設計でミスをしたとき、どうしますか?常識的な対応としては、まずは上司に報告。ここで「申し訳ありません」と頭を下げるだけで済めばいいのですが、現実には謝罪だけで終わりません。かならず対策などの「後始末」があります。上司や経験豊富な先輩がいて皆で議論できれば、最善の(関係者の納得を得やすい)方法が選択されることでしょう(まぁ、そうでない例も世にはありますが・・・)。

しかし、その場に自分ひとりしかいなかったら、どうしますか?ひとりではどうしようもない状況なら、観念して上司の判断を仰げる時まで待つのが得策でしょう。でも少しでも考える猶予(時間)と気力があるなら、少しあがいてみてもいいのではと。
ちなみにここでの「あがく」は、失敗を「誤魔化せ」、「逃げろ」という意味ではありません(笑)。ミスを認めた上での「後始末」を自分なりに考えてみるということです。

失敗を骨までしゃぶり尽くすには

失敗から学べと言います。失敗の原因を探り、同じ轍を踏まないようにする。その通りですが、私はさらに「後始末」まで考えることで、失敗を骨までしゃぶり尽くせるんじゃないかと思うのです。ミスの報告会議では、担当者はお沙汰を待つ「罪人」で、ひたすら萎縮するしかない、といった感じになりがちです。でもここでミスを謝罪しつつ、自分から対応策の提案ができるといいですよね。そのためには、失敗を単なる苦い経験だけに終わらせず、そのリカバリーの知恵を自分でも出すところまで踏み込む鍛錬が必要です。失敗が多いと、(上司や先輩の)後始末の知恵を知る機会は増えます。しかしそれは知識(ノウハウ)が増えても、知恵を産む着想が身につくことになりません。

今回のお話は、例によって新卒で入社してまだ2〜3年ごろの経験です。ちなみに、けして褒められた話ではないことを、あらかじめお断りしておきます。結果こそ出たものの、「徹夜までして、自分の失敗を力ずくで帳消しにした武勇伝?なんと昭和でブラックな話!?」と見ることもできます。確かに、事なきを得たのは運に恵まれたような気もしますし、いささか無茶な対応だったかとも思います。でも、「なんとかしなくちゃ」と、夢中で無い知恵を絞った若い自分に嘘はなかった、と信じていますし、仮にこの「あがき」が全て「徒労」に終わっていたとしても、その時の着想や経験は、いずれどこかで活きたのでは、と思っています。

では、時計を30年前に戻してみましょう。受注したOEMスイッチング電源、納品2日前のことです。
時間は午後の7時を少し過ぎたころでした。

何気なく手にした部品表に手が止まる

試験成績表をはじめとした必要書類の準備をしていました。OEM製品がゆえに回路図や部品表も納品物の一部です。午後8時、準備完了。コピーした書類、青焼き図面(若い人わかるかなぁ?)など必要部数の山を眺めていました。そして、何気なく手にした部品表をパラパラとめくっていた時、何か違和感を感じました。
目に入ったのは、「2SC**** Vceo 120V」というトランジスタの仕様。
「あれっ?」。心拍数が上がってゆくのを感じました。
これ耐圧不足?調査、確認、ちょうさ、かくにん・・・。

このトランジスタは、電源スイッチが入ったままで、AC入力が遮断された時のみ働く停電(瞬停)検出回路に使用していました。AC入力遮断時に141V(155Vmax)が約3秒間印加されます。Vceo 120V、間違いなく耐圧オーバーです。すでに上司も先輩も帰宅しています、フロアには自分一人です。相談相手はいません、さぁどうする、俺!

「もしかしたら」を信じて夜の社内を走る

生産のフロアに行って、梱包された初回ロットの25台を眺めました。

明日1日で部品交換できるだろうか?
そもそも明日、正規部品の入手は可能なのか?
このまま納められる方法はないだろうか?
う〜〜ん。

そこで閃いたのは、トランジスタの実力測定。ご存知の通り、部品の仕様には余裕度があります。全く勝算はありませんでしたが「もしかしたら」に賭けてみることにしました。
夜の9時頃から社内を駆け巡り、同じトランジスタのロット違いを集めました。使用したロットと別のロットを3種類、それぞれ10個のトランジスタを揃えました。それからカーブトレーサーを使って特性確認、耐電圧試験器を使って破壊試験。測定データをまとめて報告書の形に整えました。気が付けば外は明るくなっていました。
出社してきた上司に、朝から悪い知らせですと、まずは謝罪。そして考えた対策案を報告しました。

(1)トランジスタを正規部品に交換する。
正規部品の入手状況によってはお客様に納期遅延の連絡をしなければならない。
(2)実力値のデータを元に、このまま使ってもらえないかお客様に相談する。
お客様に報告書を見てもらい、部品の実力を確認、使用可能か否かについての判断を委ねる。

上司曰く、 「よし、(2)でやってみるか」。
そして営業担当からお客様へ連絡し、ミスを報告。午後1時に訪問の予定となりました。

品管部長の一言で決まる

上司の同行はありません(今思えば、それはないよなぁ・・・)。営業担当と二人で出発しました。
10分前に到着。会議室に通されました。OEM製品関連の開発部長、開発課長、品管部長、購買課長が勢揃い。会議室に硬い空気が流れます。謝罪の言葉から始まり、ミス発覚から対応策の検討、報告書提出までの経緯を説明しました。

この案件は、納品前に瑕疵が見つかったこともそうですが、もうひとつの幸運は、問題のトランジスタは、お客様がメーカーだったことでした。品管部長が実力値のデータを見ながらこう言いました。

「このトランジスタ、ディレイティング(余裕度)取りすぎではないのか?」

この一言で会議室の雰囲気が少し和らいだように感じました。会議の結果、このトランジスタの本回路における使用は可能と判断されました。初回ロットは納期通り明日納品できることになりました。ただし、2か月後の第2ロットは正規部品に変更です。議事録を作成し、会議出席者のサインを頂いて帰社しました。
会議室を出るとき、お客様からかけられた言葉を今でも覚えています。

「報告書、徹夜で作ったの?ご苦労様でした。」

やってみてよかったと思いました。
残念ながら社内では誰からも掛けられない言葉でしたが・・・。

今思い返しても、無茶な話で、運が良かっただけのことかもしれません。
でも、こういう「あがき」は結果のみで評価するべきではないと思います。
「あがき」は、脳内の思いがけない神経回路をつくる、いい訓練になるはずです。

上司や先輩のみなさん。過去にいろいろと足掻いてきたことがあると思います。
失敗は恥として自分の中だけに仕舞っておくのは、もったいないです。
後輩たちの失敗に対して、過去に経験した対策方法を説明するだけではなく、
そのときの自分の「あがき」も含めて、後輩たちに伝授してあげてもいいかと思います。

さて今回も新人の頃のお話です。通信チップ更新にともなう通信ドライバの変更で見落とした「タスク処理の優先度」についての経験です。

代替のLSIはDMAC非搭載タイプ

通信LSIにはDMAC(ダイレクト・メモリ・アクセス・コントローラ)を搭載したICがあります。ファームウェアを担当の方ならご存知の通り、DMACを搭載したLSIを使用すると、データ転送時にマイコンの処理負荷を軽減することができます。

【例1】データを送信したい場合
  登場物:DMAC搭載LSI、RAM、マイコン

(1) マイコンは送信したいデータをRAM上に作成
(2) マイコンはDMAC搭載LSIに送信開始アドレスと送信レングスを設定
(3) マイコンはDMAC搭載LSIに送信開始コマンドを発行
(4) DMAC搭載LSIはRAM上のデータを積極的に読み込んで送信
  →この時、マイコン側はデータ送信のことは意識せず、別の処理を行うことができる。
(5) DMAC搭載LSIはデータ送信完了を割り込みでマイコンに通知

【例2】データを受信したい場合
  登場物:DMAC搭載LSI、RAM、マイコン

(1) マイコンはDMAC搭載LSIに受信データを格納するRAMの開始アドレスと最大レングスを設定
(2) マイコンはDMAC搭載LSIに受信開始コマンドを発行
(3) DMAC搭載LSIはデータを受信すると、積極的にRAM上にデータを展開する。
  →この時、マイコン側はデータ受信のことは意識せず、別の処理を行うことができる。
(4) DMAC搭載LSIはデータ受信完了を割り込みでマイコンに通知

ある製品に採用されていたこのタイプのLSIが生産中止になり、DMAC非搭載LSIに代替が決まりました。DMAC非搭載LSIはFIFO(先入れ先出し)方式を取っており、マイコン側が積極的にデータをFIFOに書き込み or 読み込みしなければなりません。
なので、【例1】の(4)と【例2】の(3)においてマイコンの負荷が増える、つまり、送受信タスクのCPU占有率が前より高くなるということです。

さて、この製品、通信でファームアップデートができるのですが、「事件」はこのファームアップデートの検証中に起きました。

真犯人は別のタスク

現象としては、ファームアップデートが半分まで進むと、ファームアップデートのタイムアウトで止まってしまうというものでした。

今回のLSI検討当時から、DMA方式からFIFO方式にするにあたり、データ送受信速度が落ちることを予想していましたが、アップデートができなくなるというのは致命的な問題です。なので、とにかくデータ転送処理(アルゴリズム)を改善すれば、タイムアウトは解決するだろうと考えました。しかし、いくら改善しても全く進展は無く、あっという間に2、3ヶ月の遅れとなっていました。その当時は本当に精神的にまいりました。
やみくもに処理速度のボトルネックを勘で狙い撃ちしても埓(らち)があかないので、未使用のIOポートをHigh/Lowさせて処理速度を計測し、地道にポイントを絞っていった結果、ついに原因を特定することができました。

真犯人は、ディスコン対応で修正したドライバタスクではなく、ファームアップデートを行うタスクにありました。アップデートタスクは、ドライバタスクが受信したファームウェアのデータを順次、外部のFROMに書き込んでいます。実はこのアップデートタスク、優先度がドライバタスクより高い!
このため、アップデートタスクが動作しているときは、ドライバタスクが動作できず、LSIのFIFOからデータを読み込めないために通信の再送が頻発。通信速度の低下とファームアップデートタイムアウトを引き起こしていました。
そこでアップデートタスクには、一定バイト数書き込んだらsleepするという処理を入れ込むことで、無事に動くようになりました。

真犯人は、裏に隠れていることがあります。この経験から「この機能を実行しているとき、裏で何のタスクが動いているのか?そしてその優先度は?」をしっかりと把握しなければならないことを学びました。また、ファームウェアはタスク実行権がはっきりしていますので、デッドロック等が起きやすいです。
優先順位を意識しないことがどんなに恐ろしいことか・・・。

真犯人はいつも「まさか」です。皆さんもお気をつけください。

電子負荷装置の「不都合な真実」

当社の電子負荷装置の基本的な動作モードには、下記(図1)のようなものがあります。 そして被試験物や試験する内容に適した動作モードを「択一」で設定し使用するのが基本です

定電流+定電圧、定抵抗+定電圧というモードを持つ製品もあります。

実はここに言ってはいけない「不都合な真実」が隠されています(笑)。電源や電池、またDDコンなどの試験には、電流を消費する実負荷(回路)に相当する「ダミー」が必要で、電子負荷装置の普及以前は、摺動抵抗器や消費電力の大きな電球、電熱器などが使用されていました。しかしそれらでは、負荷変動試験など動的な試験が難しいことや、なによりも実負荷のふる舞いとは挙動が大きく異なるため、精緻な動作検証ができないという不便さがありました。

そこで「実負荷に近い動作」ができる回路構造を持つ装置があると便利だということで、電子負荷装置が考案されました。当初の電子負荷の動作モードは、定抵抗(CR)と定電流(CC)の2つでしたが、その後二次電池電池の試験に必要な定電圧(CV)や定電力(CP)が加わり、この4つが電子負荷装置の基本的な動作モードとなっています。

ところがです。電子負荷装置であっても、前述のように「実負荷に”近い”動作」になります。実負荷とはやはり違うのです。実際の負荷の多くは「一定のモード」で動いているわけではありません。最初は定電流動作だったものが、電圧がある閾値を越えると定電圧動作に変わる等、複合した動きをします。実は動作モードとは、試験物に応じた動作ではなく、電子負荷装置の回路の都合でそうなっているわけです。

洋服にはS、M、Lといった既成サイズがあります。それがジャストサイズだという人もいますが、ちょっと合わないけど「まぁ、着られないことはないから、これでいいや」という人の方が実は多い。電子負荷装置の動作モードも、これに似たようなところがあって、選択肢を示すことで対応している素振りを見せてはいるけど、実は供給者側の都合でそうなっている・・・(あぁ、こんなこと書いていいのかな?)。
もちろん、これが全く不誠実な態度と言いきれるものでもなく、条件を(最大公約数的に)集約することにコスト的な優位性があったり、設定条件をシンプルにすることでの「使いやすさ(わかりやすさ)」もあったりと、現状の製品群でも十分実用的であるというのも事実です(と、一応フォロー)。

非線形(任意波形:ARBitrary)モードで「よりリアルな」実負荷模擬を

しかし、今年(2016年)、画期的な製品ができました。それはPLZ-5Wシリーズという製品です。このPLZ-5Wには、従来の4モードに加えて、非線形(任意波形:ARBitrary)モードという新機能が搭載さています。このモードでは、横軸電圧/縦軸電流のx-yデータを作成、テーブル化する事で入力電圧に応じた電流を流すことができます。
(図2)は、PLZ-5Wのオプションソフトウェア(Wavy for PLZ-5W)の画面にて、ARBモードの設定をした例です。このような指数関数的な動作を設定することができます。

例えば下記の様なデーターを、PLZ-5Wに設定する事でダイオードの順方向特性を模した実験ができます(図3)。

実際にPLZ-5Wに入力する場合、横軸の電圧は最大値の157.5Vまで必要となります。上記の例の場合2.600Vの下に157.500V、電流は0.000を入れますが2.6Vから157.5Vの間の電流は直線(0A)となります。

同様に発電機等の評価で下記の様な「0.1Vから5.0Vまでは10Aの一定電流だが5V(50W)を超えると電流が放物線で下がって行き、10Vを超えると電流が引けなくなる(0A)」という状態を模擬する事が出来ます(図4)。

この場合、0Wから直線で立ち上がり、5Vを超えたところで非直線で降下。60W近辺をピークにあとは0Wまで下がって行くというP-V曲線を描く事が出来ます。PLZ-5Wシリーズは電力(W)をロギングする機能を持っているので、別途計測器を使用することなく上記のP-V曲線を得る事ができます。

さらに現実的ではないですが、下記の様な放物線の特性も(私が知らないだけで世の中にはあるかもしれませんが…) 模擬する事ができます(図5)。

このように実際の負荷を模擬するだけではなく、理論値の検証、現実ではあり得ない意地悪試験等、発想次第でいろいろな評価にお使い頂けるのではと思います。デモ機も用意がありますので、ご興味あれば当社営業までご連絡ください。

バッテリの放電試験をおこないたい場合、電子負荷装置を用いるのが順当です。しかし大きな電流での定電流放電をおこなうには、それに応じた入力定格を持った電子負荷装置が必要です。仮に12Vの鉛蓄電池を100Aで放電させようとすると、単純計算でも1.2kWの容量を持った電子負荷装置、当社製品であればPLZ1004Wを2台並列(最大2kW)での対応となります。
しかしこの場合、電子負荷装置だけで合計100万円近い金額になりますので、予算的に厳しいというケースもあるかと思います。
そこで、直流安定化電源の定電流制御を利用してバッテリの放電をおこなう方法をご紹介します。これであれば電子負荷装置を用いるよりも、予算的に安価に実現できるかと思います。ちなみに12V・100Aなら、当社の可変スイッチング電源PWX1500L(0~30V/0~150A/最大1.5kW、本体標準価格¥300,000)と負荷抵抗(ホーロー抵抗を使うなら10万円程度)で対応することができます(写真1)。

PWXとホーロー抵抗写真1: PWXとホーロー抵抗

システム構成

直流安定化電源とバッテリを直列に接続し、更に負荷抵抗を接続します(図1)。
そして適切な負荷抵抗を設定することで定電流放電をおこなうことができます。ここで負荷抵抗の値が低抵抗になると、直流安定化電源に逆電圧が印加されてしまい定電流放電が行えません。逆に高抵抗となると負荷抵抗の消費電力が増大してしまいますので、注意してください。

<負荷抵抗値の設定式>
R = Vbatt / I
Vbatt : バッテリ最大電圧(充電電圧)、I : 放電電流 、R : 負荷抵抗

<負荷抵抗消費電力>
P = I 2 × R [W]

