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メガソーラーの隠れた大敵を見つけ出し
パネルの品質向上やスクリーニングに一役

メガソーラーの隠れた大敵

─ PID現象について簡単に教えてください

<渡邊>PIDは、 Potential Inducted Degradation:電圧誘起出力低下と言いまして、太陽光発電設備でセルの出力がある時点から大幅に低下してしまう現象のことです。高電圧下で使われる産業用ソーラーシステム特有の現象とされ、設置時には確認できないやっかいな現象でメガソーラーの隠れた大敵なんです。

電気的には、高温多湿環境で長期間にわたり高電界に曝されると絶縁性が悪化しその漏れ電流が発電性能の劣化を引き起こす様に観察されます。

モジュールの出力電圧が数十Vでも直列接続する枚数が増えるとストリング内の電位差は非常に高くなり、セルと接地との間にも大きな電位差が生じます。ちなみに日本では最大システム電圧600V、ヨーロッパでは1000Vとして運用されており、事業用メガソーラーでは最大システム電圧をさらに上げる傾向にあります。PIDがメガソーラー特有の現象とされるのはこのためです。

ソーラーパネル

<山口>PIDの研究・解明と共に試験評価方法の確立や規格化に向けた作業が進められています。PIDは潜在的な現象ですので何れも加速寿命試験的な方法を採っていて、具体的にはパネルとフレーム間に1500Vの高電圧をかけてPIDを人為的に短時間で引き起こし電気特性を測定します。PID現象が起こりやすい状況を作り出して危険性を予め潰したり、怪しいモジュールを取り除くことを意図しているからです。したがって、PID評価には高電圧の印加と絶縁抵抗や漏れ電流測定がマストの機能ということになります。

メガソーラーの成熟

─ キクスイとPIDとの係わりはどこに

<山口>当社は一般電気機器向けの絶縁抵抗計や耐圧試験器メーカとして長い実績を積んでいます。けれどPIDの絶縁試験には一般用より高電圧が求められたので、過去にPID専用の試験器として電圧範囲を拡げたTOS7201Sというのを開発しまして、試験サイトさんなどに納入させていただいてきた経緯があります。

<渡邊>その一方で、日本ではメガソーラーの急増から時が経ち、そろそろ経年劣化が露わになる時期に来ています。大規模なメンテナンスや更新、家で言えばリフォームの時を迎えているわけです。その際には設置されたソーラーパネルやモジュールについてリユースか交換・廃棄・リサイクルするかなど判断しなければなりません。 メガソーラーさんにとっては、設置から年数を経た今、目の前にある大量のパネルが今後も使えるのか使えないのか、スクリーニング(仕分け)したいわけです。

TOS7210S

<山口>先のTOS7201SはPID解明を目指す研究者様からのご要望から生まれた基礎研究向けのモデルです。
別の言い方をすれば、今お話ししたような設備屋さんやメーカさんなど、大量の測定や判定を効率よくこなすと言うことをあまり意識せずに作られた製品です。 ここへ来て測定法や規格もだんだん見えてくると同時に、メガソーラーのパネルが劣化してメインテナンス時期を迎えた。用途が変わってきたというか世の中がTOS7201Sで意図したのとはちょっと違う方向へ向かったわけです。

お客様も困っておられました。測定法の確立には多くのサンプルでの検証が早期に必要になりますし、メンテなんかでは的確で効率の良い判定が必須だからです。 実際のところ、研究機関のお客様から「効率の良い測定とデータ処理ができるようにならないだろうか」、というご相談を頂戴したのが本システム開発のキッカケなんです。

実績と経験を活かす

─ 開発に当たって意識したことは

<山口>一例ですが、IEC61215という規格の中に湿潤漏れ電流試験というのがありまして、試料を恒温槽などに入れて測定を行います。電気測定自体はフレームとモジュール間の電圧を500V/s以下のレートで徐々に上げていって絶縁抵抗を測定するように規定されたPIDテストなんです。ところがTOS7201Sは電圧を細かく設定できるのですが、徐々に上げていくということまでは考えられていません。

規格適合試験ともなれば定められた設定条件と手順に従ってスムーズに測定を行い、記録もきちんと残さなければなりませんよね。リユースやリサイクルのためのスクリーニングなどでは大量の試料を対象にするでしょから尚更なわけですが、そうしたことへの配慮も必要でした。

<渡邊>幸いにしてTOS7201Sには外部制御の機能を持たせてあったのでアプリケーションソフトでの対応を考えたんです。 ソフトからなら電圧の上げ下げも可能ですし、測定のログを採って吐き出したりできるからです。

本体だけですとパネル表示に限りが有ってお客様が確認したいと思われる項目を表示しきれそうに無かったのもソフト化した理由の一つです。アプリでは絶縁抵抗を2分間測定して、絶縁抵抗など測定値の変化をグラフ化して見ることができます。パネル選別などでの利便性を考慮してGO/No-GO判定などもできるようにしました。

パネル

単体からソリューションへ

─ お客様の声を捉えるコツは

<渡邊>ソフトの形態としては、この規格専用のアプリケーションソフトとする方向性も考えましたが、他の用途にも使えるように自由度を持たせた汎用外部制御・データ収集のアプリスタイルにしました。そうすることで要求される数値が変わったり他の用途向けの試験に使うことになったりしてもすぐに対応できます。スタンドアローンでは対応できないユーザニーズの変化をアプリケーションソフトでカバーする単体測定器のソリューション進化形なわけです。

私としてはPIDについて現象解明や研究段階からパネルの診断やリサイクルのフェーズまで係わることができました。これからも流れを注視しつつソリューションベンダーとしてお手伝いし続けますよ。

<山口>ソリューションの実現にあたってはお客様とコミュニケーションが原動力です。本システムも開発段階でお客様からパネルをご提供頂き、お客様と共に色々と検証を重ねて機能を固めていった経緯があります。結果的にも、持っている技術を応用した良いものができたと思っています。 このアプリケーションだけでなく、お客様のニーズには細かなところまで柔軟にお応えしていく考えです。

参考:
IEC 61215:2016:Terrestrial photovoltaic (PV) modules – Design qualification and type approval.
IEC TS 62804-1:defines test methods for evaluating PID in crystalline silicon PV modules.
IEC TS 62804-2:defines test methods for evaluating PID in thin-film PV modules.
JIS C8990:地上設置の結晶シリコン太陽電池 (PV) モジュール−設計適格性確認及び形式認証のための要求事項

肥大化する電源変動のテストパターン、続々と持ち込まれる試験体に困惑する現場。
テストを効率化し評価試験の自動化を目指す。

パターンの肥大化に困惑

クルマの電子化が加速しています

<後藤>自動車に搭載される電装品の数は増える一方です。大小多数のモータやアクチュエータ、ECUやカーナビを初めとする多種のマイコン組み込み機器、そしてバッテリとダイナモが組み合わされて一つのシステムを構成しそれぞれがオンオフと変動を繰り返すわけですから、電源ラインの精度や安定度、即ち各電装品から見た電源環境は決して良いものではありません。

一方で、クルマは命を預かる乗り物ですからその動作は常に確実でなければなりません。このため、各電装品が電源変動というストレスに対して影響されないことを確認する電源変動のイミュニティ(耐性)テストが従来から行われています。具体的には特定の電源変動パターンを想定し電装機器の動作を確認するテストです。変動パターンは国際規格などで定められている部分もありますが、各自動車メーカさんが独自のテストパターンを提示して電装品のサプライヤにテストを求めるスタイルがほとんどです。

言い換えると、サプライヤさんはクルマメーカさんから提示されたテストパターンを使って自社の製品テストを忠実に行うことが求められます。ちなみに、テストは従来であれば一次サプライヤまででしたが近年はそれ以下のサプライヤでも行われる様になりました。

車載電装品電源変動試験

<野尻>そうした中で課題として浮かび上がってきたのが、変動パターンの肥大化巨大化で生じる作業量の増大です。電源の変動パターンは電装品が追加される毎、車の車種が増える毎に追加されます。と同時に追加前のパターンでもテストする必要があります。そのためパターンの数は増え続け、場合によっては数万パターンにも及んでいます。

結果としてテストに要する手間と時間は増すばかりとなり、全体のコストを圧迫しています。こうして、効率化と省力化が車載電装品用電源変動試験の当面の課題となっています。

インテリジェント・バイポーラ電源を核に据えたシステム提案

電源の試験は菊水さんの得意分野ですね

<後藤>我々は車載電装品用電源変動テストの効率化と省力化という課題に対してインテリジェント・バイポーラ電源<PBZシリーズ>を中心に据えたシステムを提案しています。
PBZシリーズは、小型軽量・高効率かつ高速な電源(直流アンプ)ですが、(1)バイポーラ出力、(2)多出力、(3)自在で柔軟な出力構成、(4)出力同期機能、(5)信号源内蔵、(6)波形生成とシーケンス機能、(7)低リップル低ノイズ、など電源変動テストシステムに求められる機能・性能を全て備えているからです。

バイポーラ出力は大きなリアクタンス(誘導性/容量性)負荷となる電装品に対しては必須ですし、多出力は+B,ACC,IGなど複数の電源系統を有する自動車向けには欠かすことができません。また、並列運転も可能など出力を自在に構成できるので、大小様々な電装品に対して柔軟な対応ができます。
最近では試験信号の高分解能化が進んでいますが、PBZはスイッチング+リニア方式により低ノイズ低リップルを実現しているので、試験に十分な信頼性と再現性をもたらします。

インテリジェント・バイポーラ電源PBZシリーズ

とりわけ、波形生成とシーケンス機能を持った信号源を内蔵したうえで、複数の出力間で出力が変化するタイミングをピタリと一致させる”同期機能“は変動試験に持って来いです。これらに波形作成と自動試験の専用ソフト(Wavy for PBZ)を組み合わせることで複雑なパターンも簡単に生成できます。

当社では従来から電源変動テスト用の電源や試験システムを供給してきました。そうした中で膨大な波形パターンの蓄積があるので、PBZのシステムについてもライブラリとして提供できます。
さらに、システムとしてご提供できるよう例えば瞬断を実現するボックスをはじめ様々な周辺機器の用意があります。 例えば瞬断試験は電源出力がオープンになる状態のシミュレーションなので、出力をゼロボルト(インピーダンス=0)ではなく瞬時に出力を切り離す(インピーダンス=無限大)必要があります。

同期運転使用例

自動化の要請にも応える

作業量が増えると自動化を検討したくなります

<野尻> テストに要する手間と時間の増大という問題を解決する手段として自動化は当然の流れと言え、これまでにも多くのご相談を頂いています。
実は、電源変動試験のようなイミュニティ(耐性)テストはEMC試験の中でも自動化が遅れている分野なんです。例えば、ノイズの発生量のようにシステムからのストレスを測るエミッション試験であれば、システムをセットして測定値をパソコンで読み取れば良いので自動化は比較的簡単です。

これに対して、イミュニティテストは試験対象にストレスを与えて対象が影響を受けない(正常動作する)ことを確認するテストなので、試験の間中ずっと試験対象の動作を監視していなければなりません。この”人が常時監視して異常が起きていないことを確認する“という部分の自動化が難しいんです。

そのため、「試験の間、複数の人間がずっと目視で監視して判定は未だに人力」といった手段が採られているのが実情なのです。ですが、人間がやることですので、例えば「テスト中に試験体に組み込まれたマイコンに異常を来したが、パワーオンリセットが働いて短時間で自動復帰したため異常を見逃してしまった」といったことも起こり得ます。お客様としてはこうした部分を自動化したいわけです。

<後藤>自動化のご要望に対して我々は人の目と耳は自動化できるというスタンスで望んでいます。画像解析や音声判定の技術を導入すれば実現できることだからです。細かい話になりますが、PBZシリーズの同期機能で得られる電源変化のトリガや、車のCANモニタ等と組み合わせる事ができれば異常の特定や原因の絞り込みなども素早く行えます。

また、複数の生産拠点でテスト作業を展開しているので変動パターンを一元管理したい。というように計測ネットワークに係わるご相談を頂くこともありますが、我々は何れについてもソリューションという立場に立ってコンサルティングやシステム提案を行っています。

HEV,PHEV,EVの出現、LV148に向けた48V化などにより変貌を遂げるクルマの電源。それに合わせたヒューズの対応も急がれている。評価試験では規格対応はもちろんのこと、電流設定から計測保存まで一貫して管理できる体制が望まれる。

自動車電源の大変革に対応するヒューズ要求

ヒューズは生産も測定技術も確立されていると思えるのですが、どんな問題を抱えているのですか

<吉川>確かにヒューズはシンプルかつレガシーな部品であり、一般の電気電子機器はもとより自動車においても長い間大量に使われてきた実績があります。
ちなみにヒューズは使用されるアプリケーションのパワーラインに使用されることに注目してください。もし、使用されるアプリケーションにおける電源のインフラに変更が起これば、それに合わせた新たなヒューズが必要になることが分かります。

代表的なアプリケーションとして自動車を考えてみますと、クルマ用なら12V系のヒューズですよね。標準化と規格化も進み測定法も確立されています。

ヒューズ

<坂田>一方でクルマでは、近年、電源系に大きな変革が起きました。HEV,PHEV,EVなどの出現により12Vを遙かに超える高電圧が持ち込まれたのはその典型です。同時に電装品が増えたことで電流値が大きくなっていますし、LV148*1でバッテリの電圧が上がるといったこともあります。

そして、それら新たな電気系統に合わせるためにヒューズにも新たなものが求められているんです。電気系統の高集積化に併せて従来よりも小型なヒューズ要求などもトレンドです。
それら各々について、用途に合わせた新型ヒューズの開発と評価法/規格化などの策定が進んではいます。新たなヒューズ開発や評価にマッチした効率的なシステムが求められていますが、従来の12V系ヒューズが確立された技術として長い間使用されてきたこともあって評価装置の進化が遅れていた面も否定できません。

高速大電流の生成と制御、データの一括管理

新たなヒューズ開発や生産に用いるテストシステムの要件は何ですか

<坂田>ヒューズの試験法自体はシンプルです。基本的にはヒューズに定められた電流を流して溶断するか否かを見るわけです。但し、ヒューズに流す電流は様々な大きさと様々なパターンがあり、これを素早く正確に作り出すのは簡単とは言えません。また溶断までの時間や電流パルスを加えた回数のカウントなど、測定系も併せ持ったうえでデータを合理的に管理する機能を有する必要があります。

<吉川>キクスイではこれらの状況を鑑みて現行の代表的規格であるJASO D612*2対応をベースにした自動試験システムをご提案しています。
JASO*3 D612はヒューズそのものの規格ですので形状等も含めて定められています。溶断の電気特性に関しては「電圧降下試験」「トランジェント電流遮断試験」「溶断時間試験」「ステップ通電試験」「遮断容量試験」が規定され、ヒューズの定格毎に許容値が定められています。このD612をベースにしたのは、新たなヒューズ開発においてもこの規格に準拠した測定が基になると考えられるからです。

本システムでは、申し上げた6つの試験について自動設定・測定とGo/NoGo判定ができます。もちろん、試験のパターンファイルを書き換えることで規格とは異なる新型ヒューズの試験・判定値を定めてテストすることも可能です。試験結果は条件も含めてファイル出力されるので、一元的な管理が可能です。

アプリケーション

<坂田>システムの根幹となる電流駆動系は、当社の大容量スイッチング電源[PATシリーズ]と電子負荷[PLZシリーズ]で構成され、電源→ヒューズ→電子負荷の3者で電流ループを形成することで高精度な高速大電流パルスの生成を実現しています。

測定系は溶断までの時間計測にユニバーサルカウンタ、電圧測定にデジタルマルチメータを組み込んでおり、電子負荷のモニタ電圧から切断情報を、スタートトリガは電子負荷の信号出力から得ます。お客様の中には溶断までの電流波形を残したいというご要求もありますので、その場合は電流のモニタ出力をデジタルオシロスコープに取り込んで残すこともできるようになっています。

システム構成図

<吉川>少し専門的な話になりますが、D612規格では電流の立上がり時定数が2msと定められています。実際の使用状態から考えればごく自然な規定なのですが、時定数が一定ということは到達する電流の大きさによって電流スルーレートが異なることを意味します。ところが、一般に電子回路による電流源のスルーレートは装置毎に一意に定まるものであるため、規格に沿った測定のためには駆動電流毎にスルーレートを変える何らかの工夫が必要になるんです。幸い、当社のPLZシリーズには電流スルーレートの可変機能があるので、本システムでは到達電流値を入れればスルーレートが自動設定されるようにしてあります。

  1. LV 148
    Electrical and electronic components in motor vehicles 48V electrical system 2011年にドイツの自動車メーカー5社がマイルドハイブリッド車を想定して策定した48Vの車載電源規格
  2. JASO D612
    公称電圧12V又は24V,定格電圧32V,遮断容量1000Aの自動車用低電圧ヒューズの定義並びに試験に関する一般条件,基礎的試験方法及び性能要件
  3. JASO
    Japanese Automotive Standards Organization 日本自動車技術会規格

参考:ヒューズの国際規格にはISO 8820-3が米国の国内規格ではSAE J2077などがある。また、42V系にはJASO D621がある。

ハイブリッド車に搭載される高電圧(数百V)入力・低電圧(12V系)出力のDC-DCコンバータは、入出力共にダイナミックに変動する過酷な条件下での動作を強いられる。試験評価にも慎重さが必要だ。

HEVの12V系電力供給

ハイブリッド車にはモータ駆動用の高電圧と他の電装品のための低電圧(12V系)が混在していますね。

<新垣>ハイブリッド車両は駆動モータなどの強電系用に高電圧電池を搭載しており、他の電装品用には強電系からDC-DCコンバータでダウンコンバートして電力を供給します。EVでも弱電系用の発電システムが廃止される方向にあるためハイパワーのコンバータが必要になります。
(ストロング)ハイブリッド車の場合、高電圧バッテリの電圧は300V〜400V程度あり、これをDC-DCコンバータで12Vに落とし込みます。12V系は(低圧の)バッテリを含めて電装品の用途や重要度に合わせて複数のラインがありますのでコンバータは出力を複数持っているのが普通です。

ハイブリッド車両

入力も出力もめまぐるしく変動

車載用DC-DCコンバータ特有の事情があるのですか

<吉川>ハイブリッド車両のDC-DCコンバータはハイパワーで降圧比も大きい部類に入りますが、電気的な動作環境、具体的に言うと入出力条件が非常に厳しいという点で一般の電気機器用のコンバータとは性格が異なっています。

一般電気機器用コンバータの場合、入力と負荷は静的と言いますか概ね定まっていて、設計もそれらの上限下限を考慮すれば済みます。現実の評価においては入力を定格の範囲で振ったときの出力変動即ちラインレギュレーションと、負荷のオンオフに伴う変動いわゆるロードレギュレーションのチェックで済みます。

これに対してハイブリッド車では、コンバータの入力となる高圧ラインには駆動モータなどがつながっているためラインの電圧は動的であって、かなりダイナミックに変動します。その一方で負荷側も多数の電装品がつながっておりクルマの動作状態によって様々なパターンでめまぐるしく変動します。このようにハイブリッド車用のDC-DCコンバータは入力も出力も大きく変動する中で所望の動作が確保されることが絶対条件なんです。当然ながら評価・測定にもそれへの対応が求められます。

<新垣>もう少し具体的に言うと、他の一般的なコンバータや電源のテストでは、安定化電源で入力を固定しておき、出力に電子負荷をつないで様々なパターンで変化させて出力の電圧変動をチェックした後に、負荷を固定した状態で入力の電圧を変えて出力変動を測定したりするというのが一般的です。

