に、各出力の電流容量をマージンギリギリまで小さくして、DC/DCコンバータの総出力を抑えれば、スイッチングトランスのコア材を一回り小さいものへ変更できる。これで○×円コストダウン。

機構面では、当初の構造を変更して、本体側(ユーザー様の装置)へ直接取り付けられるようにすれば放熱効果が期待できるので、OEM電源のヒートシンクの板厚を薄いものに変更できる。更に一体化を進めることで、OEM電源から冷却用FANをなくすことが可能になるはず。

・・・など、色々なご意見があり、そのほとんどを受け入れるような状態で対応することになりました。

突入電流制限回路

そして検討項目の一つに、今回の題材となった突入電流制限回路がありました。

突入電流制限回路について簡単に説明いたします。
OEM電源はコンデンサインプット形全波整流回路を採用しています。電源スイッチをオンにした瞬間、電解コンデンサに充電電流が流れるためにヒューズ溶断や電源スイッチ接点が溶着する恐れがあります。このため、突入電流制限回路を設け、突入電流を制限しています(図1)。回路図中央部分の抵抗器とリレーに注目してください。

図1

(図1)突入電流制限回路

回路動作としては次のようになります。

  • (1)電源スイッチのオン時、抵抗器で突入電流を制限します。
  • (2)ある一定時間経過後、リレー接点がオンします。
  • (3)リレー接点がオンする時、2回目の突入電流が流れます。
    (電解コンデンサが十分に充電されていれば2回目の突入電流は小さい値になります。)

さて、お話を会議室でのVA/VE会議に戻しましょう。

ユーザー様曰く、「OEM電源はミニコンピューター用の組込み電源です。ミニコンピューターは通常、電源スイッチをオンしたら一日稼働することが基本です。何回も電源スイッチを入り切りすることはないので抵抗器の定格電力を小さくしてコストダウンしましょう。」

私はその指示に従い設計を変更しました。

電源が立ち上がらない!

この会議から2か月後、VA/VE対策機として5台のOEM電源を納品しました。
納品後しばらくして、お客様から連絡が入りました。電源スイッチをオンしても出力が立ち上がらないとのこと。なぜ?Help me !

さっそく原因調査のため訪問。原因は突入電流制限回路にある抵抗器の断線でした。この抵抗器が切れてしまうと電解コンデンサの充電ができなくなります。故にDC/DCコンバータが動作できないので出力せずという状態になります。

では、なぜ抵抗器が切れたのか。ミニコンピューターの生産ラインにおいて、電源スイッチはそこそこの頻度でオンオフされていたらしいのです。つまり定格電力不足で破損、抵抗器が切れたのだと判断しました。

先のVA/VE会議では、「ミニコンピューターの電源スイッチ投入は日に一回くらいのもの。 突入電流制限用抵抗器は、その瞬間にしか通電されないので定格電力は小さいもので良い。」と結論付けられていました。しかしこの条件は、製品の完成後(実使用時)が対象であって、調整中には成り立たないものだったのです。そこを見落としてしまったのです。

そこで応急対策として、抵抗器の定格電力をVA/VE会議の前の状態に戻して取り付け直すことになりました。電力形の抵抗器は外形寸法が大きいので変更作業は非常に面倒なものでした。ユーザー様のご意見を何とか実現させようと努力した結果でしたが、検討不足を痛感した案件でした。

VAは視座が大事

冒頭に書きましたが、本来のVAの目的は「顧客価値の最大化(コストバランス)」です。そのために「乾いた雑巾を絞る」ような設計見直し作業をおこなうわけですが、細部に入るほど近視眼的になってしまい、そもそもの設計意図(仕様決定の理由)が見えなくなってしまうことがおきます。その結果として必要なものまで削りバランスを欠いてしまったのです。この失敗はまさにそれでした。

足の小指という話があります。体全体からすると、この小さな指がなくても、たいした影響がないように思えます。実際足の小指で何かをするという場面もほとんどありません。むしろタンスの角にぶつけると痛いので邪魔?と思ったり。しかし凍傷などで足の小指を失った人は、歩くときに真っ直ぐに歩くのが苦手になるといいます。実は足の小指は体のバランスをとるために重要な役目を果たしているのです。

コストダウン要求とは、これから先もなくなることはないでしょう。しかしその際はぜひ見直しの立ち位置(視座、視点)が、私の失敗のように、近視眼的にならないよう十分注意して欲しいなと思います。間違って足の小指を切るようなことがないように。

ソフトウェアプログラムの処理性能において速さは絶対善です。速さは最重要指標と言ってもいいでしょう。簡単で小さなデータを扱うプログラムであれば、昨今のCPUや潤沢なRAMを搭載したマシンなら、処理速度に辟易することは少ないかもしれません。しかし巨大なデータを扱うプログラムの場合、そのアーキテクチャ(基本設計や設計思想)によって歴然とした処理時間の差が出ます。

経験の浅いソフトウェアエンジニアの場合、仕様要件を満たすことで頭がいっぱいになってしまい、処理速度の考慮が二の次になってしまうことがあります。今回は、私が入社半年後に、初めて一人で任されたサブシステムの開発での経験です。そこで私が突き当たった壁(処理時間の改善)をどうやって乗り切ったのか。拙い経験ではありますが、参考になればと思いお話します。

開発テーマはデータ移行ツール

私が任されたサブシステムは、ある旧システムからシステム刷新のため、新システムへのデータ移行を行うものでした。今ではあまりやらないことですが、SQLを組み合わせたプロシージャ(複数の処理位を一つにまとめたプログラム)を作成し、順番にバッチファイルで起動し、データベース間で、データ変換、移行処理を行うものです。

当初、自分的には簡単なプログラムだと考えていましたが(新人にありがちなやつですね・・・)、ただ単にデータを移行するということではなく、運用保守の面、ユーザビリティを考慮すると、処理時間が大きなネックになることに気づきました。

着手時は、本当に単純なルールで変換することで実現できるだろうと安易に考えていました。しかし、作業を進めるほど、そう間単にはいかないということが分かり、プログラム処理時間の長さという壁にぶつかりました。処理時間が長いということは、ユーザビリティが悪い(ユーザーストレス)のはもちろん、デバッグ中にも言えることですが、何か問題があったときにやり直しが簡単にできないという問題があります。

処理時間が長くなる原因

処理時間が長くなる理由には、大きく下記の2点がありました。

(1)旧システムのデータ仕様が不規則な上にパターンが複数ある

旧システムでは、ユーザが自在にフォーマット編集やルール決めができるようになっており、任意なデータを作成することが可能。したがってそこから全てのユーザのデータを新システムに移行可能にできるように、全てのデータベーステーブルに様々な変換処理プログラムを埋め込みました。
そのため実際走らせてみると、条件分岐が多重に発生し、その処理時間が予想以上にかかっていたのです。また変換処理時間だけでなくその前の、旧システムのデータ仕様のインポートにも時間はかかっていました。

(2)移行対象データが膨大

レコード数が数百万になるテーブルで、かつテーブル数も100以上ありました。旧システムでの運用レコード数が大きいため、単純に条件を組んで処理を行おうとすると、処理時間がレコード数に比例して長くなります。デバッグ時には、サンプルレコードで数を絞って行っていたので、さほど気に留めていませんでしたが、初めての結合テストでは、実に半日以上かかり唖然としてしまいました。

このことにより、新システム側のデータベース設計の見直しで挽回できないかと考えたのですが、データ変換仕様という面では既にコミットしていたため、テーブルインデックスなどの見直しに留まり速度改善には至らず、1年目のエンジニアとしては、決定的な次の手を思いつくことがすぐにはできませんでした。

発想を逆転してみる

その時は、もうこの現状はどうしようもできないと思っていましたが、そのうち、どうしようもないのであれば発想を変えて、なんでも試してみようと思い、テーブル分割およびテーブルを追加、つまり処理の分散ということに挑戦してみました。

普通に考えると、処理を分けたり増やしたりすれば、それだけ手間が増えるわけですから、むしろ時間がかかってしまうように思えます。なので当時の自分も、処理の分散は可能だが、プログラムは増えるし、分散後の結合もあり、テーブル分割処理や、テーブル追加では効果が出ないだろうと考えていました。しかし実際試してみたところ、処理時間を約10%減ぐらいまで追い込むことができました。

冷静になってよく考えてみれば、旧システムのデータが、数百万レコードあるので、テーブルアクセスするだけでも処理時間がかかります。なので事前にテーブルを分割し、アクセス処理を分散すれば、それだけで処理時間が明確に変わることに気付きました。
それに気づいてからは、改善のスピードは速くなり、全テーブルの見直しなどを進めることができました。さらに作業を進めると、もう一つ改善ポイントが見えてきました。

それは、SQLでは、複数のテーブルを結合し、抽出することができることです。さらにそれを複数段階で結合することが可能です。初めは、データ変換、移行のルールに則り、単純にSQLを書いていましたので、テーブル結合のオンパレードとなっているプロシージャを作成していました。

そうすると、そのプロシージャは、データベースのテーブルにアクセスしているように見えますが、実は、SQLの処理結果(クエリ)にアクセスしており、いわば仮想テーブルのようなもので、実テーブルではありません。そのため、単純なSQLで書いたプロシージャと同じレコード数で比較しても、処理時間が大幅に増えていました。私はこの点にも着目し、テーブル分割、中間テーブルの設置を行うことで、最終的には、処理時間を約30%減まで達成することができ、なんとか仕事を終えることができました。

答えはだいたい「反対側」

新人のときには、仕様通りに作成することにだけに着目(仕様通りなので見直し必要がない)し、処理時間まで頭に入っていませんでしたが、この経験で、プログラムの組み方には、あらゆる方向からの目線での検討が必要ということを痛感しました。

プログラム追加=処理時間が増える、と考えがちですが、処理分散などの着目で劇的に変わるかもしれません。これはSQLだけでなく、他のプログラム言語でも同様だと思います。開発で壁にぶちあたったときにこそ、一旦リセットし、発想の逆転など、冷静に第三者的に見ることが有効です。

煮詰まってる時は、目線が一方向に向いてしまっており、自分にその自覚がなかったりします。そんな時の答えはだいたい「反対側」に落ちていたりしますが、一人だとなかなかそれに気づかない。気づくとしてもそれなりの時間が必要だったりします。なので開発は一人ではなく、実装前の設計・レビューから組織(チーム)で進めるべきと思います。気づきが早いということは、開発の手戻りも少ない(=開発のスピードアップ)ということですので。ぜひ若手開発者のみなさんには、このことを心がけておいて欲しいなと思います。

私は「エレクトロニクスの設計は特殊だなー」と、最近つくづく感じています。

見えない世界を操る

エレクトロニクスの設計が特殊と感じる一番の理由は、目に見えない事象をツールをたよりに設計していく、ということにあります。目で見えない事象を表現するために、エレクトロニクスの設計者は目標とする機能や性能を、回路図やプログラムなどに書き起こしていきますが、その機能や性能が実現できているかどうかは、目視することは不可能で、測定器などのツールを使わないと確認することが出来ません。

会社に入社したての頃を思い出してみると、先輩技術者が使っている実験ベンチに様々な測定器が配置されているところをみて、単純にカッコイー!と思った記憶があります。
カッコイーと思ったのは、複数の測定器を自由に操りながら仕事をしている先輩の姿が、さながらコックピットの中でいろんな計器をチェックしたり、スイッチ類を操作しながら飛行機を操縦するパイロットと同じようにイメージできたからだと思います。

設計の実務経験が少ないころは、測定器に対しては全幅の信頼を置いていて、測定したいポイントに繋げば必ず正しい値を表示してくれるものだと、盲目的に信じていました。
エレクトロニクス設計者の多くは、オシロスコープを自分の手足のごとく駆使しながら、波形観測を行っていると思います。ある程度実務経験のある技術者であれば、オシロスコープを使う前には必ずプローブの補正が出来ていることを確認した上で使い始めると思いますが、経験の少ない技術者は、プローブの補正が出来ているかどうかを確認せずに、いきなり測定に入ってしまうことが良くあると思います。
私も経験が少なかった時分では、補正が出来ていないプローブで波形観測を行い、何度も苦い思いをしています。

使う前にプローブの補正を

オシロスコープのプローブを補正しなければならない理由や、プローブの回路構成等については様々な資料が提供されていますので、ここでは簡単に載せるだけに留めますが、補正していない状態のプローブを使って波形観測すると、正しい結果は得られないということは容易に理解できると思います(図1)。

図1:プローブの補正

エレクトロニクス設計者が良く使う、デジタルマルチメーターについても同様のことが言えると思います。
マルチメーターの場合は、プローブ補正のような作業はありませんが、準備したマルチメーターは、測定しようとする信号を正しく計測できる性能を有しているか?を、測定に入る前に必ず確認する必要があります。この事前確認を怠ると、正しい計測が出来ないどころか、計測器を壊してしまったり、最悪の場合、感電事故を招くことも有り得ます。