図1_12Vバッテリ(充電電圧14V)を100Aで定電流放電する場合は、

負荷抵抗:R=14V/100A=140mΩ
直流安定化電源の電圧設定 : バッテリ充電電圧14Vより若干高く設定(15V程度)
直流安定化電源の電流設定 : 100A

直流安定化電源の出力オンした後、開閉器をオンすることで定電流放電を開始します。

注意事項

この放電試験システムの注意点は以下の通りです。

(1)回路の遮断が必要

直流電源が出力オフ状態では、直流電源の出力端子に逆電圧が印加され直流電源内部回路に、電流が流れ込みます。(図2)に直流電源内部出力の等価回路を示します。

図2直流電源のPOWER SWがオフ状態、つまり完全に停止した状態でも、電流が流れ続けます。この状態では、直流電源内部回路を冷却する冷却ファンも停止しています。よって、内部回路部品を冷却することが出来ず、長時間放置されますと破損する恐れがあります。定電流放電が終了した時点で、回路を遮断する開閉器を必ず設けていただき、バッテリを切り離す必要があります。また、逆接続保護ダイオードを接続しても開閉器は必要です。

(2)低Vfの逆接続保護ダイオードの接続を

直流電源が出力オフ状態のとき、直流電源の出力端子に逆電圧が印加され直流電源内部回路に、電流が流れ込みます。流れ込む電流値は、直流電源の出力定格電流値まで流すことが可能ですが、直流電源の出力端子に、低Vfの逆接続保護ダイオードの接続を推奨します。
その目的は、逆電圧を出来る限り低く抑えることで、直流電源出力に接続されているコンデンサの容量・寿命の低下を軽減することです。

(3)バッテリ保護

直流電源の出力端子に直接バッテリを逆接続されますと、トランス、整流ダイオード、コイルなどの部品に、過大電流が流れ破損する可能性があります。バッテリが逆接続される可能性がある場合は、直流電源の出力端子に逆接続保護ダイオードを接続して頂くと共に、ヒューズなどの保護回路を設ける必要があります。ヒューズは、負荷抵抗がショートした時に起きる過電流事故を避ける観点からもその設置をおすすめします。

規格が読めることがあなたの力になる

今は何を作るにしても、国際間または各国の工業規格・規制に対応することが要求されています。
様々な家電製品はもとより、産業用ロボットやエアコン、エレベータ、電気自動車など、身近な製造物のほぼすべてにおいて、安全やEMCに関する規格があるといってもいいでしょう。
しかし、それらをいざ実務レベルに落とし込もうとする(規格準拠の製品を開発する、規格適合検査をおこなう等)と、戸惑ってしまう事が多いのではないでしょうか。
例えば、あなたがお客様や営業担当者から「IEC61800-3規格に対応した製品が欲しい」という要求を受けたとしましょう。その時、どんな製品を提供すればよいのか、またはそれがどういった内容の規格なのか即答できるでしょうか?

前述のように、製品の種類の数だけ工業規格・規制があり、かつ制定されてから改訂や追加が幾度もおこなわれているのが「当たり前」です。まるで、本館・別館・新館と建て増しを繰り返した旅館みたいに複雑に入り組んだ、分かりにくい構造であることがざらです。さらには、本章で引用される参照文書の理解も必要で、よくよく調べたら実は要求規格の対応だけでなく、それに紐づいた規格にも対応しなければならないというケースもあります。エンジニアとしては物を作るのが本業なのに、その前段階の規格調査や難解な定義の解釈に四苦八苦して、「作る前からすでに心が折れそう・・・」という笑えない話もないとは言えません。

こういった事案に長けた「技術規格法務担当」のような存在がいてくれて、的確なアドバイスをもらえると助かるのになぁ、と思うのですが、現実は自分でなんとかしなければなりません。
ということで、ここでは要求規格文書の探し方から、その解釈のための実践的な「コツ」や「ノウハウ」の一端を数回に分けてご紹介して参ります。これから規格文書という魔界(!?)に挑む勇者の剣になればいいなと思います(笑)。

なお、本コラムは2016年12月執筆時のもので、紹介するサイト内容などは変更される場合があることを、あらかじめご了承お願いいたします。

規格番号で「対応していますか?」と聞かれたら

聞いたことのない規格番号がきても、今はGoogle先生がいます。
例として先程の「IEC61800-3」を例に、どんな規格なのかを調べるにはどうするか?をお話したいと思います。
まずは、「規格番号 JIS」 でググってみましょう(図1)。
「IEC規格を調べたいのになんでJISなの?」という素朴な疑問はあとで説明しますので、ここはとりあえず[Google検索]をクリックです。

けっこうヒットしてきますね。とりあえず、(1)のkikakurui.comを開くと、JIS規格の原文をテキスト化したものを見ることができます。ただし、ここは公式なものではないため、最新版でないことや間違いが含まれていることがあります。ざっと目を通したら次に公式サイトをチェックする必要があります。
さて、このサイトでチェックしておくポイントは序文です(図2)。

図2_kikakurui.comより引用

これを見ると「IEC61800-3をベースに一部変更した規格」であることがわかります。また、JIS規格番号も「JIS C4421:2008」であることがわかりましたので、引き続き公式サイト(2)www.jisc.go.jpで内容をチェックしましょう。再び、Google先生に「JISC」と入れてみます(図3)。

検索結果から「JISC 日本工業標準調査会」を開くとJISの閲覧、検索ができます(図4)。なお上の検索結果ではイギリスにもJiscというサイトがありますが、本件とは全く関係のない会社です。

JISCは経済産業省が設置している審議会で、工業標準化に関する調査・審議を行っている組織です。このサイトでは発行されているすべてのJIS規格を「無料(!)」で見ることができます。
ただし、規格についている「解説書」は見ることができませんので、具体的に仕事に取り掛かる前には規格本文を購入してから始めたほうが良いでしょう。「解説書」には規格制定の経緯や、本文でわかりにくい箇所を制定委員が補足してくれた貴重な情報が満載です。
なお規格本文の購入は(図1)での(3)www.webstore.jsa.or.jpからオンラインでできます。

知りたいIEC規格をJIS規格の日本語で見てみよう

図5

では早速JIS規格を閲覧してみましょう。上記(図5)の「JIS検索」をクリックします。
ここでひとつ注意があります。ここでのPDF閲覧はオンライン表示のみで、ダウンロードしての表示ができないようになっています。また閲覧環境としては事実上「Adobe Reader(無償)」がプラグインとしてインストールされた「Internet Explorer」のみのようです。Windows10の標準ブラウザ「Edge」や「Firefox」、「Chrome」、「Safari」等では表示ができません(2016年12月時点)。なのでMacや、Chrome、FireFoxといったブラウザを愛用している方はこのサイトだけは「我慢」です。今後、対応してくれるといいんですけどね・・・。

さて、試しに、先程検索したJIS C4421:2008を調べてみます。下記のように入力して(年号は不要です)一覧表示をクリックします(図6、図7)。

・・・ありました!。さらに「規格番号」をクリックするとJIS規格詳細画面になりますので、「規格の閲覧」にあるリンクをクリックすればJISの本文が無料で閲覧可能です(図8、図9)。

とりあえずこれでIEC61800-3をベースにしたJIS規格を閲覧するところまで来ました。日本の工業規格JISですので、日本語で書かれているので理解もしやすいです。
「おいおい、私が知りたいのは「IEC61800-3」であって、JISが見たいんじゃないんだよ。JISじゃダメじゃん」という声が聞こえてきそうですが・・・。
ではここからどうやってIEC規格へ飛ぶのか。次回(基本編 2)でご説明したいと思います。

当社の販売する直流安定化電源は、しばしば電池に例えられます。電圧・電流だけを見ればどちらも直流を取り出せるという意味で同じなのですが、実は決定的に違う部分があります。それは内部抵抗値との関係です。
直流安定化電源は、定電圧(電圧優先)モードであれば、負荷に応じて電流値が変わった場合でも、制御回路によって電圧を維持しようとします。しかし、電池の場合はそれと異なります。電流が増えるに従って、電池の内部抵抗値により、電圧が下がってきます。特に、二次電池においては、充放電を繰り返し劣化したものは内部抵抗値が大きくなっており、電圧降下も大きくなります。寿命が尽きかけた二次電池が、充電してもすぐに使えなくなってしまう(電圧が下がってしまう)のは、こういった理由からです。

さて、昨今は、二次電池を使用した電気製品が数多く世に出回っています。そういった中、製品試験において「ダメになりかけた電池での挙動を確認したい」というご要求を伺うことがあります。つまり試験用電源であっても、電流値に応じて電圧が降下するようにはならないかと。
一つの方法としては、電源の電流をモニタして、その値をパソコンで監視しつつ、同時に電流に応じた電圧設定を電源にフィードバックするプログラムを組む、というのが考えられますが、やや面倒な感じは否めません。
そこで、当社の高速バイポーラ電源PBZシリーズの標準機能のみで、簡単に「内部抵抗可変機能」を実現する方法をご紹介します。しかも、他に用意するものはBNC-BNCケーブルが一本のみです。

準備はPBZシリーズの前面端子「EXT SIG INとI MON」を直結するだけ

高速バイポーラPBZシリーズには、外部電圧による出力電圧コントロール機能(EXT SIG IN)と電流モニタ(I MON)があります。そしてそれらの端子が前面パネルにありますが、準備としては、それをBNCケーブルで接続します(写真1)。あとはEXT SIG IN信号のゲイン設定をパネル操作で設定するだけです。

BNCケーブル接続写真1

EXT SIG IN信号のゲイン設定

電流モニタI MON値(出力電流値)をEXT SIG IN端子に加える際のゲイン値を決めます。出力電流値に対して、EXT SIG IN端子のマイナスゲイン設定をすることで、出力電流値の増加に伴い、出力電圧を低下します。内部抵抗値からゲイン設定値を算出して、ゲイン設定により内部抵抗値を設定します。なお、EXT SIG IN端子を使用する際は、オフセット調整が必要となります。出力電流最大値にて、FINE設定によりオフセット調整を行うようにしてください。

●設定内容
 〈パネル設定〉
   出力電圧設定:DC設定
   オフセット設定:FINE設定
 〈CONFIG設定〉
   SIGNAL SOURCE設定(写真2)
   SELECT:ADD → 内部信号源とEXT SIG IN信号を加算
   EXT,SELECT:BNC → EXT SIG IN端子を選択
   EXT,GAIN:-○○.○ → ゲイン設定(内部抵抗値設定)

●内部抵抗値→ゲイン設定値の算出式
   G = − (R×I)/2
   G:ゲイン設定値、R:内部抵抗、I:定格電流、2:I MON出力電圧

モニタ画面写真2

動作実験

PBZ20-20を使用して、実際に内部抵抗可変設定をおこなった例です(図1、図2)。

●出力電流最大10Aにて、オフセット調整しています。出力電圧=最大電圧20V-(内部抵抗値1Ω×出力電流10A)から出力電流10Aで、出力電圧10Vになる様にオフセット調整を行いました。調整電圧は0.183V(FINE設定による)です。




●波形測定条件(機材・設定等)
PBZ20-20前面バインディングポストを使用(電圧波形測定も同様)
電流波形測定カレントプローブ:TCP202
電子負荷装置PLZ1004W:波形設定0-10A/1kHz方形波D=50% 、スルーレート設定:1.6A/us(Mレンジ)
配線長:約3m


このように、PBZシリーズのI MON端子とEXT SIG IN端子をBNCケーブルで接続するだけの簡単な接続と、EXT SIG IN信号のゲイン設定により内部抵抗値が設定でき、容易に内部抵抗可変が実現できます。ただし、内部抵抗値の設定分解能はゲイン設定の設定分解能に依存しますので、その点はご注意ください(図3)。

現場で機器が誤動作するというトラブルはよくあることです。その原因は電源ラインのコモンモードノイズであったり、ノーマルモードノイズであったり、または電源変動であったりしますが、初動対応として、まずは現場で電源ラインの波形を取得し、その波形を眺めながら、誤動作の原因を探ります。しかし現象が間欠的であったり、不規則であったりして、その場で原因の特定、対策ができないことが往々にしてあります。

そういった時、「現場で取得した電圧波形のデータを持ち帰り、それと同じ波形を交流電源で発生させ、機器の誤動作の再現をさせたい」というケースがあるかと思います。

そこで、現場で取得した電源電圧波形を当社の交流電源(PCR-LEシリーズ)で再現する方法についてご紹介します。なお、ここでは三相交流についてご紹介していますが、単相、単相三線についても対応する相数が減るだけで、ほぼ同様に行うことができます。

1.PCR-LEシリーズの交流発生システム原理

PCR-LEシリーズは交流電源であると同時に、内部に任意波形発生装置を内蔵した電源ラインシミュレータです。従って商用系統電源を模擬したり、自由な電源波形を作成することができます。内蔵の任意波形発生装置の波形発生システムは(図1)の様に64個の波形バンクを持っていて、各波形バンクには1サイクル分の波形データが保存されています。その波形データを選択し、設定した周波数で繰り返しデジタル/アナログ変換することにより交流電圧を発生しています。波形バンクはデフォルトでは波形バンク0(サイン波)を使用し、サイン波の交流電圧を発生しています。任意波形を発生させる場合は他の63個の波形バンクに任意に定義した波形(任意波形)を書き込むことができ、任意の波形バンクを指定して実行させることで、PCR-LEシリーズにいろいろな波形を発生させることができます。

図1_PCR波形発生システム_01

三相システムでは各相(U、V、W)が同じ波形発生システムを持つことになります。従って任意波形を発生させるには各相の波形バンクに波形を書き込む必要があります。ここでは現場で取得した電圧波形を波形バンクに保存し、PCR-LEシリーズ(交流電源)でその波形を出力することにより、「現場で取得した交流電圧波形」をPCR-LEシリーズで再現します。

2.準備

波形再生には以下の設備等が必要になります。

※1:SD012-PCR-LE、SD019-PCR-LE、SD020-PCR-LEのいずれかでも対応可
※2:マルチ出力モデルPCR-LE2シリーズでも対応可

3.取得する電圧波形の条件

波形データをCSV形式で保存できるオシロスコープを使ってデータを取得・記録します。なおPCR-LEシリーズの出力の接続はY結線です。線間電圧は各相電圧の合成になりますので、必ず各相電圧の波形を取得してください。線間電圧を取得しても波形の再生はできませんのでご注意ください。また、オシロスコープで取得するデータ数は1万ポイント以内である必要があります。データレコード長を必ず確認してからデータ取得をしてください。もし1万ポイントを超えるレコード長で取得してしまった場合は別ツール(オシロスコープのユーティリティソフト等)で1万ポイント以内にデータを圧縮してください。

4.現場で取得した電圧波形を波形バンクに保存する

(図2)の手順に従って、現場で取得した電圧波形を波形バンクに保存します。

(1)取得した波形データをWavy for PCR-LEで読み込み可能なデータに変換する

(図3)の様に、取得したオシロスコープのCSVデータには不要な情報が入っています。エクセルを使用し、それらを取り除き(図4)のように必要なデータだけに変換し、「***.csv」として保存します。

三相交流図3_図4_02

(2)データをWavy for PCR-LEで読み込み、波形バンクに保存可能な任意波形データにスケーリングする

  • (手順1)Wavy for PCR-LEを立ち上げます。
  • (手順2)[シーケンス > 任意波形の作成・編集(A)]で任意波形のウインドウを表示します。
  • (手順3)任意波形の種類の「任意」を選択します。
  • (手順4)[読み込み]をクリックし、先ほど保存したデータ(***.csv)を指定し読み込みます。
  • (手順5)テキストデータの変換ウインドウが現れますので、1サイクル分の必要なデータの開始位置、終了位置を指定し[変換]をクリック。完了後、[戻る]をクリックすると任意波形画面に戻ります。これにより1サイクル分の必要なデータが切り出され、縦横ともスケーリングが変更された波形バンクに保存可能な任意波形がウインドウに現れます。

(3)作成した任意波形データを保存する

任意波形ウインドウ上部の保存で「***.arb」ファイルとして保存します。なお保存先のデフォルトは[ツール > 環境設定 ]の最下部の「任意波形保存フォルダ」がデフォルトで設定されていますが、そこでディレクトリの変更も可能です。

(4)作成した任意波形データをPCR-LE波形バンクに転送する

任意波形ウインドウの波形バンクの項で送り先の波形No.(波形バンク番号)、送り先の相を指定し転送をクリックします。三相の場合は同じ波形No.(波形バンク番号)に各相ごとの波形を各相ごと送ります。従って3回転送することになります(図5)。送った波形は[表示 > 波形ビュー > 波形イメージ]で確認できます。