電源と電子負荷のそれぞれをコンピュータから操作するのはさほど難しいことでは無く、当社も計測用電源や負荷装置のリーディングメーカとして電源と負荷を単体あるいは両者とそれぞれの制御ソフトをラックに組み込んだシステムを多数供給してきました。
ではあるのですが、それらは車載用DC-DCコンバータ特有の事情は考慮されていませんでした。

今回我々がHEV搭載DC-DCコンバータ評価ソリューションとして御提案しているシステムは、これまでのような単体の組み合わせ(ただけのシステム)ではありません。主要な構成要素として安定化電源と電子負荷が置かれていることに変わりはありませんが、複数の入出力を一括かつ連動して同時に制御できるように工夫し、専用の制御パネルとソフトウエアを組み込んだ点がポイントなんです。

実車に合わせた入出力の実現

電源と電子負荷が一括連動するメリットは何ですか。

<新垣>一言で言えば、HEV搭載DC-DCコンバータテストに求められる多様な試験条件に対応できることです。まず、本システムではHEV搭載DC-DCコンバータの実情に合わせて電源は(500V/32A)2系統、負荷は3系統まで、さらにコンバータ制御用の電源も組み合わせできるようにしてあります。電源は高電圧のPATシリーズを、負荷はPLZシリーズを使うので、パワーバリエーションは豊富です。

ポイントとなる電源と電子負荷の一括連動ですが、我々は入力2系統出力3系統を一括コントロールできるコントローラとソフトウェアを専用に開発しました。具体的には入力と出力の状態変化を一つのタイムテーブル上で設定し、制御のタイミングを同期させます。これによって入力と出力も特定のタイミングで変動した場合のシミュレーションをも可能にしました。

<吉川>お客様は基本的に実車におけるDC-DCコンバータの動作を検証確認したいわけで、例えば、「入力がストンと低下するのと同時に負荷が急に重くなったらどうか過渡的な応答を知る」ですとか「入力電圧の上昇中に特定の負荷が外れたらどんなことが起こるのか検証する」といったことができるわけです
本システムではアナログで電源と負荷に制御信号を送りますが、データは10ms毎に設定更新されます。さらに制御信号のズレは4ms以内を保証していますので同期性は十分に担保されます。

<新垣>少し話が逸れるかもしれませんが、本システムは500V近い高圧を扱う装置でもあるため、インターロックなどの安全機能も充実させています。

クルマの世界ではこれまで専ら12Vの低圧ラインが使われてきたため、お客様側に高圧の安全に対するノウハウの蓄積がありません。これに対して弊社は耐圧試験器を始め高圧回路の技術とノウハウの十分な蓄積があります。実際に、本システムでは出力端子回りの保護や配線などにもコストをかけています。こうした部分も含めたトータルなソリューションシステムだと自負しています。

システム

時間と労力を要する結線作業を皆無に。
電源室から複数の試験室に供給する電源の出力先や配電方式(単相/単相3線/三相)をワンタッチで切り換え。

測定サイトの電源事情 1

AC電源機器のEMC測定では供給電源にも細かな規定があります

<後藤>複数の電波暗室やシールドルームを保有するEMCテストサイトや試験所では、被試験機器に対して信頼性の高い電源供給が求められるため、系統(商用電源)からの電力を交流安定化電源でピュアな電力に変換して機器に供給しています。一方、試験対象となる機器は多様化しており消費電力が大きい大型機器への対応も必須となっていまして、近年では50kVAクラスの大容量電源を備える例が多く見られるようになりました。ちなみに多くの場合、電源は電波暗室の中ではなく地下などの外部に電源室を設けて設置され、そこから各暗室に配電・供給されます。

ところで、各暗室に供給する電源は、被試験体に供給するためのものですから、相形式(配電方式)や電力など必要な電源仕様は試験対象毎に異なることになります。暗室毎に要求電圧や相数が異なる場合もあれば、ひとつの部屋に複数の系統を引き込むこともあります。同じ部屋の系統でも、試験の度に電圧や相形式を変えなければならないこともあるんです。

<松田>サイトとしては利用するお客様の要求に合わせて供給電源を準備しなければなりませんから、安定化電源も部屋(系統)の数だけ想定される使用の数だけ用意したいところですが、全ての仕様を満たす数の電源を用意するのは現実的ではありません。

その一方で、サイト全体から見ると各部屋の電源を一斉に稼働させなければならないというチャンスはまれであるという事実があります。つまり、ある時点における電源の供給先は一箇所であることが多いんです。そこで、多くのサイトでは電源室には要求最大容量を満たす安定化電源を1システム設けて、各部屋(各系統)に切り替えて供給することで設備の利用効率を高めるようにしている例が多くなっています。

測定サイトの電源事情 2

電源の出力を切り替えて使うは良いアイデアですが他に何か問題があるのですか

<後藤>確かにひとつの電源で出力先を切り替えて使うのは良いアイデアです。ですが、実際には暗室が利用される度に相形式などの電源仕様も変わるわけですから、その都度大口径の硬くて重い電力ケーブルの引き回しを変更し、端子をつなぎ換えなければなりません。つなぎ換えた後の確認作業も必要です。これは時間的にも労力的にも大変なことでして、サイト様では大きな負担となっています。
なんとかして短時間でサクっと切り換えできないものか、実はお客様との会話の中でそんなお話しを伺ったのが、このシステムを思い立ったキッカケなんです。

作業効率のトータルな向上を目指す

電源側の設定変更も自動化するなどの工夫も盛り込まれています

<後藤>ご紹介システムは、当社の標準品でサイトへの納入実績も多い大容量交流安定化電源PCR-LEシリーズと、専用の切り換え機であるスマートセレクタ、それにそれらを制御するソフトウェアを組み合わせることで、電源室から複数の試験室に供給する電源の出力先や配電方式(単相/単相3線/三相)をソフトウェアからワンタッチで切り換え可能にしたものです。このシステムにすれば、もはや面倒な切り換え作業は要りません。

スマートパラタイプ使用時のシステム構成図

<松田>実は、私たちは、お客様のお話を伺ううちに結線を切り替えるだけでは十分ではないと思ったんです。というのは、私どもが供給する電源側にも作業効率改善の余地があったからです。PCR-LEを初めとする安定化電源は様々な用途でお使い頂けるよう考慮されており、複数台の電源を単相、単3、三相など様々に組み換えて使えます。ではあるのですが、用途はそれぞれのユーザ様毎に固定されているという考えに立っているため、EMCサイト様のように出力形式を頻繁に切り替えるところまでは想定されていない。

例えば三相で使うには三相ボード、単相には並列運転ボードなど専用のボードがそれぞれ必要で、変更する場合にはボードの差し替えと各電源本体の設定が必要です。EMC測定サイト様では、結線の変更の他にこの作業がその都度必要になるわけでして、出力結線切り換えの自動化だけではサイト様の作業効率を改善する具体的には電源側セットアップのめんどうを解消するソリューションとしては不十分だと判断しました。

専用アプリケーションソフト設定画面(イメージ)

<後藤>システムとしてまとめるにあたっては、機能や操作性だけでなく安全面等にも気を配りました。例えば、離れた場所からの電源切り換えになりますので、切り換え時は必ず出力オフとしたり動作時は、他の出力先からの出力制御要求を受け付けないようにしたり、といった具合です。

なお、まずは3系統の切り換えで相当たり5台までのシステムでご提案していますが、この辺りは柔軟に対応できます。出力端に置く出力端子BOXも用意したほか、複数のPCR-LEを既にお持ちのお客様にもそれらを使って切り換えシステムにグレードアップできるかたちでご提案しています。

EVやPHVの出現で新たに課せられた”充電状態にあるクルマのEMC(伝導エミッション/イミュニティ)テスト”をサポート

EV/PHVのEMC評価に新たな課題

EV/PHVが現れてクルマはエコで便利な乗り物になりました。

<市川>EVやPHVの実用化に伴って自動車業界に”クルマへの充電”という新たな技術が持ち込まれました。EV/PHVに充電は欠かせません。同時にそれは、クルマが電子機器と同じに扱われることを意味します。充電状態にあるクルマは系統(家庭のACコンセントや配電盤)につながっているわけですから、形態としては家電品など一般の電気電子機器と同じになるからです。EMCの測定・評価についても然りで、車にも(充電状態においては)家電製品などと同じEMC(電磁的調和)能力が求められることになり、国際的な規格も制定されました。充電という新たな技術を導入したことで、自動車業界にも一般の電気電子機器と同様のEMC測定と評価技術の導入が課せられたわけです。

EV/PHVでは全てのクリアが必要

別世界かつ未経験の測定

具体的にはどのような規格への対応と技術導入を迫られているのですか。

<市川>充電に関するEMC規格はECEのRegulation No.10*1で規定されています。具体的にはRegulation No.10は第5版(ECE R10.05)まで発行されていて、車両のRESS充電モード*2での試験がECE R10.04で規定され、ECE R10.05ではESA*3の REESS充電モードでの試験が追加されています。つまり、4版で充電機能を持った車本体のEMCが規定され、5版ではそれらに搭載される電装品類についても規定が及ぶことに なって各メーカでは対応に追われています。

<野尻>EV/PHV以前のカーエレ技術は一般の電気電子とは独立した技術世界を構成していました。EMCに限ってみても、例えば輻射ノイズについては一般の機器はCISPR22で規定されていますがクルマはCISPR25です。測定条件にしても導体のグラウンドか疑似大地で計るかという具合に違っていました。とはいえ、お互いに住む世界が違っていたわけで、言うなれば平和にやってきたわけです。

それが、EV/PHVの充電でクルマが系統に接続されることになったことで位置づけが変って、一般電気機器の世界とも歩調を合わせなければならなくなった。話が複雑というかクリアしなければならない規格、具体的には測定項目がぐんと増えてしまったのです。さらに具合が悪いことに、追加される測定項目がクルマにとっては別世界の未経験で、 技術やノウハウの蓄積がほとんど無いものばかりなのです。

例えば、”AC電源線への高調波エミッション、フリッカ、雷サージイミュニティ”などは家電などの機器ではお馴染みですが、クルマの技術者にとってはこれまで全く縁のなかった測定です。クルマの評価技術者にとっては降ってわいた災難というか、細かな部分になると何のことか意味が分からないとおっしゃる方もいるのが現状であり、悩ましい課題なんです。

ECE R10.04/R10.05とIEC61851-21のEMC規格要求比較

システムで提案できるアドバンテージ

キクスイは従来から一般電子機器用や自動車用のEMC試験装置を手掛けています。

<野尻>当社は直流電源、交流電源、高調波電流測定装置、自動車用の電源試験装置、さらに絶縁・耐圧試験機など、一般電子機器と自動車双方に対応した測定コンポーネントやシステムを提供してきました。EV向けには急速充電器なども手掛けています。それら長い経験の中で技術もノウハウも当社には十分な蓄積があります。

<市川>充電状態での測定が求められるわけですが、充電には外部の充電器を介して大電流の直流で行う急速充電とラインからのACによる充電の二通りがあります。まず、急速充電の場合、既成の実際に使われる充電器を使えばいいように思えるかもしれませんが、測定には信頼性の高い測定専用の充電器を特別に用意する必要があります。既成のものを使ったのでは測定値に充電器固有の特性が紛れ込んで不確かさが大きく なってしまうからです。例えば充電器からノイズが発生したら、充電器のノイズも含めて測定されてしまいます。同様にAC充電でも理想的なACの供給、つまり測定用交流電源の使用が望まれ、我々はその何れも供給できます。

<野尻>急速充電の場合はCHAdeMOやCOMBO(CCS)など方式に則った充電器でなければなりません。これらを個別に用意してその都度交換するとなると大変な負担で、できれば簡単に切り換え対応できる柔軟性が求められます。当然ながらシステム全体を制御したり機器の設定と測定を行うソフトウェアなども必要です。そんなことがあって、実は「キクスイさん何とかならないか」とご要望いただいたのがソリューション提案の出発点なんです。

幸いなことに我々は充電器(直流電源)や交流電源、関連するEMC測定の技術とノウハウを保有しています。クルマも一般電子機器も国内だけではなく欧米や中国などでも機器設計や測定現場のお客様の声を数多伺い、ご提案を重ねてきました。

ノウハウの一例を挙げれば、ECE R10のANEX16/22で規定される雷サージ試験は高電圧を扱う測定であって危険性を伴うため測定に際しては機器の配置や接続手順など作業の安全に十分な配慮が必要なのですが、クルマの世界ではこうした高電圧を扱ってこなかった。そのため、機器の配置や接続、測定の手順などが(我々から見れば)ラフに行われている例などもあったりします。

個々のお客様に相応しい測定環境を実現するには、こうした部分や電波暗室などの設備そしてオペレータを含めて全体を最適化しなければなりません。システムとしてもお仕着せの固定化されたものではなく、コンサルティングと個別の提案が必要だと考えています。

  1. ECE Regulation No. 10 (ECE R10)  路上での使用が意図された車両やそのような車両への取り付けが意図されたデバイスのEMC(電磁的両立性)に関する規則 ECE:国際連合欧州経済委員会
  2. REchargeable Energy Storage System  再充電可能エネルギー貯蔵システム ECE R10.04 ではRESSと呼称
  3. Electronic Sub-Assembly  電気/電子サブアセンブ

肥大化する電源変動のテストパターン、続々と持ち込まれる試験体に困惑する現場。
テストを効率化し評価試験の自動化を目指す。

ハイブリッド車 vs スマートメータ

同じリップル重畳で二つの異なるソリューション提案ですね

<土畑>ご承知の通り、リップルというのは電源ラインの細かな脈動のことです。本来、電源は直流でも交流でも細かな変動の無いピュアなものであるべきですが、実際には様々な理由によってわずかにリップルを伴い、電源につながれた機器や回路がその影響を受けて誤動作や特性の劣化を引き起こすことがあります。このため、リップルを含んだ電源を故意に作り出して機器に接続し、誤動作や特性劣化が起こらないことをチェックする、というのがリップル重畳試験です。 ちなみに、リップルの大半は電源の整流とスイッチングに起因するものが多数を占め、過去には商用周波数(50/60Hz)とその高調波が主成分でしたが、電源がスイッチング方式やインバータなどに代わったことに伴い近年はリップルの周波数が以前よりもずっと高くなっています。

ハイブリッド車とリップル

初めに、高電圧DC電源用システムの方から伺います。

<土畑>従来、自動車の電気系は12Vや24Vといった低電圧で統一され、電源のイミュニティ(耐性)テストも低電圧系に対するものだけでした。ところが、ハイブリッド車の開発を皮切りにHEV/PHEV,EVなどでの車両に500Vクラスの高電圧電源が持ち込まれました。

必然的に、これまでの低電圧系に加えて高電圧系に対しても電源変動や瞬停など、接続機器のイミュニティテストをするべき、という流れが起こりした。リップル重畳も然りで、500Vクラスの高電圧(DC)にパワートレインのインバータなどに起因するリップル重畳を模したテストのお問い合わせを頂くことが多くなっています。

<吉川>当社では従来から自動車の電源に関するテストをサポートする機器やシステムを多数供給し、現在もインテリジェント・バイポーラ電源<PBZシリーズ>を中心に据えた車載電装品用電源変動試験システムなどを提案しているところです。(別項参照)
ですが、これら従来システムは低圧系を対象としたものであるため、電圧が数10倍も高いハイブリッド車の高電圧系への流用は無理があるんです。

<土畑>一方で当社ではPCRやPATシリーズなど高電圧大出力の電源も取り揃えており、これらでの対応も考えられるのですが、先にご説明したように重畳するリップルの周波数が数キロから数百キロヘルツと高く、従来電源の出力帯域を大きく越えてしまうこともあって、リップル分を出力できません。そこで高電圧上へのリップル重畳を実現する新たな方法の開発に挑んで得た結果がこのシステムです。

DCリップル重畳試験

スマートメータへの技術展開

では、もうひとつのシステム AC電源用リップル重畳試験の提案に至った経緯は

<土畑>AC電源で動く機器のEMC(電磁的両立性)については以前からエミッションとイミュニティ、放射と伝導(高周波 or 低周波)それぞれの面で厳しい規制があります。さらに、規制は対象となる機器がそれぞれ想定されています。言い換えると、これまでに無かった機能を持った機器が普及すると、それを対象とした新たな規制が設けられることになります。

<吉川>その意味で、今回私どもが提案するシステムはスマートメータを主なターゲットにしています。エネルギーの有効利用を目指すスマートグリッドやスマートホームを実現するキーアイテムとしてスマートメータが急速に普及していることはご承知の通りです。

<土畑>で、規制の話に戻りますと、スマートメータを想定した新たな規制が設けられているんです。具体的には2014年にAC電源に対する伝導性イミュニティ試験IEC61000-4-19*1規格が制定されています。

一言で申し上げれば、提案システムはこのIEC61000-4-19規格に対応した試験ができるというものです。キクスイでは従来からACラインの伝導イミュニティ(耐性)の規格対応試験に関して多くの機器やシステムをサポートしています。今回の提案のシステムはその延長線上にあるとも言えるのですが、この規格が他の規格と大きく異なる点は、リップルの重畳試験それも周波数が2kHzから150kHzと周波数の高いリップルの重畳が規定されていることなんです。

そして先の直流システム同様、これまでご提供してきたシステム構成ではこれを実現できません。そこで、商用交流電源にも周波数が高いリップルの重畳を可能にする技術を開発しシステムに盛り込んだのが今回のご提案です。

リップル

<吉川>そういうわけで先に申し上げたハイブリッド車とスマートメータという何のつながりも無い分野のソリューションなんですが、ここで一緒にご紹介させて頂いたのは、それぞれの問題解決を図るうえで求められる技術が同じだったからなんです。

実は同じ技術課題だった

高電圧・大電力上への高速リップル重畳

<土畑>ここまでのお話しでおわかりかと思いますが、求められた技術とは高電圧かつ大電力の電源ライン上に周波数の高い高速リップルを重畳させる技術です。ハイブリッド車とスマートメータというアプリケーションでの違いは、基になる電源が直流か交流かという点だけなんです。周波数の高いリップルを数百ボルトクラスの高電圧上に乗せ、キロワットから10キロワットオーダのハイパワーを供給するのですが、実はこれは簡単ではありません。

電圧が低ければ、或いはゆっくりしたリップルでよければ簡単に実現できるのですが、高電圧かつ高速そしてハイパワーとなると直接的に作り出すことは極めて難しいんです。
難問を突きつけられたわけですが、付加的な方法による解決手段は幾つか考えられます。我々はベースとなる電圧とリップル即ち細かな変動分を別々に生成し、両者を足し合わせる方法を採ることにしました。

システム図

ベースとなる電源には高機能交流安定化電源のPCR-LEシリーズが使えます。PCR-LEはハイパワーでACはもちろん高圧のDCも出力でき、制御ソフトウェアなど周辺のリソースも充実しているからです。
そして、核となるリップル重畳用に新たに「リップル電圧重畳ユニット」とパターンを自在に設定できる専用のアプリケーションソフトウェアを開発しました。これによって、ハイブリッド車とスマートメータ、異なる二つの分野でお客様から求められていた課題を一挙に解決することが出来ました。

<吉川>形のうえではDC用とAC用それぞれ別のご提案なのですが、込められている技術はひとつであって、展開する方向が別というわけでして、技術的な資産を多方面へ展開できたことは良かったと思っています。

なお、リップルの周波数は現在は数キロから数百キロヘルツですが、今後はもっと高くなって行くと考えられます。我々は重畳ユニットの開発に当たってこれらを視野に入れており、一桁以上高い周波数までは既に技術的な見通しが立っています。