タイトルに示した「その測定値は正しいですか?」を、もう少し肉付けた言い回しにすると、「その環境(被測定物+測定器)で、確認したい信号が正しく観測できますか? 測定器の示した値は正しい値であると言えますか?」ということになると思います。
エレクトロニクス設計者にとって、測定器はなくてはならないものです。測定器が有する機能、性能を充分に活用するために、測定器の仕様や使い方をいま一度眺め直してみて欲しいと思います。

こんにちは。キクスイの時間旅行案内人、秋山です。

仕事をする上で欲しい能力には様々なものがあります。いわゆる「〜力(りょく)」というやつです。企画力、決断力、交渉力、構想力、コミュニケーション力、地頭力、思考力、失敗力、質問力、想像力、創造力、提案力、判断力、論理力、等々・・・。キリがないほど沢山ありますが、今回のテーマは「集中力」です。

みなさんは、日々いろいろな仕事をこなしていることと思います。決まった手順があり、それなりの時間を費やせば終わる仕事。チームにおいて担当部分を提出すればリーダーが纏めてくれる仕事。脳みそをフル回転させないと処理できないような仕事。一日の中で、あるいは一週間の中で、作業内容には大小の波があります。だからこそ、メリハリのある面白い日々が送れます・・・と思うようにしています。

そして今回は、ここ一番の時、やるべき事柄に集中して結果を出す力。否が応でもそれを高めざるをえない状況があり、今思えば結果的に集中力を養うことになったのかな、と思った出来事をお話します。

では早速、時計を30年前に戻してみましょう。

不具合発生

時は、入社して2年が経過した頃。時計の針は11時半。そろそろお弁当の時間だなぁと、自分の腹の虫が鳴ったと同時に、課長のデスクの電話が鳴りました。電話の主は営業マン。2週間ほど前に納品したミニコン用特注電源装置、初回ロット6台のうち1台の動作が不良であるとのこと。サービスマンが午前中から対策に入ったが急用で帰宅、現在作業を中断している。引き続きの対策を開発部門に支援してもらえないか、と言う内容でした。課長は了解し、開発のメンバーを行かせる事としました。そして課長は私にロックオン。昼食も取らずに出発です。

アウェイ感が半端ない中で

2時過ぎに現場へ到着。サービスマンが残したメモを見て不具合内容を確認。「さーて、どうしたものか」と回路図などの準備をしていると、気がついたら関係者が私の周りを囲むように集まっていました。納入先の製造部の課長、製造ラインの責任者、開発部門の人たち、品質保証の課長など、私よりかなり年上の方ばかりです。私の一挙一動に目を見張り、そして聞こえてきましたひそひそ話。

随分と若い人が来たけど大丈夫か?
原因がわかっても対策までできるのか?
何時までに対策できれば今日の出荷に間に合うのか?
他の5台に波及するような原因だったらどうするんだ? などなど・・・

今風に言えば「アウェイ感が半端ない」でしょうか。とても緊張してきました。心臓がバクバクしてきました。頭の中が少し混乱してきました。しかしそんなことは言っていられません。何とかしなければいけません。

こういったとき、私の方法論はこうです。落ち着け、落ち着け、落ち着け、集中だ。一度目を瞑ってからそーと開く。見るものは電源装置と回路図。耳は機能を停止。周りの人は見えません、周りの話し声も聞こえません・・・。外界を遮断した空間を作ることで、目的に向かって作業を進めることができるような気がしました。
やるべきことは、電源装置の動作不良を対策することのみ。

そして見つけました、原因! 対策を施して動作確認。お客様に状況を説明、対策内容の了解を得ました。他の5台も予防処置を展開し、動作確認を実施。作業終了・・・。帰りの営業マンが運転する車の中、私はストレスから解放されて放心状態でした。営業マンとの会話が上の空だったことを記憶しています。

集中力は修羅場の中で育つ

その後も不具合の起きた現場へ送り込まれることがありました。その度に、この時のことを思い出し集中力を高めるおまじないをします。少し古いですが、ラグビーの五郎丸選手で話題になった「ルーティン」と言ってもいいでしょう。
落ち着け、落ち着け、落ち着け、集中だ。一度目を瞑ってそーと開く。

集中力を養うための方法は多々あると思いますが、私の場合は、現場に放り込まれて集中力を養わざるを得なかったという状況でした。言い方を変えれば「矢面に立たされた」ような格好です。

やおもてにたつ【矢面に立つ】
抗議・質問・非難などを受ける立場に立つ。

大辞林 第三版より

できれば、こういった逆風の場面には出くわしたくないのが本音です。しかしどうにも逃げようがない時があります。自分の後ろには誰もいない。自分が受けて立つしかない。辛いのですが、振り返えればそういった経験が、集中力のみならず、色々な能力を高めてくれた機会になったように思います。

ひたすら逃げ回るという戦略もありますが、年齢を重ねてきたとき、かなりの高確率で後悔することになります。若い時の苦労は買ってでもせよ、と言いますがそれは本当だなと、今の年齢になってしみじみ思います。

課題

直流安定化電源 を使用したいと思った時に、少なくともそれを用いて何をしたいかはおぼろげながらわかっているものです。ところが実際に 直流電源 を選択しようとするとあまりにも種類が多く、どれを選択してよいか途方に暮れてしまう場合があります。そこで本稿では、目的に合った 直流安定化電源 を選定するためのキーポイントをご紹介します。

直流電源 を選定する時に考慮する点は意外と多い?

  • スイッチング方式シリーズレギュレータ方式
  • 単一レンジ電源?ワイドレンジ電源?
  • 駆動や試験に必要な電圧と電流は?
  • 電圧の変化時間を管理したい?
  • リップルノイズの影響を受けるか否か?
  • 流れる電流の変化時間の速さは?・・・など

直流安定化電源 を選定するときのポイント

回路方式の特長

スイッチング方式とシリーズレギュレータ方式の特長を理解する!

回路方式の特長

単一レンジ電源とワイドレンジ電源

単一レンジ電源

出力範囲が定格電圧または定格電流で制限されるタイプ。一般的な実験用可変型直流電源のほとんどがこのタイプになります。当社の代表的な製品としてはPMX-AシリーズPAN-EシリーズPAT-Tシリーズなどです。定格電圧・定格電流で出力範囲(レジン)が方形に固定されているため単一レンジ電源と呼んでいます。

なお、このタイプの電源では電圧・電流それぞれを定格最大値の状態で連続出力させることができます。

単一レンジ電源

ワイドレンジ電源

出力範囲が設定電圧と定格電力、または設定電流と定格電力で制限されるタイプ。電力型電源ともいわれ、当社の製品としてはPWR-01シリーズPWXシリーズが該当します。上限が定格電圧または定格電流で制限されるという点では単一レンジ電源と同じですが、ワイドレンジ電源は同容量の単一レンジ電源と比較すると電圧・電流出力範囲が広く(=ワイド)なっています。

なお、ワイドレンジ電源では定格電力を越えない範囲での最大電圧または最大電流において連続出力させることができます。

ワイドレンジ電源

KIKUSUIからのアドバイス

単一レンジ電源かワイドレンジ電源か?(選定の目安)

1. まずは単一レンジの中から

必要な定格を持つモデルをご検討するのがオススメ。同容量であれば、単一レンジのほうが一般的には廉価になります。(バイポーラ電源のPBZシリーズは例外)しかし、負荷に対して選んだモデルの電源容量が過大かと思われる場合は(負荷容量に対して電源容量が数倍)ワイドレンジにした方が適切かもしれません。

2. ワイドレンジ電源が有利になるケース

定常時の電流が少なく起動時に大きな電流が流れる誘導性負荷(モーターなど)の駆動に使用する場合や電力は小さいが様々な定格(電圧・電流)の試験対象があり、全てをカバーするには大きな電源または複数の電源を設備する必要がある場合です。

3. ワイドレンジのデメリット

ワイドレンジは、レンジ幅を拡げたことのトレードオフとして同一容量の単一レンジと比べて設定分解能が荒く、また過渡応答(負荷変動の追従特性)についても遅くなります。この点についても、考慮をいただく必要があります。

キクスイの直流安定化電源ラインアップ

ポイント

単一レンジとワイドレンジはいずれも一長一短があり、どちらかが一方的に優位にあるものではなく負荷・条件にあわせてそれぞれの特性を活かしたかたちでお選びいただくことが肝要です。

その他の選定ポイント

その他の選定ポイント

月日が経つのは早いもので、還暦を超えてしまいました。でも、諸先輩方から見ればまだまだ若造です。しかし寄る年波は押し寄せております。体力の維持のため、オフは竹林伐採ボランティアにいそしんでおります、板垣です。

さて、長年特注・改造品にかかわっていますと、時々「目的は何?」とか「えーっ!」と思うような珍しい仕事が舞い込みます。特別注文ですから、技術的に可能かつご予算が合えば出来ないことはないわけですが(本当?)、その(真の)目的が明かされないまま、技術要件のみで製作する例があります。
このコラムでは、そのような珍しいお仕事を「特注奇譚(奇譚=珍しい話)」として(守秘義務に注意しつつ)いくつかご紹介して参りますので、よろしくお願いいたします。
さて1回目は、20年ほど前に関わった「シリコーンレス電源」です。

シリコーン抜きでお願いします

ハンバーガー屋さんの注文の仕方に「ピクルス抜きで」というのがありますが、そんな感じでしょうか(笑)。ちなみに「シリコン」と「シリコーン」は似ていますが別物です。「シリコン」は半導体の材料(ケイ素:鉱物)ですが、「シリコーン」はケイ素と有機化合物を結合させた化学物質(ゴムや樹脂、オイル)です。シリコーン素材から発生するガスが「ユーザーの何かの妨げになる」という理由での改造依頼でした。

そこで、直流電源に使われている次の様なシリコーンを取り除き、別のものに置き替えました。

  • 熱伝導性シリコーングリース
  • シリコーンチューブ
  • シリコーンシート(絶縁材)

半導体はシリコンで出来ていますが、代替できる物がないので(くどいですがシリコーンでもないので)そのまま使わせていただきました。

ご注文(改造)の台数が少なかったため、ロットを起こして一からの製作ではなく、倉庫の在庫品(新品)を分解して、シリコーン部材を置き換え、組み立て直して、再度調整・データ確認検査の手順を踏みます。手間のかかる作業ですが、お客様のニーズに応えるのが歓びですので。

当時、一番困ったものがシリコーンが入っていない熱伝導性のグリースの入手でした。一般では出回っておらず、NASAか米軍向けのものを入手し使用した記憶があります。10㎝ほどのチューブ入りで¥10,000もしたので、無駄使いをしないように、またリピートを考えて大事に保管していました。

20年後の謎解き

この記事を書くために、あらためて調べたら、今では「シリコンレス」「シリコンフリー」と検索すれば容易に入手できるので、驚いています。ちなみにシリコンレスやシリコンフリーだとシャンプーの方がヒットしますので、「素材、部品」を追記した方が良いと思います。しかし世間はシリコンとシリコーンをあまり区別なく使っているようですね。違うんだけどな・・・。

さてこの「シリコーンレス電源」のご注文の真意が当時わからなかったわけですが、20年後の今、「これが理由だったのかも」と思った事象があります。それは「低分子シロキサンによる接点障害」です。20年前は判らなかったのですが、シリコンから発生する「低分子シロキサン」がリレーなどの接点障害の原因になりうることが、近年知られるようになりました。

メカニズムは、「低分子シロキサンが接点に付着」⇒「接点間で火花」⇒「火花で酸化」⇒「二酸化ケイ素(絶縁物)として接点に付着堆積」⇒「接点障害」、であります。この特注電源は、客先のシステムに組み込まれるようでした。そこは長期に密閉された空間で(つまり換気がない?)、接点不良を起こす原因(つまり低分子シロキサン問題を知っていた?)を排除しなければならなかったのでしょう。たぶん。

いったいどんな極秘?システムだったのか。いまは知る由もありませんが、こういった「ミッションインポッシブル(?)」に関わるようなご依頼をいただくのも、特注品仕事の醍醐味です。

こんにちは。キクスイの時間旅行案内人、秋山です。

虚心坦懐(きょしんたんかい)
心になんのわだかまりもなく、気持ちがさっぱりしていること。心にわだかまりがなく、平静に事に望むこと。また、そうしたさま。「虚心」は心に先入観やわだかまりがなく、ありのままを素直に受け入れることのできる心の状態。「坦懐」はわだかまりがなく、さっぱりとした心。平静な心境。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)

プロとして仕事に自信を持つことは大切です。しかしそれは思い込みの一種とも言えます。自信を強力に持ちすぎると、なにか問題が発生したときに自分の仕事(担当部分)には間違いは無い、ゆえに自分が関わらなかった部分に問題があると判断。問題解決のために(良かれと)周りをどんどん巻き込んで散々騒いだ挙句、「すみません・・・私のミスでした」というオチが着く、というような話が、世にはごちゃまんとあります。自信は職業人として必要な心性ですが、諸刃の劔であって、ときに困ったことにもなります・・・。自信は必要だが時に謙虚さも大事。つまり事に臨む際は、できるだけフラットな状態、つまり「虚心坦懐」がいいのではないか、が今回のお題です。