図5任意波形

5.波形バンクに保存した波形をPCR-LEシリーズから出力する

現場で取得した三相交流電圧波形を、交流電源PCR-LEシリーズで再現するシステムの構成図が(図6)です。

実際に保存した波形バンクデータを用い目的の波形を発生させるにはWavy for PCR-LEの[ツール > 直接制御]を選びます。そこで電圧、周波数などを指定し出力します。この直接制御ウインドウではではさらに位相角の設定、各相の電圧、電流、電力等のモニタも行うことができます(図7)。

図7_直接制御

(図8)に実際に現場で取得した波形データを元に、PCR-LEシリーズで波形を再現させた例を示します。ここでは線間電圧を示しています。

三相交流_図8出力波形例_02

菊水電子では 交流電源 PCR-LEシリーズ以外にも、このような「実波形シミュレーション」を行える製品として、高速バイポーラ電源PBZシリーズや、電子負荷装置PLZ-5Wシリーズなどがあります。いずれの製品も同様な手順で、現場のでデータを取得→再現という使い方が可能です。ご興味あれば貸し出し用デモ機もございますので、当社営業までご相談いただければと思います。

皆さんは、エンジニアとして大事な資質は何だと思いますか?
技術力?知識や情報収集力?それとも独創性?いやいや、連日の徹夜をものともしない体力でしょ?
どれも一理あって、重要な項目かと思いますが、それらと同じくらい私が重要だと思っているのが、きちんと「打ち合わせ」ができる能力です。

試作機は全滅

今から36年前、私が新卒で入社してから半年くらいたった頃の経験です。
私は特注電源の開発チームに配属されました。当時は特注(OEM)電源の需要が多く、社内の設計工数が不足していたため、設計外注さんに依頼して製作する機種が、少なからずありました。そしてある日上司から、設計外注さんが製作した電源の試作機が納品されるので、動作確認をするように指示を受けました。

翌日の夕方、生産部の作業机に10台のスイッチング電源が並んでいました。ACプラグも取り付けられた状態でしたので、まずは通電と思い、コンセントにプラグを差し込みました。ところが一瞬で「パシュッ」という音と小さな火花と共にヒューズが切れました。「えっ?」と思いながらもう一台。2台目も同様でした。
すぐにこのことを上司に報告しました。上司はその場で設計外注さんに電話をして、大きな声を出していました。どうやら組み立てただけで、火入れ(通電)はしていないということだったようです。

突貫で再設計

上司は電話を切って、私に指示を出しました。
「壊さないようにして火入れして、動作確認をしなさい。」
「壊さないように」って、プラグ刺した瞬間に飛んでしまうのに、と思いながら、とにかく構造を把握しないことには始まりません。まずは回路図とにらめっこです。スイッチングレギュレータ用制御IC MB3759・・・なんですかコレ?解らないことばかり。いろいろ調べました。部品のこと、回路のこと、その他諸々。納品から二週間くらい過ぎてしまいましたが、なんとか10台が動作する状態にはなりました。しかし仕様を満足するものではありませんでした。

このままではお客様に納品ができません。仕様を満足するための改造が始まりました。スイッチングトランスの巻き方から再検討です。そして基板も再設計です。特注(OEM)製品の納期は絶対厳守。約一か月の突貫作業になりました。
どうにか作業の甲斐あって、指定納期に初回ロットの10台を納品できました。納品時には営業さんに同行。その時に聞いた、納品先の設計者の方の言葉を今でも忘れられません。
「さぁ、電源入れて動かせるぞ。楽しみだ!」

この特注電源は+5、±12、+24の固定4出力のスイッチング電源でした。その後総出荷台数は1万台を超え、12910台になりました。用途は卓上型の仮名漢字自動変換機能付き日本語業務用ワードプロセッサです。当時の価格は270万円(!)。

時代の最先端をゆく製品の電源という重要な部分を担うことができて、とてもやりがいのある仕事でした。かなり忙しかったのですが、日々新しいことが現れてきて、それを吸収していくことが面白く、とても楽しく仕事をしていたように記憶しています。そしてその後の自分の仕事の進め方にも、とても影響のある仕事でした。

結局何がダメだったのか?

この仕事の中で学んだのは、スイッチングトランスの巻き方、部品の選考、基板のパターン設計、熱設計、ディレーティングの取り方といった技術的な知識に加えて、一緒に仕事をする人とのコミュニケーションであったのかと思います。
設計外注さんが納めた試作機がうまく動作しなかったのは、設計外注さんの技術力が云々ではなく、こちらの指示伝達や相互の情報共有が上手くなかったことも、失敗要因として大きく働いていたのだと思います。

当時は(今もある?)、かなりザックリした指示だけして、後は納期を待つという、信じられないような発注の仕方も少なくなく、その日になって大慌てということがありました。この時の仕事も、よくよく後になって調べると、かなりアバウトな感じで始まっており、それに応じた結果(初回試作全滅)になっていたわけです。

打ち合わせの心得3訓

そういったわけで、私的な「打ち合わせ」の心得として学んだことは次のようなことです。

議事録を必ず残す
打ち合わせをしたら、議事録は必須です。ただし一方的な議事録(メモ)は意味がありません。書き起こしたら必ず先方にも提示して、双方が了解した記録として残しましょう。

制約がある部分、自由な(任せる)部分を明確にする
指示内容としては、どういった状態のものをいつまでに製作するのかを明示するとともに、設計上制約がある部分と、自由裁量(お任せ)の部分をはっきりとさせましょう。基本回路図だけ渡して「あとはよろしく」とやると、ほぼ間違いなく「これじゃない!」というものが上がってきます。

日程表も共有
仕事を進める上で日程表がない、ということは考えにくいのですが、「共有」されないということが往々にしてあります。納期は決まっているが、開発フェーズ毎のマイルストーンが見えないと結局進捗管理ができず、最後の最後に馬力で帳尻合わせ(夏休みの宿題状態)ということになります。なので、日程表についても議事録と同じく、双方が了解した内容で(マイルストーン毎に)確認しあえるようにしましょう。

小規模な開発なら一人で全てやってしまうこともできますが、それなりの規模の開発はチームでおこなうことになります。こういった開発においては個人の技術力も重要ですが、それと同じくらい「コミュニケーション」も重要です。しかしこういった仕事を進めるための「コミュニケーション」方法は、教わるという機会がありません(ほとんど先輩の見様見真似でしょう)。

なので、若いエンジニアの皆さんには、技術的なスキルアップとともに、ぜひチームで仕事を進めるためのHOW TOも学んで欲しいなと思います。いい仕事の半分は技術力以外で出来ている、と思いますので。

当社の直流電源には「並列運転機能」が装備されている製品が多くあります。直流電源(同一モデル)を並列接続することにより、手軽に出力容量を増大できます。とりわけ「親機」にあたる製品のフロントパネルで、並列接続された電源全体の設定や出力値の表示ができる「ワンコントロール並列運転」は、単体運転と操作性が変わらず便利であると、好評をいただいています。なお、「ワンコントロール並列運転」という表記は当社の造語で、一般的に「マスタースレーブ並列運転」と呼ばれている概念と同じです。また「ワンコントロール」は和製英語で、ネイティブの方には通じませんのであしからず。

さて、とても便利な「並列運転機能」ですが、その並列運転配線(信号系の配線、負荷への配線)はユーザ様の作業としてお願いしており、その配線方法を取扱説明書に記述しています。しかしながら、意外と記述の通りに配線していない例が多いようで、特に負荷への配線が適切でないために異常発振を起こしてしまい、不具合としてお問い合わせをいただくようなケースがあります。並列運転の負荷線の配線方法は、製品シリーズによる差異がほとんどありませんので、ここではその基本的な配線方法と不安定な状態の場合の対処方法についてご説明します(注:高速電源PBZシリーズについては除きます)。

1. 基本的な配線

(1)電源から負荷への配線は同じ長さで、短く配線します。図1の様にL1、L2、L3の各配線は同じ長さで、できるだけ短く、配線してください。

(2)負荷へ配線が長い場合はできるだけ短い配線で中継し、その中継から負荷への配線を長くします。その際できるだけ撚って配線してください(L4)。

図1に配線例を示します。

L4の配線の太さは三台の電源の合計電流を安全に流せる線径の電線を使用してください。この基本的な配線でハンチングが起きるなど、出力が不安定になる場合があります。その時は次ページのような対策を行ってみます。様子を見ながら、それぞれまたは全部を行ってみます。

2. それでも出力が不安定になる時の対策法

(1)出力端子のマイナスまたはプラス端子を接地します(図2中 緑色線)。

DUTの入力が接地されていない場合はプラス、マイナスのどちらに接地しても問題ありませんが、DUTが接地されている場合は、接地されている側の出力端子を接地します。

(2)制御コモン側の出力端子に渡り線で配線します(図2中 黄色線)。

制御コモンがマイナス端子の場合はマイナス端子、制御コモンがプラス端子の場合はプラス端子を接続します。

並列基礎_表1

(3)中継点に大容量のコンデンサを接続します(図2中 桃色)。

ご注意:PBZシリーズなど、高速電源には接続できません。

以上のような対策を行うことで、負荷配線に起因する不具合のほとんどは解消すると思います。

 

 

1.波形が試験表の値と違う

私は、車載用機器の過渡サージ試験器などを主に担当しています。お客様から「今回、菊水の製品を導入したのですが、波形観測に1/100のプローブが必要と言われたので合わせて購入しました。早速、実際に波形を観測したところ、試験表の値と違っています。これはいったい?」といった問い合わせを頂くことがあります。お話を詳しく聞いてみるとオシロスコープの設定や周辺環境(※1)の準備には問題がなかったのですが、1/100のプローブは買ったまま何もしていないということでした。

一般的に、プローブは使うオシロスコープと接続して一体で校正(調整)する必要があります。これは、「プローブが壊れていないのか?正しく観測できるのか?」を確認するために必要な作業となります(※2)。 とは言え、観測する波形がms以上(場合によってはμs以上)の動作や、単なるhigh/Lowのレベル確認程度であれば、無調整のプローブを使用しても問題無いケースが殆どです。
しかし"ns"~"μs"の立ち上がりや幅といった高速に変化する波形を、受動プローブを使って観測する場合、プローブの「正しい」調整が必須となります。

波形観測_図1-1 高速パルスの例

2. 原因のほとんどはプローブの調整不備

立ち上がり時間やパルス幅がnsオーダーの高速パルスを測定する場合、周波数帯域が広くサンプリング数の多いオシロスコープを用意する必要があります。観測対象となる機器の出力インピーダンスが50Ω系の同軸構造であれば、同軸型のアッテネータや同軸ケーブルを使う事でオシロスコープとパルス発生器を直接接続することが可能です(※3)。 この観測方法であれば、観測対象である波形をロスや遅延の少ない状態で観測することができます。

一般的にサージ発生器と呼ばれる機器の仕様は、国際規格や地域規格及びメーカー規格等で決められており、そのほとんどが同軸構造の50Ω系出力ではありません。端子形状が同軸構造の50Ω系ではありませんので、波形の観測には差動プローブや受動プローブを使用する事になるのですが、この差動プローブや受動プローブを使った観測方法では、試験器の校正データ(試験表のデータ)と同じ値が観測されない場合があります。「観測結果が異なる」とのお問い合わせ内容の殆どが、この"ns"~"μs"の立ち上がりや幅を持つ波形であり、調整の不備が原因で観測結果に差異が出たというケースが殆どです(※4)。

差動プローブを使った波形観測でのお問い合わせ例としては、

  • オシロもプローブも菊水の推奨品なのに、正しく波形が観測されない。
  • プローブを菊水で校正してもらったのに、観測結果が異なる。
  • 同じ周波数帯域のオシロに変えたのに、観測結果が全く違う結果となった。

等があります。

3. 身も蓋もない結論で恐縮ですが

前述のお問い合わせへの回答は次のようになります。

Q. オシロもプローブも菊水の推奨品なのに、正しく波形が観測されない。

A. オシロスコープとプローブを組み合わせて校正する必要があります。

Q. プローブを菊水で校正してもらったのに、観測結果が異なる。

A. プローブだけを校正しても使うオシロスコープで違いが出ます。(オシロと組み合わせで調整しないと観測結果は異なりますと、事前に伝えていると思います。)

Q. 同じ周波数帯域のオシロに変えたのに、観測結果が全く違う結果となった。

A. 周波数帯域やサンプリング数が一緒でも入力容量の違いによって観測結果が異なります(同型のオシロスコープで観測しても、入力容量の個体差があるため同じ結果にはなりません)。

オシロの使用方法は電気計測の基本で、ほとんどの方が初学段階に指導を受けていると思われます。ベテランエンジニアの方にとっては、商売道具を取り扱う上での基本で「常識」となる事項ですが、経験の浅い方、たまにしかオシロを使わない方にとっては、プローブの調整・校正は意外と見落とす(または思い違いしやすい)ポイントのようです。
ということで、正しい波形観測のためは、実際に使うオシロスコープとプローブを組み合わせて校正することが重要です、という身も蓋もないお話でした。

と終わってしまっては、つまらないので、次ページのような比較実験をおこなってみました。幸い当社には設備として高電圧パルス発生器や様々なモデルのオシロが社内に転がっています。これらを検証材料に、実際どれほどの差異が出るものなのか。結果がほぼ想像出来る検証ではありますが、実際にやってみる人はあまりいないだろう、と思われる稀有な実験です(笑)。話のタネになれば幸いです。

※1: 機種によってはオシロスコープを絶縁トランスで浮かせる必要があります。
※2: プローブ校正の見解につきましては、各メーカー様にお問い合わせ願います。
※3: オシロスコープを50Ωで終端する必要があります。 
※4: 菊水製試験器への問い合わせのケースに限ります。

3. まずはプローブを校正する

通常、オシロスコープとプローブを使ってデータを観測する場合には、プローブを校正する必要があることは説明させて頂きましたが、プローブの校正はオシロスコープのCAL端子の方形波パルス波形を使います(※5)。このオシロスコープのCAL端子は数V(最大でも5V程度)の電圧しか出力されません。過渡サージ波形は数十Vから数百Vのパルスが出力されますので、観測に必要な受動プローブの減衰率は1/100や1/1000となります。この減衰率のプローブをオシロスコープのCAL端子に接続しても振幅は殆ど得られません。1/100や1/1000のプローブを校正する場合は、高電圧の方形波パスル発生器が必要になります。高電圧(方形波)パスル発生器は大変高額であり、入手も困難ですので、今回の実験では、よりリアルなISO7637-2規格試験器の3b波形を使って1/100差動プローブ(受動プローブ)を校正しています(※6)。

波形観測_ISO7637-2 規格試験器(KES7700システム)

当社のISO7637-2規格試験器『KES7700システム』の3b出力は、50Ω系の同軸構造です。この構造は、アッテネータ等を使いダイレクトにオシロスコープへ接続することが可能ですので、出力波形をロスや遅延の少ない状態で観測することが可能です。また、受動プローブでの測定も、プローブの先端をBNCタイプに変更する変換アダプタを使う事により、プローブ測定で影響度の高い「アース線の引き回し」の影響を減らすことができます。出力も300V(50Ω終端時は150V)と十分な振幅を得られますので、今回の実験に必要な測定器ごとの違いを比較するのに適しています(※7)。

波形観測_図3-2 ISO7637-2 3b 波形(50Ω終端時)

4. 色々なオシロでISO7637-2の3b波形を観測した結果

今回の実験に使用したオシロスコープの仕様を表4-1に示します。ちなみに、ISO7637-2規格では、オシロスコープの周波数帯域を400MHz以上としていますので、全てのオシロスコープで要求仕様を満たしています。

波形観測_表4-1 実験に使用したオシロスコープ

今回の校正は、ISO7637-2の3b波形をおよそ300Vに設定し、タイプ1のオシロスコープとアッテネータ(40dB)で測定した結果が1.5Vになるように微調整をして基準波形としています。(全データの3b出力は一定です。)

アッテネータと同軸ケーブルを使い50Ω系で観測した結果を表4-2に、アッテネータを入れずに観測した50Ω系出力波形を基準とし、受動プローブをタイプ1で校正し、その受動プローブと各オシロスコープで観測した結果を表4-3に示します。

波形観測_表4−2 試験結果(50Ω系で観測した結果)と接続図

 

波形観測_表4-3試験結果 (タイプ1で校正したプローブを用いて他のオシロスコープで観測した結果)と接続図

表4-2の結果より、50Ω系で観測した場合では、最大で1.52V、最小で1.479Vと、1.5Vの観測値に対して、±1.5%程度の結果となりました。この程度の範囲であれば測定誤差と言えます。

但し、表4-3の受動プローブで観測した場合では、観測結果に大きな違いが見られます。最大で20%以上も異なりますので、「試験表の値と異なる。」となってしまいます。

図4-1はタイプ3の観測結果波形(イメージ)です。ピークの高い方が50Ω系での観測結果であり、ピークの低い方が受動プローブを使った結果となります。20%以上の差異があります。

波形観測_図4−1 ISO7637-2 3b 波形観測(オシロスコープタイプ3)

※5:「CAL端子」はオシロスコープのメーカによって名称が異なります。
※6: 校正方法の詳細や注意事項に付きましては、省略させて頂きます。
※7: ISO7637-2の3b波形は、あくまでピーク部分の校正に使用します。DCレベルの調整にはファンクションジェネレータ等を使用します。

 

5. 観測結果の違いの理由は?