  1. IEC 61000-4-19
    初版:2014年 /電磁両立性(EMC)‐第4-19部:試験及び測定技術‐AC電力ポートでの周波数が2kHz〜150kHzにおける伝導性,差動モード妨害及び信号伝達に対するイミュニティ試験

注:差動モード(線間にかかる電圧)で規定される試験のため、試験信号は本来の交流供給電圧に重畳(直列加算)して試験体に印加する必要がある。

AC機器開発で最後のハードルとなるIEC61000の規格テストをワンストップでスムースに実行

難解かつ難儀

規格に従ったテストに、どんな問題があるのですか。

<松田>本システムはACラインを経由した低周波EMC、具体的にはIECの61000-3と-4で規定されたテストが誰にでも簡単に実行できる自動試験システムです。
IEC61000はAC電源で動くほとんどの機器にマストなコンプライアンステストです。電気電子の世界では比較的よく知られ簡単に行われているハズの測定試験なのですが現実はそうでもない、そこが本ソリューションつまり問題解決の本質というか”問題”部分です。

具体的に言うと、問題のひとつは規格が難解で機器のセッティングや結果の判定に多くの知識とノウハウを必要とすること、もうひとつは試験法自体が煩わしく手間がかかることです。

<矢島>ご承知の通りIEC61000シリーズはレガシーな規格で、制定されてから長い年月が経っています。その間、様々な改訂や追加が行われていて、言うなれば建て増しを繰り返した日本旅館みたいに複雑に入り組んだ、分かりにくい構造をしています。全体は体系化された規格ではあるのですが、それが故に参照規格など関連して、理解しておかなければならない情報も膨大なものがあります。そんなものを製品の設計や製造技術者が個人で1から理解しろということ自体にムリがあると思うのですが、商品化にマストである以上は誰かがやらなければならないわけで、規格の解釈に悩んでいる技術者がたくさんおられます。

で、自分なりの解釈で試験をする段になるわけですが、これがまたけっこう難儀だったりする。具体的な例を挙げると、試験対象機器の電源スイッチを人が24回もオン・オフして確かめなければならなかったり、動作を2時間も監視していなければならなかったりといったテスト項目があるんです。機器のセットアップだけでも大変なのに、測定にもえらく手間がかかる。そうなると測定全体の信頼性も「?」なわけです。

<松田>こうしたIEC61000コンプライアンステストの難解かつ難儀な部分を私たちが引き受けましょう、システムの構想からデータの管理までワンストップでいけるようにしよう、というのが本システムのコンセプトです。具体的には一連のテスト設定や判定が自動化され、エビデンスまで含めてシステムに任せることができます。一例ですが、今お話しした”人がスイッチをオン・オフするテスト”で手順を誤ってしまった場合にも簡単にリトライできるなど、ノウハウに基づいた細かな工夫も随所に織り込みました。

システム

商品開発終盤で迎える必須ハードル

製品設計者としては出来れば避けて通りたいところです。

<矢島>61000シリーズのテストは多くの場合、規格認証に必要な手続きとして量産を目前にした実機を試験所や測定サイトに持ち込んでテストが行われます。実際に私共でもサイト様に多数のシステムを納入させていただいております。ただ、ここで心得ておかなければいけないのは、測定は持ち込んだメーカさん自身の責任で行うと言うことです。実はここにもちょっとした問題があって、持ち込む側としては試験所に持って行けば全部やってもらえると思い込んでいて、テストに際して試験設備の操作や設定が分からなかったり、設定を間違ったりしてしまうことがあります。ですが、対する試験所としてはテストする機器自体については分かりようがありません。その結果、接続や設定の際に相互の考えにすれ違いを生じることがあるからです。

<松田>予め自社でテストしてから持ち込むことも良く行われるのですが、お話ししたように難解難儀な試験ですし、テスト設備も簡易的なもので行わざるを得ないということも多く、本番で問題が発覚ということもありがちです。

規模の大きなメーカさんなどではテスト専任のセクションがあって、設備も揃っていますし規格の知識を持った方もおられるのですが、基本的にそういうセクションは機器の設計には係わらないので、テストの方法や結果が旨くなかった場合のフィードバックなど、設計者と測定者間の理解や思惑が一致せず処理がスムースに進まないといった悩みを抱えていたりします。

これらIEC61000の測定シーンで起こる問題の原因は各々の立場や理解の差による行き違いなわけで、もし、試験作業が誰にでも分かりやすくワンストップで行え、自動的に結果が得られるシステムであれば、齟齬を生じる事は無いはずですよね。

難儀なのは操作だけではない

システムを自分で構築することはできないのでしょうか

<矢島>現状はメーカも試験所もお客様がそれぞれのスタイルでシステムを構築されています。ですが、何れの場合もハイパワーな機器と計測器が混在するシステムになりますので、セットアップも簡単とは言えません。配線の引き回しだけ考えてもノウハウが必要です。例えば、LIN(ライン・インピーダンス・ネットワーク)は入出力の配線によってフリッカや高調波の測定値に差が出ることがあり注意が必要です。
制御ソフトも、多数のコンポーネントを組み合わせとなることから相互の動作タイミングや異常時の振る舞いなどを熟知した上で組む必要があります。

システムアップのやりかたとして、構成機器を複数のメーカ、例えば電源は電源メーカ、測定器は測定器メーカから調達し、ソフトも自分で組むことが考えられますが、それぞれが持つ特有の設定方式ですとか応答のクセなどを把握しないといけません。特に問題になるのが何らかのトラブルに遭遇した場合です。例えば測定値がおかしいと言う場合に、測定器メーカに相談したとしましょう。測定器単体に問題があればメーカは対応できますが、システムが絡んだトラブルですと測定器メーカも対応に限界があります。

<松田>システムアップをどこか一社がまとめることもあるでしょう。実際のところ当社にも他社製の機器と組み合わせたシステムはたくさんあります。この場合はシステム全体について当社が責任を持ってサポートさせていただくわけです。けれども、例えば他社製機器にトラブルが起きたときに当社は窓口となりますが、リペアは当該社さんにお願いするので、対応としてはどうしてもワンテンポ遅くなります。

<矢島>その点、本システムで使われる主要コンポーネントは全て当社自前で揃えました。当社既存品だけでなく制御ソフトや切り換えに要する部分等、本システムのために新たに開発したものも全て自前です。
さらに、システム構想から設置まで一貫しての対応をいたしますので、何か問題が起きても全体がすぐ把握できます。お客様にもトータルで責任が持て、ワンストップの即対応ができることは本システムの大きなアドバンテージだと思っています。

エネルギー有効利用のキーアイテム、パワコンに課せられた系統連系試験の重荷を取り払う自動試験システム

根強いパワコン需要

自家発電や蓄電が家庭にも浸透してきました。

<渡邊>太陽光、風力、燃料電池、コジェネ、小水力などに加えて最近ではEVやPHEVなど自家発電、蓄電、そして買電が普及してきました。
とりわけ、発電・蓄電装置、電力消費機器、そして電力会社からの系統という三者の電力の流れを制御するパワコン(PCS:パワーコンディショナ)には根強い需要があります。

パワコンは系統と並列する(系統連系する)ことからやや複雑な面をはらんでいます。電力系統は常に安定で安全であることが絶対条件なわけで、パワコンがつながることによって逆潮流(系統への電力注入)で系統の電圧や周波数の過不足が生じたり、解列(系統からの切り離し)時に単独運転による危険が生じたりすることがあってはならず、これらを事前に回避しなければいけないからです。

<小林>自家発電や分散型発電が系統と連系することによって起こる様々な問題は、当初から研究・検討が進められてきました。当社も電力中央研究所様に系統模擬用の交流電源をお納めする等してお手伝いをさせて頂いた等の経緯があります。結果として、現在では国や業界からガイドラインですとか試験方法などの技術要件が示され、市場にあるパワコンはこれらの要件を満たすように設計そして評価されています。

 参考:
・電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン 資源エネルギー庁
・系統連系規程 JEAG 9701-2006 日本電気協会
・小出力太陽光発電用パワーコンディショナの試験方法 JIS C 8962
・系統連系形太陽光発電システム用パワーコンディショナの単独運転検出機能の試験方法 JIS C 8963
・小型分散型発電システム用系統連系保護装置等の試験方法通則
JETGR0002-1-6.1(2015) 平成27年10月 一般財団法人電気安全環境研究所 (JET)
・太陽光発電システム用系統連系保護装置等の個別試験方法
JETGR0003-1-5.0(2015) 平成27年10月 一般財団法人電気安全環境研究所 (JET)

設定を変えては測定を繰り返す面倒なテスト

負荷装置の設定を165通り変えなければならないことも

<渡邊>例えば公的な機関であるJETが試験方法という形で具体的な手順と判定法を定めています。
系統につながるうえで十分な安全と信頼が確保されることを確認するためには必要なテストであり、パワコンを世に出すために半ば義務づけられた関門です。メーカさんとしてはできるだけ短時間でしかも簡単にクリアしたいわけです。ところが、この試験方法に問題というか、かなりやっかいな作業手順要求をしている部分があるんです。
実際にやろうとすると人手では到底引き合わない作業が含まれています。

試験の種類と規格

<小林>象徴的な試験項目のひとつに単独運転防止試験というのがあります。
これは、発電設備から電力供給が行われている状態にありながら、事故などで系統から切り離されたときのシミュレーションテストです。発電装置に負荷がつながった状態で系統から切り離すのですが、現実の負荷は抵抗(R負荷)とリアクタンス(L負荷、C負荷)の組み合わせですのでルールでは負荷装置に設定するL,C,Rの値の組み合わせを165通りの場合について行うよう求めています。

<渡邊>考えてみてください。負荷装置の大きなツマミやハンドルとスイッチを操作し設定しては測定、という作業を165回も繰り返すんですよ。系統連係の実験や研究というのであればやるかもしれませんが、商品化のための作業だとしたら到底やっていられません。

実際に手動でやっているお客様もおられるのですが、それに要する時間そして労力たるや大変なもので、実際のところ、作業者が2週間も張り付くハメになったと嘆くお客様もおられました。作業者にとってもメーカにとっても悩みの種、ぜったいに何とかしたいと思いますよね。私たちも試験装置の供給メーカとして何とかしたいと思ったのは同じなんです。

<小林>そういったことがあって、このシステムでは負荷装置にも遠隔設定機能を持たせ、ソフトウエアから自動的に設定できるようにしました。これによりお客様は165回に及ぶ設定と測定の繰り返し作業から解放されます。
作業時間も大幅に短縮されますし、繰り返しに伴う人為的な設定ミス等も無くなり、信頼性が向上します。

他の試験項目も自動化により、作業の効率が大幅にアップします。
例えば周波数フィードバックですとかステップ注入の試験では1サイクルの期間のデータを取り込んで有効・無効それぞれの電力を算出する処理を複数回繰り返す必要があるのですが、これも自動化によって短時間で終えることができるようになりました。
ちなみに、全ての項目において結果がロギングされますので、全体の管理作業も極めて楽になります。

システム図

LAN制御でカスタマイズも容易

発電の種類やパワーなど、お客様にも様々な事情があります。

<渡邊>当然のことながら供給電力はどのくらいか蓄電も含む装置か否か等で細かなシステム構成は異なってきますが、提案システムは系統模擬用の交流安定化電源、系統のインピーダンスを模擬するLIN、発電部模擬用の直流電源、負荷装置、電圧電流の測定器、信号や電力線の切り換えユニット、専用のソフトの組み合わせです。核となる交流安定化電源は30%までの逆潮流を受け容れられる能力を持ったPCR-LE/LE2シリーズを使います。試験の多くは解列に要する動作時間を計測するのですが、それには系統模擬電源とパワコンとの同期が不可欠で、こうした部分も十分に考慮されています。

<小林>本システムではそれらをLANで結びソフトウエアで制御していますので、お客様の都合に合わせたカスタマイズが容易であることが大きなメリットです。例えば、電源とアプリケーションソフトをお求めいただき、計測部分はお客様がこれまでお持ちのものを使って、後にフルシステムに移行して自動化を実現する、といったプランも考えられます。が、何れにしてもハイパワーな設備になりますので設置場所のほか予算的にもまとまったものとなり、お客様にとっては大きな投資となることも確かです。そのため、このシステムには十分な柔軟性を持たせお客様毎に最適なシステム構成をご提案できることが重要だと考えたわけです。

<渡邊>どの場合も作業の効率化と生産性・信頼性の向上を考えれば、投資に十分に見合うソリューションになったと確信しています。自動化による作業効率の良さを実際に体感して頂くためにデモルームを開設しシステムを常備しておりますので、気軽にお声がけ・ご相談いただければ幸いです。

航空機特有の電源系統における電圧変動試験で
信頼と安全確保に一役

自律完結

航空機電源の概要を教えてください

<渡邊>航空機というのはエンジンの推力や油圧で制御される機械的構造物ですが、同時に多数の電気・電子機器が積まれた巨大な電子装置でもあります。さらに、飛んでいる間は外から電気をもらうわけにはゆきませんので一機の中で発電から消費までが賄われる自律完結型の独自の電気世界を構成しており、系統も何種類もあってそれらが混在しています。
具体的な系統構成は機種によって異なりますが、メインエンジンに連結した発電機を源とするACラインと通信機器や機内のエンターテイメントシステム用に変換されたDCラインとが骨格を成しています。
ACはフラップの出し入れや車輪の格納などに使われたりし、周波数は400Hzが主で380〜800Hzなど可変周波数のものもあります。DCの電圧は14V系などもありますが28Vが主です。近年では機器の軽量化を図るために270Vといった高圧のDCラインを持った航空機もあります。当然ながらDCはバッテリーバックアップされると同時に非常用にDC発電機を持つことも一般的です。
いっぽうで、駐機時には地上から電源を得たり、万一に備えて系統の相互変換や保護協調機能を持たせたりなど全体として冗長性を持ったシステムを構成しています。

航空機の電流系統

<茂戸藤>航空機の電源は特殊と言えば特殊、複雑と言えば複雑な世界なのですが、実は私共電源メーカからすると電圧的にも周波数的にも特別変わったものではなく、実は通常の守備範囲なんです。
例えば、搭載機器のメーカが機器を開発・製造・評価する際には飛行機から電源をもらうわけにはゆきませんので、ローカルに航空機用の電源を得なければなりませんよね。ラボや工場内に航空機模擬の電源設備を必要とするわけです。実際、これまでにも航空機関連機器の開発や製造時用の電源として当社のACやDC電源をお使い頂いています。

飛行機も電子化が顕著

航空機の電源環境を規定する規格がいろいろあるのですね

<茂戸藤>航空機は安全性と信頼性が第一ですので、搭載される機器についても振動や衝撃、温度や気圧それに電磁ノイズなど動作環境に対して様々な”しばり”が設けられています。各電源系統それぞれについて言うと、電源そのものの品質規定がまずあり、相対して電源を使用する機器についても電圧の瞬時低下など電源異常などに対して動作を担保するイミュニティの規定があって、両者を合わせることで両立性が保たれています。
因みに航空機は複数の電源系統が連動しているうえ平時でも供給系統の切り換えや変換が行われます。機器(負荷)側からすれば電源の瞬時低下や周波数変動などが起こり易い電源から電気供給される訳ですから、搭載機器の電源イミュニティは一般の電子機器よりも高いレベルが要求されています。搭載される電子機器の数が増えていることや回路の動作電圧が小さくなっていることもEMC的にはキツイ方向に向かっていると言えます。

<渡邊>具体的には軍事用にMILの704、民間用ではRTCAのDO160、同じく民間用はJISのW0812などの中に電源環境の試験規定があり、ノーマル、エマージェンシーなどのテストモードでの試験を要求しています。また、各航空機メーカでも独自に規格を設けていて、搭載する電子機器メーカに対してその規格もクリアしたうえでの納入を必須としています。
いずれにしてもテストに際してはローカルに電源異常を故意に作り出す設備を必要とするわけで、本システムはそのためのソリューションなわけです。

():MIL-STD-704, RTCA DO-160, JIS W0812
RTCA:Radio Technical Commission for Aeronautics

信頼が信頼を裏付ける

PCR-LEをベースにしたのには訳があるのですか

<茂戸藤>本システムはリニアアンプ方式の高機能電源PCR-LEをベースにして航空機搭載機器メーカさん向けのアプリケーションソフト(Avionics Test Software SD012-PCR-LE)を組み合わせたものです。その意味ではPCR-LEの数あるアプリケーションソフトのひとつと位置づけることができますが、我々としては新たなシステムソリューションのひとつという考えでプランを進め、お客様にご提案しています。PCR-LEをベースにした理由を一言で述べるなら、PCR-LEは航空機搭載機器テストに対応する高い能力が元々備わっているからです。

<渡邊>試験器は信頼性が重要です。例えば試験信号が信頼できなければ試験結果も信用できませんし、試験で問題が発覚した場合に原因の切り分けが難しくなります。さらに試験器自体が壊れたりたまに動作が怪しかったりでは話になりませんし、万一故障した際に修理や点検に長い日数を要するようでは機器の生産そのものに大きなダメージとなってしまいます。
航空機というものの性格上、より確かな信頼のおける測定が求められていて、規格の中にも「変動パターンや波形が規定と違わないことを確認してからテストを始めなさい」と言う旨のことが書かれていたりします。規格に合致した正しい試験器を使いなさいということなわけです。
PCR-LEはACもDCも出力できますし、周波数自在でローノイズ・低ひずみなうえに応答性にも優れているので、再現性に優れた試験信号を出力できます。一般電子機器の電源変動試験用電源として積み上げてきた膨大な実績の裏付けもあります。本システムでは必要があればインテリジェントバイポーラ電源のPBZシリーズも併用できるようにしてありますが、これも同様な理由に因ります。

電源瞬断/変動試験システム(例)

<茂戸藤>実は、安価なスイッチング方式の電源をベースとすることも考えられ、実際にそのようなシステムも無いわけではないのですが、私共では何よりも測定の信頼性確保と設定の自由度さらに拡張性を重視し敢えてリニアアンプ方式の高機能電源をベースにしたシステムを提案させて頂いています。テストの前というか機器選定に際して高機能電源PCR-LEをベースにしたシステムの波形を実際に見て確かめて頂ければ、そのクオリティの高さがお分かり頂けるはずです。

1画面3ステップで完結

使い勝手の面ではどんな気配りをされましたか

<渡邊>本システムでは、”お客様が高信頼の測定をシンプルに完結できること”をコンセプトに制御ソフトウェアを開発しました。PCR-LEは出力を自在に制御できるので、パソコンから詳細なパラメータをその都度細かく設定して実行するタイプのソフトもアリというか作ることができます。ですが、実際に試験を行う機器メーカさんや航空機メーカさんの立場に立って考えると、規格試験の作業はコストや納期に直接跳ね返るものなので、できるだけ簡単・確実に行いたいんですよね。被試験機器をつないだら後はボタン一発で自動実行みたいなシンプルなものが望まれるわけです。
そうしたことから本システムでは試験パターンをライブラリとして揃えておき、それを選択して実行するスタイルにしました。こうすることでシンプルな操作と様々な規格要求に対する柔軟性を両立できます。実際、本システムではひとつの画面上で、規格を選択する、試験項目を選択する、実行ボタンを押す、という3ステップで規格試験を完結できます。
シンプルに、短時間で、高信頼のテストを実行するシステムをお届けできた、と思っています。

