最近、新聞やテレビで燃料電池のニュースが良く流れる。効率が高いとか、環境に優しいとか、その内に燃料電池自動車が普及するとか。そこで燃料電池の最近の開発状況や動作原理、利用形態などを分かり易く解説してみたい。車のエンジンや発電所のタービンには幾つかの種類があるように、燃料電池にもいくつか種類があり、色々な利用が検討されている。前編では燃料電池を取り巻く状況とその動作原理や電池構成について概説したい。

コラム

燃料電池”小”解體新書 【前編】

公開日:2002年 4月 この記事の公開日をご確認ください。製品、価格、技術に関する情報は最新の内容ではない可能性があります。

排ガスの清浄性は?

揮発性の高いガソリンを燃す車のエンジンは窒素酸化物や未燃料を排出するので、その対策が打たれている。効率の高いディーゼルエンジンも経由を燃して、悪名高い粒状物質や窒素酸化物を出すので、その対策に多大な努力が払われている。それに対し燃料電池は動作温度が低いので、窒素酸化物の排出濃度は検出限界に近く、電気化学反応に特有な有害物質の排出も今のところ報告されていない。騒音についても、内燃機関は間欠燃焼による特有の騒音をマフラーなどの消音装置で抑えるが、燃料電池本体は静止機器であるため特に騒音対策を必要としない。燃料電池自動車は静寂過ぎて、車が近づいても静かで気が付かず、危険を感じるほどである。

燃料電池スタックはどんな構成をしている?

一枚の燃料電池単セルでは0.7V程度の電圧しか出ないので、リン酸形を例に示すと、図4のように数十から数百枚の単セルを直列にスタックし(1)、数百Vの出力電圧にする。ただしそのためには各単セルに燃料や空気を図4のようにそれぞれ分けて、燃料電池発電をする面に均一に配る必要がある。この均一に供給する技術は、過電圧を抑えて触媒電極と電解質膜を接合する技術と併せて、各社各様のノウハウがあり、性能や寿命を決める重要な項目の一つとなっている。一般に燃料電池は単セルの面積を大きくすることに比べ、単セルを沢山スタックし性能を揃える技術のほうが難しいので、電流が大きい割りに出力電圧が低い発電装置である。

燃料電池の効率

このように電気的に各単セルは直列に接続されるが、燃料と空気はそれぞれ各単セルに並列に互いに混合しないように供給・排気される。また、燃料電池に供給された燃料の持つエネルギーの内、電力にならなかった50-70%は未反応分を除いて熱として電池内で発熱する。この発熱を図4のリン酸形燃料電池の例では、セパレータ(燃料や空気を電解質面に供給する溝流路を持ち、かつ単セルを電気的に直列に接続する導電性板)中に水を流し、冷却している。後に述べる動作温度の高い燃料電池では水を流すとその圧力や温度が高くなり過 ぎるので、空気を余分に流し冷却している。

どんな燃料電池が今開発されているか?

現在地上用に開発されている四種類の燃料電池を表1に示す。

代表的燃料電池の特徴

*2 熱併給発電。同一燃料から電力と熱を同時につくって療法を使う動力発電装置。

この他に宇宙用としてアルカリ形(電解液にアルカリ水溶液を使う)が活躍しているが、地上で使うと電解液が空気中のCO2と反応し固形物を形成するので、特殊用途に限られる。アルカリ形はここでは省略する。燃料電池はそれが使う電解質で良く分類される。電解質中では原理のところで説明したように、正イオンと負イオンが電荷中性を保って、最低どちらかが動きやすい状態にある。個体高分子形やリン酸形は燃料である水素が電解質中をH+イオンとなって、空気側に泳いで行って酸素と結ばれる。溶融炭酸塩形は空気中のO2が別途供給されるCO2と一緒になってCO3-2となり、固体酸化物形ではO2がO-2となって、電解質中を燃料極側に泳いで行って燃料と結ばれる。

世の中には沢山の電解質があるが、燃料電池に使うとなると、電解質のイオン導電性が高いこと、燃料極や空気極などと相性が良く、電池性能が高く寿命が永いこと、環境性や経済性に優れることなどの条件を満たす必要がある。

表1の燃料電池の動作温度は実に100℃程度から約1000℃までと広く、それぞれの電解質が高いイオン導電性を持つためには、それらに適した温度がある。現在、動力発生装置としてガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ガスタービン、蒸気タービンなど様々な熱機関が活躍しているが、燃料電池もそれぞれ特徴があり、その特徴を活かした用途に向けて研究開発が進められている。

後編では、それぞれの電池の特徴と用途などを、燃料を電池用に改質することを含めた燃料電池発電システムの構成法と共に概説してみたい。

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