ということで、そんな自信に満ち溢れたお客様との出来事をお話したいと思います。
例によって時計を30年前に戻してみましょう。

日曜日の電話

それは入社して3回目の夏を迎えるころでした。日曜日、自宅で漫画本をぺらぺらとめくっていると、下の部屋で電話のベルが鳴りました。「会社の人から電話だよ」と大きな声で私を呼ぶ母。
出てみると品質管理の部長でした。部長は残務処理のため休日出勤していたのでした。
一か月ほど前に納品したOEM電源が不具合を起こしている。ユーザーから納期が迫っているので至急対応をお願いしたいという連絡が来たとのこと。先にサービス担当者とも協議したが、「初回ロットのOEM電源のため修理できる見込みが薄い。開発担当者が行くのが一番ではないか?」という結論になり、私に白羽の矢が立ったのでした。

明日、九州の大分へ飛んでくれ(自宅は神奈川県川崎市です)。営業担当を空港でスタンバイさせておくから。品管部長はそう告げて電話を切りました。

翌朝、私も話も飛んで、現場へ到着です。

名探偵登場

通された部屋には、納品したOEM電源が収納された立派なラックがありました。ラックの下半分に私が設計したOEM電源、中央にパソコン、上部に計測機器がそれぞれ入っています。不具合の内容は、OEM電源の出力が正常に出る時と、まったく出なくなる時があるとのこと。

「OEM電源以外の部分は、すべて確認して問題はありませんでしたので、OEM電源に不具合があると判断しました。従って、原因究明と対策をお願いするために来ていただきました。よろしくお願いします。」とお客様。非常に丁寧な語り口でしたが、「お前の仕事なんだからな、ちゃんとやれよ」という暗黙のプレッシャーを感じました。さながら難事件に呼ばれた名探偵の気分です。そしてお客様からパソコン操作の手順を説明して頂き、作業開始です。

さぁ、集中のためのルーティン。
落ち着け、落ち着け、落ち着け、集中だ。一度目を瞑ってからそーっと開く・・・
で、見つけました、原因!
さっそく対策を施して動作確認。問題なし。他にあった2本のラックも問題なし。
その間、なんと30分程度。遥々来たぜ九州!

原因は「ブラブラ物」

原因は、ラックの中央部にあるパソコンのキーボードを置いておくスライド式の棚でした。

棚を前方向いっぱいまで引き出すと、信号線などを束ねた束線(信号線)の一部をスライドレールが挟み込 む状態になっていました。挟まれた信号線の中にはOEM電源に制御信号を送る信号線も含まれています。
その信号線の被覆が破れている部分を見つけました。導体が露出していました。
スライドレールに幾度となく挟まれるうちに被覆が破れてしまったものと思われます。
棚が引き出されて(信号線の)導体がラックと接触すると、信号がコモン 電位に落ちてしまいます。そうなるとOEM電源に制御信号が発生しない、つまり電源の出力が出なくなり ます。なので、スライド式の棚を全部引き出さず、途中で止めておくと信号線とラックはショートしないの で、OEM電源は動作します。それが症状の不規則性となっていたわけです。

失敗学で著名な畑村洋太郎さんが言っておられますが、ケーブル・ワイヤ・パイプなど(畑村先生はこれらを「ブラブラ物」と呼んでいる)は、機構や構造が決定された後に配置空間を与えられるために軽視されやすく、不具合や故障の原因になりやすいと。本件はまさしくこれでした。原因を説明するとお客様は大変恐縮され、上司の方も一緒になって「原因がこちらにあったとは、遠いところ、大変申し訳ありませんでした。」と頭を下げておられました。

仕事ですので、必要とあれば地の果てまで行く覚悟ですが(汗)、正直これは少し辛かったです。こちらに非があったのならいざ知らず、お客様ですから「お気になさらずに」と申し上げるほかありません。これを他山の石にして、自分も気をつけようと思うだけです。

その夜、お客様から夕食のご招待を受けました。
ご褒美(お詫び?)ということなのでしょうか。
とってもおいしいステーキでした。

匂いや味などの感覚と結びついた記憶は強く残るといいます。
おいしいステーキを口にすると(滅多にないですけど・・・)、今でもこの出来事を思い出します。

こんにちは。昭和のアナログ職人、高橋です(笑)。
さて、私も定年が近づいてきましたので、このコラムも最後になるかと思いますが、よろしくお願いいたします。

さて今回のお話は「束線(そくせん)」についてです。

束線のメリット

長いこと電源装置に携わってきて、これぞ職人技だなと思ったことのひとつに、配線をまとめる作業があります。この作業を「束線(そくせん)」といいます。電子機器内部に配置された電子部品や基板同士を繋げるには電線が必要です。それが数本なら、さして手間はありませんが、通常は数十本以上を網の目のようにあちこちに(正しく)繋げる必要があります。これを一本一本やっていたら、労力がかかることはもちろん、一定の品質を維持することが非常に困難です。そこでその解決法が束線という下作業なのです。

束線は、まずA1サイズぐらいの板に釘を打って、配線の長さや分岐点を示す路線図のようなものを作り、それを利用します。パチンコ台のような感じです。束線図という青焼きされた紙(複写機の普及前は建築図面等で使われていた青写真<ジアゾ式複写>が主流でした)を板に貼って、行先、出先、経由のポイントに釘を打ち、束線表に書かれた、線の種類と行先、経由、出先に従って線材を引き回します。

束線図に従って線材の引き回しが出来たら、次は結束です。蝋引きの糸を使って線材を束ねていくと、最初平面的に置かれていた線材の束が、結束していくに従い形を変えてやがて立体的になっていきます。なお蝋引きの糸は、燃えるといわれて、やがて蝋なしのタコ糸に変わっていきましたが、蝋があった方が、はるかに作業しやすく出来栄えもきれいでした。古の職人は経験から蝋引きが最善と考えたのでしょう。その点は、非常に残念に思った記憶があります。今はタコ糸も燃えるというので、難燃性のSKバインダーになっています。しかしSKバインダーだと出っ張りが出て、筐体にきれいに沿わせにくく、見た目もスマートではありません。蝋引きの糸のような新素材の登場を期待したいところです。

さて、束線のメリットは、引き回しの形が固定できるので、作業者によって品質が左右されにくいことだと思っています。また自分でやってみてよくわかりましたが、引き回しの仕方で寄生発振が無くなったり、ノイズが減ったりします。過去の先輩たちが残した仕事において、束線は単なるまとめ作業ではなく、時間をかけてベストな引き回しを選んでいたんだと感心しました。

ワイヤーキットの普及がもたらしたこと

昨今は、ワイヤーキットで基板から基板への時代となっています。しかしワイヤーキットが長いと引き回しが人によってばらつくので、中々同じようには組めません。なのでワイヤーキットをまとめる(束線する)ことをしたりします。また束線とセットになっている作業が半田付けです。しかし半田付け作業もコネクターを使用して、なるべく手作業をしない方向に向かっています。
何十年も現役で使われている電源を見る機会があります。そういった製品の内部を見る度に、もし自分が買うとしたら、ワイヤーキット化された製品より、束線で半田付けされた製品だなと思います。しかし、メーカーの製造現場やサービスからすると、作業効率性からワイヤーキットが選択されます。モノづくり(とりわけ大量生産品)において、手作業を排除するベクトルはもう変えようがないのかもしれません。

一定の品質の製品を安く作るには、作業の効率化は必要でしょう。しかしそれは結果的に製品の「使い捨て化」を加速してしまったようです。もちろん修理はできますが、昨今は部品入手等の事情で、生産終了後のサポート期限を設けるのが普通になりました。なので所有者が希望しても修理できないというケースが起きてしまいます。
また不幸にしてメーカーが倒産してしまったら、サポート期限内でも修理は不可能。あとはもう廃棄するしかありません。ある時から電気製品は、購入後も所有者のものではなく、その生殺与奪(せいさつよだつ)を製造者に握られたままになってしまいました。

最強にして最後のツール

そういった状況をどう評価するかは意見が分かれそうですが、私は正直しっくりきません。作って使って壊れたら(手が出せないので)おしまいという物だらけの世の中は、なんだか味気ない気がします。エコだからという理由だけでなく、もったいなくて、またどこか危険な感じもするのです。ソフトウェアの世界でこんなケースがあります。あるアプリのフォーマットで作った文書ファイルがあるが、そのアプリのベンダーが倒産してしまった。さらにOSがアップデートした際にアプリが起動できなくなり(アップデートもできない)、結局ファイルが全て使えなくなってしまった。そうなると、特定の環境に依存しないフォーマット(例えば「.txtファイル」)が最強ではないか、という話です。

モノづくりにおいて、私は手作業が「最強にして最後のツール」ではないかと思っています。多く電気製品が使い捨てになってしまうのは、致し方のないことでしょうが、手作業という最後の切り札が使える電気製品があってもいい。というか必要なことではないかと思うのです。
なので、これからモノづくりに携わろうとされる若い皆さんには、ぜひそういった観点も持っていただけたらと思うのです。モノづくりは作って終わりじゃないんです。そのあとどれだけ長く(愛されて)使えるか。そこが本当の勝負所だと思いませんか?

手作業という価値

さて最後に、束線の話に戻ります。最近はやはり需要が減り、束線を作る業者さんも高齢化で廃業する例があとを絶ちません。ほんとうにそれは大変残念なことです。働き方改革という世の動きがありますが、そこで生産性向上とともに、こういった「手作業から生まれる価値の見直し」などもあって欲しいですね。手で作られたものは手で直せる。当たり前のことのようですが、これからの時代それが製品の価値として再評価されるのではないか、と思うのです。

課題

アレスタやサージアブソーバなどの規格適合試験には、雷サージ試験器を使用することが一般的です。しかし、雷サージ試験器は、製品にストレスを与えることを目的としているため、開発品や試作品の性能を確認する際に、被試験物を破壊してしまう可能性があります。 そこで、本稿では電気安全規格試験マルチアナライザ TOS9300シリーズを使用し、試料に必要以上のストレスを与えない簡易的な評価方法をご紹介します。

試料破壊の要因は?

  • 電圧:急峻な電圧印加によるオーバーシュート など
  • 電流:過大な電流による発熱で劣化 など

被試験物が破損してしまうと・・・

  • Time Loss:試料作り直しの手間が発生
  • Cost Up:試験に多数の試料が必要

このような場合、電圧印加の速度や電流リミットを設定可能な「耐電圧試験器」を製品評価に使用することで試料の破損を低減することが出来ます。

解決

評価方法

1. オーバーシュートを抑制し、任意の電圧で定量的に評価

ライズタイムコントロール機能

ライズタイムコントロール機能は、電圧印加時の立ち上がり速度を設定可能です。
設定時間に合わせて電圧をリニアに上昇させます。
過電圧によるストレスが発生しないため、1つの試料で様々な条件下での振る舞いを確認することが出来ます。

2. 電流リミットで過電流を抑制

電流リミット機能は、設定値に電流が到達すると出力をカットオフします。
電流の流れすぎによる発熱や焼損を未然に防ぐことができます。

試験時のワンポイントアドバイス

電流のリミットは、なるべく低く設定するのがオススメ!
複数個の試験を実施する際には、高電圧スキャナ TOS9320を使用します。1台で4chまで出力を拡張することが出来ます。

マルチスキャナで4chに出力拡張
マルチスキャナで4chに出力拡張

多チャンネル試験時のアドバイス

試験間隔は短くしすぎないのがポイント! 適切な試験間隔を設定することで、測定ミスなどの発生が少なくなり、結果的に評価や実験がスムーズになります。

電気安全規格試験マルチアナライザ TOS9300シリーズは、規格試験への対応はもちろん、多彩な機能を装備しています。これらの機能は活用の幅が広いため「専用機」では対応できない様々な用途に応用することが可能です。

こんにちは。キクスイの時間旅行案内人、秋山です。もっとも私の場合は30年前専門ですが(爆)。
さてお題は「ロータリースイッチ」です。「セレクター」とも言われますね。指でノブを「カチカチ」と回すアナログチックなアレです。デジタル化が進んでいる昨今は、見かけることが少なくなりましたが、かつては様々な電気製品に使われていました。
代表的なのはテレビの選局チャンネルでしょう。「チャンネルを回す」という表現はここから来ました。チャンネル争いは兄弟げんかの定番で、力づくでノブを回しあった結果壊してしまい、親から大目玉なんてのはどこの家庭でも茶飯事でした。昭和のあるある話です。