<茂戸藤>同時に、お客様固有の試験波形やシーケンスあるいは新たな規格条件の追加などがあっても、ソフトウェア上で簡単な変更を加えるだけで即時に対応できる柔軟性も持たせてあります。具体的にはシーケンスのステップリスト画面を編集するだけですので、お客様サイドでも簡単に追加・変更可能です。
また、お客様の中にはACとDCを別系統で同時に使ったテストをしたいという方もおられます。そうしたご要求に際しては当社のDC電源などと同期して動かすソフトが用意されていて、それらとの併用も可能です。

アビオニクステストソフトウェア

再現性の確保が難しい過渡サージ試験。
規格に忠実な波形作りで信頼性向上に挑む。

誤動作は事故に直結

サージのテストは一般の電子機器でも行われています。

<新垣>元々、クルマは一般の電子機器に比べてEMC的に厳しい環境にあると言われています。伝導ノイズ、さらに過渡的なサージに限って考えても、クルマにはモータや電磁アクチュエータ、大電流が通るワイヤハーネスなどサージ発生源が多数存在します。同時にそれらはECUなどの電子機器と混在・隣接して置かれていて、サージに起因する電子回路の誤動作が発生しやすい環境です。さらに、近年ではクルマの電子化に伴ってサージトラブルの対象アイテムが増えました。クルマはサージを出す面でも受ける面でも極めて厳しい環境であると言えます。いっぽうで搭載機器の誤動作は即事故、人の命に関わりますから、サージに対する強力なイミュニティが求められます。

<後藤>測定・評価という立場から見た場合、ひとつ厄介なのは、クルマが多数の機能が複合的かつ独立分散して動く機能体であるという点です。一般の電子機器であれば、機器の設置場所ですとか動作のモードや順序がほぼ決まっているのでサージが起きる状態を予め想定、つまりシミュレーションテストしやすいんです。これに対してクルマは例えば、アクセルを踏み込んでいるときにワイパーがオンされるとか、エアコンが回り始めた直後にヘッドライトが点く、といった具合に動作の組み合わせが限りなく考えられるので、シミュレーションのパターンを絞り込むのが難しく、現実に適した試験や再現性に優れた測定が困難といった問題があります。

ISO7637+オリジナル

規格の動向はどうなっていますか

<新垣>サージ試験は、想定されるサージの波形を定義してこれを試験器によって作り出し、被試験機の電源や信号ラインに印加して耐性を確認する、という手順を踏みます。したがって想定される状況毎に定義される波形が異なります。クルマの場合は誘導性負荷の遮断ですとか、電流の断続によってハーネスが発するサージなどです。したがって過渡サージの試験規格には幾種類もの波形が定義されていて各波形それぞれに対しての試験が必要です。

試験規格の種類

<後藤>自動車の過渡サージを規定した規格の技術仕様は何れもISO7637が基になっています。例えばオルタネータが動作中にバッテリラインが断線した時を想定したロードダンプテストの現行規格はISO16750ですが、これはISO7637から移行したものです。ちなみに現行のISO7637は第三版(ISO7637-2.2011 Ed3)です。

欧州では自動車EMC指令適合の「eマーク」からECE Regulation統合によるEマーク(ECE-R10)など制度上の変遷はありましたが、技術的な内容は依然としてISO7637が参照されており、対応が必須であることは変わりありません。国内ではJASO D001という規格が以前から存在していますが、過渡サージ試験の内容はやはりISO7637と同様なものになっています。

<新垣>実際には各自動車メーカさんが自らの経験に基づいて独自の波形をプラスした自社オリジナルの規格で運用というのが実情です。先にお話ししたようにクルマではシミュレーションのパターンを絞り込むのが難しいことがその背景にあるわけです。国際規格や業界規格のクリアを前提とし、さらに独自のテストで慎重を期すというスタンスですね。

JASO:Japanese Automotive Standards Organization 日本自動車技術会規格

KES7700

商品の位置づけと方向性はどうお考えですか

<後藤>弊社では車載電子機器用EMC試験システムKESシリーズを展開しています。過渡サージ試験については、その中でKES7700としてシリーズ化し各種の規格試験に対応する体勢を採っています。
ただ、前述のように自動車メーカが独自な波形を定義することなどお客様毎に要求内容が異なることも多いので、カタログ品というよりカスタムソリューションとして対応させていただいています。

<新垣>原理的にサージテストの大半は予めコンデンサに蓄えておいたエネルギーをスイッチで一気に放出させるという単純なものです。パルスの時定数も公に定められています。そういう意味では技術的にさほど難しいアイテムではありません。ですが、計測器メーカとして波形の細部まで拘って再現性を、さらに操作性に拘って作業効率を追求するということになると一筋縄では行きません。

例えば何種類もの波形を用意して簡単に切り換えできるような工夫も必要になります。これに対してKES7700ではユニットの差し替えで簡単に切り換えできるようになっています。そうすれば波形が新たに定義された場合もその波形用のユニット追加・換装だけで済みます。

KES7700

正しい設備を正しく使う

キクスイのどんな技術が注ぎ込まれていますか

<新垣>規格に基づく商品の品質保証試験ですので信頼性が第一であり、テストの再現性という意味ではひとつひとつの波形品位に十分気を配りました。何にも増して”定義された波形に忠実であること”はすごく重要だと思っています。例えば、先にお話ししたロードダンプを想定したパルス立ち上がりがサプレスされたパルス5bという波形の印加テストがあります。ロードダンプ時には大きな過渡電圧が発生しますので実車には保護用のクランプダイオードが組み込まれています。パルス5bはこの状態模擬として定義された波形なのですが、これを簡単な電源とインダクタンス、抵抗、それにダイオードなどの受動部品で構成すると、実際に測定する際に定義された波形にはならないことが分かっています。ダイオードがクランプ領域に入ると負荷となってパルスが尾を引く部分の時定数が短くなってしまうからです。そこで我々はパルス5bの生成に際し、まずアンプ方式の高圧電源で非サプレスの波形を生成した後にロードダンプサプレッサーでサプレスレベルを超えた部分を吸い取ることにしました。

<後藤>この方式は受動部品方式よりコストがかかってしまうのですが、パルステールの時定数に影響を及ぼしません。どう考えてもこちらの方がまっとうなやり方だと思いますし、”規格で定義された波形に忠実”という我々のコンセプトに合致することからも、敢えてこの方法をご提案しています。

波形

私が取り説

ハード面以外での拘りは?

<新垣>正しい計器を正しく使うというのは計測の基本というか大原則ですよね。そういう意味では、計測器メーカは正しいハードを作っているだけではダメで、正しく使って頂いて初めて測定に価値が生まれるわけです。きれい事の様ですが我々はそこまでサポートするべきなんだと思います。

なので、弊社のソリューションシステムは設計者が自ら納入先に出向いて取扱説明をしたりお客様の生のご要望を直接承って製品に反映したりするようにしています。このシステムでは私が取り説というわけです。

<後藤>これは一例に過ぎないのですが、お客様の中にはノイズの試験をするのにパソコンを含むデジタル製品を持ち込むことにアレルギーというか不安を抱く方がおられました。その時にも設計者が直接出向いて、互いに技術者同士フェイス・トゥ・フェイスでお話をすることでご納得頂けたことがあります。そんなことからも、計測は正しい計器を正しく使うという測定器メーカとお客様との相互信頼で成り立っているんだなぁと感じています。

クルマを電力源として使う
Vehicle to Homeの実車を模擬
パワコンの短期開発をサポート

EV普及はグローバルトレンド

EVの普及に併せてV2Hが注目されていますね。

<渡邊>EVの普及が加速しています。さらにここへ来てクルマを電力源として使うV2Hの導入も進んでいます。
ご承知の通りV2H、Vehicle to Homeは、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHV)、燃料電池車(FCV)などが蓄電池に蓄えた電力を災害時等の家庭用電力として利用することであり、クルマが暮らしを豊かにする技術手段のひとつとされているわけです。
一方で、EVのV2H利用というのは我々電気機器の側から見ると大きな転換です。

<市川>元々のEVに対しては充電ステーションなどEV用の充電設備、具体的にはAC/DCコンバータを考えれば良かったわけですが、V2Hではパワーの向きが逆になりますから、AC/DCではなくクルマを電源とするDC/ACインバータにしないといけない。さらに家庭内の電力ラインともつながるとなると、太陽光発電や系統電力などとの交通整理が必要になります。これは機器で言えばパワーコンディショナですとか系統連系装置ですよね。

そうした要因からも電力エネルギー関連、具体的にはパワーコンディショナを手掛けているメーカさんはV2H/EVの普及に対して大きな関心と期待を寄せています。実際のところ、太陽光パネルや蓄電システム向けのパワーコンディショナメーカさんの多くがV2H/EV向けのパワコン/充電器の開発と市場参入に注力されておられます。

パワコン開発の難題

V2Hのパワコンを開発するうえで問題点はありますか。

<渡邊>V2Hのパワーコンディショナはクルマ、もっと具体的にはクルマに搭載されたバッテリが電源入力ですから、クルマとつながらなければ動作しません。したがって動作テストには実際に市販されているEVが必要になります。ですが、開発時の動作テストやデータ取得、生産時の検査など作業の現場に実車を持ち込むのは現実には難しいことです。開発や生産の現場が本物のクルマを持ち込める環境にあることはむしろ希ですし、実車でテストしようとしたら各自動車メーカの各車種を揃えなければならないわけですが、それも無理な話です。最終的にはいくつかの実車による確認は必要ですが、パワコンメーカさんは現場用に各種のEVを代替えする手段に苦慮されています。

<市川>本システムはこの問題に対するソリューション提案で、具体的には当社のDC電源PAT-Tシリーズと電子負荷PLZ-4WHシリーズ、それと通信用のパネルを専用アプリケーションから制御することでEVのバッテリを模擬します。

EVのバッテリは車種毎に容量が違うので、それぞれに合わせたシミュレーションができるようになっているのはもちろんですが、実は違うのは容量だけではなく、電圧電流カーブ、つまりその時々の電圧に対する電流の値が違ったりします。本システムではこの電圧電流カーブも織り込んで、より実際に近いシミュレーションが出来るように考慮しました。
また、狙った充電状態を実車で実現するのも簡単ではない。例えば電池の残量が残り少ない状態をテストしようと思ったらクルマを運転して走り回ってこなければなりませんよね、シミュレータならこれを即時に再現できます。

システム図<渡邊>反対に、実際にはあり得るはずのない状態、例えば電圧が極端に下がった場合に電流を吐き出し続けるとか、バッテリの最大電流を上回って出力するとか、そういう常用域を越えた異常状態みたいなことも作り出すことができます。車は安全第一です。さらにV2Hで系統とつながるとなるとこれも安全が最優先事項ですから、お客様も異常に対する配慮には神経を使います。本システムは安全確認のための異常シミュレータにもなる、というわけです。

クルマの個性やクセも再現

電源と電子負荷があればテストできそうな気がします。

<市川>ご承知の通り、バッテリということでは充放電テストのシステムですとかテスタですとか、当社の得意分野なので技術もノウハウもたっぷり蓄積があって、人材も揃っています。本システムにおいても電池としての充放電特性を模擬するという意味ではPAT-TシリーズとPLZ-4WHシリーズの持つ優れた能力を組み合わせて制御するノウハウが詰め込まれています。

ですが、V2Hではそれに加え充放電に際してCHAdeMOなどの通信を伴います。電気自動車の急速充電に関する技術や標準規格はまだ新しく、個々のEVとステーションの組み合わせによっては、制御信号の通信不具合により動作が異常中断するなど、思わぬトラブルが発生することがあったりもします。そういったことまで考えると、通信も合わせないとEVのシミュレーションにはならないんです。

<渡邊>これに関しても当社は例えばCHAdeMO協議会の正会員でありますし、充電器をつないだ状態でのEMCテストシステムもやっていて、ノウハウや情報も濃いものを持ち合わせています。例えば、CHAdeMOでもバージョンはいくつもあって進化しているわけで、本システムはCHAdeMO/V2H ガイドライン最新版に準拠していますが、実は各バージョンには例えば応答のタイミングなどに細かなクセみたいなものがあります。

また、充電時の通信でエラーが発生した場合や予期しない割り込みに対する反応など、通信の応答などは個々のクルマによってそれぞれ違います。その一方で、充電器に接続されるのは新型車だけではありません。パワコンサイドでは新旧様々なバージョンのクルマとうまく通信できなくてはならないわけで、その確認もしておきたい。EVシミュレータはそういう時のためのものでもあるわけで、本システムでは通信のプロトコルやパラメータについても細かな設定ができるようにしてあります。

多面的EVサポート

EV関連では他にも様々な電気テストが求められています。

<市川>今回はEVシミュレータのご紹介でして、これはEVのメーカさんでは無くパワコンメーカさんのためのソリューションです。当社は太陽光発電や蓄電システムなどに関するテストソリューションも初期の頃から手掛けていますので、エネルギー関連のお客様との交流も厚く、様々なお話を伺ってきた中から生まれたものなんです。

対向するEVに関しても当社では急速充電器ですとかもあり、いろいろ経験を積んでいるわけです。先にお話ししたEVのEMCテストシステムなどの他にも、EV内の高圧部分のテストシステム等EVに関する様々な問題解決に間口を拡げて多面的にお応えしています。

<渡邊>実はお客様の中には充放電に際しての通信のやり取りだけをテストしたいという方もいます。そういうご要求に対しては、電源も電子負荷も無しで通信部分だけのEVシミュレータとしてご提案していくことなども考えています。EVから見たパワコン側・充電器側のシミュレータもソリューションとしてご用意していますのでこちらも機会をみてお話しさせて頂ければと思います。

EVへのシフトは、エネルギーと環境問題から考えても要素技術の開発状況をみても、もはや誰もが疑う余地のない確実なトレンドです。そうしたトレンドに係わっていけるのは技術者として幸せなことです。

CHAdeMO

電子負荷のオプションとして、
インピーダンス計測機能を追加。
大型バッテリの生産やメインテナンスに寄与。

ニーズの変遷

バッテリの能力向上が顕著です

<大塚>一口にバッテリの向上と言っても、その内容は様々です。評価は充放電テストにおける端子電圧測定などが基本になりますが、能力の評価という観点では、旧くは負荷をオンオフして端子電圧の差から内部抵抗を算出していました。理想電池と直列抵抗という単純な評価です。
その後、電池の容量や性能が上がると内部抵抗はどんどん小さくなって、直流抵抗での判別や測定自体も難しくなったこともあって、1kHz程度の交流に対するインピーダンスで評価することが一般化し、標準化もされています。

一方、新型電池の開発や研究では内部の電極や電解質などの要素解析手段として、全体を抵抗一本では無くコンデンサや抵抗などが組み合わさったものとしてとらえ、外部からそれぞれの値を知るためにインピーダンスの周波数特性を求める交流インピーダンス測定なども行われてきました。複素インピーダンス(ベクトル)の軌跡を直交座標上に描いたのがコールコールプロットです。

<加々見>近年ではその応用として、インピーダンス特性測定で得られた知見を基に、いくつか特定の周波数ポイントでのインピーダンスを測定して製品の良し悪しや、内部状態などを判定するといったことも試みられるようになってきました。

実際のところ、バッテリの出荷に際しての個々の製品検査や設備されたバッテリのメンテナンス、さらにバッテリリユース時の良品選別などの現場で、手軽にかつできるだけ短時間で答えが出せる方法は無いか、という声も聞かれます。

ニーズへの対応

バッテリテスタを使えば済むのではありませんか

<加々見>スマホに載るような小型の電池向けには、交流インピーダンス測定も可能なバッテリテスタもあります。ただ、電池が大型になると対応が難しくなってくる。インピーダンスがミリオームオーダとすごく小さくなって測定信号の検出が難しいといったこともありますが、試験条件もフル充電時や放電終了時といったスタティックかつ独立した状態ではなく、特定の負荷を接続し電流が流れ出している状態でのインピーダンスを知りたくなったりするんですね。特に燃料電池などは負荷に電流を供給することで機能するわけですから、負荷状態での測定は必須です。

ところが、その場合はバッテリテスタだけでは対応できない。対応策として電子負荷と交流信号源、それにバッテリ電流と端子電圧を同期して測定できる複数のマルチメータ等を組み合わせてシステムを組むことになります。この方法は電子負荷の典型的アプリケーションのひとつではあるのですが、使用する機器の数も多いため、”手軽に”というわけにはいきません。

システム構成図

<大塚>システム化によるソリューションとは別に、私共では燃料電池用インピーダンス測定システム[KFM2150 SYSTEM]を提供しています。同システムは広範囲なパワーレンジに対応し10mHzから20kHzの範囲で詳細なインピーダンス測定とプロット、さらにI-V測定もできスタック用のスキャナなども用意されているので、電池の研究開発や生産技術などを担当なさっているお客様に重宝されています。

ただ、お話ししたように電池の世界では研究・開発目的とは別に電池の生産やメインテナンス現場でもインピーダンス測定のニーズがあるわけです。その場合、先の組み合わせシステムやKFM2150ではちょっとオーバースペックというか現場用としては敷居が高いきらいがあり、導入をためらっているといった声があることも確かです。ソリューションとしては完全とは言えなかったわけです。

KFM2150 SYSTEM
KFM2150 SYSTEM

コロンブスが落ちてきた

開発のきっかけは?