今回比較したオシロスコープの中で、一番周波数帯域が狭くサンプリング数も少ないタイプ3の観測結果が一番低くなっています。この仕様の違いが観測結果に影響したのでしょうか。

前述しましたが、周波数帯域が広く、サンプリング数が多いオシロスコープが高速のパルス観測に適していますが、タイプ4とタイプ5の受動プローブでの観測結果は、仕様的にはあまり変わらないタイプ1と比較すると、約10%程低く観測されています。(50Ω系で観測した自身の測定結果と比較してもプローブの測定結果は同様に低く観測されています。)

では、何が波形観測のピーク測定に影響しているのでしょうか。

表5-1は表4-1にオシロスコープの入力容量のパラメータを追加しています。 入力容量が多いオシロスコープは観測結果が低くなる傾向となっているのがわかります。

波形観測_表5−1 オシロスコープの入力容量と出力波形の違い発生器とプローブの定数を固定し、オシロスコープの入力容量を変化させた簡易的な回路構成での回路シミュレータ波形を図5-1に示します。

波形観測_図5−1 回路シミュレータの結果

オシロスコープの入力容量のわずかな違いで、ピーク電圧が異なる事が分ります。

6. おわりに

誤解を招きそうですので、「入力容量の多いオシロスコープは高速パルスの測定に向かないのか?」の結論を先に申しますと、そんな事はありません。

オシロスコープと受動プローブを組み合せて校正すれば、全く問題なく波形を観測できます。

波形観測_表6-1 オシロスコープとプローブを組み合わせて校正した結果(タイプ3〜5)

今回の実験では、当社の所有しているオシロスコープの入力容量が少な目であり、そのオシロスコープが基準となりました。もし入力容量の多いオシロスコープを基準としていれば、入力容量の少ないオシロスコープで波形を観測するとピークが高く観測されますので、逆に「容量の少ないオシロスコープは使えないのか?」との問いに変わるでしょう。

このようにプローブを校正しているからと言って、そのプローブを使った測定が必ずしも正しい測定が出来るとは言えない事をご理解頂けるかと思います。

可変型の直流安定化電源(以降は 直流電源 )は、電気・電子機器の開発や製造に不可欠な基本設備として広く使われています。ところが 直流電源 の構造・ふるまいを正しく理解している人は意外と少ないのでは、と思います。

直流電源 は、しばしば「電池」に例えられます。充電で繰り返し利用できる二次電池もありますが、電池には寿命があり、時間が経つに従って電圧が下がってしまいます。電気製品の開発や製造をする際には、そのような特性では不便この上ない。そこで一定の電圧を長時間取り出せる機器として 直流電源 が作られました。しかも電池と違い、可変型であれば設定ツマミで自由に出力電圧を定格範囲内で変えられます。なので、 直流電源 =電池(もしくは 直流電源 ≧電池)だと思われるのは無理もないことかと。

直流電源 の原則は電流を流さない!?

しかし、二者は挙動として決定的に異なる点があります。それは突入電流でのふるまいです。 直流電源 は設定値以上の電流を流さない(流してはいけない)というのが大原則です。当社のカタログ品である 直流電源 は、定電圧定電流自動移行型といって、負荷の増減によって設定電流値をしきい値とした動作モード切り替え(CV→CCまたはCC→CV)を自動でおこないます。これは 直流電源 本体の保護のみならず、被試験物の保護でもあります。ちなみに過電圧保護(OVP)や過電流保護(OCP)という機能を備えた製品もありますが、それらは各動作モードの回路故障を想定した安全装置なので、普通は出力設定電圧(CV値)・出力設定電流(CC値)よりやや高めで設定しておきます。そうしないと各動作モードに入る前に保護機能が先に動作して出力を遮断してしまうことになりますので。

さて、電池はどうなのでしょうか。電池にも仕様として流せる電流値(正確には電気容量)が決められています。ではもし大きな負荷が電池にかかった時、電池はどういった挙動を示すのでしょうか。なんと電池(特に鉛電池)の場合は、短時間(数十ms)であれば数百アンペアの電流を流すことができます。だからもし電池に(保護機能なしで)直付けした負荷が故障し短絡したりすると、一瞬で大電流が流れ加熱や焼損などが起き、思わぬ事故になることがあります。これは電池特性の負の側面でありますが、逆にこれがメリットとして働く負荷があります。それは自動車の電装部品です。スタータモータやランプは始動時に大電流が流れます。しかし、いったん始動してしまえば流れる電流は小さくなります。ここでもしピーク電流値にあわせた 直流電源 を作ると、数十キロワットという容量の装置になってしまうので、実用性からは程遠いかたちになってしまいます。なので電池が非常に便利なのです。

電池を模擬する「ラッシュカレント電源」

ラッシュカレント電源は、バッテリに接続して使用する電装部品(スタータモータやランプなど)の試験のために、突入電流波形を疑似的に再現できるようにした 直流電源 です。当社では30年以上前からラッシュカレント電源を製作しておりますが、一口にラッシュカレント電源と言っても、実態は様々で、かつ突入電流波形のパターンには顧客毎のノウハウがあります。なのでここでは、具体的な波形写真や細かい数値などをお見せすることができませんが(ごめんなさい・・・)、ラッシュカレント電源を製作する上でのポイントや苦労を、ざっくりではありますが書きしるしたいと思いますので、ご参考になれば幸いです。

ラッシュカレント電源

摺り合わせの妙技

まず、ラッシュカレント電源が実現しなければならない「突入電流波形」には標準形がありません(おおざっぱに「こんな感じ(下図参照)」というのはありますが)。顧客の製品と採用するバッテリの組み合わせの数だけ要求仕様があります。なので製作の際は、電流立上り、ピーク、下降時間、ラッシュ電流の電圧降下など仕様決めのポイントが多数あるため、実際のバッテリや試料を借用して合わせこみを行う必要があります。

実際、合わせこんでユーザにいざ電源を持ち込むと、製作(調整)時と波形が違うということは茶飯事で、顧客の実測用のケーブルを借用し再度調整するケースもあります。さらに自動化ラインに持ち込むと、そこには様々な治具があったりして、その接触抵抗で希望する波形にならず、現地でギリギリまで調整を行っている(汗)という苦労も多々あります。

ラッシュ電流波形 ラッシュ電流電圧波形

回路方式について

ラッシュカレント電源の回路方式として、かつては、シリーズドロッパ電源が大多数でしたが、最近は、コスト的に優位な大容量のスイッチング電源を使用する顧客もいます。

シリーズドロッパ電源の回路特性としては、電流制御になるため、一次側(平滑部)の電解コンデンサの容量を増やし、またパワートランジスタも電流に合わせて増やしておけば、二次側(出力)の電解コンデンサで立上り波形を作り、不足する電流分を一次側(平滑コンデンサ)からピークを抑えつつ補充するという、比較的無理のない動作が実現出来ます。

一方、スイッチング電源の場合は、電力制御のため、スイッチング自体の周波数が高くあっても、制御系としての応答が遅く、また(突入の)不足電流分を供給する手段がないため、出力の電解コンデンサにたまった電荷を放出したら電圧が落ちてしまいます。さらに二次側(出力)の電解コンデンサにたまった電荷は、一次側(電源側)の供給が遅いと出力制御に関係なく負荷のインピーダンスで電流ピークを流してしまいますので、ピーク電流値の大きい単発パルス電流になり、ピーク後のなだらかな立下り波形をつくることができません。

また、電流のピークや立下り波形を作るために、制限抵抗を挿入する等をしますが、最近は内部抵抗可変機能を採用することもあります。しかし内部抵抗可変機能が働くのは、ピーク値以降の制限領域からで、立下り部分での改善としての対応になります。スイッチング電源で理想的な波形を再現させるには、スイッチング電源に直列に電子負荷挿入して制御すると出来るのかもしれませんが、コストアップは、避けられません。それならば、シリーズドロッパ電源にした方が安上がりだと思われます。

絶滅危惧種?

ひとつ懸念点として、シリーズドロッパ電源は、ご存知のように需要が減っており、当社でも縮小傾向にあります。ラッシュカレント電源は、元々特注対応ではありますが、ベースとなる標準品(シリーズドロッパ電源)がないということは、一から作ることになり、それがそのままコストに跳ね返ることになります。またシリーズドロッパ電源を作る上で必要な素子(サイリスタやパワートランジスタ)も製造中止になるものが増え(代替品がない)、今後入手に難渋することが多くなりそうです。それも結果としてコストアップにつながります。 確かに、スイッチング電源は年々性能が向上し、価格的にも優位にありますが、すべての面においてシリーズドロッパ電源を凌駕するというわけではありません。応答性や低ノイズ性においては、いまだスイッチング電源より優れた特性を持った回路方式です。

今後も電池を使用する機器の評価には、こういった「ラッシュカレント電源」が必要であると思いますので、なんとか技術を絶やさず、次代に継承できればと思います。ということで、「ラッシュカレント電源」をご検討の際は、ぜひ、ぜひ当社にお声がけいただければ嬉しく思います(笑)。よろしくお願い申し上げます。

下図のように電子負荷装置とは、実はシャントレギュレータというれっきとした直流電源の一種です。

バイアス_図1

 

通常電子負荷装置は最低動作電圧が規定されています。トランジスタの Vce が 0V では動作しないからです。 そのため、例えば「電池の転極試験をしたい」といった場合、バイアス電源と呼ばれる直流電源を直列に挿入します。

バイアス_図2

するとその電源が電池のマイナス電圧分を補填してくれます。例えば電池が −1V になっても4Vの Vce が確保でき、電子負荷で放電を続ける事が可能となります。この場合の「バイアス」とは「偏り」を意味しますが「オフセット」と呼んだ方が近い表現かな?と思います。バイアス電源を「ゲタ電源」とも呼びますがこの方がしっくりきますね。

実際は負荷ケーブル等の損失による電圧降下もありますのでバイアス電源が 5V の場合 Vce は最低でも約2Vくらいが確保できます。当然、負荷ケーブルを「太く・短く」すれば電圧降下は少なくて済みますので Vce は更に高くなります。

PLZ664WA等製品形名末尾に「A」とある当社電子負荷は、装置内部にバイアス電源を実装している製品です。 PLZ70UAも「A」付きとなりますので動作範囲は「0V〜」となります。

ちなみに下図の「追加電源(5V/60A)SPEC70548」は、充放電システム用に特注製作した固定電源です。筐体はPWR400Lを流用しています。

固定電源_左振り固定電源_リア

 

当社の標準製品として固定出力電源といったものはありません。しかし、市場で入手できる固定電源を利用して、それをケースに収納し、ON/OFFスイッチや強制空冷ファンをつけて安心して使えるように仕立てるといったことも、特注として承ることができます。ご要望があればお見積出来ますので、当社営業までお問い合わせ下さい。

まだ駆け出しでソフトウェア開発経験が浅い頃、ある製品のファームウェア開発を担当した際に「やっちまった」失敗談です。

その製品はリモートで外部からの入出力の切替を行う仕様があるので、その機能実装として入出力を定期的に監視し、状態に合わせて処理を行うプログラムを作成することになりました。
処理自体は、判断基準になる入出力の状態を、直接「グローバル変数」に格納して処理する関数を作成するという比較的簡単なものです。そしてある程度想定できる条件で動作検証を行い(自分としては)問題無い事を確認しリリースを行いました。この時の検証方法としては、入出力状態としてはON/OFFの2パターンしかなかったので、その組み合わせでの検証のみ行っていました。

リリース後に数年して、外部入出力の状態が正しく処理できていないという問い合わせがあり、急遽調査を行うことになりました。
実際の使用条件は、かなり早い周期で、外部からの入出力状態を切り替えるものであり、開発を行っていた時は、そういったシビアな条件での検証を行っておらず、言い訳もできませんでした。
さらに調査を進めると、原因は簡単で、入出力状態をグローバル変数に格納しているので、定義後はどこからコールされても値は変わらないはずだと思い込み、別関数内の処理で入出力状態が書き換わることを想定していなかったことです。そのため正しい処理ができなくなっていました。

このとき、なんでもかんでもグローバル変数で処理を行うのではなく、想定機能のアルゴリズムを理解し、データの流れや加工のイメージを自分なりに把握することの大切さを痛感しました。基本的なことですが、グローバル変数がどこからアクセスされるのかや、どういったタイミングで更新されるかが重要です。
また、検証方法についても、ON/OFFのような単調パターンだけではなく、複数条件の組み合わせを考える(検証仕様を作成する)ことの大事さも痛感しました。ただし、全ての組み合わせを考えるのは難しいですが・・・。

分かってしまえばなんてことも無い事ですが、初めての開発であったりすると、簡単なことが思い浮かばないこともあります。困ったときには、Webや本で調べるのもいいのですが、まずは隣の同僚に聞くのが、一番早いのではと思います。意外と、答えを持っている人、ヒントをくれる人がいっぱいいますよ。

電源の出力端子には直流電源であれば、+-の出力端子とGND端子の三つの端子、交流電源であればL Nの出力端子と GND端子の三つ端子があります。出力端子のどちらかをGNDに接続した方が良いのか、それとも接続しない方が良いのか、電源を使用する上で判断しなければなりません。菊水電子製の交流電源は、出荷時、GND端子はどの出力端子にも接続されていません。また直流電源では-(マイナス)端子がGNDに接続されているか、接続されていないかが製品シリーズによって異なります。従って用途によって、出力端子の接地をどうするか検討し適切な設定を行う必要があります。ここでは、接地の検討にあたり、知っておいていただきたいことについて説明します。

1. 出力端子の各端子との絶縁関係図

出力端子が入力電源、GNDに対しどのような絶縁関係があるのかを交流電源を例に図1の絶縁関係図で示します。直流電源でもほぼ同等です。

接地_図1

この例では単相3線AC200Vの配電系統より電力供給を受けている場合を示しています。

(1)二次側GND端子は一次側GND 端子(接地端子)と接続されています。
一次側GND端子は配電盤のアースに接するなどし、接地するのが安全上必要ですが、接地されていない場合、いくら、二次出力をGNDに接続しても、一次側のGND端子が接地されていない場合二次出力端子は接地されていないことになりますので、注意が必要です。

(2)GNDを除く出力端子は一次側と絶縁されています。絶縁は各電源の仕様で記述されています。通常一次二次間の絶縁耐圧はAC1500Vで1分間です。

2. 二次側接地の必要性と効果

接地した方が適当と思われる事例4点により、接地の必要性およびその効果について説明します。

2-1. 絶縁しているはずなのに“ピリピリ”くる

<安全面>

「交流電源は絶縁されているから大丈夫と思い、出力のN端子に触れたら“ピリピリ”きたのですがなぜですか?」という問い合わせがあります。

確かに一次二次間前ページの(図1) に示す様に絶縁されています。しかしながら、よく見ると図2に示す様にN端子には静電容量C1,C2で分圧された電圧が発生することがわかり、その電圧によりピリピリくると言えます。

これを防ぐには、N端子をGND端子に接続するか、N端子とGND端子間に大きな静電容量(コンデンサ)を接続します。

接地_図2

2-2. プールの浄水用電源

<安全面>

(図3)にプールの浄水器の等価システム図を示します。この図にある様に直流電源の出力がプールの水につかっているのがわかります。この接続において、一次と二次間の絶縁がなんらかの原因で不良になったら一次側の電圧がDC出力端子に現れ、プールに人が感電するような漏電電流が流れる可能性があります。