さて、製品の操作パネルにはあまり使われなくなったロータリースイッチですが、治具(ジグ:製造作業の補助器具)や実験の部材としては手軽なのでまだまだ活用の場があります。で、若かりし私も、ロータリースイッチを使って検査用のセレクタを作ったことがありました。しかし「これはグッドアイデア」と思ったら「ありゃ?」となった事件が、今回のお話です。

DMMが足りない

いつものように30年位前のお話です。

私の属するチームは、お客様の仕様に合わせて直流安定化電源を設計、製作、供給をしていましたが、その当時の傾向として、電源の多出力化に対するご要求が増えていました。5出力とか7出力などです。そしてOEM電源が組みあがって動作確認という段階になると、出力電圧の計測用に出力数に合わせた台数のDMM(digital-multimeter)を揃えることになります。
評価装置を作業机に並べ、必要な配線を行います。OEM電源の入力側に交流安定化電源、OEM電源の各出力側には電子負荷装置とDMM。こちらは出力数の数だけ同様の装置がずらっと並ぶため、なかなか壮観です。またオシロスコープも用意します。

当時、OEM電源は2チームで開発を担当。各チームで1モデルあるいは2モデルを同時進行で開発していましたが、しばらくすると問題が発生しました。
「新しいOEM電源の動作確認をしたいのだが、DMMが足りない・・・」
そこでDMMの使用について「早い者勝ち」のような雰囲気が生まれて、一度手にしたDMMは引き続き使用するような予定を組み、常に手元に置いて確保というような状況が起きるようになってしまいました。これには参りました。「ごめん、しばらく空きがないなぁ」と先輩に言われればそれまでです。

かずお君は「ビビッ」ときた

DMM追加購入の具申も考えましたが、電源の多出力化はいつまで続くかわかりません。一過性の要求だったらもったいない気もします。しかし閃きは突然やってきました。

私の趣味はエレクトリックギターです。休日に、高中正義の「JUMPING TAKE OFF」を練習していました。曲の途中でギターの音色を変えるためにピックアップマイクを、フロントからリアへセレクタで切り替えます。「ビビッ」と来たのはこのときです。あ、感電ではないですよ(笑)。
沢山あるOEM電源の出力にセレクタをつけて切り替えてあげれば、DMMの台数を減らせるのではないかと。

月曜日、朝礼の後、セレクタの物色を始めました。オシロスコープの開発チームの部屋に使えそうなロータリースイッチがありましたので頂いてきました。何の回路用だったかは忘れてしまいましたが6接点のロータリースイッチでした。一方その時開発していたOEM電源は、5出力でコモンは共通でした。手早く配線の半田付けを済ませ、テスターで導通を確認。多出力OEM電源用出力電圧セレクタの完成です。

OEM電源からアラート音

早速、OEM電源に取り付けてパワーオン。セレクタを使って各出力の出力電圧を切り替えながら計測できるはずでした。しかしロータリースイッチを回すたびに、OEM電源から「ピッ」という音が出ます。この音は出力を短絡した時に出るアラートに非常に似ていました。「もしや」と思った私は、オシロスコープを使って電圧波形を確認しながらロータリースイッチを切り替えてみました。すると切り替える瞬間、隣の接点と接触しているような状態であることがわかりました。

そこで、ロータリースイッチについて調査開始です。当時グーグル先生はおろか、インターネットすらありません。書庫へ行ってカタログを調べます。
原因は切り替え方式でした。頂いてきたロータリースイッチの切り替え方式は継続(ショーティング)でした。従って、ロータリースイッチを切り替える瞬間、隣接する接点に繋がれた電源の出力が短絡される状態になり、そのとき「ピッ」というアラート音が発生していることがわかりました。

ロータリースイッチの切り替え方式に継続(ショーティング)と断続(ノンショーティング)があるなんて全く知りませんでした(図)。しかし、それらが用途に合わせた重要な機能であることを知ることができた良い機会でもありました。そこで再び社内を物色、断続(ノンショーティング)方式のロータリースイッチをせしめてセレクタ2号を作成。3年くらいの間でしたが、とても便利に使用しました。DMMをむやみに購入しなくてよかったと思いました。

ショーティングとノンショーティング

工夫は失敗を学びにかえるタネ

困った→工夫→失敗→学び、という、絵に描いたような学習パターンですが、人生はほぼこれの連続です(笑)。ここでのポイントは「工夫」でしょう。困った→無策→失敗の場合、最後は「悔い」か「トラウマ」かな?
以前の記事で「あがけ」と書きましたが、それは「工夫」と言ってもいいでしょう。困った→常套的な解決策、という筋書き(この場合はDMM追加購入)以外で何かないか?と考える。これ結構大事です。考えた(工夫の)結果がさらなる惨事に・・・ということもないとは言えませんが、若い皆さんはぜひ、前向きに考えて挑んで欲しいなぁと、昭和のおじさんは思うのです。

キクスイ製アプリケーションソフトは、ユニコードアプリといって日本語Windowsでは日本語を、その他のWindowsでは自動的に英語を表示します。ところが、あるアプリをヨーロッパで起動するとエラーとなって動かないという問題が発生しました。

数値表記ルールは万国共通ではない

原因は、小数点表記のローカルルールでした。実はフランスやドイツ、イタリアなどのヨーロッパの国々では小数点表記にピリオド「.」でなく、カンマ「,」が使われているのです。これは貿易実務をしている方ならご存知のことかもしれません。
たとえば、Excelで直接読み込めるCSVファイルはComma Separated Valueと言うように、カンマをセパレータとしたファイルですが、ヨーロッパでは小数点とセパレータがカンマでは都合が悪いので、セミコロンをセパレータとして使いSemicolon Separated Valueとなりますが、それでも呼称(CSVファイル)は同じです。

エラーのメカニズムとしてはこのようなものです。
たとえば「*IDN?コマンド」で機種情報を問い合わせると、菊水の電源はヨーロッパの空気を感じ取るように作られてはいないので「KIKUSUI,PCR6000LE,AB123456,5.02」と返してきます。これはカンマ区切りの文字列で「KIKUSUI,モデル名,シリアルナンバー,バージョン」を意味します。そこから、バージョン情報を抜き取り大小比較するために文字列を数値に変換します。もし日米等のWindowsであれば「5.02」 を数値に型変換しても何の問題はありません。
しかしヨーロッパ(のWindows)では、文字列「5.02」を数値に型変換処理しても表記が「5.02」のままだと数値として認識されないのでエラーとなります。ここは「5,02」に変換されなければならないわけです。

多言語対応ではカルチャ情報を適宜使う

Windowsプログラムの世界ではカルチャ情報という概念があります。ここでの意味は文化ではありません。 地域と言語の情報という意味になります。

文字列「5.02」を数値として型変換するときに、インバリアントカルチャ(地域のカルチャに依存しない) で変換してねと付け加えるとエラーにならずに、ちゃんと数値として計算処理されるようになります。画面で数値を表示する場合は、カレントカルチャ(現在のカルチャ)を使えば、地域に合わせた表示がなされます。
また、たとえば菊水の電源に送る電圧設定コマンド(VOLT XXXXX)について、ヨーロッパ表記「123,4」を米国カルチャで処理するように書けば、それは「VOLT 123.4」となります。

図1

図1カルチャ処理の例

MS-DOS時代はNECのPC98シリーズで動作すればよく、それはほぼ日本人向けでした。Windows3.1からWindows95時代は、日本語版と英語版を別アプリで用意していました。そしてWindowsXPの頃から .NET Frameworkの時代となり、日本語Windowsなら日本語で、その他のWindowsなら英語でと自動的に切り替わるユニコードアプリになり、加えて「ヨーロッパでの小数点処理」といったローカルルールに自動対応する方法も備わりました。

グローバル対応=共通化ではない

世はグローバル対応が当然という風潮で、この流れは止めようがありません。しかし「グローバル対応=共通化」ではありません。言語や文化、習慣といった「ローカル(地域性)」という現実は、なんだかんだ言ってもあるわけで、それを無視して製品仕様を共通化したところで受け入れてもらえるはずがありません。見かけは同じものでも、地域性から生じる差異を何らかの方法で誰かが埋める必要があります。
いずれはその仕事を「AI」が上手いことやってくれるのかもしれません。しかし当面は「人」であるソフトウェアエンジニアが、皆が見えないところでヒイヒイ言いながら対処してゆくことになるのでしょうね。

ということで、ヨーロッパは「てん(点)でダメ」というお話でした。
お後がよろしいようで・・・(笑)

ソリューション開発部で特注製品の設計を担当している加々見と申します。このコラムでは、環境(仕事)によって変化した私の意識(目線)についてお話ししたいと思います。

カタログ品製造担当時代の私

入社当初の私は、工場勤務で、いわゆるカタログ品(標準品)と呼ばれる製品の製造を担当していました。作業指示書の手順に従って、決められた部品を組み立てていき、動作の確認、調整試験といった流れに沿って製品を作ります。
高卒の私は電気的な知識も十分ではありませんでしたので、特に疑問を持つこともなく、与えられた仕事を黙々とこなすことで精一杯でした。また若かったので(今も若いですが・・・)、このような環境に慣れるのも早かったと思います。

この時の私の関心の中心は社内でした。あけ透けに言ってしまえば、上司や先輩です。(自分がする)仕事の良し悪しのモノサシは、上司や先輩がどう思うか。いかに社内で問題なく済ませるかでした。なので、何か問題が起きた時は、製品を使う人(お客様)にとってどうなのか?ではなく、「こうしないと上司に叱られる(=社内で問題になる)のでマズイな」と、少しズレた視点で物事を考えていました。

今思えば、めちゃくちゃ目線低かったな、と思います。足元だけを見て歩いているようなものです。とりあえず、自分の靴のちょっと先を見て、道に石ころや穴がなければいい、そんな感じです。若かったせいなのか(今も若いですが・・・)、当時の職場環境に慣れすぎてしまったせいなのか、そのように考えることに疑問を感じていませんでした。作っている製品についても、知っているつもりであって、実際にどのように使われているかを、ほとんどわかっていませんでした。

不思議なラジオCM

先日とあるお店に入った時、流れていたラジオを何気なく聞いていました。それはコマーシャルで、外国人向けに日本語を教えますというような日本語教室のものでした。詳しい内容を覚えていないのですが、この時こんな疑問が思い浮かびました。この放送を聞いて(お客様である)外国人に伝わるのだろうか?、と。私が外国に行ったとき、英語で話しかけられてもほとんど聞き取れなかった事を思い出します。

日本語でのラジオ放送です。日本語を教わりたいと思っている(日本語を知らない)外国人の方は、この放送自体を聞き取れないでしょう。となると、このコマーシャルは無意味としか思えません。伝えたい相手に、伝えるべき内容が届かない不思議なラジオCM・・・。そのとき「あ、なんか工場勤務時代のときの自分みたいだな」と思ったのです。

目の前の仕事(製造)は一生懸命におこないます。でもその先のこと(お客様の使用)には関心がほとんどないので、とりあえず目に入る範囲で問題がなければ(見えなければ)よし。このラジオCM自体(作品)は、素人の私が聞く分にはちゃんとしたCMでした。でも相手(外国人)のことを考えれば、言語は日本語ではないだろうし、ラジオ以外の媒体の方がいいような気もします。このラジオCMがどういった経緯で、ズレた結果になったのかはわかりませんが、想像するに、CM自体(作品)を作ることが目的になってしまったのかなと。

つまり目線がもう少し上にあがれば(伝えたい相手への想像力が働けば)、違った結果になったのではないかと思うのです。

で、今の自分はどうなのか?