<大塚>実はある時ふっと閃いたんです。それは昼休みに当社の電子負荷PLZシリーズの設計者と話をしていたときなんです。PLZはこれまでに様々な進化や拡張を遂げてきたシリーズでして、汎用目的ではそれまでのPLZ-4Wに最新のPLZ-5Wシリーズがラインアップに加わっています。この4Wから5Wシリーズへの進化の話をしていときです。

私としてはインピーダンス測定のことが頭にあったわけなんですけれども、実はPLZ-5Wシリーズがインピーダンス測定に必要な技術要件の多くを潜在的に持っている、と言うことに気がついたんです。簡単に言うとPLZ-5Wは高速電流シーケンス機能が備わっており、高速で任意な電流の引き込みが出来る。高分解能A/Dコンバータを積んでいて、高精度な電圧や電流測定能力があることなどです。インピーダンスを測るには、電池の負荷電流に交流分を重畳させてその時の電圧と(電圧に変換した)電流を同時に測定します。交流信号源としてファンクションジェネレータを、電圧を測るのに高精度なマルチメータなどを必要としたわけですが、PLZ-5Wにはそれらを肩代わりできる機能というか性能が備わっていたのです。

だとすれば、PLZ-5Wに少し手を入れれば単体で電池のインピーダンス測定に対応できるのではないか、我々もお客様も少ない負担でこれまでのソリューションに欠けていた部分を補うことができるぞ、というコロンブスの卵というかニュートンのリンゴみたいな、ふとした思いつきが開発の出発点でした。

<加々見>そこで、実際にPLZ-5Wに手を加えてテストしてみたところ、これなら出来そうだということがわかりました。大容量の電池では複数のセルをスタック(積み重ね)して、途中のセルのインピーダンスを測りたいと言うこともあるのですが、その場合に必要な同相除去能力などもクリアできる見通しが立ちました。
PLZ-5Wは大電流までのモデルがありますので、より大型の電池にも対応できることも魅力でした。

電池というのは満充電時と放電の終期とではインピーダンスが変化します。ですので、メーカさんとしては電池を定められた量放電させた状態でのデータも欲しいわけで、このために電子負荷が使われたりもします。そもそも、電池の基本とも言える充放電テストには電子負荷が不可欠ですので、電子負荷は電池メーカさんにとってマストなアイテムなんです。インピーダンス測定に電子負荷が必要だとしても、メーカさんの新たな負担にはなりません。

インピーダンス

それぞれの最適解へ

製品の機能拡大はユーザにとってはうれしいことです

<大塚>逡巡が無かったわけではありません。ある意味、燃料電池インピーダンスシステム(KFM2150)は社内競合しますし、PLZ-5Wに少し手を入れると言ってもファームウェアレベルまで踏み込んだ変更が必要でした。が、競合という面ではKFM2150は研究・開発向け、本機能は生産やメインテナンスなどの現場向けとして棲み分けが可能であって、現行ソリューションでカバーできなかった部分を補うものです。もうひとつのファームウェアに手を入れることは、社内の技術的な問題ですので私が頑張ればいい話でした。

実際のところ当面は工場オプションの形で供給することになります。いずれにしてもアプリケーションソフトとセットでご提供しますので、お客様は気にかけることはありません。具体的に言うと、お客様はアプリ上で測定する周波数点を指定するだけでインピーダンス対周波数の特性グラフが得られます。

<加々見>測定する値がミリΩオーダと低いこともあって、バッテリの端子部分や電流検出部分などの影響が結果を左右します。特にスタックされた大型電池などでは真の測定端と実際の測定端を太く短く結ぶのは現実として不可能なこともあります。そうしたことで困っておられるお客様もおられるので、検出の配線をスキャンして切り替えるマルチプレクサ/スイッチャなどの対応も考えています。

<大塚>お客様の中には今以上に高い周波数での測定等をご要望される方もいらっしゃいます。こうしたニーズを汲み取って、バッテリのインピーダンス測定に関する問題解決をトータルに考え、各種のソリューションをご提案していければと思っています。

独自のシステム構成により
テストニーズの進化と変様に柔軟対応

バッテリの進化に迫られた対応

充電と放電を繰り返す二次電池のテストですね

<大塚>当社が二次電池の充放電テストを手掛けた当初、対象は携帯電話用の小型バッテリでした。その後、ノートパソコンやビデオカメラなど、それまでより電池容量の大きなアプリケーションも出てきましたが、それぞれのテスト要求にはPFX20XXシリーズでお応えできました。このシリーズはプラグインユニット方式で一筐体にまとまっており、機能や対応パワーの柔軟性が特長ですが、想定した最大パワーは200W程度です。

<宮野>ところが近年になって、それを越えるパワーを持つ電池アプリケーションが急拡大します。例えば電動アシスト自転車、さらにクルマなどのハイパワーの電池アプリケーションです。数百A超の電池テストができないか、というお話しを複数頂くようになってきて我々も対応を迫られました。

システム構成の妙

充放電パワーの自由度が大きいですね

<大塚>同じスタイルで、もっとハイパワーに対応するシステムを考えなければならなかったわけなんですが、当時私は「それはちょっとどうかな?」みたいに思ったんです。

例えば新たに500Aクラスのシリーズを開発したとしますよね。でも、それまでの電池の発展状況から考えると、たぶん新シリーズができた途端にもっと大きな電流の要求が出てくるんじゃないか、それではニーズとのイタチごっこになってしまうぞって。

で、充放電のパワーに対して将来的にももっと柔軟性のあるシステムの様式というか構成を考えようということになりまして、論議の末に出てきたのが標準品の直流電源と電子負荷、それに充放電制御と電圧・電流の測定機能を持ったコントローラとを組合わせたシステム構成でした。

<宮野>具体的には直流電源のPWRまたはPAT-Tシリーズと電子負荷PLZ-4Wシリーズのブースタを使います。各シリーズ共にパワーレンジ面でのラインアップは充実していますし、並列運転等による増力も可能なので充放電テストシステムとしても幅広く柔軟に対応できるからです。そしてこの方式を実現するために充放電システムコントローラPFX25XXシリーズが開発されました。当初コントローラは300Wクラス対応でしたがその後1.2kWで複数台使用も可能なものを作りました。おかげでパワーの守備範囲もぐっと拡がりまして、レドックスフローの電力貯蔵テストで1000Aシステムを納入などのほか、1000A超級のシステムにも対応できる様になりました。

<大塚>もうひとつ、近年のアプリケーションでの電池の使われ方を観ますと、充電と放電の比率がけっこう違う、ゆっくり充電して一気に放電というものが多いんですね。ラップトップパソコンや電動アシスト自転車、それにアイドリングストップのクルマや太陽光蓄電などもそうです。その場合、テスト装置も例えば充電は数百ワットで良いけども放電はキロ単位のものが要ります。本システムのように充電用電源と放電用電子負荷を自由に組み合わせできれば最適化が図れますし、初めは小さめのシステムを導入してその後に電源や電子負荷を適宜増設していくこともできるので投資に無駄がありません。
そう言う意味ではコントローラ方式としたのは正解だったと思っています。

シームレス充放電と高ピーク耐量

この方式を実現できた技術ポイントは

<宮野>第一のポイントはシームレスな充放電です。充電と放電がパパッと切り替わって使われる電池では、切り替わりの応答性を含めて試験します。そのため、装置側には充放電の切り換えをシームレスにかつ素早いレスポンスが求められるわけなのですが、本システムのように電源と電子負荷の組み合わせにした場合は、両者をスムースに切り換えるための何らかの工夫が必要になります。我々はコントローラに切り替わり時のアイドリングを制御する独自の機能を盛り込むことでこれを解決しました。

<大塚>もうひとつのポイントは電子負荷に高ピーク耐量と瞬発力を持たせたことです。
例えばアイドリングストップ車用の鉛蓄電池では頻繁な充放電に対する評価試験規格があります(SBA0101等)。規格では、充電は最大で100Aであるのに対して放電は約1秒と時間は短いものの充電の3倍となる300Aが要求されます。これに対して私共の現行単体標準品のマックスは200Aなものですから、普通に考えれば2ユニットの並列運転ということになります。

<宮野>ですが、実際には連続定格を越えるワッテージを瞬時的に許容し得る瞬発力は潜在的に持っています。なんかもったいないですよね。そこで電子負荷の保護特性などもコントローラから制御することにしてデューティの大きな充放電に対応しました。さじ加減が難しい部分もありましたが、この規格用のシステムでは200Aの電子負荷1ユニットで300A放電の試験ができます。

<大塚>規格ではこれを3600回繰り返した後に、温度を変えてまた測ったりします。取得データ量も膨大になるのでやり直しは許されません。装置にも高い信頼性が求められるわけで、システム化に当たり我々が気を遣った部分でもあります。

セットアップ例

対応にも俊敏さ

更なる展開への意気込みを聞かせてください

<大塚>テストニーズのトレンドという意味では、セットメーカさんなど電池を使う側の方からお声がけをいただく機会が増えました。具体的には、電池の劣化診断や良否判定法を模索されているお客様が多くなっています。理由として考えられるのはセットの寿命保証や電池のリサイクルとかリユースニーズです。今後はリユースのためのバッテリ選別、廃棄時の電気抜き(完全放電)といったニーズも出てくるでしょう。

更なる高電圧大電流化対応システムの開発はひとつの方向ですが、電子負荷にインピーダンス測定機能が加わったりしていますので、充放電テストとインピーダンス測定を同時に行うシステムですとかいろいろ考えています。

<宮野>世の中の動きには俊敏に対応したい。次世代電池の研究開発も盛んです。先端的な研究などでは電池容量はごく小さいものの、新たな知見も多く我々としては将来的な計測ニーズや対応技術の源でもあり、重点を置いているお客様でもあります。

ちなみに、電池メーカさんなどの場合、お客様の多くは電気化学のプロの方々です。我々とは違う切り口で電池を見ておられ、私共には電気屋としての知見や意見を求められたりします。対してセットメーカさんなどの場合は回路や品質管理のお客様に電池の上手い使い方や新技術の情報を聞かれたりします。それぞれの橋渡し役と言いますかコンサル的なお話しをさせていただくことが多くなりましたが、私自身が勉強になる部分も非常に大きいですし、アイデアの源にもなっています。

精度と応答性に優れた交流の大電流ソースを実現。
電力用のセンサ製造やブレーカ検査のタクトタイム問題を解消。

交流の大電流センサ較正

定電流出力の交流電源は珍しいですね

ご承知のとおり、一般に言う交流安定化電源というのは負荷の大小に係わらず出力電圧が一定となる定電圧源です。これに対して本システムは同じ交流出力ですが、負荷に係わらず出力の電流量が一定の(設定した)値となるように動作、しかも500Aを越える大電流、パワー的には10kW超も出力可能な交流のハイパワー定電流源です。

システムのターゲットは電力関連で、ブレーカやカレントトランスなど電流感応機器の動作検証や感度較正ソリューションです。設定した大きさの電流を素早く正確に出力しますので、交流大電流の標準器や較正器としてお使い頂くことを想定しています。

電力機器の大電流・高精度化

システムが必要とされるようになった背景は

背景として言えるもののひとつは、ビルや工場などにおけるエネルギー利用のスマート化です。一般家庭以外でもビルや工場など各所でエネルギーのスマート化というか、電力管理が高度化していますよね。それを受けて電流センサやブレーカの需要が拡大しメーカさんは生産を急いでいる、というのが具体的背景です。

もう少し詳しくお話ししますと、最近の電力需要設備ではスマート化を進めるうえで測定精度アップと信頼性強化が求められている。ことに近年では数百アンペアクラスの大電流の部分まで要求が及んできているようなんですね。
この場合、カギとなるのは電流センサやブレーカなど電流検出アイテムの精度ですから、ブレーカや電流センサメーカさんは大電流で高精度な製品の大量供給を迫られている。
それで、生産に際して動作試験や感度較正のための設備が必要なわけですが、お話ししたような事情で、新たなトレンドに対応したキャリブレータというか交流の定電流源が必要になってきたわけです。

ところが、市場には交流の大電流を精度良く出せる電流源が無いんです。小電流なら無くも無いのですが、数百アンペアとかは出せない。反対に大電流を出せても設定した電流を正確に出せない。仕方が無いので別途較正された電流計でモニタしながら電源を調整しなければならなかったりで生産効率が上がらない。ということでお客様は困っておられました。
実際、ブレーカメーカさんからご相談をいただいたのが本システム開発のきっかけなんです。

ポンポン変えてもスパッと応答

電流検出機器特有の要求事項はありましたか

実はお客様とお話をさせて頂いた中で見えてきた要求事項がもうひとつありました。それは応答性というか電流を設定してから出力が落ち着くまでのセトリング(settling)ですね、整定時間の短縮です。

実際の校正作業では幾つもの電流値を段階的に与えていって、直線性などを含めたトータルな電流検出特性を測定します。したがって効率の良い校正作業には、電流値をポンポンと変えていったときに電流が短時間でスパッと設定値に落ち着くことが不可欠なんです。これが悪いと1個当たりの試験時間、作業効率というか生産のタクトタイムに大きく響いてしまうからです。お客様からすると既存の電流源では応答性・整定性が悪く、切り換えの都度、出力が落ち着くまで暫く待たなければならないという問題も抱えていたんです。

電流パターンイメージ
電流パターンイメージ

定電圧を定電流に変える魔法

どのような仕組みで定電流を実現しているのですか

本システムは、既存の定電圧型交流電源にトランスを付加して出力範囲を大電流定電圧のエリアに変換したうえで、トランスの出力電流を検出して元の電源にフィードバック(負帰還)することで定電流を実現しています。
基本的にはアンプ方式ですのでアンプと信号源で全体のパワーや精度が決まります。そこで、ベースとなる交流電源には当社の主力交流電源PCR-LEを採用し、一部を改造するかたちで開発を進めました。

開発は10kWで800A、2レンジのシステムから着手しましたが、ベースがPCR-LEですので、容量はいろいろ選べます。そのままでも600A、30V、18kVAまでいけますし、もっと大きな電流も可能です。

PCR-LEシリーズ

最適化への道程

機能実現のために苦労した点は

本システムは当社としてもこれまで手掛けたことのない方式でしたので、例えば応答性に優れ安定したフィードバックを実現するための回路設計には時間と労力を要しました。トランスの特性や電流センサの感度など不確定性を持つ複数のパラメータが系の安定度に大きく影響するんです。出力線の引き回し長などお客様側・負荷側の条件による違いも吸収できなければいけませんし難しい部分でした。
性能を確認するために長い時間試作機と付きっきり、条件を変えてまた検証を繰り返すといった苦労もありましたが、最終的には様々な条件に対して最適な定数を決定する技術をマスターできました。

システムイメージ
システムイメージ

精度と使いやすさへの配慮

技術を形にするうえでの苦労はありましたか

レンジ内でのダイナミックレンジの確保なんかも意外と難問でした。先にもお話ししたように、お客様は電流の大きさを様々に切り替えて使うことが予想されます。これに対しては電流レンジを複数にして対処すればいいのかもしれませんが、お客様は電流を段階的に与えて測定することが多いでしょうから、ひとつのレンジ内においてできるだけ幅広く精度を確保することが望まれます。ですが、レンジの下の方では相対的にノイズの影響等を大きく受けますから、較正器精度のピュアな出力を得るのは意外と難しいんです。

あと、細かい話になりますが、電流の設定をどのように行うかということも悩んだ部分でした。本システムはPCR-LEをベースにしましたので、PCRの出力電圧設定が出力の電流値に反映されます。そこで、設定電圧を設定電流に読み替える変換係数をどうするか、逆に言えばどうすれば使い易さと精度を同時に満たせるかといった部分でPCR側の電圧レンジや電流センサの感度や確度も含めて試行錯誤しました。

新技術の開拓

開発を終えて今後をどう見通していますか

実は、原理としてはトランスを外付けしたCV(定電圧)電源を使ってCC(定電流)電源を作るというところまでなら誰にも考えつくことなんです。ですが、実際に行われる例は少なく、当社にとっても未開拓の技術でした。キクスイとしては定電流の交流電源という製品ジャンルがひとつ増え、お客様に対しても新しい風を吹き込めたことになり、少しは貢献できたのではないかと思っています。開発中はどうしても特性が出ず煮詰まってしまったこともありました。そうしたときは一から出直すつもりで問題をチェックしてひとつひとつ潰して解決の糸口を掴んでゆきました。

今後の見通しとしては、もっと大電流の要求も出てくると思います。既に2000Aを超えるお話しもいただいたりしています。

ソーラシステムの高電圧化や
次世代パワーデバイスGaN,SiCの車載応用に合わせ、
モジュール模擬用電源の最高電圧を拡張。
1000V/1500Vを達成し標準品化にも目途。

ソーラシステムの技術トレンド

高電圧電源が必要とされるようになった背景は

高電圧の直流電源はキクスイがソーラシステムなどのエネルギー・ソリューションに注力してきた中で見えてきたニーズです。
太陽光を中心とする自家発電や蓄電は当社ソリューションビジネスのひとつの柱です。ソーラシステムやパワコンそれらに使われる部品類の開発や製造向けに、キクスイでは各種のテストシステムさらにシステムのキーとなる電源や電子負荷などの機器類を供給してきました。その中にあって、直流電源はソーラパネルやモジュールを模擬するアイテムとして欠かせません。

いっぽうで、ソーラシステムでは発電量と共にシステムの低損失化は永遠の課題です。で、様々な角度から低損失化が図られているわけですが、近年の技術トレンドとしてDCラインの高電圧化が挙げられます。モジュール自体も以前よりは高い電圧のものが増えましたし、蓄電する場合の電池スタック電圧なんかも上がってきています。結果、パワーコンディショナへのバス電圧も上昇し1000Vから1200Vクラスへと移行してきています。

そのため、パワーコンディショナやそれに使用するコンデンサなど関連機器や部品メーカさんなどでは従来よりも高い電圧でオフラインでの動作テストをする機会が生じ、パネルを模擬するための直流電源に1000V以上を出力可能なものが必要になってきた、という事情があります。

パワーコンディショナー簡易評価システムに

私共としてはトレンドに沿った対応を求められるわけですが、パネル電圧が1000Vを超えることは当初予想しておらず、対応する直流電源はラインナップしていませんでした。

翻って世の中を見渡してみると、1000V超を出力できる高電圧電源はあることはあります。ただ、パワーや応答性などの面でソーラパネルを模擬できるグレードのものは見当たらないんですよね。それで、お客様も困っておられた。弊社ソリューション担当にご相談をいただく機会も増え、私にお鉢が回ってきたというのが正直なところです。

ソリューションの幅を拡げる

既存の標準製品とはどのような関係になるのですか

お話ししたように、高電圧大電力直流電源開発の背景というか狙いとしては、ソーラシステムテストソリューション対応能力拡大の一環なんですが、狭い意味では直流電源の単体標準製品、具体的にはPAT-Tシリーズの新機種追加によるカバーレンジの拡張と捉えていただいて結構です。

直流電源は私共キクスイの主力商品でもあり、現在では14におよぶシリーズを揃えています。そうした中にあってPAT-Tシリーズは高効率大容量をコンセプトにした電源シリーズで、ベンチトップで4kWと8kW、これらを組み合わせたスマートラックタイプでは、16kWから40kWまで揃えています。出力電圧は20Vから850Vまでをカバーしており、太陽光発電などのエネルギー関連や自動車の電装品関連などのテストシステムに用いられてきた実績のあるシリーズです。実際のところ、これまで提供してきたパワコン評価などのソリューションシステムは、基本的に交流や直流の電源、それに電子負荷などの標準品の組み合わせを基本として構成されており、直流電源にはPAT-Tシリーズを採用しています。

直流電源セレクトチャート

今回開発した電源は1000V/1500Vというソーラパネルの先進的お客様ニーズにお応えするべく、システムソリューションの構成機器のひとつとして開発したカスタムメイド品です。ですが、開発に際してはPAT-Tシリーズの電圧のカバーレンジを高電圧側に拡張するモデルとしてシリーズに加えることも念頭に置かれました。また、ソーラパネル以外でも、最近ではEVやHEVの普及により、充電器、各種モータやDC-DCコンバータ等電力変換に使用されるパワーデバイス(GaN,SiC)の高電圧・大電流対応ニーズにもお応えできると思います。

したがって外形などを含め出力電圧を除く諸々の仕様はPAT-Tシリーズに合わせてあります。そうすることで、既得のソリューション技術やノウハウをそのまま活かすことができ、お客様の新たな要求にも素早くお応えできるからです。
標準品としてシリーズに加える目途もたっていますので、詳しいスペックなども近いうちにお話しできると思います。

継承と挑戦

シリーズの持つ特長を活かす開発ですね

設計としての立場から申し上げれば、PAT-Tシリーズの資産を流用できたことは非常に大きいですね。現行のPAT-Tシリーズの最高電圧は850Vです。普通に考えれば既にかなりな高電圧なわけで、高圧に対しての吟味は成されていました。今回、その電圧を約二倍まで引き上げたわけですが、850Vモデルがあったおかげで回路的には比較的スムースに開発が進みました。これがもし1からの開発だったらそうはいかなかったと思います。

ソーラパネルの模擬ではオーバシュートやリンギングの無いキレイな応答が求められるんですが、PAT-Tシリーズは応答性に優れ、設定急変などの際も素早くキレイに立ち上がってくれるのも助かった点です。
とはいえ、検討課題は幾つもありました。

例えば安全性や規格への適合性などは気を揉んだ部分です。具体的に言うと実装の空間距離や沿面距離など、絶縁や耐圧に関する部分が1000V辺りで大きく変わります。部品や配線間の距離を大きくとらなければならなかったり基盤の各所に切り欠きを設けなければならなかったりするんです。

いっぽうで、筐体サイズパネル配置なんかはPAT-Tとして決まっていたわけで、限られたスペースの中で耐圧をどう確保するかはけっこうな問題でした。実際には機構に係わる部分でもあるので、機構設計や品質保証セクションの力も借りてまとめ上げました。