プールの浄水器の等価システム図

これを防ぐために、二次側の+または-端子をGNDに必ず接続する必要があります。

先の2-1項のことに照らし合わせても、二次側の接地は必須です。

2-3. 無線システムの供給電源

<ノイズ面>

(図4)に無線送信機の電力を計測するシステムを示します。図中の電源は内部にコモンモードノイズ源を持っています。この例では電源の出力端子が送信機まで配線されていて、その配線から矢印の様にコモンモードノイズが空中に放出されます。放出されたコモンモードノイズは、グランドループを通過するとInoiseの電流性ノイズになります。このノイズがケーブル外皮を通過するとVIが発生し、結果スペアナにノイズ(VI)が計測される結果になります。

これを防ぐには、放出するコモンモードノイズを少なくすればよく、そのためにこの場合電源出力端子をGNDに接続すると効果があります。このように二次側出力端子を接地することにより、コモンモードノイズの放出を抑える効果があります。

接地_図3

2-4. 漏えい電流試験

<機能面>

(図)5は、漏えい電流(保護導体電流、接触電流)の測定に関する規格IEC60990から引用したものです。この図は交流安定化電源にEUTが接続された状態で、漏えい電流を計測する場合の配線について記述しているのに相当します。ここで注目するのは「N端子とPE(保護接地端子、本文ではGND端子)を接続する必要があります」と言っているわけです。この接続により漏えい電流のルートを構成でき(図5)では、赤の点線がそのルートになります。このように漏えい電流計測には出力端子の接地が必要で、また任意の出力を接地できるという意味で交流電源の使用はかかせません。

接地_図5

3. 対接地電圧を考慮した、使用方法

出力端子には製品ごとに対接地電圧の規定があります。対接地電圧とは出力端子(+- L N)とGND端子(シャーシ電位)間に加えることのできる電圧で、(図6)のV(N-G)およびV(L-G)に相当します。V(N-G)またはV(L-G)のどちらも対接地電圧を超えることはできません。

(本文では直流電源、交流電源に対し共通で表現するために、直流電源の場合はL端子を+端子、N端子-端子と読み替えてご理解ください。)

接地_図6

実際に、出力端子とGND間に電圧を加えると、電源の仕様によっては、使用できる出力電圧が制限されますので、ご注意ください。

直流安定化電源定格出力電圧 DC300V対接地電圧 ±DC500Vを使用した例を示します。

[例1]N-GND間にDC250Vを加えた場合、直流安定化電源が使用できる出力電圧(VOUTはDC250Vに制限されます。

VOUT=対接地電圧-V(N-G)=500V-250V=250V

接地_図7

[例2]2台の電源を直列接続し、下側のN端子とGND端子を接続します。V(L-G)は、DC500Vなので、出力電圧は2台合計でも、DC500Vに制限されます。

接地_図8

毎日山のような仕事がある中で、自分の使っている試験装置や機器がエラーメッセージを出したり、思うように動かないと仕事が進まなくなるので、焦ったりイライラした気持ちになると思います。そんなとき、あなたはどのように解決していますか?
特に、当社の主力製品である電源やその他の機器は業務用製品ですので、使い方をググってもほとんど答えを得ることはできないと思います。

当社ではサポートダイヤルやWebのお問い合わせフォームのサービスを提供していますので、電話やWebで問い合わせを頂ければエンジニアが問題解決のお手伝いをさせていただいていますが、お問い合わせ内容を分析してみますと、順を追って確認していけばかんたんに解決できそうな問題にも関わらず、迷宮入りしてしまっているケースも少なくないです。

そこで、装置がうまく動かないときにお試し頂きたいポイントをサポートエンジニアの目線でいくつかご紹介していきたいと思います。

本体から負荷ケーブルをはずし、無負荷で動作させても不具合が発生しますか?

非常によくあるケースです。
「無負荷でも現象は変りませんか?」という質問に対し、「はい、負荷はなにもつながっていません」という回答を頂いてもうまくいかないケース の例です。 例えば、「過電流アラームで装置が停止する」という症状の際、弊社の製品から先に切替回路等がつながっているシステムでは、それらの回路が問題になって現象が出ていることがあります。こんなときは一度電源や負荷装置本体から出力ケーブルや制御ケーブルをはずし、単体で動作するかを確認すると、本体が原因なのかその先が原因なのかがわかりやすくなります。

エラーメッセージを出しているのはどの装置ですか?

弊社の機器を組み込んだ生産設備自体の制御ユニットがエラーメッセージを表示している場合があります。この場合、弊社サポート窓口にお問い合わせいただいてもお調べすることができません。
この場合は生産設備のコントローラではなく、弊社製品のパネルでご確認いただいた内容をお知らせ頂くと解決が早くできます。

工場出荷時リセットをお試しいただけましたか?

どうしてもうまくいかない場合、前任者がいろいろな保護機能を設定してしまっていて、それらが現象を引き起こしている場合や、外来ノイズ等で弊社製品が思わぬ誤動作をしている場合が考えられます。
このような場合、ユーザーズマニュアルを参考に、工場出荷リセットを行うと改善する場合があります。
この場合、通信設定やセットアップメモリも出荷状態に戻りますので、組み込みシステムやPCからのコントロールを行っている場合(メモリーを使用しているため)再設定が必要になりますので、リセットの前には機器の管理者と相談の上行っていただくことをお勧め致します。

定電流電源を使用しているのだが、電流つまみを回しても電流が増えない。故障ではないか。

電流を流すためには、電圧が必要です。 例えば、1Ωの抵抗に10Aを流したければ10V必要なのですが、電源自体が10V以下しか出せない場合はいくら最大電流が大きい電源装置でも10A以上の電流を流すことは原理的にできません。また、電圧設定値が10Vになっていれば、それ以上は電圧が上がりませんのでこれも10A以上の電流を流すことはできません。
上記のようなケースは落ち着いて考えれば学校で習ったオームの法則で解決できる問題なのですが、現場で時間の余裕がなかったりすると「電流つまみを回しても電流が流れない!故障だ!」と早合点してしまうことがよくあります。

いずれのケースでも落ち着いて対応すれば解決することがほとんどです。
焦れば焦るほど解決の出口は遠ざかっていきます。
特に当社製品の場合は家電製品と違って使いこなしにある程度の電気知識が要求されますので、これからエンジニアの仕事に携わる皆様にはぜひとも製品をじっくりいじってクセを掴む時間を作っていただければと思います。それが、回り道のようで最終的には仕事を確実にこなせる早道になるということをご理解いただけると、昔を知る技術者としては本望です。

産業用機器の場合、大きな電力を使う製品が多いために消費電力をVA値で表示する慣例があると思います。また、力率改善コンバータなどを積んでいないため、入力波形がコンデンサインプット型丸出しといった商品もありますが、時々工場の生産データ取りの際に「電力の値が製品規格に入らない」というクレームが上がってくることがあります。
これがなぜ起こるのかちょっと検証してみましょう。

ある計測器を負荷として交流安定化電源(PCR2000M)の場合と商用電源の場合とでそれぞれ測定してみました。

皮相_表

上の表で分かる通り、電源電圧自体は0.7%程度高いにもかかわらず、電流はrmsで-4.6%、尖頭値に至っては-7.9%以上も少なくなってしまっています。 また、電流が下がっているため、皮相電力も4%近く下がっていることが分かります。

それぞれの波形を比較してみても尖頭値電流が落ちているのが分かります。

  • 系列1:電圧波形(単位:V)
  • 系列2:電流波形(単位:A)

(1)PCR2000M+KPM1000 で測定した時の波形

皮相_波形1

(2)商用ライン(実験机のコンセント)

皮相_波形2 上記のグラフを比較すると、下のグラフの青い線(=電圧)がピークに近いところでひずんでいるのが分かります。これはなぜ起こるのでしょうか?

以下の図はIEC61000-3-3 フリッカ測定時の測定回路なのですが、Rとjxが入っていると思います。
これが、線路インピーダンスです。

皮相_線路インピーダンス 線路インピーダンスの値は様々な配電系統を実測した値から求めた中央値であるといわれています。

この値は
RA = 0.24Ω jXA = 0.15Ω at 50Hz
RN = 0.16Ω jXN = 0.10Ω at 50Hz

ですので、合わせると0.4Ω+jx0.25Ωとなり、50Hzに対しては約0.472Ωの合成インピーダンスを持つことになります。

ここから計算しますと、上記線路インピーダンスの系統において、尖頭値電流における電圧降下は

0.472Ω×2.958(A)=1.39(V)

となりますが、実際にはコンデンサインプットの波形の場合、より高い周波数成分を含んでいますのでインダクタンス成分による尖頭値の電圧降下はこの値よりもずっと大きくなります。
この電圧降下が電圧ひずみの正体です。

このような回路で測定した電流は当然インピーダンスの低い系統で試験した場合に比べ小さくなりますので、製品の仕様を決める際には

  • 小容量の機器であれば交流安定化電源の出力で測定する。
  • 大容量の機器であれば配電盤に近く、ケーブルを太くして測定する。

などの注意が必要です。100Wもいかない機器だから・・・といって、評価の際に電源コンセントからとった値で製品の仕様を決めると、マージンが少なくなりますのでご注意を。

開催日:2012年8月7日(火)〜12日(日)

パイクスEVチャレンジとは

パイクスEVチャレンジは、俳優 哀川 翔氏のラリーチーム「Show Aikawa World Rally Team(TEAM SHOW)」による、米国の山岳レース「パイクスピークインターナショナルヒルクライム(PPIHC)」へのEV参戦プロジェクトです。
菊水電子工業は、2010年にEV急速充電器(Milla-Eシリーズ)を開発し、EVインフラのサプライヤーとして活動して参りました。今回さらに、パイクスEVチャレンジのオフィシャルパートナーとなることで、EVの可能性と楽しさを広く皆様にお伝えし、EVの普及ひいては次世代社会の到来を実現する一助になればと考えております。

パイクスピークインターナショナルヒルクライム(PPIHC)とは・・・
PPIHC

米国、コロラド州コロラドスプリングスに位置するパイクスーピークマウンテンのパイクスピークハイウェイで、毎年アメリカ独立記念日(7月4日)前後に行われる自動車と二輪車のレース。標高2,862m 地点をスタート地点とし、4,301m の頂上までの標高差1,439m を一気に駆け上がる世界に類を見ない特殊で過酷なレースであり、別名「雲へ向かうレース(The Race to the Clouds)」として知られる。 初開催は1916 年で、アメリカではインディ500 に次ぐ歴史を持つカーレースでもある。 なお本年(第90回)の決勝は7月8日(日)におこなわれる。
※周辺地域の山火事の影響により開催延期となりました。新しい日程が決定され次第お知らせいたします。(追記2012.6.28)
※新しい日程が決定しました。本年は8月7日(火)〜12日(日)に開催となりました。(追記2012.7.5)
→ウィキペディア

パイクスEVチャレンジ概要
  • 参加車両:TMG EV P002
  • チーム監督:哀川翔
  • ドライバー:奴田原文雄
  • マネージングプロデューサー:神子力(アールケイワン)
  • チームオペレーション:TMG
  • タイトルスポンサー:横浜ゴム株式会社
  • オフィシャルパートナー:菊水電子工業株式会社 ほか

ムービー

TMG EV P002のテスト走行の模様がTMG社によりアップされていました。これがパイクスを走ります!(ボディはまだTMG仕様)

[2012.09.26]TV放映のおしらせ(未来世紀ジパング/2012年10月1日 夜10時~)

テレビ東京の情報番組「日経スペシャル 未来世紀ジパング」にて、今回のパイクスピークの模様が放送されます。ぜひご覧ください。

  • 番組名:テレビ東京「日経スペシャル 未来世紀ジパング」
  • 放送日:2012年10月1日 夜10時~
  • 番組ウェブサイト:http://www.tv-tokyo.co.jp/zipangu/

[2012.09.07]決勝走行ムービー&優勝トロフィー

8月12日決勝のときのオンボード映像がTMG社によりアップされていました。10分15秒380の走りをお楽しみください。また、エレクトリッククラスの優勝トロフィーをお借りして写真を撮らせていただきました。きちんと撮影した写真としてはたぶん本邦初公開です(^^)。さらに、未公開の写真もたくさん提供いただいたので、一部ですがアップします。

フォトレポート

ムービー

8月12日決勝のときのオンボード映像がTMG社によりアップされていました。

[2012.08.27]記事紹介

このプロジェクトのタイトルスポンサーである横浜ゴム株式会社様のサイトに、「2012年、戦いの記録」として詳細な記事が掲載されています。今回の好戦績が、様々な悪条件を乗り越えて達成された「奇跡」であることがあらためて実感されます。
また、自動車評論家飯田裕子さんの「Car Life Diary」にてパイクス特集記事があります。現地でしか知りえない情報満載です。こちらもぜひご覧ください。

パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム 2012 ヨコハマタイヤ EVチャレンジ
→2012年、戦いの記録

飯田裕子さんのCar Life Diary
→パイクス・ピーク・インターナショナル・ヒルクライムレース2012(前編)
→パイクス・ピーク・インターナショナル・ヒルクライムレース2012(後編)

[2012.08.13]決勝詳報、10分15秒380、クラス優勝!

TEAM SHOWから、決勝に関するニュースリリースが出ました。

TMG EV P001を駆りエレクトリッククラスにSHOW AIKAWA WORLD RALLY TEAMからエントリーした奴田原文雄選手は10分15秒 380のタイムをマークし、クラス優勝となりました。また、総合では6位となりました。エレクトリッククラス成績(結果)
1位 #230 奴田原文雄 TMG EV P002 10分15秒380
2位 #32 増岡浩 i-MiEV Evolution 10分30秒850
3位 #311 Elias Anderson Lightning XP12 11分00秒857
4位 #13 Michael Bream BMW M3 11分58秒929
5位 #16 塙郁夫 Her-02 11分58秒974
6位 #34 Beccy Gordan i-MiEV 15分10秒557
―  #1 田嶋伸博 Monster Sport Pikes Peak Special -

奴田原選手コメント
「予定していたスタート時刻より2時間以上遅くなりました。それにより気温が上昇し路面温度が高くなるなど当初予定していた環境から大幅に変化することとなりました。マシンへの負担やタイヤのセレクトへの不安はスタート開始から、ぬぐえなかったです。またアッパーセクションで雨が降り出し、決して良い環境ではありませんでしたが、Practiceの中で細かい打合せや調整を行っていたことが功を奏し、最終的にはこのような結果を得られたと思っています。
TMG、TRD USA、そしてSHOW AIKAWA WORLD RALLY TEAMのスタッフに支えられ1位となったことは大変うれしいです。パイクスピークインターナショナルヒルクライムはまたチャレンジしたいです。皆様応援ありがとうございました。」

今回のパイクスは、優勝候補といわれたマシンが相次いでコースアウトしたり、また大本命のモンスター田嶋選手が出走したもののマシントラブルによりリタイアするなど波乱模様に。さらにEVクラス走行中からヒョウ混じりの強い雨が降るなど、天候も悪化。最終的に決勝走行できなかったマシンもあったそうです。
この数日をふりかえり、完走するだけでも実はとても大変なレースなのだな、というのが実感です。20kmを約10分で走りきるということは平均時速で120km、コース途中では200km出るところもあるとのこと。とても信じられないですね、こんな山道を。しかも初参加です。これは大快挙でしょう。奴田原選手は、「条件が揃えば、マシンの性能からして10分は切れる」との心強いコメントも。これは次回もやるしかないですよ!
なお、決勝出場が危ぶまれた増岡浩選手のi-MiEV Evolutionですが、こちらもクラス2位(総合8位)と起死回生の大健闘。両選手に大きな拍手を送りたいと思います。すばらしい!!
追記(2012.8.19,10:20):フォトレポートの写真を追加しました。

フォトレポート

[2012.08.13]結果速報

TEAM SHOWから、結果に関するニュース速報が出ました。

第90回パイクスピークインターナショナルヒルクライムの決勝が
8月12日(日)に、アメリカ コロラド州コロラドスプリングで行われ、
TMG EV P002を駆りエレクトリッククラスに
SHOW AIKAWA WORLD RALLY TEAMからエントリーした
奴田原文雄選手が10分15秒 380のタイムをマークし、
見事クラス優勝(総合5位)を飾った。
※この結果は暫定です。

