第六話 あとがき
みなみが、実は大食い女王であることが発覚した第6話です・・・(笑)。
さて今話の主眼は直流電源の「レンジ(出力範囲)」の理解です。昔は「シングルレンジ方式」が大勢だったため、考える必要もない事項でした。しかし「ワイドレンジ方式」の登場により、直流電源のパネル表記(例:0~40V / 0~40A /400W)を見て、所望の電圧・電流が得られるか?の判断に、少しだけ頭を使う必要が出て来ました。それは「電力(W)=電圧(V)× 電流(A)」という公式です。
直流電源には、出力できる電気エネルギー量の上限があります。それは定格出力電力です。例えばキクスイの「PWR401L」というワイドレンジ方式の直流電源は、400Wが定格出力電力です。また電圧および電流の定格出力が 40V /40A で、それが上限になります。なので、「400(W)=40(V)×10(A)」はOKですが、「400(W)=1(V)×400(A)」は電流が上限を超えるので対応できません。
電圧と電流を縦軸・横軸にし、一定の電力を維持しながら電圧と電流の関係をグラフにしたものを「定電力曲線」と呼びますが、ワイドレンジ方式の理解として、その曲線(定電力型動作)がイメージできれば合格です。しかし慣れないとこれが難しい。そこで苦心の末に考え出したのが、世にも不思議な「伸縮自在の羊羹」(笑)。羊羹をエネルギー(=電力)、長さを電圧、幅を電流とします(ここで厚みは無視します)。普通の羊羹は固形なので長さや幅も一定。いわばこれがシングルレンジ。しかしそのままでは食べにくいので、適度に切る必要がありますが、シングルレンジ羊羹は切った余りは食べられないという、非情の掟があります(13 ページ)。では羊羹をまるごと堪能する(定格容量を無駄なく使う)にはどうするか?
某ネズミの国に行くと、チュロスという細長いドーナツを売っています。田舎者の私は初めてそれを食べた時、軽い衝撃を受けました。棒状のドーナツって食べやすい!
羊羹だって口の大きさ(負荷の電圧・電流要件)にあわせて自在に伸び縮み(電圧・電流出力範囲の組み合わせ変更)できれば、楽しく丸かぶりできる(定格容量を無駄なく使える)はず・・・それが、ワイドレンジ羊羹というわけです。直流電源のワイドレンジ方式(他のメーカーさんならズーム、ターボ、オート等)と聞いて、ビヨ~ンと伸びる羊羹(実際はそんなものないけれど)をイメージできたら、とりえずレンジの理解度としては仮免許でしょう。
ところでこのマンガは、食べ物(しかもスイーツ系)の例えに傾倒しているので一部から「飯テロやめろ、俺の血糖値を蹂躙するな」という声があるような、ないような。でもごめんなさい・・・次話もそんな感じです(笑)。