PAT-Tシリーズモデル分布図

高電圧技術と設計資産

耐圧試験器で高電圧のノウハウもお持ちです

ちょっと大げさかもしれませんが、1000V超の直流電源というのは新たな挑戦というかひとつの壁でした。ですが、高電圧ということではキクスイは耐圧試験器等を従来から手掛けており、確固とした技術を持ち合わせています。実際手掛けてみなければ分からないような、安全にお使い頂くためのノウハウなんかも多くの蓄積があります。そうした先輩達の技術を土台にして開発できたこともラッキーだったと思っています。

太陽光発電のテストシステムソリューション拡充を意図して始めた開発ですが、標準品即ち汎用的に多用途で使われる電源として仕上げることができました。
私としては1kVというひとつの壁を越えることで、太陽光パネル以外の新たなアプリケーションなどビジネスの拡がりを期待しています。

電子機器の電源容量性化傾向に合わせ、
瞬時電流を定常の6倍まで供給可能に。
自動車電装系テストシステムのコストを低減。

テスト用電源の要件

通常の6倍ものピーク電流に対応できる電源の開発ですね

<風見>PBZは高速応答が特長のバイポーラ、つまり4象限出力可能な電源シリーズです。方式的にはリニアアンプでして、電子機器の電源変動テストなどシミュレーション電源としての用途を意識した多機能信号源を内蔵しています。単体でのパワーは400Wですから当社の電源群の中では中くらい。むしろ小さい方に位置づけられますが、複数系統の同期運転や並列運転ができるので、クルマのように幾つもの電源系統があるシステムや実際にお使い頂いているパワー領域はずっと広くなっています。今回我々はそのピーク電流量を6倍まで許容するチャレンジをしました。

PBZシリーズ大容量モデル

<松本>本来、電源というものは自身が壊れてはなりませんし接続する負荷を壊してしまってもいけません。例えば、負荷が短絡した場合には瞬時に大きな電流が流れ出ようとするわけですが、電源がこれを許容すると負荷を破損してしまいます。
また、電源自体も大電流に耐えられずに壊れる危険があります。したがって実際の電源では強力な保護回路によって急な大電流を厳格に制限しています。その意味では、今回の開発は電源の理念を覆すチャレンジだったと言えるかもしれません。

4象限(バイポーラ)動作概念図

自動車電装系の負荷特性

ピーク対応が必要になった理由は

<風見>一言で言えば大きな電流ピーク対応がこれまでにないソリューションとなり得ると確信したからです。発端はクルマの電源環境テストをなさっているお客様からのご相談です。当社はKESシリーズをはじめクルマの電源テストに関して多くのソリューションをご提供している関係からメーカさんとの縁は深いのですが、PBZシリーズも電装品試験用電源などとして多くの実績があります。

あるとき、そんなお客様からシステム増設の相談を頂きました。「テスト用の電源システムを組みたいのだけれども、今よりもコスト効率の良いものはできないだろうか」というものです。
もう少し具体的に伺うと、電源は負荷のパワーに合わせた容量のものを選ぶわけですが、例えば車の電源を投入する際の挙動テストなどでは一時的に大きな電流が流れるんですね。そして、「この時の電流に合わせた電源を選ぶと、ものすごくハイパワーな電源が要る。そうすると、他の比較的定常な状態においてはパワーに余裕がありすぎるオーバスペックとなってコスト的にも非常にもったいない、何とかならないだろうか」というものでした。

<松本>実は、最初にお話を伺った時点では、そうですか、やはり容量に余裕のある電源をお求め頂くのかな…とちょっと甘く考えていました。ですが、客先に何度も足を運ぶうちに別の事情が見えてきたんです。
それは車の電源ラインのトレンドというか電装系の負荷特性が時代と共に大きく変わってきているという事実です。

近年、クルマは電子化が進み電気系への負担が増していることは誰でも承知していますが、もう少し踏み込んで回路的な見地からすると、電源ラインから見た負荷はどんどん容量性になっているんですね。電装品の電源入力には並列にコンデンサがつながりますが、この容量がどんどん増えていると共に数も急増しています。モータやアクチュエータなど誘導性の電装品も電子制御になって電源の入力は電子回路に置き換わった。そうすると電源からはものすごく大きなコンデンサが負荷としてぶら下がって見えるわけです。その結果、電源投入時などはコンデンサへ充電するために従来よりも大きな過渡電流が流れることになって、テストではこの状況に見合った電源が必要になるわけです。
こうした傾向はクルマの電子化が進行する限り変わらないでしょう。だとすれば我々もニーズの変化に合わせて電源を変えていかなければならないんじゃないか、と言うわけです。

車の電子化イメージ

高速ピーク電流対応技術

6倍ものピークに耐えるのは簡単では無いはずです

<風見>実は私共試験用電源メーカにとって一時的な大電流への対応というのは、際だって目新しいことではなく昔からあった課題なんです。直流電源もそうですが交流電源などでも、負荷となる電子機器のインラッシュ(電源投入時の突発的大電流)はけっこう大きいからです。なので、ある程度の技術の蓄積というか、何をやれば良いかという知見は持ち合わせていました。ですが、先にお話ししたように、既存の電源は強力な保護回路によって過大な電流を抑えています。大きなピーク電流を許容するということはそれらの保護とは相反する動作ですので、どんなピークをどのくらい許容するのか保護回路との兼ね合いと言いますか、如何にして保護を安全に解除するかというのは当然ながらひとつのポイントでした。

<松本>今回はさらにもうひとつ大きな課題のクリアが必要でした。それはスピードへの対応です。PBZシリーズはバイポーラかつ高速応答というのが特長なわけで電源の過渡状態試験用には外せないメリットなんです。この優れた応答性を維持したまま安定した定電圧動作をさせるというのが実は難しい。端的には高速/広帯域性を維持した帰還とそのためのセンシングなんですけれども、こうした部分は技術とノウハウの塊なんです。実際に開発時間の内の多くはこの問題解決に費やされました。

立上がり波形
立上り波形

お客様に報いるソリューション

開発を果たした今、思うことは

<松本>今だから言えるのですが、今回の開発の話が来た当初、私としては「できっこない」と思っていました。お話しを頂いた当初は要求仕様が漠然としていたということもありますが、私としても勝手な思い込みがありました。それが、何度もやり取りしていく中でお客様が求めている真の要求みたいなものを見極めることができまして、「それならできるぞ」という気持ちに変わりました。単に6倍のピークといってもその電流形状などはいろいろ考えられるわけで、当初は私共の想定とお客様が考えておられた内容とに喰い違いがあった訳なんです。そうした綾がお話しを進めていく中でだんだんと解けていき、それからは技術課題のクリアについてもきちんとした方向性のある開発ができたと思っています。

<風見>私共計測器のユーザの多くは研究・開発・生産に係わっておられる方々です。当然ながら秘匿性の高い部分が多く、問題を抱えていたとしても詳細までお話し頂けたり、実際の現場で確認させて頂けたりするチャンスは意外と少ないものなんです。
そうした中にあって今回の開発ではお客様からの情報提供も多く、お互いに腹を割ったお話しができたことが成功の鍵だったと思います。

<松本>今回、お客様には開発完了まで時間をいただきました。待っていただけたのも良好なコミュニケーションのおかげだったわけですが、私としては何としてもお客様に報いたいという気持ちでいます。因みに、この開発で浮き彫りになった負荷の容量性負荷電流の定常値とピーク値の比率増大というのは、自動車に限ったことでは無く、他の電子機器にも共通するものと考えています。開発のベースを標準品であるPBZシリーズとしたのも他のアプリケーションへの応用を考えれば結果的に正解でした。

<風見>私も今回の開発は「言われたものを作りました」という感じは無くて、お客様と共に作ったという気持ちが強く残りました。このことはこれからも大事にしていきたいと思っています。あと、ちょっと違うかもしれませんが、PBZというのはアナログのリニアアンプでサイズや重量それに電源効率なんかは時代の要求と合わなくなってきているところがありまして、個人的にはこれをスイッチング方式のアンプに代える技術なんかもマスターしたいなと考えています。

どこにでも運べ、充電だけでなく
ステータス監視もできる
マルチパーパス充電器。

EV充電の環境変化

持ち運びできる急速充電器ですか

<松田>ご承知のように、EVには普通充電器と急速充電器*1が規定されています。短時間での充電が可能な急速充電器は高速道路のサービスエリアや車のディーラーなどに平置つまり固定して設置されますが、本機はこれをシンプルな可搬型にしてどこにでも運んで使えるようにしたものです。主に屋外で使うことを想定したタイプと、EMCテストサイトなど屋内での使用を想定したタイプの二つで開発を進めています。何れも単体での出力は19.2kW、これは可搬型急速充電器に許されるマックスパワーなんですが2台の並列運転もできます。電源は3相200Vの低圧受電ですからキュービクルなどの高圧受電設備は要りません。これによりどこででも使える、というものです。

急速充電の方式はいくつか規格がありますが、本機はCHAdeMO、Combo、GB/T対応でワールドワイドな車種に使えます。

さらに本機にはステータスモニタ機能を搭載しておりまして、充電の状態を計測監視できることが大きな特長です。モニタは単体でできますが、パソコンからの制御も可能ですので充電の状態解析などEV計測システムのワンアイテムとしても活用できます。

EVの測定ニーズ

どのようなお客様を想定しての開発ですか

<松田>EV用の充電器ですから普通であればスーパーの駐車場や高速道路のパーキングエリアなどのインフラの設備企業さんをターゲットにするところですが、本機はEVを作っておられる自動車メーカさんを第一のターゲットにしました。

自動車メーカさんはクルマと充電器をつないだ状態いわゆるREESS*2充電モードでEMCをはじめとする様々なテストをなさいます。ECE R10*3などの試験規格も制定されていて弊社ではこれにトータルに対応したEV/PHVテストソリューションを提供しています。その一方でお客様はEVの充電性能だけを知りたい、監視していたいという機会も多く、そのためのシンプルなモニタ付き充電器のようなものがあると助かるというお話しを頂く機会がありまして、それが本開発の出発点なんです。試験器・測定器としての機能を持ち合わせた充電器、自動車ユーザ向けの充電器ではなくて、簡易型のREESSモニタとか充電機能評価用電源、あるいはエージング用充電器みたいなイメージです。単に移動可能な急速充電器ということであれば市場にあるんですが、測定監視機能を備え計測や実験作業に使えるものは見当たりません。

想定シーン

具体的にどんな時に便利なのでしょう

<松田>想定されるシーンとして、例えばクルマメーカさんがEVの実車をテストコースに持ち込んで走行テストをやりますよね、その場合、ある程度走ったら短時間のうちに再充電しなければならないわけですけれども、そのテストコースに実車に合致した急速充電ステーションがあるとは限らず、無い時はステーションがあるところまで移動しなければなりません。もちろん、一般用の普通充電器では充電に時間がかかってダメです。そんな時に実車と共に持ち込める急速充電器があれば助かりますよね。本機ではさらに充電状態がモニタできて異常の検知なんかもできるので、すごく便利なはずです。

モニタ

<松田>もうひとつの例としては、電波暗室内での利用シーンがあります。クルマのEMCとりわけRFに関するテストはテストサイトの大型電波暗室内で行われるのですが、EVではテスト中に充電が必要になったらクルマを持ち出して充電ステーションまで行かなければならないことになり時間と労力の相当な無駄です。そんな時にも可搬の急速充電器があればその場で充電できます。

同様に、充電状態でのテストが必要となった場合は電波暗室の外から充電ケーブルを引き込むことになりますが、暗室というのはその性質上、新たな電線の引き込みは難しいんです。車種によって例えばバスとトラックでは充電の受け口の位置が大きく異なるため暗室の充電口を複数設けなければならず、困ることもあるかもしれません。もし充電器を暗室内に持ち込めて自由な場所に置くことができれば、予め暗室にある管理された電源で駆動できますから簡単に済みます。

ただし、その場合は充電器からのノイズの発生や充電器を通してのノイズの流出があってはなりません。ただの充電器ではダメなわけで、屋内仕様タイプについては厳重なノイズ対策が施してあります。

ソリューションの横展開

電動化は他の産業でも進んでいます

<松田>機器の電動化とそれに伴う大容量バッテリの充電ニーズは、潜在的ではありますが着実に進行しています。例えばパワーショベルなどの建設機械や運搬機械なんかはエンジンからモータへの切り換えの流れが顕著ですよね。動力を電力線から受電する方式もありますが、使用する状況を考えるとバッテリ駆動が有力です。その場合、EVと同じように現場での急速充電がどうしても必要になると考えられます。

例えば現場で昼休み中に充電したいという場合には工事期間だけサッと設置し撤去できる急速充電器が欲しくなるでしょう。屋外で使うことを想定したタイプはこうした状況を意識しました。具体的には、防水や防塵、それに動作温度など耐環境機能を強化したタフな仕様にしました。充電方式はCHAdeMOなどEV向けの規格が適用されると予想していますが、本機ではお客様毎のご要求に合わせられる柔軟性も持たせてあります。

因みに、慌ただしい現場での充電ですので、きちんとした充電の管理、具体的には充電のモニタリングは安全性や信頼性を確保するうえで必須となるはずです。

建機イメージ

技術の作り込み

現場での使用を強く意識したソリューションですね

<松田>現場での使用シーンを意識して、設置の際の配線接続の間違えを防ぐために通信線を含む充電口の接続を各規格専用のコネクタ式にするなど様々な工夫を凝らしました。
屋外タイプでは耐環境性能の強化も図っています。防水防塵に関してはIEC防塵防水等級でIP45*4を、動作温度は-20℃から+40℃保証を見込んでいますが、ここまで過酷な環境での使用を想定した経験は無く、-20℃の低温や防塵性能まで規定した製品はたぶん当社初です。私自身も当社としても新たな技術を習得できました。

いっぽう、先にお話ししたように弊社ではREESS充電モードに対応したEV/PHVテストソリューション(R10システム)を提供しています。屋内仕様タイプのノイズ対策などはこのR10システムを手掛けた経験が大いに役立ちました。さらに、弊社は過去に設置型の急速充電器を供給していた経緯もあるのですが、最終的に高信頼のパワー供給技術やEMCのノウハウなどキクスイならではの測定器グレード・クオリティを作り込めたと思っています。

  1. 普通充電器と急速充電器
    普通充電器は戸建て一般家庭の充電器やビル屋外駐車場などに設置される汎用のEV充電器。商用の交流電力(100V/200V)をそのままEVに供給しEV内で直流に変換してバッテリを充電する。充電時間は比較的長い。
    これに対して急速充電器は、残量切れなどの緊急時や、業務用で車両を頻繁に利用する場合などを想定したもので、高速道路のサービスエリアや車のディーラーなどに平置設置される。充電は交流(3相200V)を充電器内で直流変換しEVに供給する。また、充電器-EV間を通信しながら電流を調整することによって電池性能と使用環境に応じた充電を可能とすると同時に安全確保が図られている。具体的にはCHAdeMO、Combo、GB/Tなど国際的な規格が定められている。
  2. REESS  rechargeable energy storage system
  3. ECE R10  ECE Regulation No.10 Uniform provisions concerning the approval of vehicles with regard to electromagnetic compatibility.
  4. IP45
    外来固形物に対する保護 4級:直径1mm以上のワイヤーや固形物が中に入らない
    水の侵入に対する保護 5級:あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がない(防噴流形)

白熱するADAS(先進運転支援システム)開発を視点に
波形編集ソフトから電源テスト統合ソフトウェアへのロードマップ

ADASとクルマの電源ライン

自動車電装系のテストソリューションですか

<渡邉>ご紹介するのは先端電子技術を搭載したクルマの開発や生産のための電装系テストソリューションです。
今、クルマの先端電子技術と言えばADAS(先進運転支援システム)が一番ホットで世界中のメーカさんが技術を競っていますよね。
ADAS搭載車には高度な信頼性が要求されることもあって、センサや解析制御のソフトウェア技術など様々な切り口から技術開発が進行していますが、私たちが注目しているのは電装系、クルマの電源の進化です。

クルマの電子化、電動化という大きな流れの中でクルマの電源系はどんどん複雑化してきました。電装品の種類が増えれば、それぞれにつながる電源ラインが必要になるからです。
それがADASなんかでは、電子回路とセンシング機能だけでなく車両電源も二重化して冗長性を持たせ、どんな時もシステム停止することなく動作を継続させる仕組みを持つようになってきました。
元々、クルマにはイグニッション(IG)、アクセサリ(ACC)、バッテリ(+B)、イルミネーション(ILL)など複数の電源系統があったわけですが、ADAS搭載車ではプラスBラインが複数あるんです。


そんなわけで、クルマの電源はどんどん系統が増えて複雑化しています。当然ながら、確認試験も複雑化することになります。
具体的にはADASの時代になって電源側も負荷側も数が増したことでこれまで以上の多チャネル対応が必要になってきています。

電源テストも複雑化

高信頼電源系への対応というわけですね

<渡邉>電気機器の電源テストというのは、電源に変動を与えて負荷の動作を確認したり、負荷の変化を模擬して電源側の動作を確認したりすることです。
クルマの場合は電源側も負荷側も複数系統あり複雑に組み合わさって動いているので、テストシステムも複数系統に対応した多チャネルの電源や負荷装置で構成する必要があります。私共ではそれに見合ったテストソリューションをこれまでにも多数ご提供してきましたが、ADAS搭載車ほどの多チャネルかつ複雑な電源系には対応できていませんでした。
さらに、ADASは走行中も停車中も動き続けるので、長時間のオペレーションに対する信頼性も併せて求められます。高温・高湿下での長時間エージングや、ものすごい数のパターンによるテストが必要なんです。

我々は今回、この課題をシーケンス作成・制御ソフトWavyの多チャネル同期機能強化によって解決することにしました。直流電源や電子負荷などのハードウェアはどんなご要求にもお応えできる強力なラインアップが既にありますからね。これらをうまく動かす方法を考えれば良いわけです。

供給電源・エイジング試験および負荷変動試験

制御ソフトウェア

課題解決のキーポイントは何ですか

<渡邉>私はカスタムニーズと言うより幅広いソリューションのためのソフトウェア開発をメインに担当しています。自動車電装系のテストではお客様毎に様々な測定ニーズがあって、お客様が都合に合わせてオリジナルの測定をする必要があるため、これに応えるミッションです。

幸い、キクスイには幅広い機種に対応したシーケンス作成・制御ソフトウェア<Wavy>があり電装系テストに多数の実績があります。今回もWavyの多チャネル対応強化という形で対応しました。具体的には、これまでは4〜5チャネル対応程度だったものが、今のところ7とか8チャンとかが予想されるため、10チャネル程度までを目途に開発を進めています。
電源の多チャネル化は機器の安全性や信頼性向上のためには必須の要素です。そう言う意味では、クルマのADASだけではなく、例えば航空機なんかでもトレンドですので、アプリケーション分野の拡がりは大きいと思います。

多チャネル同期

技術的に乗り越えなければならなかった点は

<渡邉>実は電源と負荷どちらか片側だけの多チャネル制御であれば、ソフトウェア的にはこれまでの延長で対応でき、それ程難しいことではありません。実際に片側に対してであれば納入実績もありますし、ハードウェア自体も例えば電子負荷のPLZ-5Wシリーズなどは自身が高速同期運転機能を備えています。
ですが、電源と負荷の両側にわたってタイミングを合わせる同期制御となると、これがちょっと難しい。