現在は、特注製品を扱っていることもあり、製品の納品説明に伺うなど、実際にご使用になるお客様の元に出向き、直接お話しをさせていただく機会が多々あります。製品を設計、製造する仕事でありながら、お客様に近い立場でモノづくりができる環境です。どのような人に使ってもらい、どのような用途で使われるかを知っていることが、仕事のやりがいにつながることを日々実感しています。

自分が担当した製品を使っているお客様の姿を目の当たりにできる事は、とても素敵なことです。そういう風に考えらるようになった今の自分は、昔より少し目線があがったのかな、と思います。ただ目線の高さが身の丈を越えてしまうと、いわゆる「意識高い系」の人になってしまいそうなので、そこは要注意かもしれません。何ごともほどほどに、でしょうか。

こんなことを言っている私も、まだまだ未熟者で出来ない事も沢山あります。毎日のように問題にぶち当たっています。しかしそんな時にも、目線が下がらないように、この仕事は誰の何のため?という「そもそも論」に立ち返りながら、仕事に向き合っていければ、きっといい結果が出ると信じています。

なお、最後にお断りを。このコラムは「だから工場はダメなんだ」ということを言いたいわけではありません。工場のように分業が発達した職場(環境)は、次工程(最終的にはお客様)が見えにくくなりやすいということを、経験として知ることができました。なので、工場であっても、次工程(最終的にはお客様)を知ることで、より良くなるのではないかな、と思った次第です。その辺りは誤解のなきよう、よろしくお願いいたします。

こんにちは。ソリューション開発部の「カッキー」こと新垣(あらかき)です。
前回は大容量交流電子負荷(PCZ-A SRシリーズ)のことを書いたので、今度はそれを制御するアプリのお話をしようと思います。

Wavy(ウェービー)シリーズとは

キクスイの電源や電子負荷には、マウスを使ってお絵描き感覚&表計算感覚で簡単に装置を制御できる「Wavy(ウェービー)シリーズ」と呼ぶソフトウェア製品があり、これを使うとプログラム言語を知らなくても、装置の動作パターンを簡単に作成し実行することができます。
例えば、交流電子負荷を使って「CCモードで10秒間は10A流して、そこから3秒かけて2Aまで流す電流を下げていき、その後5秒間は2Aを維持する、それを5回繰り返す」等という制御をしたい場合どうするか。普通であればC言語等を使ってPCZに対してコマンドを送り制御することになるのですが、プログラム言語や装置の動作コマンドの知識が必要であり、正直なところ簡単とは言いにくいです。

これが交流電子負荷用のWavy(Wavy for PCZ1000A)を使えば、

電流: 2A、間隔: 2.5秒、遷移:ステップ
電流: 3.4A、間隔: 2秒、遷移:ステップ
電流: 5.3A、間隔: 2秒、遷移:ステップ
電流: 0A、間隔: 2.5秒、遷移:ランプ

のようなデータを、あたかも表計算ソフトのセルに入力するように編集し実行できるので、誰でも手軽に装置をシーケンス動作させることができます(写真1)。

写真1_Wavy for PCZ1000Aの編集画面

写真1

複数台制御はどうする?

しかしこのWavyシリーズには、制御条件があります。それは「制御できる電源、電子負荷の台数は1台」なのです。つまりアプリと(電源、電子負荷)装置は一対一ということです。
PCZ6000A SRを単相2線(6kW)の交流電子負荷として使うなら、標準のWavy(Wavy for PCZ1000A)で制御できますが、単相三線(3kW+3kW)なら2チャンネルの装置として、三相3線、三相4線の場合は、2kW+2kW+2kWの3チャンネルの装置として扱う必要があります。そうなるとチャンネル毎にWavyを複数個用意して、それぞれ別のPCにWavyをインストールして制御することになります。しかしそれは同期なども考慮すれば、操作性もさることながら非現実的です。

そこで、Wavyを3つ同じアプリ画面に入れて、3chを同期して動かすことができるPCZ-SR用Wavy(Wavy 3CH for PCZ-SR)を開発しました。これを使うことで3ch同時制御ができるので、

U相:100%負荷、V相: 50%負荷、W相: 50%負荷 から
U相: 50%負荷、V相:100%負荷、W相: 50%負荷 に変化させる

といったことを簡単に設定・実行することができます。
さらに、このPCZ-A SR用Wavy(Wavy 3CH for PCZ-SR)を使った荒技(?)をご紹介しましょう。

PCZ-A SRは9kWモデルが最大なのですが、それを3セット用意して、U相用1台、V相用1台、W相用1台とすることで、3相27kW負荷として制御することができます。もしくは3台を並列接続し一括制御すれば単相27kW負荷にもなります(図1)。

図1 27kW交流負荷システムの構築

図1 27kW交流負荷システムの構築例

この27kW負荷としての使用はカタログ等で紹介していませんが、バッチリ動作しますので交流の大電力負荷が必要な際はぜひご検討いただけばと思います。よろしくお願いいたします。

以上、「あらかき」による「あらわざ」のご紹介でした(笑)。

前回「こっそり学ぶC++」という記事を書きました。そこではVisual Studioを開発環境として使用しましたが、けしてお安くはない。そこでもっと安く、かつ手軽にプログラミングする方法はないかと。ありまずぜ旦那・・・そう、Excel VBAです。Windowsユーザーならインストールしているであろう表計算ソフトの代表格Excelに組み込まれている「Visual Basic for Applications(VBA)」。Excelには処理を自動化する「マクロ」という機能がありますが、そのコアとなっているのがVBAです。今回はこのVBAで、「こっそり学ぶC++」で作成したサンプルと同等のプログラムを構築してみたいと思います。

準備

Excel2013 を使って VBA (Visual Basic for Applications) のサンプルを構築する準備です。まず計測器との通信をおこなう制御ライブラリ(KI-VISA)をインストールします。KI-VISAのインストールについては、「こっそり学ぶC++(前編)」の3ページ目を参照してください。
インストールが上手くいったら、今度は、「こっそり学ぶC++(後編)」の1ページ目にある(写真7)と同じ画面を表示してみてください(写真1)。

図1

写真1

この画面で「visa32.bas」というファイルの中身があとで VBAのプログラミングで必要になりますので、メモ帳で開いておきましょう(写真2)。

図2

写真2

VBAによるプログラミング

Excelを起動してオプション画面を表示し、リボンの [開発] タブを表示するように設定してください(写真3)。

図3

写真3

次に[開発] タブを選択して、Visual Basicをクリックします(写真4)。

図4

写真4

Visual Basic Editor画面が起動しました(写真5)。

名称未設定

写真5

[挿入]メニューを選択して、標準モジュール をクリックします(写真6)。

図6

写真6

先ほどメモ帳で開いておいた「visa32.bas」というファイルの中身をすべてコピーし、モジュール1(コード)にペーストします(写真7)。

写真7

ペーストすると最初の1行目が、赤色表示(エラー)になっていますので、コメントアウト(「 ‘ 」を先頭に入れると実行コードではなく注記扱いになります)しましょう(写真8)。

写真8

次に、シート上に、ボタンを作成します。[開発] タブを選択して、挿入から”ボタン”コントロールをクリックし、続けてシート上をクリックします(写真9)。

図9

写真9

シートをクリックした瞬間、「マクロの登録」画面が表示されます。そして「新規作成」ボタンをクリックします(写真10)。

図10

写真10

Visual Basic Editor画面に、モジュール2(コード)が表示されます(写真11)。

11

写真11

これで準備は、整いました。次はいよいよコードの実装です。

コードの実装

次のコードを、Sub ボタン1_Click() と End Sub の間に、入力します(写真12)。

 Dim defaultRM As Long									
 Dim status As Long									
 Dim vi As Long									
 Dim count As Long									
 Dim txCmd As String									
 Dim rxCmd As String * 100									
     									
 status = viOpenDefaultRM(defaultRM)									
 If status <> VI_SUCCESS Then									
     MsgBox ("初期化エラー")									
     Exit Sub									
 End If									
    									
 status = viOpen(defaultRM, "USB0::0x0B3E::0x1014::nb003716::0::INSTR", VI_NULL, VI_NULL, vi)									
 If status <> VI_SUCCESS Then									
     MsgBox ("オープンエラー")									
     Exit Sub									
 End If									
 									
 txCmd = "*idn?"									
 rxCmd = Space(100)									
 									
 status = viWrite(vi, txCmd, Len(txCmd), count)									
 If status <> VI_SUCCESS Then									
     MsgBox ("送信エラー")									
     Exit Sub									
 End If									
 									
 status = viRead(vi, rxCmd, 100, count)									
 If status <> VI_SUCCESS Then									
     MsgBox ("受信エラー")									
     Exit Sub									
 End If									
 									
 viClose (vi)									
 viClose (defaultRM)									
 									
 rxCmd = Replace(rxCmd, vbCrLf, "")									
 Range("B2").Value = Trim(rxCmd)

図12

写真12

シートに作成された 「ボタン1」 をクリックしてみましょう。B2セルに返事が返ってくるはずです(写真13)。

図13

写真13

まとめ

いかがでしょうか? Visual Basicは比較的扱い易い言語ではないかと思います。ぜひ「こっそり学ぶC++」の記事もあわせてお読みいただき、トライしてみて欲しいと思います。

なお、この習作のサンプルを下記からダウンロードできます。
参考にしてみてください。

VB_sample.zip

車載電子機器での、(複数ライン)電源電圧変動試験の急な追加要求に対応する方法をご紹介するコラム。その後編です。よろしくお願いいたします。
前編では、バイポーラ電源PBZシリーズは入手しやすいが、課題はソフトウェアであると申し上げました。では、それをどうやって解決するか、その方法を以下にご紹介します。

設備

必要な機材等は(表1)の通りです。ここでの想定は複数ラインの電源を変動ですので、変動させるラインの数だけPBZシリーズが必要になります。(※1)

表1

(表1)に記載していますが、1ライン用のWavy for PBZとKI-VISAは、当社Webからダウンロードが可能です。ただしWavy for PBZは試用版ですので3週間しか使用できませんが、「今すぐ試験がしたい」という場合には十分な期間と思われます。
(今回の方法でしのぐ間に、Wavy for PBZ(今後の事を考えると5ch版の特注Wavy for PBZ)をご購入いただくことをお勧めします)

※1:+BまたはBATT等のラインに電源電圧変動が無い場合は、+BまたはBATTラインにPBZシリーズを用意する必要はありません。通常のスイッチング電源等を用意し、指定の電圧で出力しておき、他のラインを変動させることで対応できます。

PBZシリーズの設定

まずはPBZシリーズの設定を確認します。以下の手順で設定してください。

① 操作パネル:CONFIGキーで3/7頁を選択しSYNCHROUSを設定します。
BATT(または+B)ライン(BATTラインが無い場合はACCライン)をMASTERに設定します。その他のラインはSLAVEに設定してください。
② CONFIGの6/7頁のINTERFACEでTYPEがUSBになっている事を確認します。

以上を全ての機器で確認します。

機器の接続

PBZシリーズ間の同軸ケーブルの接続方法を(図1)に示します。(※2)
同軸ケーブルの接続が終わりましたら、PBZシリーズの出力と供試品の入力を接続します。
なおクロック同期が必要でない場合は、10MHz OUTと10MHz INの接続は不要です。

図1

図1 同軸ケーブルの接続方法

※2:オプションのOT01-PBZを使ったシステム構築の場合は、この同軸配線とは異なりますので、接続を変える必要があります。

シーケンスデータの作成と試験実行

Wavy for PBZを起動した後、以下の手順でセットアップします。

① メインメニューの設定>インターフェースを選択します(図2)。

図2_インターフェース設定画面

図2 インターフェース設定画面

② USBを選択し、機器[PBZ]の製造番号にスレーブ機のシリアルを入力します。
③ [接続テスト]を押します。問題がなければ、「KIKUSI,PBZ(形名),(シリアル),(バージョン)」が表示されますので、[OK]をクリックして下さい。
④ インターフェース画面の[OK]ボタンを押してインターフェース画面を閉じます。
⑤ シートにデータ(変動パラメータ)を入力します。
⑥ インメニューのシーケンス>転送を選択します。(図3)
⑦ 書き込みの[実行]を行います。確認のメッセージが表示されますので、[OK]をクリックして下さい。

図3_転送画面

図3 転送画面

⑧ 転送画面の[閉じる]ボタンを押して転送画面を閉じます。
⑨ 他のスレーブ機及びマスター機も上記①から⑧の手順で設定します。
⑩ 全てのPBZの[RUN/PAUSE]キーを押します。PBZの液晶画面が「SEQ. EXECUTION」になっていることを確認してください。
⑪ 試験前にDC電源を供給する場合は、マスタ機の[OUTPUT]キーを押します。マスタ機と連動してスレーブ機もOUTPUTがオンします。
⑫ マスタ機の[RUN/PAUSE]キーを再度押すとシーケンスが開始されます。シーケンスが完了するとPBZの液晶画面は通常の画面に戻ります。
⑬ シーケンス動作終了後、[STOP]キーが点灯していますので、[ENTER]キーで解除します。
⑭ 再度試験を行う場合は、上記⑩から⑬を繰り返します。

複数の試験を行う場合

Wavy for PBZでPBZにシーケンスデータを転送する時に、プログラム番号を変えて保存することで、複数のデータを保存することが可能です。保存できるプログラム数上限は16で、PBZのシーケンス開始前(液晶画面が「SEQ. EXECUTION」のとき)に選択が可能です。
このプログラム保存機能をうまく活用することで、面倒な作業がかなり軽減できるかと思います。

現場のパソコンがスタンドアロンまたはパソコンがない場合の対応方法

試験場所によっては、パソコンがあってもネット接続不可や、パソコン(データ等)持ち込み不可といったケースもあり、簡単にアプリ等をダウンロードできない場合もあるかと思います。

専用の波形ライブラリを持ったアプリ、シーケンス作成ソフトWavy for PBZはいずれもPBZシリーズ本体内蔵のシーケンス機能を使っています。よって、以下の手順をとることで、パソコンなしで試験を行う事が可能です。

① マスタ機、スレーブ機の設定を行う
② 前述を参照に同軸ケーブルや供試品との接続を行う
③ PBZシリーズ本体のパネル操作(手入力)でシーケンスデータをライン毎に設定する
④ マスタ機でシーケンスを開始する

しかし、この方法はシーケンス入力がかなり面倒であり、入力したデータに相違がないかの確認も(オシロ等も使って)一度動かさないと分りません。あくまで使用環境が整っていない場合の緊急対応方法であり、あまりおすすめは出来ませんが、参考としてご紹介させて頂きました。

結局どうすればいい?