やりました!
続報を待ちたいと思います。

[2012.08.12]決勝前日

決勝は日本時間の8月13日未明になります。あぁ、どうなるんだろ・・・。
TEAM SHOWのサイトに、「パイクス レポート#3」としてファンフェスタのレポートがアップされてました。またTMGのFacebookページにも練習走行時のEV P002の写真がアップ。画角の取り方がめちゃくちゃカッコいい!ぜひご覧ください。
今日は観光気分で、パイクスピークの写真やファンフェスタの写真をご紹介。行ってみたいかも・・・、と思う反面、頭痛に弱い私としては、高山病が不安の種です。行っても結局病人になってしまい、ただのお荷物になってしまいかねません。遠くから眺めてるだけにしておきましょうか・・・。

フォトレポート

[2012.08.11]練習走行3日目結果詳報

TEAM SHOWから、練習走行3日目結果に関するニュースリリースが出ました。
また、オンボードカメラによるトップセクション走行の動画もアップされています。道の向こうには空しか見えないコースの連続で、まさにThe Race to the Clouds。このセクションのゴールは富士山よりも高い4300mで、早朝午前6時、気温は氷点下。日の出に向かって駆け上がるEV P002の走りをぜひご覧ください。

第90回パイクスピークインターナショナルヒルクライム、プラクティス最終日である本日はアッパーセクションの走行が行われた。3回のタイムアタックの中、1回目の2:52.50のタイムを3回目には、2:43.50と9秒近くタイムアップを図ることとなった。奴田原選手のコメント
「今日はハイスピード設定のコースでした。200kmでるコースで路面もうねりがあるところが多く、難しいステージでした。また、3日間を通してマシンのデータ、タイヤのデータをとることができました。どのセクションへも対応可能な最終的なセッティングを決め、本番にのぞみたいと思います。皆さん応援よろしくお願いします。」

アッパーセクション成績(公式予選結果)
1位 #1 田嶋伸博 Monster Sport Pikes Peak Special 2分39秒77
2位 #230 奴田原文雄 TMG EV P002 2分43秒50
3位 #311 Elias Anderson Lightning XP12 2分58秒87
4位 #16 塙郁夫 Her-02 3分07秒10
5位 #13 Michael Bream BMW M3 3分14秒65
6位 #34 Beccy Gordan i-MiEV 3分57秒51
7位 #32 増岡浩 i-MiEV Evolution -

いよいよ8月12日には決戦が行われる。

この3日間のラップタイムを単純加算すると09分54秒737。そして王者田嶋伸博選手のそれは09分28秒446。約26秒差。昨年の田嶋選手がコースレコードを更新したタイムが09分51秒278です。
パイクス全長20kmのコースはその標高差により、気圧、気温、天候といった自然条件が大きく変化。スタート地点では晴れているのに頂上付近では雪やひょうが降ることもあるそうです。また変化するコースのどこにフォーカスして車のセッティングを決めるかという要素もあり、まさに「勝負は水物」。本番では何が起きるのかわかりません。そういう意味で、26秒差はけして乗り越えられないギャップではないのではないか、と思います。

また、練習走行3日目にはダウンタウンでファンフェスタとよぶお祭りが開催されます。注目のマシンが通りに並び、ファンサービスが行われます。そして1日休日をはさみ8月12日に決勝となります。

ムービー

奴田原選手 パイクス Topセクション プラクティス

[2012.08.10]練習走行2日目結果詳報

TEAM SHOWから、練習走行2日目結果に関するニュースリリースが出ました。
また、オンボードカメラによるトップセクション走行の動画もアップされています。道の向こうには空しか見えないコースの連続で、まさにThe Race to the Clouds。このセクションのゴールは富士山よりも高い4300mで、早朝午前6時、気温は氷点下。日の出に向かって駆け上がるEV P002の走りをぜひご覧ください。

第90回パイクスピークインターナショナルヒルクライムのミドルセクションの公式練習が本日行われた。 ミドルセクションは、昨日の緩やかな勾配が続くボトムセクションとは異なり、山腹をスイッチバッグするような形で登る急勾配が続く。奴田原選手のコメント
「今日はやわらかいタイヤを使用したので路面にマッチしてよかったです。中間地点はつづら折れのストップアンドゴーのコーナーが多く、ブレーキポイントが見づらく、苦労しました。また、路面の難しい部分が理解でき、細かいセッティングに対応できました。引き続き明日につなげていきたいと思います。」

ミドルセクション成績(公式予選結果)
1位 #1 田嶋伸博 Monster Sport Pikes Peak Special 2分36秒26
2位 #230 奴田原文雄 TMG EV P002 2分44秒28
3位 #16 塙郁夫 Her-02 2分55秒38
4位 #311 Elias Anderson Lightning XP12 2分58秒98
5位 #13 Michael Bream BMW M3 3分11秒73
6位 #34 Beccy Gordan i-MiEV 3分54秒80
7位 #32 増岡浩 i-MiEV Evolution -

明日、10日はアッパーセクションでの公式練習が行われる。

増岡浩選手のi-MiEV Evolutionのタイムがなぜないのかな、と思ったところ、昨日のセカンドトライ時にコースアウトし、車両フロント部を損傷。二日目はBeccy選手の乗るi-MiEVをシェアする形で走行したとのことです。なお、i-MiEV Evolutionは、土曜日中には修復作業が完了する予定だそうです。

それと、予選総合順位ですが、昨日のボトムセクションでのタイムが公式予選タイムになるそうです。この日は、「Open Wheel」、「Time Attack」、「Unlimited」の3クラスが走行。UnlimitedクラスのPaul Dallenbach選手(PVA-03)が3分59秒704で予選トップタイムをマークしたとのことです。

[2012.08.10]練習走行2日目・・・

練習走行2日目の結果がまだわかりませんが、2日目の朝の様子がTEAM SHOWのサイトに「パイクス レポート#2」としてアップされていました。現場の雰囲気が伝わってきます。

フォトレポート

[2012.08.10]練習走行2日目・・・

TEAM SHOWから、練習走行1日目結果に関するニュースリリースが出ました。

8月8日はコースをアッパー、ミドル、ボトムと3セクションに分割して行われる公式練習の1日目が快晴の中行われた。ゼッケン230の奴田原文雄選手のエントリーしているエレクトリッククラスは、コース最下部のボトムセクションからのスタートとなった。ボトムセクションは、コース全体の中では比較的勾配が穏やかなうえ、コース幅も広く、絶対速度が高いコースとなっており、マシンとドライバーの限界域が試されるレイアウトとなっている。そして、ボトムセクションの成績がそのまま予選タイムとして採用され、8月12日の決勝のスタート順位となり、ラリーと同じ1台ずつのタイムアタックで競技が行われる。
さらにはコース全体がターマック(舗装路)となった今年のパイクスピークではスタート順位によって、タイムの大きな優劣が出ることはないと予想されるために、この予選はあくまでマシンと選手のパフォーマンスの比較としての位置づけとしての意味合いが強い。

日の出を迎えた午前05時10分頃、スタートフラッグが振られ、予選を兼ねた公式練習がスタートした。従来なら4回程度のタイムアタックが可能だが、今年は台数が多いため2回のアタックしか出来ない中、奴田原選手は、1回目のアタックで4分27秒656をマークした。経験豊富な田嶋選手は14秒も上回る4分13秒343をマーク、エレクトリッククラスの予選はパイクスピークの優勝経験を持つ田嶋選手に軍配が上がった。

ボトムセクション成績(公式予選結果)※暫定
1位 #1 田嶋伸博 Monster Sport Pikes Peak Special 4分13秒343
2位 #230 奴田原文雄 TMG EV P002 4分27秒659
3位 #311 Elias Anderson Lightning XP12 4分37秒228
4位 #16 塙郁夫 Her-02 4分49秒638
5位 #13 Michael Bream BMW M3 5分5秒393
6位 #34 Beccy Gordan i-MiEV 6分25秒524
7位 #32 増岡浩 i-MiEV Evolution コースアウト

奴田原選手のコメント
「すべて順調に進んでいますが、今日は早朝のため思った以上に路面温度が低くタイヤのグリップが低かったので若干乗りづらいところはありました。ただ、これは決勝当日の路面温度の高い昼間を走ることをシュミレーションしたタイヤなので問題にはならないです。このペースを明日以降もつなげていきたいです。」

明日、9日はミドルセクションでの公式練習が行われる。

練習走行は、一般道を規制してコースとしているため、朝9:30には一般開放に戻さなければならないそう。そのため深夜から活動を開始し、夜明けとともにスタートするのです。日本でも夜中3時くらいに起きてオリンピック観戦で眠い・・・という方が少なくないようですが、パイクス関係者もこの三日間は、睡魔との戦いでもあるようです。
追記(2012.8.10,14:20):スケジュールをあらためて見たら、練習日のみならず決勝当日も朝3時ゲートオープンとありました・・・これは大変ですね。

[2012.08.09]練習走行1日目速報・サーキットテスト写真(追加)

練習走行1日目結果速報です。1日目は比較的低標高地(とはいえ2800mはある)であるボトムセクションでの走行です。この地点ではガソリン車のパワーはまだ落ちないのでしょう。トップはポルシェです。そして奴田原選手のEV P002は、なんと初参加で総合4位(暫定)、クラス2位、トップとのラップ差は約23秒。なお強豪タジマのおやじさんは総合2位(暫定)、クラス1位です(さすがです)。でも、イイ感じ!(ローラ風に)。これで高標高地になれば、EVの本領発揮でトップ行くんじゃないでしょうか・・・ドキドキですね。詳細は情報入手し次第、追記したいと思います。
それと、おととい(8/6)に行われたサーキットテストの写真の追加です。セットアップでカウルが外されたEV P002など、メカ好きにはたまらない画像ですね。個人的にこういったメカむき出し状態が大好物なので食い入るように見てしまいます。同士よご堪能あれ。

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[2012.08.08]車検・オリエンテーションなど

オリンピックの陰で、あまり伝えられることのない当イベントですが・・・粛々と進行しています。本日は参加受付、車検およびルーキースクール、ドライバーズミーティングが実施されました。TMG EV P002の注目度は高いようで、今後いろいろなメディアに取り上げられるのかなと思います。
それと事後情報ですが、TMGが持参した急速充電器は25kWのようです。しかも公表されていませんが、仕様はCHAdeMO準拠とのこと。今回は残念ながら諸事情で当社充電器の持ち込みができませんでしたが、次回があれば、ぜひMilla-Eシリーズでガッツリ充電してみたいものです。
追記(2012.8.8,16:15):先ほど、TEAM SHOWのサイトに「パイクス レポート#1」がアップされていました。

フォトレポート

[2012.08.07]サーキットテスト

本番を前におこなわれた、近隣にあるサーキットコース(パイクス・ピーク・インターナショナル・レースウェイ)でのテスト走行の模様です。車載カメラによるムービーもアップされています。F1仕様のコンパクトなステアリングのシビアさが見てとれます。最小の動きで俊敏かつ正確な操作という、ドライバーの技術力が試されることが想像できます。動画を見るだけでも強烈なG(加速度)を感じて酔ってしまいそう・・・。レーシングドライバーってすごいですね。
追記(2012.8.9,16:30):バンクで時速220kmくらい出てるそうです。

フォトレポート

ムービー

奴田原選手 パイクス事前サーキットテスト

[2012.08.06]奴田原選手のロングインタビュー

山火事の影響により8月に延期となったパイクスピーク。いよいよ明日から開催です。どんな結果が待ち受けているのか・・・。
今回のパイクスのEVクラスは7台(全出走台数は車両・バイクあわせて186台)で、奴田原選手が繰るEV P002を含め日本勢が4台だそうです。最大のライバルはパイクス総合優勝経験者、モンスターこと田嶋伸博選手でしょう。スペック非公表なのですが、見るからに参戦車もモンスター。かなりの強敵です。そして増岡浩選手の三菱i-MiEVエボリューション、塙郁夫選手のHER-02が参戦。いずれも好成績を出して、EV先進国「ニッポン」の名を世界に轟かせて欲しいものです。もちろん金メダルは奴田原選手にお願いしますが。
さて、このプロジェクトのタイトルスポンサーである横浜ゴム株式会社様のサイトに、奴田原選手のロングインタビュー記事が掲載されています。このヒルクライムは、EVの優位性に加え、ラリードライバーの能力が発揮されるコース特性であることが語られています。この記事を読んでいただくと、本番を見る楽しみがより増すものと思います。ぜひご覧ください。

パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム 2012 ヨコハマタイヤ EVチャレンジ
→奴田原文雄選手にきく

[2012.07.12]EV P002、テクノフロンティア2012に出現

当社が毎年出展している「テクノフロンティア」に、EV P002のレプリカを展示しました。レプリカといっても、ベースはEV P002と同じ英国ラディカル社製を使っていますので、ある意味これも「本物」なのです。いわゆる「ハリボテ」ではありません。今回の展示のためにEV P002に似せたリバリー(カラーリング)の車を仕立ててもらったわけです。だから当然中身はEVではなく(EV仕様は世界に一台しかない!)ガソリン車のままなので、コクピットを覗くとシフトレバーがあったりします(笑)。
しかしレプリカと知りながらも、アドバンカラーをまとった実物大の車を目の当たりにすると、その存在感、オーラはやはりすごいですね。ブース設営日に車を搬入したわけですが、搬入口から設置場所までの道のり、工事中の業者の皆さんから「お〜」「うわ〜なんだこれ!」という声が上がってましたから、やはり「異様」なんですね。モーターショウなどであればよくある風景なのでしょうが、こういったビジネスショウでは珍事なのかもしれません。そこが「狙い」なわけですが・・・
テクノフロンティアは明日(7/13)まで東京ビッグサイトでやっておりますので、せひ実物をご覧いただければと思います。

フォトレポート

[2012.07.05]第90回 PPIHC開催日決定のおしらせ

山火事の影響で延期された、第90回パイクスピークインターナショナルヒルクライムの新日程が発表されました。
新しい日程は、8月7日(火)〜12日(日)です。
今後、新たな懸念事案が起きなければこの日程で実施されるとのことです。

[2012.06.28]第90回 PPIHC開催延期のご報告

既に報道されていますように、コロラドスプリングスで大規模な山火事が発生しております。この前例のない山火事の影響で7月3日から8日の日程で開催される第90回パイクスピークインターナショナルヒルクライムの延期が6月28日未明に正式発表されました。
TEAM SHOWの電気自動車での参戦を心待ちにしていた皆様、そして関係者各位には多大なご迷惑をお掛けしますが、何卒ご理解を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
なお、主催者側から準備が整い次第、新スケジュールの発表がある予定です。この度、米西部の州で山火事により、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し上げますとともに、避難生活を余儀なくされている方々、ご家族の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

[2012.06.08]TEAM SHOW体制(参戦)発表会開催

6月7日(木)、2012年のTEAM SHOWの体制(参戦)発表会が、東京お台場のトヨタ自動車ショールーム「MEGAWEB」にて開催れました。会場では、メインステージのほか、ラリー用車両(トヨタFJクルーザー、トヨタハチロク)の展示およびスポンサー企業のPRブースを併設。また今回は公開記者発表会のスタイルのため、マスコミ各社に加え、MEGAWEB見学の一般のお客様も集まる中、イベントは進行しました。
TEAM SHOWとして、本年は3つの大会に参戦。当社サポートのパイクスはその皮切りとなります。パイクス用の車両はまだTMG社(ドイツ)で調整中であり、会場に実車展示はなく(残念!)、ムービーでテスト走行の紹介がありました。ドライバーを努める奴田原(ぬたはら)さんの試乗印象は「リミッターで時速240km以上出ないようになっているが(注:大会規定による速度上限)、EVは遅いんじゃないかという先入観が全く覆った」とのこと。また、2009年に自らハンドルを握りパイクスを走った哀川さんは、「自分が走ったときは(ガソリン車だったので)、車も人もだんだん苦しくなった。でも今回はEVなのでその問題がなく上位は狙える」。また「パイクスではチーム監督だけど、走りたくなるかな」とも。
ステージでの発表・撮影、囲み取材のあと、展示車両を屋外に出し、哀川さん、奴田原さんの運転による走行会を実施。終会となりました。 本番まであと一ヶ月。吉報を期待したいと思います。

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[2012.06.01]TEAM SHOW体制発表会のおしらせ

来る6月7日、お台場MEGAWEBにて、2012年のTEAM SHOWの体制発表会が開催されます。 そこでは、パイクスEVチャレンジなど同チームが参戦するレース詳細の発表、および参加車両の展示がおこなわれる予定です。 当日はマスコミ各社だけでなく、一般のお客様にもご覧いただける形で進行されるとのことです。 なお、当社も会場にPRブースを設け、急速充電器の展示をおこないます。 ぜひご来場いただければと思います。

