成長のための最強の武器

コラム

エンジニアが大切にすべきこと

公開日:2019年 5月 この記事の公開日をご確認ください。製品、価格、技術に関する情報は最新の内容ではない可能性があります。

世の中には便利なものがたくさんあります。ひと昔なら一から作るしかなかったようなものが、百均ショップで手軽に買えたりします。生活の場面に「至れり尽くせり」といった物やサービスが溢れていますが、昨今の電子技術系エンジニアの仕事も同じ様相があります。

設計者なのに直せない

電圧を測りたければ、信号の増幅までもやってくれるADコンバータが、電源回路が必要なら、所望の入出力値をセットした電源モジュールが、それこそ「サクッ」と仕事をしてくれます。また、今では欠かすことができなくなったWi-Fi機能はどうでしょう? ちょっと前ならそのために一枚基板を起こす必要があった感じですが、いまならWi-Fiモジュールを基板にヒョイと置いてあげれば、Wi-Fi対応XX機が完成します。

でも・・・でもです。そこにはやはり落とし穴があります。そうです。便利な部品を利用して「サクッ」と作った製品は、うまく動かなかった時や故障した時に、ほぼ直せません。「えーっ? 設計者なのに直せないの?」って言われてしまうかもしれませんが、本当に直せないのです(私のことでもあります...)。理由はもうお分かりかもしれませんが、使用した部品やモジュールの動作原理を自分が分かっていないからです。そんなことが起きるようになったのは、ここ10年くらいのことです。

高機能部品やモジュールは10年以上前からありましたが、とにかく高価でした。使おうとしても先輩から「自分で組んだ方がぜんぜん安く出来るので自分で作って!」と一喝され、渋々オペアンプを幾つも組み合わせて設計していたことを思い出します。しかし、そうやって動かした回路は隅々まで動作原理を理解しているため、故障や不具合があってもあっという間に解決です。

ところがです。10年くらい前から、部品は高機能化するのに、価格は逆に下がるという「価格破壊」が進行しました。また部品を採用する設計者においては、今まで以上にたくさんの機能を開発製品に(しかも安く)搭載しなくてはならない一方で、開発期間はますます削られる方向(短納期)に。つまり今日の設計者は、高機能部品やモジュールを設計に取り入れないと、要求事項をクリアできない状況に追い込まれているわけです。

エンジニア人生の分かれ目

さて、ここからがエンジニア人生の分かれ目です。
とても便利な高機能部品やモジュールを設計中の回路に取り入れる際、その時のあなたの心境(部品の仕組みへの関心)は以下のどれでしょうか?

  • (1)気になってしょうがない。ちゃんと理解しないと絶対に使いません。
  • (2)気になります。時間がある限りデータシートを取り寄せてにらめっこします。
  • (3)少し気になります。しかし部品メーカー推奨の回路をそのまま使ったので問題ないでしょう。
  • (4)いやー時間が無い・・・とりあえず問題ないでしょう。トラブったら考えればいいかと。

(1)、(2)の方々は(特に(1)の方はかなり少数派ですね)この先も成長が持続する優秀なエンジニアなのだと思います。(3)の方は、要注意エンジニアです。十分な時間が無いからそう判断したのか、そもそも動作原理を理解することに必要性を感じていないのか・・・。前者であれば何とか優先順位をつけて(2)の対応をすべきです。後者の方は、実はそのような方が最近多くなったなぁという印象です。同じエンジニアとして少々寂しさを感じます。新しい技術を勉強する良いチャンスのはずで、そういった態度には残念感を禁じ得ません。
(4)の方はトラブルに無縁な、かなりの強運の持ち主、はたまたトラブル時に短時間で物事を理解できるスーパーエンジニアなのかもしれません。(そうでなかったらご一緒したくないタイプです)

ちなみに私は以前、通信回路の設計を(3)のレベルで行い、後日トラブル発生(外来ノイズで誤作動)で痛い目に遭っております。それ以降、どんなに忙しくても(2)(いや気持ちは(1) で!)をするよう改心しました。

物知りエンジニアを目指そう

面白いことに(1)と(2)に該当する方々は、往々にしていろいろな事を知っている物知りエンジニアです。とにかくいろいろな事を知っています。彼らにとってアナログもデジタルも、ソフトもハードもありません。それは動作原理を理解する上(知的好奇心の前)では関係のないことなのです。そういったエンジニアは、やがてシステム全体を取りまとめるエースとして活躍することになります。

当社は電源装置、電子負荷装置を製造販売していますが、電源装置も電子負荷装置もお客様のいろいろな部品、回路と接続されます。その種類、品目を数えたことはありませんが、組み合わせも含めれば、途方もない数になるのではと思います。お客様からは接続されている部品、回路の件で相談頂くことが多く、その一件一件はまさに動作原理の理解、ならびに理論と過去事例を頼りにした分析の繰り返しです。ときにはベテランエンジニアでも頭を抱えるような事案がありますが、こういった経験の繰り返しにより、気が付いたら物知りエンジニアになっていたと言う感じではないかと思います。

エンジニアの現役寿命を延ばすには結局、日々の勉強しか無いといえます。そしてエンジニアの持つべき最強の武器は「探究心」です。エンジニアは「探究心」を持ち続けられれば、生涯成長し続けることが出来る仕事である、とも言えます。
若い皆さんも「探究心」を大切にして物知りエンジニアを目指して欲しいなと思います。
「探究心」があればどんなに複雑なシステムも、厄介なトラブルも何のそのですよ!

なお、「ダメなエンジニアに足りないもの」という記事もあります。
ぜひあわせて読んでみてください。

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