前後編とご説明して参りましたが、「で、結局どうすればいいのか?」と。
比較的簡単なのはKES7400シリーズの導入ですが、(自分で言うのもなんですが)それは時間もお金もかかります。

私的なおすすめとしては、前編でご紹介したWavy for PBZの特注5ch版を「いざかまの備え」としてご準備いただくのがよろしいかと思います(図4)。

図4_Wavy for PBZ 5ch版の同期実行画面

図4 Wavy for PBZ 5ch版の同期実行画面

5ch版特注Wavy for PBZを使えば、初期設定の手間やPBZシリーズのパネル操作は一切不要となります。また各ラインの変動パターンを1画面で確認できますので、設定ミスも少なくなり、信頼性の高い試験を行うことができます。PBZシリーズ本体はレンタル等でも調達可能ですので、スポットでの試験が多いのあれば、5ch版特注Wavy for PBZを手元に用意しておくと安心できるのではないでしょうか。

手前味噌ですが、これ本当に便利なんです・・・
自信を持ってオススメします。

昨今、カセットテープやフィルムカメラといった、アナログテクノロジーが復活するニュースを耳目にします。この流れに乗って、シリーズドロッパ方式の復権を企みたいアナログ電源の求道者こと、高橋です(笑)。
さて、今回も私の「ひよっこ」時代のお話です。年末の恒例行事といえば大掃除ですが、毎年大掃除を迎える時期に思い出す出来事があります。それが「相回転(そうかいてん)」にまつわる失敗談です。

シリーズドロッパ電源の効率改善

かれこれ25年以上昔の話になります。そのころはまだ、スイッチング電源が主流ではなく、試験用直流電源としてはシリーズドロッパ方式が全盛。そして当時の設計課題のひとつに「出力定格以下での効率改善」がありました。トランスの出力をそのまま使えば、力率は良いのですが、低い出力電圧時に、制御トランジスタにかかる電圧が大きく、損失が大きくなり、効率が悪くなります。

出力電圧や入力電圧の変動に影響されず、制御トランジスタにかかる電圧を一定最小限にして、損失を抑えるよう制御するのが位相制御回路ですが、導通角を狭めて電圧を下げるため、低い電圧では、力率が悪かったり、高調波電流が流れたりします。制御トランジスタの損失が一定であれば、トランスの出力電圧は、フルに使った方が良いのです。

移行型三相フルブリッジを試案

古の先人たちは、トランスの電圧がフルになるように、トランスのタップを切換えて、段階的に力率を良くしたり、トランスの出力に合わせて整流方式を変えて、段階的に電圧を変えるなどの手法を取ってきました。そこからヒントを得て、私は移行型三相フルブリッジの位相制御を検討することにしました。

三相の位相制御を、電圧の低い時は相電圧を使った三相ブリッジで整流し、電圧が上がってきたら、三相ブリッジを全導通させて、OFFさせていた下側のSCR(サイリスタ)を動かして、線間電圧を制御するフルブリッジに移行する回路です。設計は順調に進み、(図1)の消費電流グラフのように、中間域の出力電圧に対する効率改善を確認できました。

図1 消費電流グラフ

新年の仕事始めで2倍の電圧が!

考案した方式の目処が立ち、気分良く年末を迎えました。大掃除で試作機の配線を外して、作業所やデスクも掃除。納会を終えて、そして新年を迎えました。
会社行事の初荷のあと、試作機の電源配線をし、試験の再開です。ところが年末順調に来ていたはずが、いきなり想定の2倍の電圧が出ました。いったい何が起きたのかわからず、正月気分が一気に飛びました。

原因は大掃除で配線を脱着したことにありました。大掃除で配線を外すまでは、試作機の端子と入力相(U、V、W)の結線は一定で、相の組み替えは行っていなかったのです。いわゆる「相回転」というもので、U相の電圧信号で、V相をドライブすると、U相は、0VでもV相は、120°位相が進んでいるため、フル近くの電圧をドライブすることになります。

三相入力の電源は、入力の配線と位相制御するSCR(サイリスタ)、SCRをドライブするゲートパルスの関係が一致していないと、位相制御がリニアに動かず、電源を入れた途端、フルの電圧に上がったり、定格電力を取ろうとしても位相制御が逆に働いて、電力不足になったりします。

試作機ではこういった入力の「相回転」を全く考えていませんでした。この出来事から、相電圧から線間電圧に移行するトリガになる「ゲートパルス」の作り方をよく考えないとまずいなという教訓を得ました。また対策として、相電圧を検出して、相が違うと出力をOFFさせる回路の追加が起きてしまいましたが、これが納入後の客先でなくて良かったと、つくづく思いました。

大掃除はリセットでもある

さて、みなさんの職場での大掃除はいかがでしょうか。立て込んでくると「暮れも正月もない!」というブラックな状況もありますが、大掃除は「リセット」のいい機会です。職場がキレイになれば気分もいいですし、のめり込んで見えなくなっていた「穴」に気づくこともできます。 あらためて言うほどのことでもありませんが、単なる清掃と思わず、大掃除は仕事の「リセット」でもあるとして、きちんとやりたいものです。

テレビタレントや芸人の世界で、相手の意外な反応で笑いをとるために、唐突に話題を振ることを「無茶ぶり」と言いますが、私が担当する車載電子機器試験器では、電源電圧変動試験の急な内容変更(追加)という「無茶ぶり」がたまに起きます。

電源電圧変動試験で追加要求が起きやすい理由

車載電子機器の変更や追加、搭載数の増減等があった場合でも、一般的な評価試験(温湿度、耐水、耐振動、耐衝撃、過渡サージ耐性等)についてはその方法が大きく変わる事は殆どありません。(※1)

車載電子機器の変更や追加で評価方法の変更がされやすいのは、その変化に気付きやすく、明らかに今までと異なる場合です。電磁環境等はその変化に気が付きにくい例ですが、逆にすぐに変化が現れる例がバッテリです。バッテリの負荷が変わることで変化する電力環境、すなわちバッテリ電圧の変化はすぐに発露します。

新たな電力環境(バッテリの電圧変化)が生じた時、車載電子機器の耐量、耐性確認が、今までの試験ではカバーできない(またはカバーできるか分らない)となります。このため自動車メーカ様はその挙動を試験パターンにして車載電子機器メーカ様に追加評価を依頼します。例え今問題が起きていなくとも、そのままにして市場で何か起きると問題になりますので、放置するわけにはいかないからです。

上記のような理由により、国際規格とは異なり改定版への対応には猶予期間が殆ど無い例が多々あります。このような背景から、車載電子機器メーカ様から「急に試験が追加されたのでその評価を今すぐ行いたい」というご要求(無茶ぶり)が、当社に寄せられてくるわけです。

そこでこのコラムでは、こういった急な電源電圧変動試験の追加要求に対応できる、2つの製品とその使用方法をご紹介したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

※1:「○○搭載車は□□試験を実施。○○非搭載車は△△試験で省略可」等、試験の付帯条件が変わる事はあります。

KES7400シリーズの場合

キクスイは電源電圧変動試験に特化した「KES7400シリーズ」(写真1)を、2005年から販売しており、この電源と専用のアプリケーションソフトウェア「KES7100」を組み合わせることで、電源電圧変動試験を行う事ができます。

写真1

写真1 KES7400シリーズ

KES7100にはISO7637-2規格の変動パターンが登録済みであり、お客様のご要望の変動パターン(※2)や規格各種(※3)をあらかじめ登録する事も可能です。試験は登録済みパターンを呼び出してパラメータを変更するだけの簡単操作で実施可能です。登録されていない試験を行うには、任意波形試験条件編集モードで変動パターンの選択やパラメータの編集を行う事により対応が可能です(図1)。この任意波形試験条件編集と同期運転台数を設定して頂くことで、複数ラインの電源変動試験を行う事が可能です。

図1 KES7100ソフトウェアの任意波形作成画面

なので、急な追加要求に対応できる電源変動試験器としては、このKES7400シリーズ(およびソフトウェアKES7100)を所有していれば比較的簡単に追加試験を行う事ができます。しかし、ここで残念なお知らせがあります。それはこの製品が特注品であり、一般のバイポーラ電源よりも高額です。また、即納はできません。

そこで次にご紹介するのが、キクスイの「インテリジェント・バイポーラ電源PBZシリーズ」を使った方法になります。PBZシリーズであればカタログ製品ですので、(在庫があれば)購入してすぐに試験をおこなうことが可能です。
今まで電源変動試験を行っているのであれば、所有している可能性も高いと思います。

※2:別途費用が発生します。
※3:対応規格については当社営業担当までご連絡ください。

バイポーラ電源PBZシリーズの場合

さて、PBZシリーズ自体はカタログ品ですので、在庫さえあればハードの入手は簡単なのですが、問題はソフトウェアです。

過去、PBZシリーズを使用し製作した電源電圧変動試験システム(特注品)では、波形ライブラリをプリセットしたアプリを開発するケースが多かったのですが(図2)、ユーザによる波形追加はできない仕様がほとんどでした。そこで、任意の変動パターンを行う場合は、シーケンス作成や実行が簡単に行える「シーケンス作成ソフトWavy for PBZ」を使用します。

図2 専用ソフトウェアの波形ライブラリ

Wavy for PBZはエクセル形式の表(シート)にパラメータを入力する事で試験パターンの作成が可能となります(図3)。Wavy for PBZには1ライン用と、特注製作の多チャンネル用(5ch)があり、複数ラインの制御の場合は5chの特注Wavy for PBZが大変便利です。

図3 シーケンス作成ソフトWavy for PBZ

しかしここでも残念なお知らせが。波形ライブラリがプリセットされた専用アプリや、5chのWavyは、特注扱いのためすぐにご用意することができません(申し訳ありません・・・)。

では、今すぐ試験したいという場合はどうしたらいいのか?
その方法は後編でご説明したいと思います。
ご期待ください。

キクスイで特注品(ソリューション製品)の世界に足を踏み入れてうん十年。様々な製品に関わると同時に、失敗も積み重ねてきました。今でこそ、後進に教訓めいた物言いをする私ですが、それは過去の手痛いトラブルがあればこそ。私の半分以上はトラブルの経験で出来ていると言っても過言ではないです。

トラブルというとネガティブなイメージがありますが、難局を切り抜けた経験は宝です(その時は辛いですが)。怠惰や不注意でのトラブルは論外ですが、真摯にやったにもかかわらずトラブルに遭遇した場合、それは「神様の贈り物」。そう受け止めるのがいいかと思います。というか、そうでも思わないとやってられません!(笑)
ということで、私が新人時代に貰った神様からのプレゼントのお話をしたいと思います。

初めて任された大型システム

これは新人時代に、初めて大きなシステム(数十chの電源システム)を任された時のお話です。システムは同じ電源を数十chというものではなく、電圧・電流の仕様も様々、出力形式も直流電源・バイポーラ電源・極性切り替え電源(※1)と十数種の電源を1台〜数台ずつ組み合わせた電源システムでした。お客様のシステム全体では100チャネル規模で、当社はその一部を請け負うというものでした。

お客様の仕様の主なポイントは、「①定電流モードで使用し、安定度が良いこと」「②電流の設定・モニター類は、電源の出力と絶縁されていること」でした。
私は、お客様のコントローラとのインターフェース部の設計と全体の仕様と設計をまとめる主担当をまかされて、数人の課員と手分けをして設計を進めていきました。
それまでの経験から、安定した「基準電圧」「誤差増幅器」「電流検出器」を組み合わせていけば良いと、設計作業を進めていきました。そして、部品を発注し、組立・配線を行い、火入れ調整に進んだタイミングで問題が発生しました。

※1:直流電源の出力極性をリレーなどで切り替えられるようにしたもの

原因は気軽に選んだ「絶縁アンプ」

データ取りを始めた現場から連絡が入りました。電流設定値に対して出力電流の安定度の性能が出ていないと。そこで各部の電圧を確認すると、安定していなければならない基準電圧が動いていました。犯人は、お客様のコントローラと電源の間に入れたインターフェース部の「絶縁アンプ」でした。

当時の私は絶縁アンプの使用経験が無かったのですが、先輩が使っているから大丈夫と普通のOPアンプと同じつもりで採用しました。そこであらためて絶縁アンプの仕様を見ると普通のOPアンプに比べて、オフセットが大きく、また、温度特性も少し悪かったのです。
さらにアンプの個数を減らそうと、絶縁アンプにゲインを持たせて使用していたためにオフセットもゲイン倍され、それも安定度を悪くする一因になっていました。先輩が使っているから大丈夫だろうと、実は自分で素子の仕様を確認していなかったのです。初歩的なミスです。やっちまいました。