  • 日時:2012年6月7日(木) 13時〜14時
  • 場所:MEGAWEB 1階 メガステージ 〒135-0064 東京都江東区青海一丁目3番12号
  • 発表内容
    1)パイクスピークインターナショナルヒルクライム
    2)アジアクロスカントリーラリー
    3)全日本ラリー選手権
  • 展示予定車両
    1)アジアクロスカントリーラリー出場 トヨタFJクルーザー×2台
    2)全日本ラリー選手権出場 トヨタ86×2台
    3)TEAM SHOW サポートカー トヨタハイエース×1台

菊水電子工業は、2010年にEV急速充電器(Milla-Eシリーズ)を開発し、EVインフラのサプライヤーとして活動して参りました。今回さらに、日本電気自動車レース協会(JEVRA:ジェヴラ)の協賛および競技参加を通じ、EVの可能性と楽しさを広く皆様にお伝えし、EVの普及ひいては次世代社会の到来を実現する一助になればと考えております。

→日本電気自動車レース協会(JEVRA)ウェブサイト:http://jevra.jp/

2012.11.08
2012全日本電気自動車グランプリシリーズ 第4戦レポート

さる10月28日(日)、全日本電気自動車グランプリ(以下、EV-GP)シリーズ 第5戦が、富士スピードウェイにて開催されました。ちなみにこれは、2012年度本シリーズの最終戦となります。

今回キクスイのエントリーはアイミーブのみ。2戦での電欠リタイアの教訓を生かし、今回は完走目標と共に、同じクラスのライバルであるアイミーブとの勝負に燃えます。 ドライバーは山本晋也選手。冷静沈着で状況に応じた戦略的な走りに定評があります。
レース本番、曇り時折雨といった天候。本来レースをする上ではセッティングやタイヤのチョイス等、悩ましいコンディションであるはずですが、幸いノーマルを身上とする我らがアイミーブはブレがない!全天候型セッティング!(笑)。あとはベストパフォーマンスと安全を願いピット総出でアイミーブのボディとガラスを磨きあげます。

EV-GP象徴である咆哮のない静かなスタート。
レース序盤、菊水号を駆る山本晋也選手は富士スピードウェイのコース特徴を生かし、 スピードが乗ったところでシフトをDレンジからニュートラルへ、また減速時にはブレーキレンジで回生エネルギーを確保するといった我慢のレース。
レース中盤すぎ、勝負どころとみたピットと山本選手は残りエネルギーを計算して一気にペースアップ、さらに終盤ラストスパートをかける。ラスト1周では先行していた往年の名車TOYOTA2000GT(レストアしてEVに改造)を見事オーバーテイクし、実況アナウンスとともにピットはもちろん会場スタンドのボルテージも最高潮に。

結果ライバルのアイミーブにも1分30秒以上の差をつけてチェッカーフラッグ。
終わってみれば、最後はエアコンをつけて走れたと言う山本晋也選手のコメントからも、今回はかなり余力を残した走行であったことがわかります。 結果はクラストップ(総合では11位)。悪天候の中、終始安定した走りをみせました。

来年度の2013EV-GPシリーズはさらに1戦追加され全6戦となります。
自動車誕生時の車両開発は、レースからのフィードバックで技術革新が成されていることを鑑みると、EV創世記の今、間違いなくEVもレースから多くの恩恵を受けることが想像できます。いずれはクラス別に、またアイミーブ、リーフといったワンメイクのレース開催も近いと感じます。またスピードを競うレースはもとより、EVならではのデザインやライフスタイルにまで影響を与える事で、クルマという概念すら変わってくるかも・・・。
ちょっと前まであんなだったのに、もうこんなスゴイ事に、と驚くようなシーズンを期待したいと思います。

フォトレポート

2012.11.08
2012全日本電気自動車グランプリシリーズ 第4戦レポート

さる9月30日(日)に、全日本電気自動車グランプリシリーズ 第4戦が、袖ヶ浦フォレストレースウェイにて開催されました。
当日は本レースの他、EVシングルシーター・エコラン・グランプリ・シリーズ第2戦も同時開催され、EVの省エネ技術=航続距離を競う「しずかーな」レースもあり、盛況な大会となりました。このエコランは軽量なドライバーが有利にならないよう、ドライバー体重を65Kg以上に調整して、車両総重量を85Kg〜100Kg程度となるようにしています。

チームキクスイは第3戦のSUGO大会(宮城県)はお休みしましたが、第2戦の無念の電欠(でもEV-3クラス3位入賞)の反省を生かすべく、菊水電子工業・Xcar・i-MiEV号にドライバー赤池公治選手を迎え、出走しました。
EV-3クラスは同型のi-MiEVでエントリーのチーム・京浜蓄電池工業号との一騎打ちとなり、予選のタイムアタックから両者譲らぬ戦いが展開されました!予選は惜しくも約2秒差で当社が12番グリッド、一方、京浜蓄電池工業号は10番グリッドでの決勝スタートとなりました。ここから、暫くの間は人もクルマも昼食休憩〜(充電タイムですね!)

そして、決勝スタート!。勢いよく菊水号が飛び出し、京浜蓄電池工業号を抜き去る。がしかし、電池の消費量が思いのほか多かったため、6週目以降ペースダウンを余儀なくされ(今回はブザマな電欠を免れなくては...)、周回を重ねるごとにペースダウン・・・。30分の激走!?の末、結果は京浜蓄電池工業号に1Lap差をつけられしまい、最下位でした。でも完走しました。

一方、EV-Pクラス参戦のNISSAN LEAF NISOMO RC21号とEV-1クラス参戦のOUTER PLUS☆TiR☆TESLA号でも熾烈な戦いが展開。TESLAは本EVレースでは優勝の常連。それに立ち向かうLEAF NISOMO RC2。第3戦SUGOでは僅か3.6秒差でTESLAが勝利しましたが、本レースではLEAF NISOMO RC2がTESLAに1Lap差をつけて、ぶっちぎりの優勝でした。

さてさて、次回、最終戦の富士スピードウェイで開催されます。次回こそ、一矢報いるべく、クラス優勝を誓う(願う)チームキクスイでした。

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2012.06.01
2012全日本電気自動車グランプリシリーズ 第2戦レポート

さる5月27日(日)、全日本電気自動車グランプリシリーズ 第2戦が、袖ヶ浦フォレストレースウェイにて開催されました。当日は本レースのほか、EVシングルシータ2時間耐久戦、EVスクーター戦、パイクスピークでTEAM SHOWのライバルとなる、三菱i-MiEVエボリューション(増岡浩選手)のデモランなどがあり、盛況な大会となりました。
昨年当社はこのレースにおいて、急速充電器の貸出しのみおこなっていましたが、本年はそれに加えて無謀(?)にもレース参加を決断。ドライバーに石川 亮平選手とレーサー鹿島選手を迎え、「クルマ大好き!」という社員有志によるピットクルーでチームキクスイを編成。社有のアイミーブとリーフの2台で出走いたしました。
激走30分の末、リーフ総合7位・クラス5位、一方アイミーブは、最終ラップで無念の電欠!という結果(でもクラス3位)となりました。アイミーブは充電器の開発に酷使していたためでしょうか。バッテリー劣化が激しいのかもしれません。
次回3戦は、9月2日(日)宮城県のスポーツランドSUGOで開催されます。今回は軽い肩ならし?ということで気持ちを入れ替え、捲土重来次回は上位入賞!を胸に誓うチームキクスイなのでありました。

追記(2012.8.11,10:30):電欠ですが、どうやら当社のアイミーブはリリース当初の旧モデルということで、現行モデルと比較して回生能力が低いことに原因があるようです。となると買い替えしかないのかな? でも発売になったフィットEVも魅力的です。悩みどころです(悩む以前に予算が・・・)。

フォトレポート

インピーダンスとは

そもそもインピーダンスとは交流回路における電気抵抗のことですが、直流の電気抵抗とは何が違うのでしょう。
直流の電気抵抗は皆さんご存知の通りオームの法則、R=E/Iで与えられます。では交流は・・・実はこれも理屈は同じで、加えた電圧Eを流れた電流Iで割っただけの物なのです。違うのは交流で測ったということだけ。
式で表せば

インピーダンスZ=E⋅sin(ωt)/I⋅sin(ωt+φ)

では何故燃料電池でインピーダンスを測る必要があるのでしょうか。

インピーダンス測定の意義

電気化学反応を利用した燃料電池のインピーダンスを等価回路に表すと<図1>のようなものになります。実際にはガスの拡散や精製した水の影響でもっと複雑になるのですが、ここでは分かりやすくするため単純化して表現います。

単純化した燃料電池の等価回路

Rsは燃料電池では膜抵抗と呼ばれ、電極、セパレータ、触媒そしてイオン交換膜の電気抵抗を合計したものです。イオン交換膜の導電率が最も大きく影響しているため俗にこのような呼び方になっているようです。
Rcは燃料の水素が電子を放出し酸素が電子を受取る反応において、これを活性化するためのエネルギーロスにより発生するもので反応抵抗と呼ばれています。
Cdは電気二重層容量と呼ばれる静電容量で、Rcと並列に入っているため時定数を形成することになります。

この等価回路のキャパシタンスCdは直流を通しませんから、燃料電池での直流抵抗は膜抵抗Rsと反応抵抗Rcを足した値となります。つまり直流ではこの合計値しか測定できず、Rs、Rc各々の値やCdの値を知ることはできません。
ところが異なる2点以上の周波数でインピーダンスを測定すると、その測定値から上記等価回路のCdを含んだ各定数を算出することができ、燃料電池のどの部分で何が起こっているのかを知るための大きな手がかりにすることができる訳なのです。

インピーダンス測定器とは

直流抵抗の場合、直列にインダクタンスLが入ろうと、並列にキャパシタンスCが入ろうとその値は変化しません。しかし交流で物事を考えるインピーダンスの場合はL成分やC成分によって発生するリアクタンスを考慮に入れなければなりません。通常インピーダンスZは実抵抗成分のRとリアクタンス成分Xが接続されたものとして考えます。
インピーダンス測定器はこのRとXを測定する機械なのです<図2>。

インピーダンスの測定

インダクタンスの影響

燃料電池を実用化するにあたって問題となっていることのひとつは体積あたりの出力電力の向上と環境変化に対する安定性です。燃料電池の出力効率を上げるには単純に考えればRs、Rcをできるだけ小さくすることです。燃料電池開発者はこの値を小さく、かつ安定化することに対して躍起になっている訳です。
現在のPEFC燃料電池の出力電流密度は2A/cm2にも達しており、小型の単セル燃料電池の抵抗は数mΩ~数10mΩ程度となるので普通のLCZメータなどでは非常に測りにくい低い値になっています。

このようなmΩオーダーの低抵抗を、電線などの影響を受けずになるべく正確に測定するにはどのようにすれば良いでしょうか。
これは電源のリモートセンシングでご存知の通り、測定物の直近にセンシング線を接続する方法が非常に有効です。このことはインピーダンス測定でも同様で、測定物までの配線抵抗やインダクタンスを含まずに測定することができます。

しかしインピーダンス測定においてはこれだけで安心してはいけません。周波数が高くなると僅かな長さの電極が持っているインダクタンス成分の影響が大きくなってくるからです。厄介なことにインダクタンスは長さのあるところには必ずできてしまうため、mΩオーダーの低インピーダンス測定を行う場合は十分に気をつけなければなりません。数cmだからと思って侮っていると思わぬ落とし穴にはまってしまいます。

例えば<図3>の例では測定値にどのくらいの差が出るのでしょうか。

測定値の差

仮に電池から出ている電極の長さが各々2cmだったとします。一般的に電線のインダクタンスは太さによって影響はあるもののおおよそ10nH/cm位といわれていますので電極のインダクタンスは約40nHあると思われます。
周波数10kHzで真値がR=3mΩ、X=0Ωのインピーダンスを持つ燃料電池の測定していたとすると、<図3>では

Z=R+X=0.003+jωL=0.003+⋅j2π⋅10000⋅40e-9≒3mΩ+j2.51mΩ

φ=tan(X/R)≒40°

たった2cmずつセンシングする位置がずれただけで、何と本来ゼロのリアクタンス分が2.51mΩにも達し、電圧と電流の位相角が40°も発生してしまい真値からかけ離れた値を示してしまいます。例えば測定周波数を変化させコール・コールプロットを描くと<図4>のような差になってしまう訳です。

コール・コールプロット

電磁誘導の影響

燃料電池のインピーダンス測定ではもうひとつ気をつけなければならないことがあります。それは測定電流が作り出す磁束の影響です<図5>。

測定電流が作り出す磁束

測定電流を流している配線とセンシング線が<図5>のように接続されると測定電流線が発生する磁束がセンシング線に結合し、測定電流に対して90度位相のずれた誘導電圧をセンシング線に誘起してしまいます。
この影響は大きな測定電流を流さなければならない大型のシステムで特に問題になり、こういった電磁結合が起こらないよう配線には十分に気を配る必要があります。

おわりに

このようにインピーダンス測定においては、直流では考えなくても良かった部分に注意しないといくら測定器が高精度にできていてもその能力を発揮することができなくなります。燃料電池開発に携わる方々は化学分野の専門家が多く、これらのような問題で測定値に再現性が得られないと悩んでいる事も少なくないようです。

菊水電子は少しでもお客様においてこのようなお悩みを解決する糸口をつけるため、今後も交流インピーダンス測定をはじめとする電子計測器、それらを活用するための情報を提供して参りたいと考えています。これらが燃料電池開発の手助けとなれば幸いです。

(この文献は菊水電子工業 季刊情報誌SAWS 2003年春号に掲載された記事です)

今なぜ燃料電池か?

私達は今石油文明の真っ只中に生きている。今石油がなかったら、電気は来ないし、車は走らないし、化学繊維もできないので着るものにも困る。石油が無かったらと考えられないほど、我々の生活は安い石油に頼っている。この文明生活のお陰で現在の地球には人口が増え、その沢山の人が沢山の石油を使うので、石油が後50年も経つと枯れてしまうとか、燃やした石油が炭酸ガスとなって大気中に貯まり、地球が暖かくなっていると良く言われる。最近は景気が悪いのと省エネルギー努力で、産業用の石油消費は減り気味であるが、個人生活の豊かさを反映して、車や家庭で使う石油やガスは増えている。

また、狭い道路に排気量の大きい車が沢山走り、道路沿いの環境が悪化しているので、車の排ガス規制も年々厳しくなっている。このような状況の元に、人間生活の豊かさをそのままに、環境汚染物質の排出を抑えつつ、使う石油やガスを減らそうとする努力が世界的に模索されている。つまり、現在の車のエンジンや発電所のタービンより効率が高く、環境性に優れた動力発生装置が移動用に、また家庭などの分散型電源用に望まれている。

そのような技術の一つとして、燃料電池が高効率で環境性に優れる電源として開発されているので、良くニュースになる。現在のガソリンエンジンが燃料の持つエネルギーの15%程度しか動力に変換できないのに比べ、燃料電池自動車はそれより高い25%程度の変換効率で、NOxやSOxも殆ど出さずに発電できると期待されている。一方で、既存のエンジンやタービンの性能を更に伸ばそうとする開発も、発想を変えて鋭意進められている。エンジンなどの既存技術の生産・開発体制は良く整備されているので、新参者の燃料電池が果敢に攻めても、既存技術の対応は早く、エンジンなどの効率と環境性を向上させる研究開発も着実に進んでいる。

水の電気分解を逆にして、燃料電池で発電する

皆さんも中学生の頃に、図1のような水の電気分解の実験(1)で、電気で水を水素と酸素に分解した経験をお持ちと思う。電極を挿入した試験管を逆にして、酸やアルカリの電解水溶液中に沈め、乾電池をつなぐと、簡単に電気で水から水素と酸素を作ることができる。世の中大体のことは逆も可能で、逆に水素と酸素を図1のように電極部へ供給すると、直流の電気と水と熱が作れる。これが燃料電池の発電原理である。

水の電気分解と燃料電池発電の原理

現在世の中で実際に使われている発電方式の多くは、燃料を燃してボイラーでお湯を沸かし、タービンで動力を発生し、次にその動力で発電機を廻して電気を作っている。この二段階方式より、燃料電池は一段で電気を作ってしまうので、直接発電とも呼ばれる。

燃料電池は決して最近できたものではなく、もう150年も昔にできたもので、アポロやスペースシャトルの宇宙開発時代に宇宙船の電源として活躍し、その勢いをかって引き続き地上用電源としても開発されるようになり、現在に至っている。

図2にもう少し詳しく燃料電池の作動原理をリン酸形の場合(1)を例に示す。

水溶液中のリン酸H3PO4はH+の正イオンやPO4-3の負イオンに分かれ、電解液となっている。燃料である水素H2は燃料極でH+と電子eに分かれ、H+は電解液中を空気極まで泳いで行って、電子eを貰いながら空気中の酸素O2と反応して水を作る。この間、水素極で放出された電子eは水素を透過させる多孔質な電極中を流れ、外部回路を通って、酸素を透過させる多孔質な空気極に戻り、水を作る反応に参加する。つまり、H+が電解液中を流れると、分かれた電子eが外部回路に流れ、そこで発電と言う仕事をする。

(1)広瀬研吉「燃料電池のおはなし」、12,36,40ページ 日本規格協会(1992)

高調波とは?