やり方としては全てをソフトウェアで賄う方法と同期のためのハードウェアを併用するの二つが考えられます。ソフトでやる方法はシンプルかつローコストで、制御対象となる電源や電子負荷のシリーズやモデルを問わないものができるんですが、同期の精度というか各チャネルのタイミングの一致度に限界があります。ハードウェア併用にすればこれを解決できますが、別途ハードでの対応が必要になります。
どちらを採るかはアプリケーションの要求精度に依存することになるので、最終的にはターゲットアプリケーションを見据えて決めることになります。

例えば、ADAS-ECU周りのエージングテストに当てはめてみると、電源側と負荷側での間ではミリセカンドオーダまでの同期精度で良いと考えられますので、ソフトウェアオンリーで対処できると考えています。
ただ、私としてはこの先どちらに転んでも良いように、ソフトオンリーとハード併用二通りの開発を並行して進めています。

ロードマップ

Wavyの進化について聞かせてください

<渡邉>Wavyが菊水電子製電源・負荷装置のシーケンス作成・操作を支援アプリケーションソフトウエアとして誕生してからかなりの時が経っています。ただ、その間Wavyに何も手を付けていなかったかというとそうではなく、時代と共に進化と成長を続けています。
時代に即して新たなものを次々開発する方法もありますが、今まであるものを育てて進化させていくというのは開発効率の面でも有利ですし、ニーズに即したものをローコストに提供できるからです。

Wavy進化の歴史と方向性をロードマップ的に述べると、当然のことUSBやLAN対応、リアルタイムモニタですとか機能拡充はいろいろやってきていて、今回の多チャネル同期対応なんかもその一環ととらえることができます。
また、当社の電源や電子負荷の中には自身がプログラム機能を内蔵していて高速に実行できるものもあります。こうした機器内部の機能を利用するというかうまく連携できるようにするというのも、ひとつの方向性としてアリだと思います。

シーケンス作成・制御ソフトウェア「ウェーヴィー」

機能の拡張と併行して、初めは特定モデルの制御用だったものが交流電源、直流電源、電子負荷と対応機種を増やしてきました。モデルを問わない汎用的な統合制御ソフトを目指して様々なソリューションのベースになる進化方向です。
その一方で、アプリを特定した派生もあります。系統模擬試験用のグリッドシミュレーター(Wavy Smart Grid Edition)なんかはその一例です。波形パターンやシーケンスも入れ込んだ専用アプリソフトみたいな展開は今後もあり得るでしょう。

Wavyが強力に進化し続けることで、我々が提案できるソリューションの種類や数も相乗的に増やしてゆけます。私自身も、これまでの知見やキクスイが持つ総合力を活かしてWavyを育ててゆきたいと思っています。

大容量、高精度、高速な切り換えと応答で
xEVの精緻な電源管理を支える電流センサ開発を後押し

EVのトレンドと電流センサ

クルマとセンサの関係から教えてください

<加々見>今回ご紹介するのはxEV(各種電気自動車)に搭載される電流センサの評価システムです。

ご承知の通りクルマは今、EVへとまっしぐらに進んでいて電気で動く乗り物へと変わろうとしています。

ただ、電車のように架線から電気をもらいながら走るというわけにはゆきませんので、バッテリの充放電などエネルギー管理がとても重要です。例えば、バッテリの残量がまだ有るはずなのにクルマが動かないといった事態は許されないですからね。そのため、バッテリの充放電電流のほか、モータの駆動や回生電流、車載充電器の充電電流などの挙動を細かに監視しています。

そのシビアな管理の裏付けというか処理の元になるのは実際に流れている電流の検出情報なわけで、車内の各部に配置された電流センサがそれを担っています。言い換えると、EVのシビアな電源管理に見合う高度な電流センサが必要とされていまして、今回はそのセンサの評価ソリューションです。

高精度、大容量、高速な切り換えと応答

電流センサの方向性と課題は

<加々見>クルマはEV化の度合いが進むのに従い、扱う電流が順次大きくなってきていて、対応するセンサの電流レンジもどんどん大きくなってきています。最近では瞬時のピーク電流は1000Aを超える様になってきており、2000Aや3000Aなどのお話しもいただいております。電装品のテストなどでも「電流が増えていくのに順次対応していきたいので増設によって電流を増やせるようにしておきたい」といったご要望が多くなっています。

EV化に伴うセンサ要求としてはもうひとつ、これまで以上の高い精度と応答性が挙げられます。

EV化に伴うセンサ要求としてはもうひとつ、これまで以上の高い精度と応答性が挙げられます。例えば、車載インバータや内部充電器に搭載されている電流センサは、絶対精度はもちろんのこと充放電の急な切り換えや機器始動時のラッシュ電流など短時間のダイナミックな電流変動を逃すことなく正確に捉える応答性が要求されます。センサメーカではこれに応えるべく高速高精度な大電流直流センサの開発に注力されておられます。

ところが、その評価に至ってちょっとした問題が発覚です。

Continue reading “電流センサ評価用極性切り換え電源+波形生成システム”

欧州で進むLV148や124への対応要求が国内サプライヤに波及
テストシステムにも早急な対応が迫られる

世界戦略

─ 欧州規格のLV124/148が話題になっていますね

<千葉>今日は自動車電装品の電圧変動試験について最近の動向と私共の対応状況についてお話ししたいと思います。

ご指摘のLV124/148はドイツを中心とした欧州の自動車メーカさん5社による電装品および車載電子機器に対する電源の試験規格です。LV124は12V系、LV148は48V系について定めていますが、基本的に12Vと48V混在の電気系システムを前提にしています。

自動車業界では従来からメーカ独自の試験要求、例えば電源変動試験で言えばオリジナルの変動パターンを定めてサプライヤに提示してきました。LV124/148は、VDA 320ですとか ISO16750-2などの公的な規格をベースにしてはいるものの、あくまでもメーカさん5社による独自でクローズドな試験規格です。電装品や車載電子機器のサプライヤさんはこの規格に則った品物の納入を義務づけられることになりますが、5社共通ですのでLV124/148に則ったものを作れば5社に提供できるのでメーカとサプライヤ双方にメリットがあります。

<後藤>私共は論評する立場では無いわけですけれども、実質的にはクルマの電圧系統をヨーロッパで標準化する流れの一環です。世間では、日本車のようなストロングハイブリッドではなく、マイルドハイブリッドを経てのEV化を選択した欧州自動車メーカの世界戦略によるものなどと評されていますよね。

兎にも角にも、欧州メーカは12Vと48V混在の電気系システムを選択し、LV124/148はそれを実現するために規格ができあがった。そして、新開発のクルマにどんどん採用されているのはみなさんご存じのとおりです。

<千葉>そう言う意味では日本はちょっと蚊帳の外みたいなところもあるんですが、日本のサプライヤさんや機器メーカさんの中には国内だけでなく欧州系自動車メーカさん向けの仕事をされているところもあります。そうしたサプライヤや機器メーカさんはLV124/148への対応、具体的にはLV124/148で定められた試験をクリアする製品の納入が求められることになってきました。もはや対岸の火事では済まない状況なんですね。

弊社は国内自動車メーカさん向けを中心に数多の電源変動試験システムを供給してきましたが、お話ししたような事情から、ここへ来て試験環境をLV148や124に対応させたいというお話しが増えています。

12V/48V 混在システム
12V/48V混在システム

Continue reading “電装品テストの動向と対応戦略”

Ver 2.3.7 – Jan 28, 2015

HarmoCapture 3
修正LIN JF シリーズを使わないマニュアルモードのときに HA/Vf 切り替えや規格切り替えでインピーダンス値を覚えていない不具合を修正した。

 


Ver 2.3.6 – Aug 20, 2014

HarmoCapture 3
修正1P2Wで入力回路設定が”独立”のとき L2,L3 のレンジを切り替えるとコマンドエラーとなっていたのを修正した。
修正IEC61000-3-12 の 定格電流 Iequ、基準基本波電流 I1、基準電流 Iref のコンボのリストに型の違う同じ値があったのを修正した。
修正測定時間を変更してもそれが反映されないことがある不具合を修正した。

 

HA File Analyzer 3
修正テキスト変換で Reference Current Iref(ave) の値が違っていたのを修正した。
改善テキスト変換オプションの高調波トレンドの次数の設定に 1-40 のような範囲設定を可能にした。

 


Ver 2.3.5 – Jul 18, 2014

HarmoCapture 3
HA File Analyzer 3
修正三相3線のときはレポートの各相ページの 有効電力、皮相電力、無効電力、力率、Sequ、Ssc を — 表示にした。
修正Vfでインピーダンス値の設定が試験開始時に元に戻ってしまう不具合を修正した。
修正JIS C 61000-3-2 の ClassA で 600Wエアコン:使う で試験した結果ファイルをテキスト変換するとエラーメッセージがでる不具合を修正した。

 


Ver 2.3.4 – Jun 27, 2014

HarmoCapture 3
修正IEC61000-3-12(2011) のレポートの下記の値に間違いがあったのを修正した。
        ・ Reference Current Iref (ave)
        ・ Reading (In/Iref) Ave[%]
        ・ Reading (In/Iref) Max[%]
        ・ Judge
        ・ THC/Iref[%]
        ・ PWHC/Iref[%]
        ・ Minimum Rsce

 

HA File Analyzer 3
改善IEC61000-3-12 規格の 2D/3D高調波においては1次電流の棒グラフを表示しないようにした。

 


Ver 2.3.2 – Mar 17, 2014

HarmoCapture 3
修正接続されている機器がない場合、ファインドリソースで例外がでることがある不具合を修正した。
修正高調波-フリッカモードを切り換えたとき、インピーダンスがバイパスにならない組み合わせがあったのを修正した。
改善16A以上のフリッカ規格に対応したLIN(Z5対応)を接続に対応した。

 


Ver 2.3.1 – Dec 20, 2013

HarmoCapture 3
修正レジストリ情報がない場合、アプリケーション起動エラーとなる不具合を修正した。

 


Ver 2.3.0 – Dec 06, 2013

HarmoCapture 3
追加高調波限度値規格 JIS C 60200-3-2 2011 に対応した。
追加高調波限度値規格 IEC 60200-3-12 2011 に対応した。
改善HA モードで 9600秒までの測定を可能にした。
追加LIN-JF シリーズのリモートコントロールに対応した。

 


Ver 2.2.2 – Sep 14, 2012

HarmoCapture 3
追加交流電源 PCR-LEシリーズに対応した。

 


Ver 2.2.1 – May 16, 2011

HarmoCapture 3
修正コンテンツとユーザーズ マニュアルを改版した。

 

HA File Analyzer 3
修正コンテンツとユーザーズ マニュアルを改版した。

 

Vf File Analyzer 3
修正コンテンツとユーザーズ マニュアルを改版した。

 


Ver 2.2.0 – Dec 20, 2010

HarmoCapture 3
修正高調波限度値規格 IEC61000-3-2 Ed3.0 A2、高調波測定技術規格 IEC61000-4-7 Ed2.0 A1 に対応した。
追加JIS2005 規格で 基準インピーダンス を 使う/使わない の選択ができるようにした。
変更フリッカ限度値規格 IEC61000-3-3 Ed2.0、フリッカ測定技術規格 IEC61000-4-15 Ed2.0 に対応した。

 

HA File Analyzer 3
追加AC電源の確認の結果を表示およびレポート印刷できるようにした。
変更高調波限度値規格 IEC61000-3-2 Ed3.0 A2 の結果データの繰り返し性は限度値の5%未満を “Pass” とした。 それ以外の規格の結果データは従来通り基準値の5%未満を “Pass” としている。

 


Ver 2.1.4 – Sep 16, 2010

HarmoCapture 3
追加HA の限度値規格に IEC 61000-3-2 Ed3.0 A2 を追加し、測定技術規格に IEC 61000-4-7 Ed2.0 A1 を追加した。
追加HA の限度値規格 IEC 61000-3-2 Ed3.0A2 でクラスCを選択したときのみ、適用する限度値に “3次/5次/電流波形” が表示されるようにした。

 

HA File Analyzer 3
追加クラスC機器で 適用する限度値を “3次/5次/電流波形” とした場合の結果ファイルを開くと V/I波形に 電流波形要求の解説図を描画するようにした。 画面 および レポートで対応。
追加2D高調波の電流オートスケールを “測定値” か “測定値と限度値” かの選択ができるようにした。 “測定値と限度値” は測定値と限度値から最適スケールを算出するので、限度値が座標の遥か上で印刷されない ということがなくなった。

 

Vf File Analyzer 3
追加レポート印刷で Type of test に最新の EN61000-3-3 (2008) / *IEC61000-3-3:Ed2.0 (2008) を印字するようにした。

 


Ver 2.1.3 – Jan 08, 2010

HarmoCapture 3
修正現地規格名が記録されていない古いファイル(ファイルバージョン: HAの結果ファイル 1.03以前、Vfの結果ファイル 1.01以前)にもかかわらず、コメント選択で “ファイルの現地規格名を使う” にした場合、エラーが発生してしまう不具合を修正した。
修正レポート設定で PDFの上書きメッセージ “表示しない” をチェックして 印刷した場合、無限ループに入ってしまう不具合を修正した。

 


Ver 2.1.2 – Oct 15, 2009

HarmoCapture 3
修正手動切替 d測定の Vf のレポートで d Measurement Time、d Measurement Count と印字すべきところ Pst Measurement Time、Pst Measurement Count としていた不具合を修正した。
改善ヘルプメニューから英語のコンテンツとユーザーズ マニュアルを参照できるようにした。

 

HA File Analyzer 3
改善ヘルプメニューから英語のコンテンツとユーザーズ マニュアルを参照できるようにした。

 

Vf File Analyzer 3
修正60秒以上の試験の場合、レポートでグラフを描画できないことがある不具合を修正した。
改善ヘルプメニューから英語のコンテンツとユーザーズ マニュアルを参照できるようにした。

 


Ver 2.1.1 – Mar 23, 2009

HarmoCapture 3
追加モードレスなサブフォーム (閉じなくてもメインフォームの操作ができる) で電流入力端子とスケーリングの設定機能を追加した。
追加DCオフセットの設定機能を追加した。
追加IEC 61000-3-3 (Manual Sw) セグメントごとにリトライが選択できる機能を追加した。
改善メインフォームでスケーリングのオン/オフ、電流入力端子の設定が認識できるインジケータを表示した。
改善すでに同じ名前のレポートpdf があるときに別のフォルダおよびファイル名を指定できる選択肢を用意した。
改善試験開始時に表示するワーニングダイアログに以下の場合を追加した。
    ・ 誤接続等で有効電力がマイナスのとき
    ・ 電流入力端子でセンサ選択時に専用センサの接続が認識できないとき
修正IEC 61000-3-12、IEC 61000-3-11 で余裕度を設定できない不具合を修正した。
修正JIS 61000-3-2 クラスA で 600Wエアコンの設定がロードされないことがある不具合を修正した。

 

HA File Analyzer 3
改善現地規格名の印刷機能に対応した。 GB規格をはじめとする任意の規格名でレポートを作成できるようになった。
改善すでに同じ名前のレポートpdf があるときに別のフォルダおよびファイル名を指定できる選択肢を用意した。
改善ツールバー下に試験結果を表示し、タブを切り換えなくでも見えるようにした。
改善試験結果タブを追加し、そこに POHC の最大値および限度値、IEC 61000-3-12 の最小Rsce、Sequ、Ssc、Z 値などを表示した。
改善レポート設定のV/I波形で以下の描画条件を追加した。
    IEC 61000-3-12 のとき
        ・ Rsce 最大フレーム
        ・ THD 最大フレーム
        ・ PWHD 最大フレーム
        ・ 選択フレーム
改善KHA3000 Ver2.00 以降で取得した結果ファイルは V/I波形の水平軸スケール値が保存されたのでそれを使用するようにした。 Ver2.00 より前のKHA3000で取得した結果ファイルは V/I波形の水平軸スケール値は計算によって求めている。
改善計算上、限度値が0Aになる場合と限度値がない場合(—)の表示を区別した。
修正実測値よりベクトル線が少し長めに表示されるのを修正した。
修正IEC 61000-3-12 単相で試験した結果ファイルを読み込んだとき、エラーが発生することがある不具合を修正した。
修正Ver2.00 より前のKHA3000で取得した結果ファイルを開いたときにエラーが発生することがある不具合を修正した。

 

Vf File Analyzer 3
改善現地規格名の印刷機能に対応した。 GB規格をはじめとする任意の規格名でレポートを作成できるようになった。
改善すでに同じ名前のレポートpdf があるときに別のフォルダおよびファイル名を指定できる選択肢を用意した。
修正IEC61000-3-11 レポートに Zmax の値が印字されない不具合を修正した。
修正IEC61000-3-11 の表示およびレポートでフリッカ余裕度、d余裕度が抜けていた不具合を修正した。

 


Ver 2.0.0 – Nov 07, 2008

HarmoCapture 3
修正PCR-LA OUT ON のままアプリを終了した時 PCR-LA がローカルに戻らない問題を修正した。
修正∑ の電流計測値が実電流よりも一桁小さい不具合を修正した。
修正IEC 61000-3-3 (Manual Sw) レポート出力で、各Chごとの dmax, dc, d(t)>3.3% のLimit 表示が “-.–” となってしまう不具合を修正した。
修正IEC 61000-3-12 レポート出力の 2D Harmonics が限度値を超えても赤色表示されない不具合を修正した。

 

HA File Analyzer 3
新規新規にアプリケーションを追加。

 

Vf File Analyzer 3
新規新規にアプリケーションを追加。

 


Ver 1.0.1 – Apr 11, 2008

HarmoCapture 3
新規初版リリース。

2020年に始まったコロナ禍の出口が見えない。
去年の暮れごろから、また感染状況が怪しくなり、
それでも年末年始休暇で多少落ち着くのでは・・・と、誰もが期待しただろう。
しかし、それは見事に打ち砕かれた。
むしろ過去を凌ぐ危機的状況となり
2回目の緊急事態宣言発出となってしまった。

それにしても、対策が終始お粗末という印象は、一般人から見ても拭えない。
昨年の秋に出来たはずの備えを怠ったことが悔やまれる。
現場はできる極限まで努力していると想像する。
だが、リーダーや参謀の先行きの見立てや
方針が的外れだった場合、その努力は水泡に帰す。
このままでは優秀な現場の人材が犬死にしてしまう。

リーダーに求めらえる能力のひとつに
「最悪への想定(仮説思考)」がある。
しかし、最悪を想定すること自体が不吉なことだとして、
言葉にすることを嫌い、考えない「言霊思想」が日本文化に根深くある。
それが過去の様々な不測事態対処の醜態を招いたのではないかと、
小説家の井沢元彦氏は指摘していた。

仮説思考はビジネスでは基本の「き」であるが
彼の国のリーダーは「仮定の質問には答えない」と言い放った。
日本の緊急事態とは、実はコロナ禍ではなく
そういう人物がトップに立っていることを
指すのではないかと勘繰ってしまう。

 

さて今回のお題は、この状況下で、
にわかに俎上に載った「テレワーク」である。

在宅勤務、リモートワーク、モバイルワーク、ワーケションなど呼称は様々だが
事務所など本来の職場以外で執務を行う遠隔勤務。
首都圏の一極集中弊害や「痛勤」電車等の解消案として
サテライトオフィスや時差通勤、勤務条件の柔軟化等は
昭和の時代から提示されながら、様々な事情・理由でなかなか普及しなかった。

日本におけるサテライトオフィスの草分けは
1988年、埼玉県志木市に実験開設された「志木サテライトオフィス」だという。
ちなみにそれは私がこの会社に入社した年である。けっこう古い・・・。
当時「新しい働き方の到来」という触れ込みでマスコミは報じたという。
その後バブル崩壊とともに、その機運は雲散霧消してしまった。
その頃は商用インターネットもなく、IT機器の性能も貧弱。
概念は良かったのだが環境条件が追いついていなかった。
オフィスコンピュータは「電算機(電子計算機)」や「文書作成機」であって、
まだ情報通信機器ではなかった時代である。