早速、手直しです。対策は「①絶縁アンプを安定度の良いグレードのものに変更」「②絶縁アンプはゲイン1で使用」「③ゲイン用のOPアンプは絶縁アンプの前段にする(絶縁アンプの入出力を高い電圧で行うことでオフセットの影響を小さく)」です。
課員全員の応援をもらい、数十チャネル分の手直し改造を行い、なんとか納期に間に合わせることができました。大反省すべき失態でした。

次の贈り物は原因不明のハンチング

規模の大きなものになりますと現場での立ち上げ、動作確認、立ち合いが行われます。
このシステムでも数日間の作業を数回に分けて、現場搬入から動作確認、立ち合いまでを行いました。「仕事は、段取り八分」と言いますが、作業要項・試験要項などの事前準備をしっかり行っていたことで、ここでは特に大きな問題も無く終えることが出来ました。

私としては大きな仕事が終わり、ほっとしてやれやれというところでした。しかし神様はこの後にも新たな贈り物を用意していました。お客様からトラブルの連絡を戴いたのは、納入完了数カ月後でした。症状は「出力が不安定になり、電源から異音がする」というものでした。

とりあえず症状を確認し、原因を検討するために現場に急行します。トラブルが発生する電源は、シリーズレギュレート方式の直流安定化電源でした。症状はハンチング(※2)の発生です。ハンチングは出力電流の増減に関わらず起きるようで、再現性が低く症状が一定していませんでした。

そこでできる対策として、位相制御の誤差増幅器の調整を行ったり、各部の波形を観察した結果、AC入力ラインからトリガとなるようなノイズが侵入し、原因となっているようだということがわかりました。お客様のシステムでノイズを発生するものが無いか確認しましたが、ノイズを発生するものは無く、トラブルが起きているのは当社の電源だけなので、早く対策するようにとの要望でした。

※2:シリーズレギュレート方式の電源は、位相制御形プリレギュレート部とシリーズトランジスタ部で構成されています。ハンチングは、この位相制御形プリレギュレート部の動作が不安定(発振)になることを言います。間欠発振すると、チョーク、トランス、などから異音が発生します。(当社ホームページ「ナレッジプラザ 電源の基本原理について」もご参照下さい)

真犯人は他にいた

上司に相談し、AC入力ラインにフィルターを追加することを試み、フィルターの定数をいろいろ変えてみましたが、なかなか決め手となる定数が見つけられません(当時小電力用のフィルターは市販されていましたが、大電力用は手作りでした)。
部材を手に入れては、対策を試みることを繰り替えし、トラブル対応の訪問回数も既に3回。なかなか解決することが出来ず、納入から半年近くが経過しており途方に暮れてしまいました。ときに神様の贈り物は過酷です。

しかし幕引きは突然やって来ました。次回の訪問の準備をしている時、お客様からトラブルが解決したとの連絡が。原因は、お客様のシステム内にある他社製の大電力パルス発生用電源がノイズ源であるとのことでした。トラブルは当社だけでなく、お客様のコントロール系の機器も誤作動を起こしていたので、お客様でも原因の検討を行っておりました。

トラブルは、原因となる電源と同じAC入力・アースラインを共有している機器で発生しており、芋づる式になっているアースラインにも原因がある様でした。お客様は、原因となる電源のAC入力・アースラインを独立して敷設し直しました。また、誤作動が発生しているアースラインを改善した結果、二度とハンチングは発生しませんでした。

結局、原因は他社製の電源ではあり、対応のための数ヶ月間の私の労力は意味がなかったわけですが、製品設計においてアースとコモンが大事な要素であることを認識する良い経験となりました。

さて、まもなくクリスマスです。
サンタクロースは大人になると来なくなります。
しかしこの神様のプレゼントは、どうやらそういったことはないようです。
なぜなら・・・私のところには毎年何かが贈られて来るからです(笑)。

来年はもう遠慮したいな。
私の引き出しの中は宝でいっぱいですよ・・・。

こんにちは。ソリューション開発課の千葉と申します。本コラムは、私が担当した製品での経験談です。
製品設計において回路図は重要(というかそれがないと始まらない・・・)ですが、完璧な回路図さえあれば、性能を満たした製品が作れるわけではない、というのが今回のお話の趣旨です。

規格改定にあわせて改造した製品が上手く動かない

私が担当した製品は電源変動試験をするための製品で、電源装置の出力に追加したスイッチをソフトウェアによってON/OFFさせることで、電圧を急瞬に変動させるという試験装置になります。
そもそもベースとなる電源装置にはソフトウェアで設定した通りに電圧を変動させる機能はあるものの、電源変動試験の一部規格に求められるような、急瞬に電圧を変動させるという動作には対応できませんでした。そこで、出力段に追加したスイッチをON/OFFさせることで、それを出来るようにしたわけです(図1)。

図1

この製品は、私が担当する以前から実績のあるもので、今回、規格の一部が改定されたため、顧客より改定された規格に対応した製品の要求がありました。規格の改定内容もさほど大きな改定でないという見込みがありましたので、実績のある製品を元に一部の回路構成を変更したのみで部品配置もほぼ以前のまま製作へと進みました。

数週間後、実際に製品が組み上がってきました。いざ電源を投入!
ところが、改定された規格に則って動作させるとスイッチOFF時のアンダーシュートが以前の(改造前の)製品より大きい等、波形が乱れる現象が発生。
原因の切り分けのために、試しに改定前の規格の測定条件にて動作させたところ、実力は以前の製品と同等であることがわかりました。

では、なぜ今回の測定条件で、以前の製品よりも大きなアンダーシュートとなったのか。

原因は「寄生インダクタンス」

規格で規定されている電源電圧の変化量としては旧規格、改定規格共に同じ。違いは負荷の抵抗値です。 以前は数百KΩという高抵抗で今回は数Ωという低抵抗でした。言い換えると負荷電流が大きくなったということになります。

大きな負荷電流が流れている状態から急瞬にOFFして流れていない状態へ。以前の規格と電圧変化は同じものの、電流の変化量が異なっていました。つまり今回は、電流の変化量が大きいため、配線の「寄生インダクタンス成分(回路図上に出てこない誘導起電力)」が以前よりも、より大きく回路に影響する状態となっていたのです。

また、内部の部品配置・配線をよく見ると電源ラインとGNDラインの部品が離れており、プラス側の配線が長く、またマイナス側の配線も離れており、大きなループを描くような配線構成をとっていました。この構成も悪く、余分な寄生インダクタンスを持つことになっていました。

見えない敵を封じ込める

原因がわかれば、あとは対策です。

まずはスイッチング速度が求められる規格に対し、必要以上にマージンを持たせ早く設定していたため、スイッチング速度を調整しました。
次は配線のループです。理想的には部品配置を近くに変更して、配線を極力太く短く(=ループを小さく)すれば、寄生インダクタンス成分を減じることができるはずですが、部品配置の変更は時間の大幅なロスとなってしまうので、この変更は見送りました。

そこで配線の変更をおこないました。幸い、この製品の配線は基板上での配線でなくケーブル配線によるループだったため、その場で可能な対策として配線長を見直して、電源・GND配線をツイストして(撚り合わせて)、ループが小さくなるようにしてみたところ、寄生インダクタンスの影響をかなり抑えることができ、最終的に改造以前と同等の性能が出るようになりました(図2)。

図2

図2

電子回路には見えない魔物が棲んでいる

みなさんご存知の通り、電子回路には、寄生成分や浮遊成分と呼ぶ「設計者が意図しない抵抗、容量、誘導等の成分」があります。しかしそれらがどのようなかたちで現象として現れるのかは、実際にやってみないと分からないことの方が多いように感じます。それらをモデリング出来る回路シミュレータもあるようですが、もう一歩かなと。

本件は、限られた時間の中での対策だっため、これが最良策というわけではなく、まだ改善の余地はあります。しかしこの件で、回路図上は「ただの線」で表現される配線が、製品においては特性を追い込む重要なファクタになるということの実際を知ることができたので、私的には良い経験になりました。

規格は変更となる記載内容が実際の動作にどのような影響を与えるかをよく考えること。また回路図上での動作のみでなく、部品配置や配線などによる寄生成分を事前に想定しておくことが、改めて重要だと身をもって感じた仕事でした。

以上、電子回路には見えない魔物がいると思って臨みましょう、というお話でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

システム技術課で特注品製作を担当しております板垣と申します。
若い頃は「標準品(カタログ品)」にかかわっていましたが、いつの間にか「特注品」との付き合いの方が長くなりました。このコラムでは、その「特注品」についての四方山をお話したいと思います。
さて、みなさんは「特注品」にどのようなイメージをお持ちでしょうか?

特注品は創作料理

「標準品」は、時間と手間をかけて、設計検証(必要な試験やデータ採り)と試作を積み重ね作り込む、完成度の高いものです。ラインで繰り返し生産されても、品質がブレることなく一定の性能が保証されるものです。
一方、「特注品」は、標準品の設計技術をベースとして、特注品の製作実績で培ったノウハウとお客様の要望(仕様)をミックスして「創っていく」もので、一品料理、しかも創作料理です。

その創作料理をお客様に気に入ってもらえた時はとても嬉しいものですが、ただ難点があります。それは再現性です。考案の元になる基本設計はあるものの、所与の条件(材料、設備、予算、納期など)がいつも同じとは限らないので、実は「追加製作」というのが大変なものでもあります(大変ありがたいことではありますが)。
しかし、その創作料理が追加で注文されたときに、同じ味が出せるかが技術者としての「腕の見せ所」であり、そこが特注品仕事のおもしろさでもあると思うのです。

リピートオーダーがきた

まだ若い頃、同じ味を出し切れなかった時のお話です。
同じ味を出し切れなかったのは、定電圧のバイポーラ電源でした。バイポーラ電源は両極性の電源ですから、電流を供給するだけでなく、吸い込むことも出来ます。電源ですから、仕様としては、使用電圧/電流範囲、周波数応答特性、リップル/変動などの特性、保護機能、操作機能についてお客様と打ち合わせして設計を進めていきます。このあたりまで決まっていれば、ほぼ九割方問題なく進められます。

設計が終わったら、部品を手配して組立配線を行っていきます。組立が終われば慎重に通電をして性能を確認していきます。性能の確認も決まった負荷状態での仕様の確認(負荷が一定なので静特性と言います)から、負荷が変動する状態での特性の確認(動特性や過渡特性といいます)まで行ったので、自信をもってお客様に送り出したことは言うまでもありません。1号機は、無事お客様に届けられ、特に問題なく使用されました。

1号機はお客様に気に入っていただけたようで、数年後、リピートオーダー(追加製作発注)を戴きました。それまで特に問題なく使用されていましたので、2号機も1号機と同じように部品を手配して組配・調整・動作確認を行い、データ上は特に何の問題もなくお客様に届けられました。

2号機で不具合発生

2号機納入から数か月後、お客様から問い合わせが舞い込んできました。ある被試験物に対して1号機で問題なく試験できるが、2号機では電圧が下がってしまうと言うことでした。
電圧が下がるというお客様の情報から、お客様の使用条件が電流の定格範囲を超えているために電圧が下がっていることが推測されるのですが、1号機が下がらないのに2号機が下がるというお客様の指摘です。2号機は、1号機の性能確認で残された動特性の電圧電流波形をもとに確認・比較していたにもかかわらずです。

まずは現象(事実)を確認しないことには話が進みません。計測器を抱えてお客様の実験場にお邪魔し、電圧波形と電流波形を取らせていただきました(被試験物は内緒です)。結果は予想通りでした。お客様の使用条件が電流の定格範囲を超えていました。
定格範囲は超えているのは、数msの時間でした。そうです、もうお分かりになったと思いますが、1号機と2号機の違いは、過電流保護の応答時間の差でした。過電流保護の応答時間は仕様書で規定していない項目でした(記載されることがあっても○○ms以内など大まかな括りで表記されている項目です)。

原因はグレーゾーン

このバイポーラ電源については、過電流保護の回路定数は固定で、無調整の項目でした。誤差増幅器、回路の部品は同じものを使用していても部品の定格の誤差分変わってしまう設計でした。なお、誤解があるといけませんので、一応申し添えますと、過電流保護動作の時定数を仕様化することはできます。ただその場合は、動特性(変化の時間や値)の条件付きが必要です。

杓子定規な見方をすれば、仕様事項の確認漏れということになりますが、実際は仕様書で全てを書き記すというのは、困難(というか原理的に不可能)です。仕様書を作る第一義は「決めることを決める」、「全部は無理だけど、双方が必要と思う項目を文字化、数値化して共有しましょう」です。なので、どんな精緻な仕様書にも、漏れというかグレー(記載必須でない、もしくは記載困難)な領域が必ずあります(最近は「オフホワイト」とも言うらしいが)。仕様書は完全性や網羅性を担保しているのではないのです(これを勘違いをされている方は結構多い)。