高調波の概念

最近「高調波」という言葉がよく聞かれるようになりました。
しかしその「高調波」とは何なのかを、正確に理解している人はそう多くはないでしょう。

現在「高調波」と言われているものは、ほとんどが「電源高調波電流」のことを指しています。「高調波」をJISで調べてみると「周期的な複合波の各成分中、基本波以外のもの。第n次高調波とは、基本周波数のn倍の周波数を持つもの。」(JISZ8106「音響用語(一般)」より)および、「基本波の整数倍の周波数をもつ正弦波」(JISZ9212「エネルギー管理用語(その2)」より)となっています。つまり高調波を含まない基本波成分だけの波形は、歪みのない正弦波で、歪みを持った波形はすべて高調波を含んでいるわけです。

「電源高調波電流」は、その「高調波」に「電源」と「電流」がついたものですので、言い換えると「電源ラインに流れる高調波電流」となります。この場合の電源ラインは、国内では100Vまたは200V(海外では120V、230Vなど)の、一般に「商用電源」と呼ばれる電源のことで、一般家庭のACコンセントなどのことを指しています。商用電源の周波数は、50Hzまたは60Hzですので基本周波数も50Hzまたは60Hzです。そしてその高調波については、例えば基本周波数が50Hzの場合の第3次高調波は、150Hzの成分のことになります。

高調波と似ている現象に「ノイズ」があります。高調波も広い意味でのノイズになるのですが、一般に「ノイズ」は単発的に発生し、電源周波数に必ずしも同期していませんが、高調波は電源周波数に必ず同期します。「高調波」と「高周波」を混同して、電源高調波とスイッチング電源が発生するスイッチングノイズとを、間違えないよう注意が必要です。

高調波電流の発生原因

高調波を発生する機器・しない機器

高調波電流はなぜ発生するのでしょうか?家庭にある一般的な電気製品、たとえば冷蔵庫・洗濯機・エアコン・電気毛布・こたつ・テレビ・パソコンについて考えてみます。冷蔵庫・洗濯機・エアコンの最新式でないもの(エアコンは多少機能が違いますが、クーラと呼ばれていた頃のもの)は、それぞれの主な電力消費部分は全てモータでした。モータはそのまま電源に接続されると、誘導性の負荷となり電圧より位相の遅れた正弦波電流が流れます。また電気毛布・こたつの最新式でないものは、その電力消費部分はヒータやランプですので抵抗負荷となり、電圧と同じ位相の正弦波電流が流れます。

テレビやパソコンはその内部で交流電圧を直流電圧に変換する回路(整流回路)を通して直流電源をつくり、それで各電子回路部品に電力を供給していますので、その整流回路に流れる入力電流が、テレビやパソコンの入力電流になります。これらの整流回路はコンデンサインプット型が多く、その入力電流は電圧波形のピーク付近だけ流れるパルス状電流波形になります。

以上の例で高調波を発生する機器はどれでしょうか?電流波形が正弦波の冷蔵庫・洗濯機・エアコン・電気毛布・こたつの最新式でないものは、すべて高調波は発生しません。それに対してテレビとパソコンは高調波電流を発生する機器ですが、テレビとパソコンだけでなく、たとえばエアコンやこたつなどの最新型のものも高調波を発生します。エアコンはインバータ回路が主流になっていますが、インバータ回路はコンデンサインプット型整流回路、またはそれに力率改善用のチョークコイルを追加した回路を使用するのが普通なので高調波電流が流れます。こたつや電気毛布も最近はサイリスタやトライアックで位相制御と呼ばれる制御をして温度調節をしていますので、高調波が発生します。

以上のように、便利で使いやすく電力効率を高めた機器が、高調波を発生することが分かります。そして最近のほとんどの機器は高調波を発生します。高調波を発生する機器と発生しない機器の違いは何でしょう?それぞれを分類すると、正弦波電流が流れる機器と、そうでない機器に分けられます。

高調波を発生する回路・しない回路

この正弦波電流が流れる機器を電源ライン側から見て、「線形負荷」といい、そうでないものを「非線形負荷」といいます。「線形負荷」はヒータやモータなどの抵抗やインダクタンスで出来ているもので、「非線形負荷」はダイオードやサイリスタ・トライアックなどの半導体で制御をしているものです。

高調波電流の影響

高調波電流の影響

高調波電流は他の機器にどのような形で影響を与えるのでしょうか?

高調波電流が多い機器は力率が低いので、実際に消費される電力より皮相電力が大きいため入力電流が多く流れます。従って電力設備に余裕が必要になります。

また電源は発電所から送電線や変電所・柱上トランスなどを通って各家庭に接続されていますが、その電源ラインにはインピーダンスが存在しています。そして高調波電流が流れるとそのインピーダンスにより電圧降下が発生し、結果として電源電圧波形が高調波を含んだ波形になります。商用電源に接続して使用される機器は、普通は商用周波数での使用を前提に作られていますので、高調波が重畳された電圧波形が印加されると思わぬ事故につながります。

具体的に電源ラインに接続された機器や配電設備に悪影響を及ぼした例をあげてみると、進相コンデンサに高調波電流が流れて焼損したり、トランスがうなったり、電圧のピーク値が下がってスイッチング電源が正常動作しなくなったりした事例があります。

高調波電流の影響

高調波電流の対策

高調波の対策方法

高調波による障害を防止する対策方法を対策する分野で分けると下記の3つにわけられます。

  1. 電源供給系統での対策
  2. 高調波の影響を受ける機器での対策
  3. 高調波を出す機器での対策

電源供給系統での対策

  • 電源ラインのインピーダンスを低くする。(電流 を電圧に変換させない)
  • 余裕を持った電源供給設備にする。
  • 事業所単位などで、高調波電流をキャンセルさせる働きをする力率改善装置を導入する。

これらはどの対策も大がかりな対策になり、費用や時間およびエネルギーの有効利用の観点から見て、一部を除いて実行に移すのは難しいでしょう。

高調波の影響を受ける機器での対策

  • 配電設備に高調波対策品を使用する。(進相コンデンサ等)
  • スイッチング電源はある程度ピーク電圧が下がっても動作するような設計をする。
  • 高調波歪みを含んだ電圧波形が印加されても、機器が誤動作したり破損したりしないような設計および試験をする。

これらは、実際に高調波を含んだ電圧が存在している限り今後は、必要条件になっていくでしょう。

高調波を出す機器での対策

高調波による障害の原因を押さえる事になるので一番有効です。高調波に関する規格は、各機器での高調波の発生量を規制するように作られています。その対策としては大きく2つに分けられます。

  • 能動的な回路による対策。(アクティブな回路、アクティブフィルタなど)
  • 受動的な回路による対策。(パッシブな回路、チョークコイルなど)

それぞれに長所短所がありますが、大まかに小容量の機器は受動的な回路による対策で、大容量の機器は能動的な回路による対策がとられます。

アクティブな回路での高調波対策

機器からの高調波電流の発生を抑える方法のアクティブな回路は、アクティブフィルタ回路(これは他のいろいろな呼び名で呼ばれています)が代表的です。制御方式によりいろいろな回路がありますが、最近は制御用のICやアクティブフィルタの部分をモジュールにしたものなどが発売されています。

アクティブフィルタは電流波形を正弦波状にして、理論的には力率を1.0に限りなく近づけられますが、回路が複雑になってしまいますので、力率を0.8程度までとして、高調波電流を後述する規格値以下にするという方法(回路)が考えられています。

アクティブフィルタの回路例

パッシブな回路での高調波対策

受動的な(パッシブな)回路の代表はチョークコイルです。電力損失が少なく、回路が簡単などの利点がありますが、部品が大きく重い、入力電圧範囲が狭くなる、チョークコイルの設計が難しいなどの欠点もあります。

パッシブな回路での高調波対策

チョークコイルの他に抵抗を入れる方法や、1次 と2次間の結合を悪くした商用電源トランスを入れ る方法なども、受動的な回路として使用されます。 商用電源トランスを使う方法は、海外の安全規格 を満足する場合に有効な手段となるので、今まで のような商用電源トランスを使わないスイッチン グ電源よりも、トランスの 2次側の低圧部分での チョッパ回路を使用した方が、安全規格を含めて 考えると有利な場合もあります。

チョークコイル使用する上での注意

高調波対策にチョークコイルを用いる場合の設 計には、以下の注意が必要です。

  • チョークコイルの仕様書には直流重畳特性を記載し、電流のピーク値でもチョークコイルが飽和しないようにする。
  • チョークコイルは1次回路になるので安全規格を考慮する。
  • 入力にインパルスノイズが印加される機器の場合、チョークコイルの巻線間や入出力端子間および巻線とコア間でインパルスノイズが放電しないように構造に注意する。
  • チョークコイルのインダクタンスを決定するときに、実機での実験前にコンピュータ上の回路シミュレーション(SPICEなど)を使用すると効率的である。
  • 漏洩磁束に注意する。

AV機器の高性能化そしてパーソナルコンピュータのめざましい普及とともに、市場には外部記憶媒体もFD(フロッピーディスク)、CD(コンパクトディスク)、MD(ミニディスク)と多彩に登場してきました。

なかでもその記憶容量の大きさと倍速、4倍速、6倍速から今や24倍速にまで及んだドライバの普及、発達によって、CDの使われる舞台が急速に拡がり、昨今パソコンのOSやアプリケーションソフトはCD-ROM(コンパクトディスクを利用した読み出し専用メモリ媒体)による供給が主流になっています。

一方、マイクロカセットを利用するウォークマンからスタートした携帯用AV機器の発達も急速で、CD、MDの機器がこれまた大きな普及をみせました。さらには携帯電話、PHSの驚くほどの超小型軽量化、さらにはパソコンの世界でもモバイルコミュニケーションがトレンドとなり、サブノートパソコン、PDAなどがデジタル携帯電話との組合せで移動しながらコンピュータを利用して、データ通信を行うことが常識になってきました。必要最小限のアプリを組み込んだ専用のWindows CEマシンが上陸してきたのも象徴的な現象です。

そうしたシーズが大きなニーズに発展して、光磁気ディスクの最新技術を駆使し、CDを凌ぐ多彩な用途を持つDVDの表舞台への登場を促すところとなりました。

DVD発展の裏付けとして、光学系、機械サーボ系、そして電気系、さらに信号処理など多岐にわたる難しい問題点をクリアしてきたエンジニア達の努力があったことは言うまでもありません。

さらには、DVD関連製品の生産を支える計測技術の発展を見逃すわけにはいきません。

CD技術の発展により実現したDVDですが、特に記憶容量を飛躍的に拡大させる大きな要因となったことには;

  • 650nm波長レーザーダイオードの開発(CD用は780nm波長)
  • 高速サーボ技術の確立 フォーカスサーボ1.9倍、トラッキングサーボ4.5倍、垂直位置出し分解能5倍………いずれもCDに対し
  • MPEG2(カラー動画像符号化方式)の採用と強力なECC(誤り訂正符号)ソフト
  • ディスク加工成形技術の向上 (トラックピッチ:CD 1.6μm に対し DVD 0.8μm)

等などが挙げられます。

これらはちょうどサブミクロンの領域に進んだ半導体の微細加工技術や、最高レベルを行くMPEG、ECCなどシステムLSI化促進の動向にギヤして発展したともいえるでしょう。

dvdを計測する

DVDの測定

DVDで測定する内容は「DVD Book」に記載されていますが、関連メーカー各社はそれに補助測定項目を追加して、独自のスタンスから品質の維持を心がけているようです。

◇測定項目

◆機械特性

  • Vertical Deviation
  • Radial Deviation
  • Angular Deviation

◆HF信号系・サーボ系

反射率偏芯
反射光角度トラッククロス
面振偏芯加速度
HF信号振幅ジッタ量
加振加速度データエラー量
トラックピッチ偏位

これらの測定項目はCDに近いか、手法を変えているだけですが、個々に要求されている技術レベルはCDのそれよりもはるかに高く厳しいものがあります。

また計測面で重要なポイントは、測定した値の確かさ、根拠、国家標準や世界標準へのトレーサビリティなど測定の値付けの問題があります。

そのため、標準ディスクやテストディスク、さらにはHF信号、MPEGエンコーダなど標準信号源の準備が必要です。


DVD 統一規格

名称DVD 統一規格
ディスクの直径120 mm
ディスクの厚さ1.2 mm(0.6mmディスクを2枚張り合わせ)
記憶容量片面 4.7Gバイト
半導体レーザの波長650nm/635nm
光学レンズの開口率(NA)0.6
信号変調方式8-16方式
エラー訂正方式RS-PC(Reed Solomon Product Code)方式
トラックピッチ0.74 μm
データ転送レート可変方式 平均 4.69M b/s(映像+音声)
画像圧縮方式MPEG2 画像圧縮
音声記録方式Dollby AC-3(5.1ch)、LPCM(NTSC) / MPEG2 AUDIO、LPCM(PAL/SECAM) / 最大8ヶ国語の音声と最大32ヶ国語の字幕を記録可能
収録時間の例133分(転送レート平均 4.69M b/s の時、Dollby AC-3(5.1ch)3言語 4サブタイトルを含む)
ファイル管理構造Micro UDF および ISO-9660 / コンピュータ用の場合は Micro UDF および/または ISO9660

CDの計測は、「CD Book(Red Book)」にある規格に則って実施されています。一方DVDは同一の事象を「DVD Book」に別方法で測定定義しています。双方とも書き込まれているデータをいかに正確に読み出し、再生できたかが評価のキーファクターとなっています。

CDはAVメディアからCD-ROMへデータストレージの媒体として発達し、コンピュータに欠かせないものとなった経緯から、データを何個読み出し、何個誤りがあったかというデータエラーレート(C1エラー、C2エラー)で評価する方法がとられています。

したがって音声や画像以上にデータがシビアに扱われる場面が多くなります。

データフレーム単位の誤り率である「フレームエラーレート」や、データブロック単位の誤り率である「ブロックエラーレート」を測定・評価する測定器には、「ブロックエラーレートカウンター」などがあります。

一方DVDはこれと異なり、時間間隔の解析装置である「タイムインターバルアナライザ」を用いてデータエラーレートや光学系に起因する誤りを総合的に測定、評価します。

CDではC1、C2のエラーを測定するためにエラー計を使いますが、この測定には時間がかかりますので、生産ラインでは効率的とは言えません。

そこで誕生したのが「ジッタメータ」と呼ばれるRF信号の揺らぎ測定器です。

重要なことは、このジッタメータはC1エラー計やC2エラー計による誤り率の良否判定値との1:1の相関が得られていなければならないということです。

CDおよびDVDのエラー発生の要因は、光学系だけでも複数存在します。それは;

  1. デフォーカス:フォーカスぼけ
  2. タンジェンシャルスキュー:レーザーダイオードの光軸とディスクの回転接線との直交性
  3. ラジアルスキュー:ディスクのトラックに対するレーザーダイオードの光軸の直交性

などがあります。

これらのどんな要因でエラーが発生しても、その値が同じであればジッタメータでの測定値も同じ値を示さなければいけないということです。

一般的にジッタメータは、「3T方式」が普及しました。これはCDのコンポジット信号の中に存在する3Tから11Tまでの整数次信号のうち、3Tのみを測定するやり方です。

ところがこの方式ですと、デフォーカス、タンジェンシャルスキュー、ラジアルスキューについてエラー計との相関が全くとれていないことが判明しました。

そのためDVDの計測には、タイムインターバルアナライザの使用を選択することになったと推測されます。

そこで菊水電子工業では、お客様との綿密な仕様打ち合わせにより、CD用ジッタメータ開発の時点から「22T方式」を採用、全ての整数次信号の総合的な測定を行うやり方をとり、モニタリングを重ねた結果、全ての測定値に相関の高いことが検証されました。

このことが、ラインあるいは検査工程で、低価格でしかも操作性の簡便なジッタメータの採用を決定づけることになりました。

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