それから30年。情報通信機器やインフラは飛躍的に進化した。
かつての「出来ない理由」はかなり解消されているはずなのだが
あいかわらず都市部は「痛勤」電車で、同じような時間に
一斉にオフィス街に出勤する風景は変わらなかった・・・しかし。
パンデミックという外圧によって、ある時一気に実現してしまった。
多くの企業が出社率2割を目標にテレワークを(無理でも)実施した結果
道路は空き、電車乗車率は下がり、オフィス街は無人になった。
人の移動が減った結果の副産物として、都会の空が澄んだ。
「できない」のではなく、「(本気で)やらなかった」だけだった。

 

その後、緊急事態宣言解除(1回目)とともに
「由緒正しい?会社の姿」に復元しよう(したい)とする反動が強く
相当数の企業が「原状復帰」に傾いた結果、
いつか見た日常に戻ってしまった。
突然強制されたテレワークを多くの人が体験した結果、
人によってその評価が大きく割れることになった。
「原状復帰」が多いという結果を見る限りは
テレワークの利点よりも弊害の声の方が強いのだろう。

テレワークでは仕事にならない---。

ライフラインや製造など現地で設備を使わざるを得ない仕事。
物品移送をおこなう仕事。
物販、飲食、医療や福祉など接遇必須の仕事など。
いわゆる「エッセンシャルワーカー」である。
そういった仕事は、確かに無理がありそうだ。

独立行政法人労働政策研究・研修機構の
職業別就業者数(2019年)によると全就業者は6,724万人。
12ある区分のうち、テレワーク対応できそうな職業として
仮に事務従事者と専門的・技術的職業従事者と見立てる。
事務従事者は26.7%、専門的・技術的職業従事者は18.8%。
*参照:職業別就業者数|早わかり グラフでみる労働の今

専門的・技術的職業従事者の中には
職場の設備環境が必須というものもあるだろう。
しかし全員が全員常時職場に貼り付く必要性は薄いと思え
仮に半数の9.4%が(もしくは交代で)在宅可能とすれば、事務従事者と合わせて36.1%。
テレワーク対象になり得るのは10人のうち3〜4人か。(かなり乱暴な計算だが)

そう見ると、目下2回目の緊急事態宣言において
「7割テレワーク」は、実情を無視した無理筋だ。
出来ないことを指示したところで、
結果(感染者減少)が出るのか疑問である。
出来ないことをやれ、という政府への不満はまっとうである。

 

ここで考えたいことは、
情報通信インフラも十分実用レベルにあり
10人のうち3〜4人はテレワーク可能であるはずなのに、
なぜ出社勤務へ戻してしまうのか。

その答えとして、すでにいくつか論考がある。
就労規則が未整備で、テレワークはあくまで特例措置だった。
服務定義が内容ではなく、勤務形態・時間などの外形に重きがある。
社員間の処遇公平感を損ない和が乱れるのを恐れた。
経営者や幹部・管理職の頭の中が「古き良き昭和」のままである。
マスコミなどによってステレオタイプな就労観が一般に強く刷り込まれている、など。

また、テレワークでは生産性が低下するという意見。
パソコン等の道具立てや資料の未電子化の問題もあるが
暗黙に漂うのは「テレワークは怠惰(サボり)の温床」という見方だ。
その価値観は「小人閑居として不善をなす」という性悪説である。
品性の卑しい人が暇でいると、ろくなことをしない。
だからそういう者には常に目を光らせておくべきである。
確かにそれはそうだ。なぜなら品性の卑しい人だから。

企業でそれが正論とするなら
社員は小人ばかりだということになりはしないか。
小人の集まりが素晴らしい業績を上げることができるのだろうか。
テレワークが可能な条件を有していてもそれを認めないということは
当社はろくでもない人間の集まりです、と公言していることにはならないだろうか。

いや、逆に納得するか。「やはりそうだったか」と・・・

 

これらはテレワークが「非」となってしまう「外因」であるが
一方、社員の側に「内因」はないか。

ここで、小学校時代を思い出してほしい。
ある日、教師が急な不在で自習時間になった。
そのときのあなたは、どのタイプの子供だったか。

友達とふざけや遊びに興じる子。
教科書の予習復讐をする真面目な子。
読書、絵を描くなど自分の好きなことをする子。
ただぼーっとしている子、など。
で、騒ぎ声が大きくなると、
隣室で授業中の教師から一喝が入るという・・・。
小中学校にありがちな風景。

しかし、よくよく考えてみると
自習の仕方は教えられた記憶があまりない。
今はちょっとわからないが
昔の義務教育は、他律性志向が強く
指導に従う素直な子供を模範としており
自律的思考や行動を身につける機会があまりなかったと思う。
義務教育は「やらされる」ことが主体。なにせ義務というくらいだから。
なので、よほど自覚しないと
自律性を十分獲得しないまま大人になってしまう。

つまり今の大人の大半が、
実は自律していないのではないか、と疑うのだ。
このことについては、過去にこういった記事を書いた。
*参照:自律への長くて遠い道(2004年4月)

自習の仕方を知らないまま、連日教師不在となり
いきなり始まった大人の自習時間。
それが今回の緊急事態宣言でのテレワークの実相だと思う。
準備も自覚・訓練もないままの実行結果。
むべなるかなというところである。

自習時間はいつも遊んでしまった。
夏休みの宿題が終わらず途方にくれた。
子供時代がそうであった人は、環境条件が揃ったとしても
テレワークは出来ないとあきらめた方が賢明。苦しいだけである。

 

だが、そうは言っても、無理とわかりながら
テレワークせざるをえない人も多いだろう。
そこで過去の裁量労働経験を経て培った
テレワークを上手く乗り切る極意(!?)を
僭越ながら、3つ伝授したいと思う。

(1)テレワークの生産性は下がって当たり前と心得よ

どう頑張っても家が職場と同条件に整備できない以上
同じ方法論で(代替手法はしょせん代替)
同じパフォーマンスが出る道理がないことを直視する。
出勤できなければゼロだった成果が
在宅で1でも2でも進めば、それで評価すべき。
平時と同じ結果を求める方がナンセンスである。

(2)生真面目にスケジュールを詰め込まない

自宅にいると、どうしても仕事外の干渉が入らざるをえない。
なので、出社時のように生真面目に予定を詰め込むと
間違いなく積み残しが起きて、自己嫌悪必至である。
なので、(1)と同様に、邪魔が入る(効率が悪い)前提で
予定には余裕を織り込んでおく方が賢明。そこにおいて罪悪感は無用である。
夏休み初日に意気込んで作った
1日の予定表の結果がどうだったかを思い出そう。

(3)オンオフを切り替える工夫をする

出社なら通勤(移動)時間が、オンオフの区切りになるが
ハリウッドスターの大豪邸でもない限り
ステイホームでは、移動によるオンオフのメリハリがつけにくい。
なので、私の場合は始業の儀式として
ランプ型のアロマディヒューザと音楽ネットラジオを利用している。
嗅覚と聴覚の刺激が切替えの合図なのだ。
なおネットラジオは、唄ものだと歌詞を聴いてしまうので
ゆったりとしたピアノ曲がおすすめである。

また椅子を、仕事用と休憩用で分けるようにしている。
リクライニングできる高級デスクチェアで兼ねるという考えもあるが
コストの問題と、そういう椅子はサイズが大きいので邪魔になる。
私は以前買ったニーチェアエックスを休憩用として愛用中。
*参照:身の丈サイズという静かなるパワー(2004年8月)

折りたたみ式なので収納の場所もとらないので非常に重宝している。
椅子を変えることもオンオフの切り替えになる。

ついでながら、篭ると間違いなく運動不足になるので
朝でも夜でもよいから、ウォーキングなどの軽い運動を。
これも切り替えのメリハリになるとともに
人間は歩いているときの方が、(文字通り)前向きな思考がしやすいという。
ステイホームで思考が内向きになりがちなので、一石二鳥の効果がある。

 

私個人は「ビバ!テレワーク」派だが
テレワークにデメリット面があることは認めるし
万人に適用できないとも思う。
しかし、いままでの仕事の方法論や価値観の再確認
自律思考や行動を身につける良い機会になることは
自分の経験から間違いないと確信している。

なので、このコロナ騒動を災禍として悲嘆するばかりでなく
転んでもただでは起きない気概で
自分を変える奇貨として利用して欲しいと思うのだ。

VER 4.53 – May 22, 2017

Ver.4.52からの変更点

PCR-LE firmware
修正

AC+DCモードでシーケンスを終了した時、シーケンス開始前のDC設定電圧値+最後のステップで設定したAC電圧波形のピーク値が-431V~431V(Hレンジ) / -215.5V~215.5V(Lレンジ)の範囲を超えると、ピーク電圧値の制限により最後のステップで設定したAC電圧値にならない件を修正。


VER 4.52 – Aug 10, 2016

Ver.4.51からの変更点

PCR-LE firmware
修正

位相または振幅が異なる波形データが入っている波形バンクに変更すると、切替わり時に出力波形の一部が設定電圧と異なる場合がある問題を修正。

修正

単相3線/三相システム(オプション)の修正

U相機のみ電源を投入して、U相とV相間の通信異常(TRBL-24:U-V COMM MISS)が発生した後に、全ての相の電源を再投入すると、工場出荷時設定している件を修正。


VER 4.51 – Jun 17, 2016

Ver.4.50からの変更点

PCR-LE firmware
修正

周波数設定を変更すると偶に出力電圧波形の一部が設定電圧と異なる場合がある問題を修正。

修正

生成したピーククリップ波形データが、POWERスイッチを再投入した時に初期化していてSIN波形になる問題を修正。

修正

単相3線/三相システム(オプション)の修正

SD011-PCR-LEで設定した任意波形データが、POWERスイッチを再投入した時にV相やW相の波形データのみ初期化していてSIN波形になる問題を修正。


VER 4.50 – Jan 15, 2016

Ver.4.43からの変更点

PCR-LE firmware
機能追加

電圧サージ抑制機能の設定を追加

出力をオフにしたときの電圧サージ抑制機能をオフする設定を追加した。


VER 4.43 – Nov 25, 2015

Ver.4.42からの変更点

PCR-LE firmware
改良

内部Vcc電圧を自動追従設定している時、Vcc待ち時間中の出力オフの応答を改良した。

修正

シーケンス機能で周波数ランプオンに設定したとき、前後のステップの周波数が同一の場合、次ステップの周波数に遷移しない問題を修正。

修正

単相3線/三相システム(オプション)の修正

PROG:EDIT:PHAS:UVと、PROG:EDIT:PHAS:UWの第2パラメータのONとOFFがパラメータエラーで設定できない問題を修正。


VER 4.42 – Jun 23, 2015

Ver.4.41からの変更点

PCR-LE firmware
修正

PCR-LE2 500Hz LMTモデルの修正。

単相3線出力から三相出力の切り替えのためにPOWERスイッチを再投入した時に、リモートコントロールの設定を初期化していた問題を修正した。


VER 4.41 – May 26, 2015

Ver.4.40からの変更点

PCR-LE firmware
機能追加

通信インターフェースコマンド SYST:OPT?と*OPT?に対して、装着しているアナログ信号インターフェース(“EX05″または、”EX06”)をレスポンスで返すようにした。

修正

ワンコントロール並列運転(オプション)と、PCR-LE2の単相出力時の修正。

過電流保護が作動した時に、QUEStionableステータスレジスタの状態を直ぐにクリアする問題を修正した。


VER 4.40 – Apr 10, 2015

Ver.4.36からの変更点

PCR-LE firmware
改良

過負荷保護(ALM-06:OVERLOAD)検出に過負荷状態の繰り返しを考慮するように変更した。

LOADメータに本製品内部の温度が上昇していることを示すフルスケールバーを追加した。

ALM-03:OCPの発生後に出力オンが出来ない時間(Busy状態)を10秒から120秒に変更した。

ALM-06:OVERLOADの発生後に出力オンが出来ない時間(Busy状態)を30秒から120秒に変更した。

改良

出力オンが出来ない時間(Busy状態)を表示している時に解除までの残り時間表示を追加した。

改良

本体パネルに内部半導体保護作動中表示を追加した。

改良

内部Vccを固定で使用する場合の使用最大出力電圧値の設定範囲(下限値)を変更した。

使用最大出力電圧値が、出力ピーク電圧値以上になる様に追従する処理を追加した。

改良

電源投入時に電力ユニットの故障診断を追加した。

改良

ACモードで設定電圧が10V(Lレンジ) / 20V(Hレンジ)以下の時、出力電流が電流リミットを超えて出力がオフになるまでの時間を変更した。

修正

単相3線システム(オプション)の修正。

USBメモリで保存したパネル設定ファイルが呼び出せない問題を修正した。

修正

通信インターフェースコマンド SYST:CONF:PHAS:UVとSYST:CONF:PHAS:UWの、パラメータ MAXの値を359に修正した。

修正

工場出荷時設定した時、シンクロ機能をOFFで初期化していなかった問題を修正した。

修正

DCモードまたは、AC+DCモードの内部半導体保護機能が作動してALM-03:OCPが発生するまでの時間を修正した。

修正

AC+DCモードでメモリを呼び出す時に行うピーク電圧範囲チェック処理を修正した。


VER 4.36 – Nov 28, 2014

Ver.4.34からの変更点

PCR-LE firmware
改良

内部半導体保護(ALM-03:OCP)検出を改良した。

改良

ワンコントロール並列運転(オプション)の改良。

並列運転の内部通信の信頼性を向上した。


VER 4.34 – Oct 03, 2014

Ver.4.33からの変更点

PCR-LE firmware
改良

アラーム信号の検出にフイルタ処理を追加した。

修正

アナログ信号インターフェースオプション(EX05-PCR-LE)装着時の修正

通信インターフェースコマンドで、”-221 Setting Conflict”になって受け付けないコマンドを修正した。

FUNC:SOUR
SYST:CONF:EXT:SINP:POL
SYST:CONF:EXT:EST:FREQ:LOW


VER 4.33 – Apl 14, 2014

Ver.4.32からの変更点

PCR-LE firmware
修正

出力方法が単相出力の時、出力波形バンクが切り替わらない問題を修正した。

修正

ファームウェアバージョンVer4.20 ~Ver4.32でUSBメモリに保存した本体メモリファイルが呼び出しできない問題を修正した。


VER 4.32 – Mar 03, 2014

Ver.4.31からの変更点

PCR-LE firmware
修正

PCR-LE2の修正

出力方法を単相3線から三相に変更して電源再投入すると、出力方法の選択表示が単相になる問題を修正した。

修正

単相3線システム(オプション)の修正。

DCモードで相電圧を設定した時に、線間電圧値への変換処理をしていない問題を修正した。

修正

出力オフ操作によってシーケンスを終了した直後に出力オンした時の出力電圧が、シーケンス終了時の電圧を出力しなければいけないところ、シーケンス実行前の設定電圧値を出力していたため修正した。


VER 4.31 – Jan 24, 2014

Ver.4.30からの変更点

PCR-LE firmware
修正

設定条件により、定格電流より低い出力電流で過負荷保護が作動することがある問題を修正した。

修正

電源起動後、初回のソフトスタートが動作しない問題を修正した。


VER 4.30 – Nov 28, 2013

Ver.4.20からの変更点

PCR-LE firmware
機能追加

SD019-PCR-LE/SD020-PCR-LE対応。

修正

三相システム(オプション)の修正

AC+DCモードの時、本体パネルに表示する相の選択でW相が選択できない問題を修正した。

修正

アナログ信号インターフェースオプション(EX05-PCR-LE)装着時の修正

信号源、極性、想定最低周波数の設定値をバックアップしていない問題を修正した。


VER 4.20 – Sep 19, 2013

Ver.4.00からの変更点

PCR-LE firmware
機能追加

単相3線/三相システム(オプション)の機能追加。

単相3線出力や三相出力の出力電圧モードにAC+DCモードを追加した。

機能追加

アナログ信号インターフェースオプション(EX05-PCR-LE/EX06-PCR-LE)の機能追加。

QUEStionableステータスレジスタのbit5にSHUTDOWNを追加した。

変更

AC+DCモードの時のOVP/UVPの判定を実効値判定に変更した。
判定の変更に伴い、OVPとUVPの設定範囲を変更した。

ACモード / AC+DCモード : 0 ~ 474.1V

修正

単相3線/三相システム(オプション)の修正

シーケンスの同一ステップに、トリガ入力待ちと開始位相角を設定した時、V相(W相)の出力波形が1ステップ前にずれる問題を修正した。
内部VCC電圧を固定で使用する時、出力電圧が一括設定出来ない問題を修正した。

修正

単相3線/三相システム(オプション)にアナログ信号インターフェースオプション(EX05-PCR-LE)装着時の修正

信号源の状態表示を修正した。
EXT.OPTメニュー操作を修正した。
EXT.SIGメニュー表示を修正した。

修正

逆潮流の時、定格電流を越えてもオーバーロードが作動しない問題を修正した。

修正

内部VCC電圧を自動追従で使用してシーケンスを実行した時、VCC電圧が自動追従せずに出力波形が歪むことがある問題を修正した。


VER 4.00 – Apl 01, 2013

Ver.3.20からの変更点

PCR-LE firmware
機能追加

単相3線/三相システム(オプション)の機能追加。

出力インピーダンス設定値1~100%に対する各相の抵抗値表示を追加した。
シーケンス機能に、U相オフセット位相設定及び、位相差のランプ設定を追加した。
U相オフセット位相解除機能を追加した。


VER 3.20 – Feb 01, 2013

Ver.3.12からの変更点

PCR-LE firmware
変更

力率測定値を算出する演算式を変更し、極性符号付から極性符号無しに変更した。

(λ=P/S → λ=|P|/S)

修正

出力オフ操作に対し、パネルのOUTPUT OFF表示と出力状態が一致しない場合がある問題を改善した。


VER 3.12 – Dec 10, 2012

Ver.3.10からの変更点

PCR-LE firmware
改良

ワンコントロール並列運転(オプション)の改良。

並列運転の内部通信の信頼性を向上した。

修正

電流リミット値を最小値付近に設定した際のロードメータフルスケール演算を修正した。


VER 3.10 – Nov 12, 2012

Ver.2.00からの変更点

PCR-LE firmware
機能追加

並列運転ドライバオプションに対応。

PD05M-PCR-LE(マスタ用)
PD05S-PCR-LE(スレーブ用)

機能追加

アナログ信号インターフェースオプションに対応。

EX05-PCR-LE
EX06-PCR-LE

機能追加

単相3線システム(オプション)の機能追加。

ACモードに、出力方法を選択する2P Mode On/Off機能を追加した。

機能追加

単相3線/三相システム(オプション)の機能追加。

AC 電力(総合無効電力)測定値を問い合わせる通信インターフェースコマンド追加した。

FETCh:POWer:AC:REACtive:TOTal
MEASure:POWer:AC:REACtive:TOTal

改良本体パネル操作で、現在の状態や他の設定値との競合から操作できない時に原因を表示することで操作性を改善した。
修正

単相3線システム(オプション)の修正。

V 相側の UVP/OVP 判定の極性が逆になっていた問題を修正した。

修正ACモードで周波数40Hz未満の時のオーバーロード判定点(しきい値)を修正した。
修正

単相3線/三相システム(オプション)の修正。

V 相、W相の無効電力の測定値演算の間違いを修正した。

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