こういった仕様外の特性や性能については、対処を間違えると、「普通はこうだろう」や「特に指定がなかった」といった当事間の思惑違いがこじれて、いわば炎上してしまったりします。なので可能な限り、仕様書に記載するように努力をするべきですが、それでも「未記載事項」や「未確認事項」は存在します。なおベテランになって、経験値が上がってくると、要求仕様(製作物)によって、項目として確認しておいた方がいい仕様(落とし穴)が「皮膚感覚」でわかるようになるので、炎上のタネはだいぶ減りますが、それでもゼロにはなりません。

特注品仕事のおもしろさ

幸いなことに、このお客様については、原因(特性の違い)を説明したところ、ご理解をいただけたので、2号機の特性を調整し、1号機と同じ様にさせていただくことで事を収めることができました。また同様な特注品をご発注される際には、過電流の特性についてのデータを提供していただくことを、あわせてお願いしました。

「特注品」は、こういったグレーゾーンが常に付いてまわります。自分と特注品仕事との相性は、このグレーゾーンをどう考えるかでしょう。俗に言う「三遊間ゴロ」を拾うか否かみたない話で、そこは私の仕事じゃない(責任はない)というタイプの人にとっては、かなりストレスフルな仕事でしょう。でもそこを拾ってどうさばくか。それが「腕の見せ所=おもしろさ」になる仕事でもあります。

そして、ゴロが飛び交うのは「現場」です。刑事ドラマなどで「現場百篇」という言葉が登場しますが、それは特注品仕事にも当てはまります。グレーゾーンと現場が好物。そんな人が特注品仕事と好相性なんだろうなと思います。
グレーゾーンが原因の不具合で狼狽えているうちは、まだまだひよっこ。目がランランとしていればそれはベテランになった証でしょう。え?私はどうかって。時々死んだ魚の眼になってますが、気にしないでください(笑)・・・まだまだ精進・精進。

私達の業務は、顧客の要求仕様を基に設計し、製品を組み立てていきます。その過程で「図面を書く」という仕事は、非常に大事な要素を有しており、私は特に注意を払っています。
なぜなら、図面の出来具合は、製品工程に大きな影響を与え、また改修があった場合には、設計及び作業効率にも関係するからです。 そこで、私が図面作成に対して、なぜ注意を払うようになったのか。その元となった2つ出来事について、お話したいと思います。

我流の表記ルールはNG

一つ目は、製品の機能追加が発生したことによる配線改修でした。改修内容は、単純に配線の追加、またはそれまであった配線を撤去するだけというもので、特に難しいことではありません。しかし、いざ改修を行おうとした時、現場で問題が発生しました。配線を追加することはできるのですが、撤去する配線が分からないとの報告が。出向いて詳しく調べてみると、製品を組み立てた当時、私の制作した電気配線図面の分岐点が全て「・」印で表記、つまり分岐箇所を明示していなかったため、分岐の判断は配線業者がしていたのです。(図1)。

(図1)電気配線図面誤表記の経緯

それから数年たった今、改修しようにもどこから配線を分岐させているのか、当の業者本人も分からない状態に。「・」印は主にシステム全体を表す構成図等で、システム内の各ブロックが並列に繋がっていることを表現するために、使用されることがあります。しかし、電気配線図面で使用してしまうと、どこから配線を分岐させるかまでは表現できません。例えば、入力側端子台から分岐させるのか、または出力側の端子台から分岐させるのか等です。電気配線図面において、配線の分岐を表すには、分岐させたい箇所から斜線で引出す必要があります(図2)。

コラム40_図2

(図2)電気配線図面における分岐の正しい表記

なぜ「・」印を使用し図面を製作してしまったのか、どこからかコピーしてきたのか?、はたまた付き合いの長い配線業者だったために過信して、配線しやすいように任せたのか、今となっては原因の特定すらできません。結局、配線の分岐点を確認するため、撤去する必要のない箇所まで配線を外すこととなり、改修作業を行う担当者には大変な迷惑をかけてしまいました。

この失敗から学んだことは、図面を書くためにはルールが定められており、そのルールを守らないと苦労することになる、といったノウハウ的なことでした。この経験を経たことで、付き合いが長くとも業者任せにせず、効率良く配線を行うために、部品の実装位置を確認し最短距離で、また影響を受けそうな配線との離隔等を考慮するといった、当り前のことをより強く意識し、自分で考え指示をするようになりました。

私のとあなたの「普通」は違う

二つ目は、自分の設計意図通りに、製品が組み上がってこなかったことです。自分ではわかりやすく図面を書いたつもりだったのですが、部品の取り付け方、配線の引回し、線種等が意図と違ったこととなっていました。修正を頼むと時間がかかるので結局自分で直すことに。このおかげ(?)で、半田、圧着作業は上達しましたが、時間と労力を使い、そして製造部に対して「どうして分からないのだ」というストレスを持つようになりました。

しかし、一方的にイライラしていても仕方ないので製造部に行き、話を聞いてみることに。すると「自分はそう思ったから」、「普通はこうでしょ」、「そんなの分からない」とのこと。私の考えも「普通はこうでしょ」であり、お互いの「普通」がすれ違っている状況でした。
そもそも図面というのは、設計と製造が「共通認識」を持つための手法と言えます。しかし、図面作成や配線作業に没入しすぎると(悪いことと言い切れませんが)、自分の作業に対する(一方的な)正当性が強くなり、問題が起きた時、つい「間違っているのは相手だ」と思うようになります。片思いの相手にラブレターを送ったようなものでしょうか。「伝える=伝わる」ではないのです。

目指すべきは淡々と作れる図面

では良い図面とはどんなものなのか。プラモデルを例に考えました。
市販されているプラモデルは、基本的に誰に聞くこともなく、説明書を見れば完成させることができます。出来の上手い下手はあるかもしれませんが、自分の「普通」の概念を持ち出すことなく同じ物が出来上がります。そこから「良い図面とは作り手に不要な考えを持たせないことなのでは」との考えを持ちました。

作り手が「図面の意味が分からない」と発してしまうのは問題外として、「私の普通はこうだ」や「私はこう思ったから」という思考を持たせず、淡々と作れる図面を制作する。そのような図面であれば、同一品質の製品が出来上がってくるのではと思うようになり、それからは図面を見る人のことを考え、どうすれば見やすいか、間違えないか等に気を使うように心がけました。仮に製品が設計意図の通りに出来てこなかったとしても「図面が分かりづらかったのかな?」と思え、責任を転換することがなくなりました。

もちろん会話によるコミュニケーションを多く取り、不明な点をなくすことも大事であり、この点においても、以前よりも意識するようになりました。それからは組み上がった製品に対する修正も少なくなり、工程もスムーズに進むようになりました。
各々の企業やグループで、図面の規定はあると思います。そのルールの中で製品を作る人が、どう読み取るかを考えながら図面を書く、つまりは相手を思いやること。人間関係の基本そのものですが、図面の完成度を高くすることで、製品の品質と製造効率も高まるのではないかと私は信じています。

課題

車載電子機器の変更や追加、搭載数の増減等があった場合でも、一般的な評価試験(温湿度、耐水、耐振動、耐衝撃、過渡サージ耐性等)についてはその方法が大きく変わる事は殆どありませんが、バッテリの負荷が変わることで変化する電力環境、すなわちバッテリ電圧=電源電圧変動の変化・変更はすぐに発露します。

実現場での課題:電源変動パターンの肥大化に困惑!

  • クルマに搭載される電装品の数は増える一方
  • 多数の電装品がオン/オフを繰り返す
  • 自動車メーカ独自の変動パターン存在
  • 試験時間と手間が増すばかり

でも、要求されることは厳しいことばかり・・・。

  • 各電装品が電源変動というストレスに対して影響されないことを絶対に確認しなければならない!
  • 電源変動試験の省力化と自動化が求められる!
  • さらに電源変動試験に使用する電源の要求仕様もきちんと理解しなければならない!!

解決

電源変動試験の5つのコツ=電源変動試験に使用する電源の選定ポイント!

  • 出力チャンネル間のズレをなくす
  • 電圧レベルをシビアに見ること
  • 内部インピーダンスが低いこと
  • tr/tf(立上り/立下り時間)が速いこと
  • 出力電流が拡張できること

出力チャンネル間のズレをなくす

同機運転機能=出力チャンネル間のズレがないこと!

トリガ同期、クロック同期を搭載していること。内部クロックの同期を行うことで長時間のシーケンスを実行しても時間的なズレが発生しないこと。

トリガ同期、クロック同期を搭載していること

長時間のシーケンスを実行しても時間的なズレが発生しない

電圧レベルをシビアに見ること

低リップル(CV モード):20mVp-p

ISO7637-2 規格において試験に使用される電源のリップルノイズは、「Vp-p < 200mV」と規定されています。また自動車メーカ規格では、「Vp-p < 100mV」を要求する場合もあります。

内部インピーダンスが低いこと

Pulse2bでは「0Ω to 0.05Ω」Pulse4では、「0Ω to 0.02Ω」と規定されています

ISO7637-2 規格において試験に使用される電源の内部インピーダンスは、DC〜400Hzにおいて「10mΩ以下」と規定されています。また同規格で、Pulse2bでは「0Ω to 0.05Ω」Pulse4では、「0Ω to 0.02Ω」と規定されています。

tr/tf(立上り/立下り時間)が速いこと

tr/tf:3.5μs以下

低リップル

立上り/立下り時間の応答速度は、各自動車メーカが要求するリレーの動作試験や瞬低試験に対応します。

出力電流が拡張できること

並列運転機能

同一モデルでの並列運転が可能

必要な電流値に合わせ、並列接続にて対応します。同一モデルでの並列運転が可能。

キクスイなら・・

ISO7637規格、ISO16750-2規格以外の各自動車メーカ独自 電源変動試験要求についても対応できる技術と情報を持ち合わせております。

パソコンにアプリケーションソフトを組み込むツール「インストーラ」。簡単なアプリであれば、exeファイルをProgramフォルダにコピーするだけで済みますが、レジストリやライブラリーへの書き込みが必要なものであれば、「インストーラ」を使うことになります。
事件は、あるアプリの「インストーラ」を作成したときに起きました。

不審者発見

アプリケーションソフトウェアの実装および試験が完了し、インストーラ、アンインストーラを作成。最終検査に備えようとしたときのことです。
いつものようにインストーラを作成し、インストールしてみると突然 ウィルスチェッカーがアラートを出しました(写真1)。ウィルスチェッカー_写真1

写真1

検出された脅威/違反って・・・何で?失礼だな!
しかし何度やってもウィルスチェッカーが黙ってくれません。インストーラのフローは簡単に表すとこんな感じです(図1)。

図1

ウィルスチェッカーが反応し、インストーラもろとも消し去ってしまいます。
さてどうしたものか。まず他のアプリのインストーラを試してみる。 問題なく機能します。なにが違うんだろう?
そこで古いアプリの削除をやめて、新しいアプリの上書きインストールだけにしてみたところ、 ウィルスチェッカーが黙ってくれました。
ということは、「削除」に問題があるらしい・・・

疑わしきは罰する

ならば何を削除するとウィルスチェッカーは「黒」とするのか。それを特定するために、一つひとつ試した結果、bmpファイルの削除に問題があることを突き止めました。 確かに他のアプリではbmpファイルは使っていません。 このアプリは設定の参照図として画像をたくさん使うため、bmpファイルを実行プログラムと一緒にインストールする必要があります。
インストーラがbmpファイルを消しに行くと、ウィルスチェッカーがウイルスと判断しアラートを出すことが分かったので、bmpファイルだけは消さずに上書きインストールするように変更。ウイルス問題は解決しました。

しかし、bmpファイルを削除するソフトを一律にウイルスと決めつけるという定義は、ウィルスチェッカーとして大ざっぱ過ぎやしないだろうか、という疑問も持ちます。 むやみやたらにbmpファイルを消しまくるウイルスがあるのかもしれません。
当社でも、海外出張から持ち帰ったノートPCからマルウェア(これは身代金を要求するランサムウェアタイプらしい)をウィルスチェッカーが検知、水際でなんとか防いだと言う様な話も聞いており、ウィルスチェッカーとしての仕事はやってくれているとは思います。

しかし、今回の事件でウィルス対策ソフトの単純さが垣間見えたような気もします。
「疑わしきは罰する」というスタンスは、基本「後手」にしか回れないウィルスチェッカーとしては仕方のないことでしょう。
李下に冠を正さず 、瓜田(かでん)に履を納れず。いましめとしては正論ですが、不良に目があっただけで因縁つけられたみたいで、不愉快であるのも事実です。
ウィルスチェッカーには、もっともっとインテリジェントになってほしいと切に願う私です。

なお今回の件は、SE課のMr.トラブルバスター矢島氏の力をお借りしました。この場を借りてお礼申し上げます。

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